中途採用の母集団形成とは?手法10選と進め方|20〜30代1,101人調査でわかった「転職希望者がいる場所」を解説
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2026/09/25
この記事でわかること
- 中途採用における母集団形成の手法とそれぞれの費用
- 独自調査から分かった中途採用における狙うべき層
- 中途採用における母集団形成の具体的な進め方
求人を出しても応募が集まらない。経験者に絞るほど候補者は減り、条件を上げても競合に競り負ける。中途採用の担当者なら、一度はこの状況に向き合ったことがあるはずです。
母集団形成の手法を並べて比べることも欠かせませんが、それだけでは足りません。いま採用市場で動こうとしているのは誰なのか、その人たちは何に迷っているのか。この問いに答えられると、手法の選び方も求人原稿の書き方も変わります。
ここでは、中途採用の母集団形成の基本と手法10選、進め方を整理したうえで、株式会社ウィルオブ・ワークが20〜39歳の1,101名に行った独自調査から、転職希望人材がどこにいて、何に背中を押され、何に足を止めているのかを紹介します。

中途採用の母集団形成とは
母集団形成とは、自社の求人に興味を持ち、応募や選考に進む可能性のある候補者の集まりをつくる活動のことです。採用活動の入口にあたり、ここで集まった人数と顔ぶれが、その後の選考や入社の結果をほぼ決めます。
母集団形成の意味と、新卒採用との違い
新卒採用では、学生が一斉に就職活動を始め、企業は説明会やインターンシップで同じ時期に接点をつくります。母集団形成の時期と方法がある程度決まっているため、計画も立てやすい採用です。
中途採用はこの前提が通じません。転職を考える時期は人によってばらばらで、在職中のまま情報を集めている人も少なくありません。募集を出した瞬間に市場にいる人しか応募しないため、欠員が出てから慌てて求人を出すと、母集団が小さいまま選考に入ることになります。
もう一つの違いは、評価の軸です。新卒採用が将来性やポテンシャルを見るのに対し、中途採用は経験やスキルを見て採ることが多くなります。ただし、経験を条件にするほど対象者は狭まります。後半で詳しく触れますが、現場職の採用では未経験者をどう母集団に入れるかが成果を分けるようになっています。
母集団は「量」と「質」の2つで考える
母集団形成というと応募数を増やすことに目が向きがちですが、数だけを追うと選考の負担が増え、採用単価も上がります。見るべきは次の2つです。
- 量:応募者や候補者の総数
- 質:そのうち自社の必須要件を満たし、入社後に活躍・定着しそうな人の割合
量が足りない場合は、求人の露出を増やす、手法を追加する、応募条件を見直すといった打ち手が中心になります。質が足りない場合は、ペルソナの設定や求人原稿の表現を見直し、合わない人の応募を減らすことも必要です。どちらが不足しているのかを先に見極めると、打ち手を選び間違えずに済みます。
中途採用で母集団が集まりにくい3つの理由
中途採用の応募が集まらない原因は、手法の問題だけではありません。つまずきやすいのは次の3点です。
経験者だけを狙うと、競合と同じ人材を奪い合う
同業種での経験者は、どの企業にとっても採りたい人材です。条件を経験者に絞ると、同じ求人サイトの同じ検索条件の中で、給与や休日を比べられる競争に入ります。資金力のある大手と条件だけで戦うのは、中堅企業には不利な勝負です。
加えて、経験者は在職中であることが多く、今の職場に大きな不満がなければ動きません。母集団を広げる余地は、経験者の中よりも、異業種から新しい仕事に挑戦しようとしている層にあります。
求職者の不安に求人が答えていない
未経験者や異業種からの転職者は、興味はあっても応募の直前でためらいます。自分にできるのか、体力は続くのか、給与はどうなるのか。こうした不安に求人票が何も答えていなければ、応募ボタンは押されません。
未経験歓迎と一言書いてあっても、研修の中身や最初の1か月の過ごし方が見えなければ、不安は解消されません。どんな不安が大きいのかは、後半の独自調査で具体的な数字を紹介します。
手法が増え、選び方と組み合わせで成果が分かれる
求人広告、求人検索エンジン、人材紹介、ダイレクトリクルーティング、SNS、リファラル採用と、中途採用の手法はここ10年ほどで大きく増えました。選択肢が増えたぶん、自社の募集職種に合わない手法に予算をかけてしまうケースも起こりやすくなっています。
