外国人に向けた注目の制度!高度人材ポイントとは?

2025/08/27

この記事でわかること

  • 高度人材とは
  • 高度人材と一般の外国人の違い
  • 高度専門職の在留資格を申請する方法

少子高齢化により労働人口の減少が深刻化する日本。企業も10年後、20年後を見通した人材採用を行なわなければならない時代となりました。そこで重要なカギを握るのが海外からの留学生など外国人の雇用です。

政府も外国人の雇用を促進しており、2020年を目途にした「留学生30万人計画」など、さまざまな取り組みを行っています。

今回ご紹介するのは、平成24年5月7日に施行された「高度人材制度」です。これは高い技術力やスキルを持つ外国人の雇用を促進するもの で、現在注目を集めています。ぜひ、外国人を雇用する際の参考にしてください。

高度人材とは 

日本に住んでいる外国人は、必ず1つの在留資格を取得しなければなりません。勉強の目的で日本に滞在する学生は「留学」の在留資格を取得し、観光の場合は「観光」の在留資格が必要です。また、大学の教授であれば「教授」の在留資格が求められます。その中でも、高度な職業に従事する外国人には「高度専門職」の在留資格が与えられ、「高度人材」と呼ばれています。具体的には、ITエンジニアや企業の経営者、役員、投資家などが該当します。 

「高度人材」として認められる基準は何?

高度人材の活動内容は大きく分けて3つあり、「高度学術研究活動」「高度専門・技術活動」「高度経営・管理活動」となります。その3つそれぞれの特性に応じた学歴や職歴、年収などを軸に様々な項目にポイントを設けて、一定の点数を満たした外国人が高度専門職一号と認められる仕組みです。

”高度人材”と呼ばれるほどですから、それほど認可は難しくなっています。例えば、 5年以上7年未満の職歴があれば10点日本の大学を卒業または大学院の課程を修了で10点日本語能力検定N1の合格者または日本語を専攻して海外の大学を卒業すれば15点などがあります。※2019年12月時点(詳しくは入局管理局のホームページのポイント計算表をダウンロードください。)

やはり、雇用するならレベルの高い外国人を雇用したいというのが企業の本音でしょう。一般の外国人の中にも勤勉で日本語堪能な人材は多くいますが、高度人材に選ばれた外国人はそれ以上のレベルでの活躍が期待できます。

覚えておこう!3つの特性について

  • 高度学術研究活動とは?
    大学の教育機関での教育、民間企業の研究所での研究活動を指します。
  • 高度専門・技術活動とは?
    自然科学、人文科学分野にて、専門知識と技術を求められる業務を行うことです。
  • 高度経営・管理活動とは?
    企業の経営・管理の活動や、弁護士事務所や監査法人事務所などでの活動のことです。

【出展元】ポイント評価の仕組みは? | 高度人材ポイント制による出入国在留管理上の優遇制度

高度人材と一般の外国人の違い

高度人材に認定されることは外国人にとって大きな強みになります。例えば、無条件で在留期間が5年間与えられ、本来なら一つしか認められていない在留活動も複合的に許可されます。 その他にも、一定の年収などを満たすと高度人材と認められた外国人の親や家事使用人を日本に連れて来られるなど、様々なメリットがありますが、ここでは外国人を雇用する企業にも関係するビザにまつわる違いをご紹介します。

永住権を取得しやすくなる

外国人が日本の永住権を取得するには、本来日本に10年以上滞在している必要があります。しかし高度人材は、5年で永住権が与えられます。また高度人材のなかでも、高度人材ポイントが80点以上ある外国人は1年70点以上の方は3年で永住権の取得ができる場合があります。永住者はビザの在留期間更新許可申請をする必要がありません。

優先的に入国・在留手続きができる

高度人材になれば、入国事前処理は10日以内に、在留審査は5日以内に対応してもらえます。また、「高度専門職1号」で3年働いた方は、「高度専門職2」に移行でき、「高度専門職2」になれば在留期間が無期限となります。ここで注意したいのが無期限となっても【永住権】と【高度専門職2】は全く別物であるということです。高度専門職2を取得していても、高度専門職としての条件を満たさなくなってしまった場合にビザの取り消しなどもありえます。

