コールセンター業界の今後|採用市場の変化を詳しく解説

2020年以降、未曾有の事態によりこれまで通りの採用市場ではなくなり、大きく変化いたしました。

本記事では、全国約500のコールセンターと取引のある弊社にて実施しました調査をもとに、2020年以降コールセンター採用市場がどのように変わったのか現状を把握し、その中でどのような対策が有効かを解説します。

データから見る採用市場の変化

採用市場の大きな変化は2つです。

  • 売り手市場から買い手市場へ変化(求職者の増加、求人数の減少)
  • 感染症対策の有無が職場選びの重要ポイント

特に、売り手市場から買い手市場への転換は2020年4月以降一気に進みました。

求職者は増加傾向にあります。

それぞれデータで具体的に見ていきましょう。

求人数の減少

採用市場全体の状況を理解するためには、有効求人倍率(求職者1人あたり何件の求人があるかを示すもの)を確認するとよいでしょう。2017年1月から2020年5月までの有効求人倍率の推移をまとめたグラフをご覧ください。
(図1 有効求人倍率推移)
有効求人倍率推移

2020年1月から下がり始め、4,5月にかけて一気に下がっていることがわかります。

企業側が求人を減らした理由は大きく3つになります。

  • 緊急事態宣言の発令により、物理的に採用活動を進めることが難しくなった
  • パンデミック収束の目途が立たず、経済活動再開の先行きが不透明だった
  • 経済状況の変化

また、職種をコールセンターに絞っても、同様の傾向がみられております。

以下は弊社保有の求人数の減少率になります。
(図2 2020年1月/2020年6月の求人数減少率)
求人数減少率

正社員、派遣社員ともに採用をする企業が減っております。

特に正社員案件については、BPO系のSVクラスの募集、事業会社のカスタマーサポート職が減少しました。

7月になり、回復傾向にありますが、以前の水準に戻るには少し時間がかかりそうです。

派遣社員の採用も減少しております。

コロナ関連の行政系案件が増え、4月ごろに比べると回復傾向にありますが、大型コールセンターでも計画の採用人数から減らしているセンターが多く、こちらもしばらくは例年より減少傾向にありそうです。

求職者増加

一方、求人数の減少に対して、求職者数は増えております。

以下は弊社の採用費と登録者数の推移になります。
(図3 弊社コンタクトセンター部門の月別新規登録者数)
コールセンターの月別登録者数と採用費

採用費は例年より減額していますが、派遣登録者数は前期比率で2~3倍近くに増えていることがわかります。

これは札幌から沖縄まで地域に関わらず見られる傾向となっております。

また、登録者属性の内訳は昨年比で以下のような傾向がみられます。
(図4 弊社5月度全国登録者データ昨年比)

年齢別データ 2019年 2020年 前期比率
10代 189 246 130.2%
20代 1,482 2,388 161.1%
30代 684 965 141.1%
40代 473 616 130.2%
50代以上 85 181 212.9%
土日勤務可否 2019年 2020年 前期比率
平日のみ 1,351 3,589 265.7%
土日一方可能 394 143 36.3%
土日両日可能 1,168 664 56.8%
希望勤務日数 2019年 2020年 前期比率
希望なし 140 327 233.6%
週3日以下希望 498 402 80.7%
週4日希望 615 1,064 173.0%
週5日希望 1,660 2,603 156.8%
希望就業期間 2019年 2020年 前期比率
スポット 46 79 171.7%
希望なし 627 851 135.7%
短期 451 615 136.4%
長期 1,789 2,851 159.4%

特に、アパレルや飲食店に従事されていた20代フリーターの登録者が増加しております。

対面接客業が休業や閉店が増加しており、オフィスワーク未経験でも始めやすいコールセンターに流入してきております。

求職者の意識の変化

次に、求職者の職場選びの変化を確認しましょう。

感染症対策の有無が職場選びの重要なポイントへ

下記のグラフは、派遣登録のあるスタッフへ職場選択における意識調査を行った結果です。
(図5 求職者の職場選びのポイント)
求職者の職場選びのポイント

※2020年5月28日 株式会社ビースタイル メディア 調査より抜粋

上記で見ていただきました通り、3割近くの求職様が感染症への対策を行っているかどうかを職場選びのポイントとして挙げています。

特に、コールセンターは「3密」が発生しやすい職場であり、感染リスクが高い職場としてメディア等でも課題視する声がありました。

そういった背景からも、派遣社員でもあって在宅勤務に切り替える企業も増えており、新規の採用では在宅対応可能な企業に応募が集中する状況が続いております。

職場のコロナ対策はブランディングにも影響

また、別の視点から「消費者意識の変化」も考慮すべきとの指摘があります。

ある調査会社が行った調査では、自分が受けられる“サービス”だけでなく、従業員への補償・支援活動・情報発信といった“企業のあり方”を評価する消費者が増加する傾向にあるとのことです。

感染症対策を考慮した職場環境の整備は、採用戦略にとどまらず、企業のブランディング戦略にも影響があることが示唆されています。

中長期を見据えて必要なことは

ここまでは、コロナ以前/以後の採用市場の変化について確認してきました。

次に、中長期の採用市場の予測と、検討すべき事項についてまとめたいと思います。

中長期の採用市場予測

経済や感染症の収束は誰にも予測は不可能です。

専門家の間でも意見が分かれますが、概ね1~2年ぐらいは回復に時間がかかるという見方が多くなっています。

しかし、ある企業が実施したアンケートでは来年度の採用計画について、90%以上の企業が「採用計画を変更しない」と回答しております。

採用市場は経済状況に大きく左右されますので、あくまでこちらは現時点での予測になりますが、多くの企業は1年ぐらいで回復するとの見通しであることが分かります。

また、日本の労働市場自体は変わらず、労働人口の減少傾向は変わりませんので、中長期でみると、いずれ売り手市場に戻ることが予測されます。

コールセンターが検討すべきこと

最後に、現状や中長期を踏まえてとるべき対策を検討したいと思います。

  • ファシリティの変更や在宅勤務への移行など職場での感染症対策を進める
  • 今の時期に採用を進めるのは一つの戦略

第一に、職場の安全確保が最優先です。

一般社団法人日本コールセンター協会では、感染症対策に関する指針を発表しております。
https://ccaj.or.jp/covid19-guideline_0521.pdf

特に、今後は在宅勤務であるかどうかがポイントになります。

前述した通り、完全在宅型のコールセンターに応募が殺到している状態であり、今後は在宅勤務に切り替えることが採用戦略上重要な意味を持つことが示唆されています。

また、自社の感染症対策や職場環境について、積極的に発信していくことも大切です。

早い段階で在宅勤務に切り替えた企業を多くのメディアがポジティブな事例として取り上げました。

このように、従業員に対するポジティブな姿勢とそれらを発信することに取り組む企業がポストコロナ時代の採用において有利になることが考えられます。

第二に、あえて今の時期に採用を進めることも一つの戦略になります。

特に管理者ポジションにおいては通常よりも求人数が少ない(競争率が低い)ため、通常の時期よりも優秀な人材を確保しやすい傾向にあります。

採用費も相対的に下がっているため、コストを抑えて、優秀な人材を採用できるチャンスでもあります。

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