手法ごとに届く層は違います。経験者に強い手法を未経験者向けの募集に使っても、母集団は広がりません。誰に届けたいかを先に決め、その層がいる場所に合わせて組み合わせることが、成果の差になります。
中途採用で母集団形成に取り組むメリット
母集団形成を計画的に行うと、採用の結果が安定するだけでなく、採用担当者の負担やコストの見通しも立てやすくなります。
採用計画を前倒しで立てられる
欠員が出るたびに求人を出す採用では、候補者が集まるまで現場は人手不足のまま待つことになります。母集団形成を継続的に行い、候補者との接点を持ち続けておくと、欠員が出たときに早く選考に入れます。
いつまでに何人必要かから逆算して動けるため、繁忙期の前に人員を揃えるといった計画的な採用に切り替えられます。
採用単価を管理しやすくなる
どの手法から何人応募があり、何人が入社したかを追っていくと、手法ごとの採用単価が見えてきます。成果の出ている手法に予算を寄せ、出ていない手法を止める判断ができるようになります。
母集団が小さい状態で採用を急ぐと、成功報酬の高い手法に頼らざるを得なくなり、結果として採用単価が上がります。母集団を自社でコントロールできる状態にしておくこと自体が、コストの管理につながります。
入社後のミスマッチを減らせる
候補者の数に余裕があれば、要件に合わない人を無理に採用する必要がありません。仕事内容や職場の実態を丁寧に伝えたうえで選考できるため、入社後に想像と違ったという理由の早期離職を減らせます。
ミスマッチが減れば、採用をやり直すコストと、現場が新人の教育に使う時間の両方が抑えられます。
【独自調査】未経験の中途人材はどこにいるのか
ここからは、株式会社ウィルオブ・ワークが実施した調査から、母集団形成に関わる結果を紹介します。調査の概要は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 調査名 | AI時代の仕事の選び方に関する調査 |
| 調査対象 | 全国の20〜39歳の男女 |
| 有効回答数 | 1,101名(男性551名、女性550名) |
| 調査方法 | インターネットリサーチ |
| 調査時期 | 2026年9月 |
| 調査主体 | 株式会社ウィルオブ・ワーク |
この調査では、就業者890名に、AIによって自分の仕事が代替されることへの不安を尋ねました。不安を感じる(非常に不安を感じる、やや不安を感じる)と答えた人は58.8%で、就業者の約6割にあたります(株式会社ウィルオブ・ワーク調べ)。以下では、この523名をAI不安層、あまり不安を感じない・まったく不安を感じないと答えた367名を非不安層と呼びます。現在仕事をしていない211名はこの設問を聞いていないため、どちらにも含みません。なお、設問はいずれも複数回答のため、合計は100%になりません。
AIに不安を感じる人ほど、未経験の仕事に挑戦したい(「特にない」25.8%と65.7%)
今後挑戦してみたい仕事を尋ねたところ、特にないと答えた人は、AI不安層で25.8%、非不安層で65.7%でした。差は39.9ポイントあります(株式会社ウィルオブ・ワーク調べ)。
AI不安層の4人に3人は、何らかの職種に挑戦する意向を持っています。一方で非不安層は、3人に2人が特に挑戦したい仕事はないと答えています。AIへの不安は人を立ちすくませるのではなく、新しい仕事へ動かすきっかけになっていると読めます。
採用担当者にとって、この結果は母集団の探し方を変える材料になります。今の仕事に満足して動かない経験者を追うよりも、自分の仕事の先行きに不安を感じ、別の仕事を探し始めている人に届くほうが、応募につながる可能性は高いからです。
挑戦先は接客・サービス27.9%、ホテル・宿泊18.4%、飲食・調理17.8%
では、AI不安層はどの仕事に挑戦したいのか。上位は次のとおりです(株式会社ウィルオブ・ワーク調べ、カッコ内は非不安層)。
- 接客・サービス:27.9%(8.2%)
- ホテル・宿泊:18.4%(5.2%)
- 飲食・調理:17.8%(2.2%)
- 販売:11.9%(5.7%)
- 保育:10.9%(2.5%)
- 介護:9.2%(1.6%)
- 建設:7.8%(1.4%)
上記の職種はいずれも、AI不安層と非不安層の差が統計的に有意でした。反対に、製造・工場、倉庫・軽作業、配送・物流、営業、清掃では、両者の間に有意な差はありませんでした。