複数の在留資格における活動が認められる

通常、在留資格に応じた活動しか認められませんが、高度人材になれば複数の在留資格における活動が認められます

配偶者が就労しやすくなる

通常の在留資格を持つ外国人の配偶者は、学歴や職歴などの要件を満たしたうえで、活動の内容に応じた在留資格を取得する必要があります。高度人材の配偶者は、学歴や職歴などの要件を満たしていなくても、在留資格に応じた活動を行えます。

一定の要件を満たすと親の入国と在留が認められる

通常、就労目的の在留資格では、親の受け入れは認められませんが、次のいずれかの条件を満たすことで、親または配偶者の親の入国と在留が認められます。

  • 高度人材あるいは配偶者の7歳未満の子供を育てている(養子を含む)
  • 妊娠している高度人材あるいは配偶者の介助などを行う場合

一定の要件を満たせば家事使用人の同伴が認められる

在留資格の「経営・管理」、「法律・会計業務」などに基づく活動で在留する場合にのみ、外国人の家事使用人の雇用が認められています。高度人材になれば、一定の要件を満たすことで家事使用人の同伴が認められます。

【出展】どのような優遇措置が受けられる? | 高度人材ポイント制による出入国在留管理上の優遇制度

高度人材制度でさらにいい人材を採用できる時代になった

高度人材制度によって、さらにスキルが高い人材を採用できるようになりました。優秀な人材を雇用できず、人手不足に陥っている企業は少なくありません。高度人材制度によって、採用する前から能力がある程度わかることで、育成計画や利益の予測を立てやすくなります。

また、安定した雇用の実現によって、人材流出におびえることなく、前向きな姿勢で経営できるようになるでしょう。

高度人材制度のほかにも、求職者のスキルが一目でわかるジョブカード制度 の利用もおすすめです。
こちらの記事で詳しく紹介していますので、ぜひご覧になってみてください。

高度専門職の在留資格を申請する方法 

申請できるかどうかは申請する前に、下記の表から確認してい行きましょう。学歴や年収、職務経歴など、出入国管理局の審査員は様々な場面を見ながら採点します。点数70点以上からでないと申請できません。 

出典:ポイント採点表 

また、申請には2つの経路があります。1つは新規で高度専門職の在留資格を申請する場合、もう1つは他の在留資格から高度専門職の在留資格に切り替える場合です。どちらの場合でも、フローは同じです。 

ステップ1:書類準備 

海外在住者が高度人材として入国したい場合は、【在留資格認定証明書交付申請書】を準備します。一方、日本国内在住者で、他の在留資格を持っており高度人材に切り替えたい場合は、【在留資格変更許可申請書】を準備しなければなりません。また、既に高度人材として働いている国内在住者が在留期間を更新したい場合は、【在留期間更新許可申請】の準備も必要です。 

どちらの申請書も、出入国管理局のホームページにフォーマットがあるため、事前に確認することができます。 

ステップ2:書類提出 

国内の場合、上記の申請書と写真(縦4cm×横3cm)を持参して、近くの出入国管理局の窓口に提出します。海外の場合は、現地の日本大使館で提出する必要がありますので、間違いがないように注意してください。 

ステップ3:書類審査  

提出した書類に基づいて審査が行われます。書類審査の合否判断基準は、上記のポイント計算書から確認できます。 

ステップ4:結果通知  

合否にかかわらず、申請結果は必ず通知されます。国内の場合は、郵送で通知が送られます。その通知を、書類を提出した出入国管理局に持参すると結果が伝えられます。海外の場合も同様ですが、郵便が流通していない国では、郵送ではなくメールや電話で結果が通知されることもあります。 

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まとめ:安定した雇用を叶える制度

労働人口の減少が叫ばれる日本において、もはや外国人の雇用は欠かせないものとなりつつあります。そんな中、海外の優秀な人材が日本で働きやすい環境を作るため、様々な制度が見直されています。

今回ご紹介した高度人材制度は、永住権を取得できる期間が短縮されます。そのため雇用した外国人が帰国するリスクが減り、長く安定した雇用ができる ため、採用計画を立てやすくなります。外国人の雇用をお考えの企業は、この制度に当てはまる人材か、ぜひ確認してみてください。

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