挑戦先として挙がったのは、人と直接関わり、現場で状況に応じた判断が求められる仕事です。そしてこの多くは、人手不足が続いている職種と重なります。接客、宿泊、飲食、介護の採用担当者にとって、AI不安層は最も届けるべき母集団の一つと言えます。
AI不安が高いのはオフィス職、低いのは現場職
AIへの不安は、職種によって大きな偏りがありました。現在の職種別に不安を感じる人の割合を見ると、IT・エンジニアが74.8%(n=107)、事務・管理が67.4%(n=184)、営業が64.6%(n=82)と高い水準です。一方、製造・工場は42.6%(n=94)、接客・サービスは44.1%(n=68)にとどまりました(株式会社ウィルオブ・ワーク調べ)。
AIに仕事を奪われるのは現場の仕事だ、という語られ方をよく耳にしますが、当事者の実感は逆でした。不安が高いのはデスクワーク職で、現場職ほど低くなっています。
ここで注意したいのは、今回の調査では、現在の職種と挑戦したい職種の組み合わせまでは集計していない点です。そのため、オフィス職の人が接客に挑戦したがっている、とまでは言えません。確かなのは、AI不安はオフィス職に多いこと、そしてAI不安層ほど現場職への挑戦意向が高いことの2点です。母集団形成の仮説としては、異業種、とくにオフィスワークからの転職者を視野に入れる根拠になります。
動きたい層を止めているのは「未経験」43.4%と「体力」33.0%
挑戦意向があっても、応募に至るまでには壁があります。挙げた仕事を自分では選ばない、または迷う理由を尋ねると、AI不安層で多かったのは次の項目でした(株式会社ウィルオブ・ワーク調べ、カッコ内は非不安層。この設問のみ回答者数が異なり、AI不安層463名、非不安層237名)。
- 未経験でもできるか不安:43.4%(25.7%)
- 体力面が不安:33.0%(20.3%)
- 給与・待遇が気になる:32.0%(24.1%)
- キャリアアップのイメージがない:16.0%(6.8%)
AI不安層は動く気がある一方で、未経験でできるのか、体力が続くのかという具体的な障壁に直面しています。興味はあるのに入口が見えていない状態です。
転職や仕事選びで不安に感じることを尋ねた設問でも、AI不安層では、将来性のある仕事が分からないが39.2%、自分の経験・スキルが他の仕事でも通用するか分からないが32.5%、未経験の仕事に挑戦できるか不安が31.7%でした(株式会社ウィルオブ・ワーク調べ)。これまでの経験が次の職場で役に立つのかを知りたい、というニーズが読み取れます。
求職者は条件より仕事の中身で選んでいる(人と直接関われる29.6%)
仕事を選ぶ際に重視したいことを見ると、AI不安層と非不安層では選び方がはっきり異なります(株式会社ウィルオブ・ワーク調べ、カッコ内は非不安層)。
- 人と直接関われる:29.6%(8.7%)
- 今後も社会に必要とされ続ける:25.8%(11.7%)
- 専門的な技術・技能が身につく:24.7%(10.1%)
- 働きやすさ:17.8%(34.3%)
非不安層の上位は、働きやすさ34.3%、安定して働ける34.1%、収入33.0%でした。非不安層は条件で選び、AI不安層は仕事の中身で選んでいると言えます。
AI不安層に届けたい求人で、休日の多さや残業の少なさといった条件ばかりを並べても、反応は鈍いかもしれません。人と直接関われること、社会に必要とされ続けること、手に職がつくこと。こうした仕事の手ざわりを伝えるほうが、この層には届きます。
調査から見える、母集団形成の3つの示唆
調査結果を採用の打ち手に置き換えると、次の3点にまとまります。
- 経験者に限らず、異業種からの転職者を母集団の対象に入れる。AI不安層は現場職への挑戦意向が高く、動こうとしている層です。
- 求人原稿と選考で、未経験と体力の不安に先回りする。研修の中身、最初の業務、体力的な負担の実態を具体的に書きます。
- 条件の訴求に加えて、仕事の中身を言葉にする。人と関わる場面、社会に必要とされる理由、身につく技術を伝えます。
以降の手法選びと進め方は、この3点を前提に読み進めてください。
中途採用の母集団形成の手法10選
中途採用で使われる代表的な手法を10個紹介します。手法ごとに、届きやすい層と費用のかかり方が異なります。
求人広告・転職サイト
転職サイトや求人情報誌に求人を掲載し、応募を待つ手法です。掲載期間や掲載プランに応じて費用を支払う前払い型が中心で、応募が何件あっても費用は変わりません。
多くの求職者の目に触れるため、母集団の量を確保しやすいのが特長です。一方で、同じサイト内で他社の求人と比べられるため、原稿の内容で差がつきます。未経験者の応募を狙う場合は、未経験者向けの特集や検索条件に対応しているサイトを選ぶと効果が出やすくなります。
求人検索エンジン(Indeedなど)
Indeedや求人ボックスのように、インターネット上の求人情報を集めて検索できるサービスです。無料で掲載できるものが多く、有料オプションで表示回数を増やすこともできます。
求職者が職種名や勤務地で検索するため、職種名の付け方や仕事内容の書き方が表示のされ方に影響します。費用を抑えて母集団を広げたい企業、特に現場職を地域単位で採用したい企業に向いています。
人材紹介
人材紹介会社が、登録している求職者の中から条件に合う人を紹介する手法です。採用が決まったときに手数料を支払う成功報酬型が一般的で、手数料は採用した人の年収に応じて決まることが多い仕組みです。
候補者の選定を任せられるため、採用担当者の工数を抑えられます。経験者や専門職の採用に強い一方で、1名あたりの費用は高くなりやすく、紹介会社への依存度が高まると、自社で母集団をコントロールしにくくなる点には注意が必要です。
ダイレクトリクルーティング
企業がデータベースに登録された求職者を検索し、直接スカウトを送る手法です。求人を出して待つのではなく、企業から攻めて母集団をつくります。
転職をまだ本格的に考えていない潜在層にも接触できる点が強みです。ただし、スカウト文の作成や送信には手間がかかり、返信率を上げるには候補者一人ひとりに合わせた文面が必要になります。採用担当者の工数に余裕がある企業や、特定のスキルを持つ人を狙いたい場合に向いています。
リファラル採用
社員に知人や友人を紹介してもらう手法です。紹介者から職場の実態を聞いたうえで応募するため、入社後のミスマッチが起こりにくく、定着しやすい傾向があります。
費用は紹介した社員への報奨金程度で済むことが多いですが、社員の人脈に頼るため、大量に母集団をつくるのには向きません。紹介が自然に生まれるよう、紹介の手順と報奨の仕組みを社内に周知しておくことが前提です。
SNS採用
X(旧Twitter)、Instagram、TikTokなどで、職場の様子や社員の声を発信し、応募につなげる手法です。広告を使わなければ費用はほとんどかかりません。
仕事の雰囲気や人との関わりを写真や動画で伝えやすく、接客・サービスや飲食のように現場の空気が魅力になる仕事と相性が良い手法です。成果が出るまでには継続的な発信が必要で、すぐに応募を集めたい場合には他の手法と組み合わせます。
自社採用サイト
自社のウェブサイトに採用ページを設け、仕事内容や社員インタビュー、研修制度などを詳しく掲載する手法です。求人広告の文字数では伝えきれない情報を載せられます。
求人広告やSNSで興味を持った人が、応募前に確認する場所にもなります。未経験者の不安に答えるには、研修の流れや入社後の1日の様子を、採用サイトで詳しく見せてください。求人広告の限られた文字数では答えきれない疑問を、応募前に解消できます。
転職フェア・採用イベント
複数の企業が出展する転職フェアや、自社で開く説明会・職場見学会で、求職者と直接会う手法です。その場で質問に答えられるため、仕事への不安を解消しやすいのが特長です。
未経験者にとって、実際に働く人の話を聞けることは応募の後押しになります。出展費用や準備の手間がかかるため、採用人数が多い時期や、新店舗のオープンに合わせた集中採用で使うと、準備にかけた手間を回収しやすくなります。
ハローワーク
国が運営する公共職業安定所に求人を出す手法です。掲載は無料で、地域で仕事を探す求職者に届きやすいのが特長です。
地元で長く働ける職場を探している人や、中高年層の利用も多く、店舗や施設など勤務地が決まっている現場職の採用で成果が出やすい手法です。求人票の様式が決まっているため、限られた欄の中で仕事の中身をどれだけ具体的に書けるかが応募数を左右します。
人材派遣・紹介予定派遣
人材派遣会社から、必要な期間だけスタッフに来てもらう手法です。紹介予定派遣であれば、一定期間の派遣就業のあと、本人と企業の双方が合意すれば直接雇用に切り替えられます。
厳密には母集団形成というより人員確保の手段ですが、派遣会社が持つ登録者の母集団を活用できる点で、自社の求人だけでは届かない層に接点を持てます。急な欠員や繁忙期の増員に対応しやすく、紹介予定派遣なら働きぶりを見てから採用を判断できるため、未経験者の採用でもミスマッチを抑えられます。
手法別の比較表(費用の発生の仕方・向いている層・立ち上がりの速さ)
10の手法の特徴を、費用のかかり方、向いている層、応募が集まり始めるまでの速さで比べると次のようになります。
| 手法 | 費用の発生の仕方 | 向いている層 | 立ち上がりの速さ |
|---|---|---|---|
| 求人広告・転職サイト | 掲載料(前払い) | 顕在層全般、未経験者 | 速い |
| 求人検索エンジン | 無料またはクリック課金 | 地域の現場職、未経験者 | 速い |
| 人材紹介 | 成功報酬 | 経験者、専門職 | 中程度 |
| ダイレクトリクルーティング | 利用料または成功報酬 | 潜在層、特定スキル保有者 | 中程度 |
| リファラル採用 | 報奨金程度 | 社員の知人 | 遅い |
| SNS採用 | ほぼ無料(広告を除く) | 若年層、潜在層 | 遅い |
| 自社採用サイト | 制作・運用費 | 応募前の比較検討層 | 遅い |
| 転職フェア・採用イベント | 出展費 | 未経験者、地域の求職者 | 開催日に集中 |
| ハローワーク | 無料 | 地域の求職者、現場職 | 中程度 |
| 人材派遣・紹介予定派遣 | 就業時間に応じた派遣料金 | 急な欠員、繁忙期、未経験者 | 速い |
即効性のある手法と、時間をかけて効いてくる手法を組み合わせるのが基本です。求人広告や求人検索エンジンで当面の応募を確保しつつ、SNSや自社採用サイト、リファラル採用で中長期の母集団を育てると、欠員のたびに慌てる状態から抜け出せます。
募集タイプ別の手法の組み合わせ方
どの手法を選ぶかは、誰を採りたいかで決まります。代表的な5つの募集タイプごとに、組み合わせの考え方を紹介します。
経験者・即戦力を採りたい場合
同業種の経験者や専門スキルを持つ人を採りたい場合は、人材紹介とダイレクトリクルーティングが中心になります。経験者は在職中で転職サイトを頻繁に見ていないことも多いため、企業から接触する手法が有効です。
ただし、この層は競合も狙っているため、給与だけで比べられると不利になります。任せる仕事の裁量や、これまでの経験がどう活かせるかを具体的に伝え、条件以外の理由で選ばれる状態をつくることが必要です。
未経験・異業種からの転職者を採りたい場合
未経験者を採りたい場合は、求人広告と求人検索エンジンで露出を確保し、自社採用サイトや職場見学会で不安を解消する流れをつくります。独自調査で見たとおり、この層が気にしているのは未経験でもできるか、体力が続くか、キャリアの先が見えるかです。
求人広告には未経験歓迎と書くだけでなく、入社後の研修期間、最初に任せる業務、先輩が付く期間などを具体的に書きます。応募前に職場を見られる機会や、カジュアルな面談を用意すると、応募のハードルが下がります。
経験者向けの要件を並べたまま未経験歓迎と書いても、応募は増えません。必須要件を本当に必要なものだけに絞り込むことが、この募集タイプでは出発点になります。
接客・販売・宿泊・飲食など現場職を採りたい場合
接客や販売、宿泊、飲食の現場職は、勤務地の近さで仕事を探す人が多いため、地域名と職種名で検索される求人検索エンジンとの相性が良い職種です。職種名は社内の呼び方ではなく、求職者が検索する言葉に合わせます。
調査では、AI不安層の挑戦先として接客・サービス、ホテル・宿泊、飲食・調理が上位に挙がり、重視することの1位は人と直接関われることでした(株式会社ウィルオブ・ワーク調べ)。お客様とのやり取りの場面や、ありがとうと言われる瞬間など、人と関わる仕事の中身を伝えると、この層に届きやすくなります。店舗の様子をSNSで発信すれば、文字では伝わりにくい現場の空気も見せられます。
複数店舗を運営していて、店舗ごとに採用の手が回らない場合は、人材派遣を組み合わせて欠員を埋めつつ、直接雇用の母集団づくりを並行する方法もあります。
介護・保育などケア職を採りたい場合
調査では、介護や保育を今後も人が担う役割が大きい仕事として挙げた割合は、AI不安層と非不安層で有意な差がありませんでした(株式会社ウィルオブ・ワーク調べ)。ケア職を人の仕事と見る評価は、AIへの不安の有無にかかわらず共有されています。
一方で、挑戦したい仕事として介護を挙げた人は、AI不安層で9.2%、非不安層で1.6%、保育は10.9%と2.5%でした。評価はされているのに、実際に挑戦を考えるのは一部の層に限られています。ケア職の母集団形成は、仕事の価値を伝えることよりも、未経験から始められる入口を見せることが課題と言えます。
資格取得の支援制度、未経験者の研修の流れ、夜勤の有無や身体的な負担を減らす工夫など、始める前の不安に答える情報を、求人原稿と採用サイトで具体的に示してください。
急な欠員補充や短期間の大量採用が必要な場合
退職による急な欠員や、新店舗のオープン、繁忙期の増員など、短期間で人を揃える必要がある場合は、立ち上がりの速い手法を優先します。求人広告と求人検索エンジンで一気に露出を増やし、並行して人材派遣で当面の人員を確保するのが現実的です。
短期間の大量採用では、応募が集中して選考対応が追いつかなくなることがあります。そのため、応募への返信や面接日程の調整を誰がいつ行うかを、募集開始前に決めておく必要があります。
中途採用の母集団形成の進め方
ここからは、母集団形成を計画から効果測定まで進める手順を紹介します。
採用計画を立て、必要な母集団数を逆算する
まず、いつまでに、どの職種で、何人採用するのかを決めます。採用の目的が欠員補充なのか、事業拡大のための増員なのかによって、急ぐべき度合いと使える予算が変わります。
採用人数が決まったら、そこから必要な応募数を逆算します。選考の各段階で候補者は減っていくため、採用人数だけを見て母集団を計画すると、必ず足りなくなります。
歩留まりから応募数を逆算する計算例
選考の各段階を通過する人の割合を歩留まりと呼びます。たとえば、次のような歩留まりを仮に置いてみてください。数字は説明のための仮の値で、実際には自社の過去の採用実績から出します。
- 応募から書類選考通過:50%
- 書類選考通過から面接実施(面接に来る割合):70%
- 面接から内定:40%
- 内定から入社(内定承諾):70%
この場合、応募1名あたりの入社数は、0.5×0.7×0.4×0.7で約0.1名です。3名を採用したいなら、必要な応募数は3÷0.1で約30件になります。
過去の数字がない場合は、この計算を仮の値で始め、採用を進めながら実績に置き換えていきます。歩留まりのどこが低いかがわかると、母集団の量を増やすべきか、選考の途中の離脱を減らすべきかも判断できます。
採用ペルソナを決め、必須要件と歓迎要件を分ける
次に、採用したい人物像をペルソナとして具体的に描きます。年齢や経験年数だけでなく、今どんな仕事をしていて、なぜ転職を考えていて、仕事に何を求めているのかまで想像します。
ペルソナができたら、応募条件を必須要件と歓迎要件に分けます。必須要件は、入社時点で本当に欠かせないものだけに絞ってください。入社後の研修で身につけられるスキルを必須要件に入れていると、未経験者の応募を最初から締め出すことになります。
たとえばこんな場面を想像してみてください。接客スタッフの募集で、販売経験3年以上を必須にしていたとします。この条件を歓迎要件に移し、必須要件を人と話すことが好きな方に変えるだけで、異業種から挑戦したい人が応募できるようになります。
ターゲットに合う手法を選んで組み合わせる
ペルソナが決まったら、その人がふだん仕事を探す場所に合わせて手法を選びます。経験者なら人材紹介やダイレクトリクルーティング、未経験者なら求人広告や求人検索エンジン、潜在層ならSNSやリファラル採用というように、前の章の組み合わせ方を参考にしてください。
一つの手法に頼ると、その手法の成果が落ちたときに母集団が一気に細ります。即効性のある手法と中長期で効く手法を、少なくとも2つ以上組み合わせておくと安定します。
求人原稿で求職者の不安に先回りする
手法を選んでも、求人原稿の中身が伴わなければ応募は増えません。特に未経験者を母集団に入れたい場合は、独自調査で見た3つの不安に、原稿の中で先に答えておくことが欠かせません。求人票の具体的な書き方は、求人票の書き方を解説した記事で詳しく解説しています。
未経験への不安に答える
AI不安層が仕事を選ばない・迷う理由の1位は、未経験でもできるか不安の43.4%でした(株式会社ウィルオブ・ワーク調べ)。未経験歓迎と書くだけでは、この不安は消えません。
入社後の研修期間と内容、最初に任せる仕事、独り立ちまでの目安の期間、困ったときに相談できる人を書きます。未経験から入社した社員の割合や、その人たちの前職を載せられるなら、応募者は自分に近い人がいることを確認できます。
体力面の不安に答える
体力面が不安は、AI不安層で33.0%でした(株式会社ウィルオブ・ワーク調べ)。現場職の求人では、立ち仕事の時間、重い物を運ぶ頻度、休憩の取り方など、体への負担の実態を正直に書くことが信頼につながります。
負担を軽くする工夫があれば、それも書きます。重い物を運ぶ作業に台車を使っている、シフトの組み方で連続勤務を避けている、といった具体的な情報は、体力に自信がない人の応募の後押しになります。
キャリアのイメージを見せる
キャリアアップのイメージがないと答えた人は、AI不安層で16.0%、非不安層で6.8%でした(株式会社ウィルオブ・ワーク調べ)。割合は他の不安より小さいものの、差ははっきりしています。
入社後にどんな役割を経て、どんなスキルが身につくのかを書きます。リーダーや店長への登用の流れ、取得できる資格、実際にキャリアを積んだ社員の例などが有効です。AI不安層が重視することの上位には、専門的な技術・技能が身につくが入っていました。手に職がつくことが伝わる書き方を意識してください。
応募後の対応を速くし、選考中の離脱を防ぐ
母集団を集めても、応募後の対応が遅ければ候補者は他社に流れます。中途採用の候補者は複数の企業に同時に応募していることが多く、最初に連絡をくれた企業、面接日程を早く提示した企業に気持ちが傾きやすいからです。
応募への一次連絡は当日から翌営業日までに行う、面接の候補日を最初の連絡で複数提示する、といったルールを決めておきます。未経験者の場合は、面接の前に職場見学や短い面談を挟むと、選考途中での辞退を減らせます。
手法ごとの成果を測り、見直す
採用活動を始めたら、手法ごとに応募数、書類通過数、面接数、内定数、入社数、かかった費用を記録します。これで手法別の歩留まりと採用単価が見えるようになります。
数字を見るときは、応募数の多さだけで判断しないことが大切です。応募は多いが入社につながらない手法より、応募は少なくても入社率の高い手法のほうが、結果として採用単価が低いこともあります。四半期に一度など、見直しのタイミングを決めておくと改善が習慣になります。
母集団形成がうまくいかないときの課題別の対策
母集団形成がうまくいかない原因は、歩留まりのどこで候補者が減っているかによって異なります。代表的な4つの課題と対策を紹介します。
応募数そのものが足りない
応募数が足りない場合、まず疑うべきは、求人がそもそも求職者の目に触れているかどうかです。求人検索エンジンで自社の求人を職種名と地域名で検索し、表示されるかを確認してください。表示されていなければ、職種名の付け方や掲載先を見直します。
表示されているのに応募がない場合は、応募条件が厳しすぎるか、原稿の内容で他社に負けています。必須要件を絞り、未経験者も対象に入れられないかを検討します。独自調査のとおり、AI不安層は挑戦意向が高い一方で、未経験と体力の不安で足を止めています。この2つに答える情報を加えるだけでも、応募の反応は変わります。
応募はあるが要件に合う人がいない
応募はあるのに、要件に合う人が少ない場合は、求人原稿で伝えている人物像がぼやけている可能性があります。仕事内容や求める人物像が抽象的だと、合わない人も合う人も同じように応募してきます。
仕事の具体的な場面や、向いている人と向いていない人を書き分けると、応募の段階で自然に絞り込みが働きます。あわせて、必須要件が今の募集に合っているかも確認してください。要件が厳しすぎて誰も満たせない場合も、この状態に見えることがあります。
応募後の辞退・連絡途絶が多い
応募後に連絡が取れなくなる、面接に来ない、内定を辞退されるといった離脱が多い場合は、選考のスピードと、候補者の不安への対応を見直します。
最初の連絡が遅くないか、面接までの日数が空きすぎていないかを確認します。未経験者の場合は、面接の場で仕事の実態や研修の内容を丁寧に説明し、入社後のイメージを持ってもらうことが辞退の防止につながります。内定後に職場を見てもらう機会を設ければ、入社前の不安を一つずつ潰せます。
採用担当者の手が回らない
店舗や拠点が多く、採用担当者が少ない企業では、求人の作成から応募対応、面接調整まで手が回らず、母集団形成が後回しになりがちです。この場合は、業務の一部を外部に任せることも検討します。
中途採用の母集団形成に関するよくある質問
中途採用の母集団形成について、採用担当者からよく寄せられる質問にお答えします。
中途採用の母集団は何人くらい必要ですか?
採用人数と、自社の選考の歩留まりによって決まります。応募から入社までの各段階の通過率を掛け合わせ、採用人数をその値で割ると、必要な応募数が出ます。たとえば、応募1件あたりの入社数が0.1名なら、3名の採用に約30件の応募が必要です。過去の実績がない場合は仮の値で計算を始め、採用を進めながら実績に置き換えてください。
母集団形成にかかる費用の目安は?
手法によって費用のかかり方が異なります。求人広告は掲載料の前払い、人材紹介は採用決定時の成功報酬、求人検索エンジンは無料掲載とクリック課金の組み合わせが一般的です。金額は職種や地域、掲載プランで大きく変わるため、手法ごとの採用単価を自社で記録し、比べることをおすすめします。
新卒採用の母集団形成と何が違いますか?
新卒採用は学生が一斉に就職活動を始めるため、母集団形成の時期と方法がある程度決まっています。中途採用は転職を考える時期が人によって異なり、在職中の人も多いため、通年で接点を持ち続ける必要があります。評価の軸も、新卒は将来性、中途は経験やスキルが中心になります。
未経験者を母集団に加えると、質が下がりませんか?
未経験者であっても、必須要件を本当に必要なものに絞り、仕事の実態を正確に伝えたうえで選考すれば、質が下がるとは限りません。入社後に研修で身につけられるスキルと、入社時点で必要な素養を分けて考えることが前提です。紹介予定派遣のように、働きぶりを見てから直接雇用を判断できる手法を使う方法もあります。
応募が来ないとき、最初に見直すべきところは?
まず、求人が求職者の目に触れているかを確認します。求人検索エンジンで職種名と地域名を入れて検索し、自社の求人が表示されるかを見てください。表示されている場合は、応募条件の厳しさと、求人原稿が求職者の不安に答えているかを見直します。
AIに不安を感じている人に「AIに強い仕事」と訴求すべきですか?
ウィルオブ・ワークの調査では、AI不安層が仕事選びで重視することの1位は人と直接関われるの29.6%で、AIによる代替の影響を受けにくいは20.7%で6位でした(株式会社ウィルオブ・ワーク調べ)。AIに強いという訴求より、人と関わる仕事であること、手に職がつくことを具体的に伝えるほうが届きやすいと考えられます。
まとめ:経験者の奪い合いから、動こうとしている未経験層へ
中途採用の母集団形成は、応募の量と質の両方を見ながら、誰に届けるかを先に決めて手法を組み合わせる活動です。経験者だけを狙えば競合との奪い合いになり、条件の勝負から抜け出せません。
ウィルオブ・ワークの調査では、AIによる仕事の代替に不安を感じる20〜30代ほど未経験の仕事に挑戦したいと考え、その挑戦先は接客・サービス、ホテル・宿泊、飲食・調理などの現場職でした。ただ、この層は未経験でできるか、体力が続くかという不安で足を止めています。
採用計画から必要な応募数を逆算し、必須要件を絞り、求人原稿と選考で不安に先回りする。動こうとしている人の不安に答えられる企業が、これからの中途採用で母集団を広げていきます。
採用ジャーナルでは、求人票を書く・見直す採用担当者向けに、必須項目やNG表現、20〜30代に届く言葉を例文付きでまとめた求人票の書き方を解説した記事も公開しています。

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