特定技能評価試験|業種別の解説と実施状況

2024/04/16

少子高齢化により日本での労働人口の確保が難しくなっています。

それを補うため、2019年4月に「特定技能」という在留資格が新設されました。

「特定技能」に申請するには、外国人が関連する分野に関して相当程度な知識や技能と、仕事を円滑に進めるための日本語能力を有する必要があります。

そこで、それらの判断基準として「特定技能評価試験」が設けられました。

「特定技能」が設立されてから約1年の間で約18,000人もの外国人が合格しています。

彼らは3年以上の職務経歴がある人と同等以上の技能水準を持っていると認定されます。

では、どのような試験で認定されるのでしょうか。

試験の内容や実施状況、合格率から見てみましょう。

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技能評価試験

技能評価試験とは、「特定技能」を申請するために業種ごとに国が求める基準を満たしているかを確認する試験です。

技能水準と日本語能力水準を測定するための試験であり、「特定技能」を申請するためには技能評価試験に合格しなくてはなりません。

技能水準を測る試験を「技能試験」、日本語能力水準を測る試験を「日本語試験」と言い、この2つをあわせて「特定技能評価試験」と呼びます。

技能試験

技能試験は、「特定技能」に申請する外国人の技能水準を測定する試験です。

「特定技能」を取得するためには、一定以上の専門性や技能を持つことが条件となっています。

それを判断するための試験が技能評価試験です。

技能試験とは

技能試験は、特定技能外国人の技能水準を測定するために設立された試験です。

この試験に合格すると、外国人がその業界において3年以上の職務経験がある人と同等以上の技能水準を有していると認定され、「特定技能」の在留資格に申請できます。

技能試験の内容

技能試験の内容は、職種によって異なります。

試験内容は法務省や厚生労働省などの関連省庁が管轄・監督しているので、技能水準を判定するには信頼性が高いと言えます。

また、技能水準を全面的に測定するため、試験は学科と実技を設けています。

技能試験の実施状況

技能試験の実施は2019年4月から始まり、2022年12月現在、合計14万5千人ほどの合格者が出ました。

受験者数が多い5つの業界、介護業、外食業、宿泊業、飲食料品製造業、ビルクリーニング業の技能試験の実施状況を見てみましょう。

介護技能評価試験

介護分野における特定技能外国人向けの技能試験で、「介護の基本」「こころとからだのしくみ」「コミュニケーション技術」「生活支援技術」の科目から出題されます。

2019年4月から、月1回程度試験が行われています。

1回目の試験はフィリピンで実施され、それ以降はベトナムや日本国内でも開催されました。

2022年12月までの受験者数合計62589人の中、合格者は42975人、合格率は69%です。

外食業技能測定試験

外食業における特定技能外国人向けの技能試験です。「衛生管理」「飲食物調理」「接客全般」の科目から出題されます。

1回目は2019年4月において東京や大阪などの都市で実施されました。

それ以降、国内のほかの都市と、フィリピンやカンボジアやミャンマーなどの海外の国でも試験が開催されました。

2022年12月までの受験者数合計43008人の中、合格者は25385人、合格率は59%です。

宿泊業技能測定試験

宿泊業における特定技能外国人向けの技能試験です。

「フロント業務」「接客業務」「レストラン・サービス業務」「広報・企画業務」「安全衛生・その他基礎知識」の科目から出題されます。

2019年4月に東京で1回目の試験が実施されました。

2022年12月までの受験者数合計8338人の中、合格者は4161人、合格率は49%です。

飲食料品製造業特定技能1号技能測定試験

飲食料品製造業における特定技能外国人向けの技能試験です。

「食品安全・品質管理の基本的な知識」「一般衛生管理の基礎」「製造工程管理の基礎」「HACCPによる衛生管理」「労働安全性による知識」の科目から出題されます。

1回目の試験は2019年10月に東京や札幌など8つの都市で実施されました。

それ以降、国内のほかの都市とフィリピンにも試験が行われました。

2022年12月までの受験者数合計49447人の中、合格者は36246人、合格率は73%です。

ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験

ビルクリーニング分野における特定技能外国人向けの技能試験です。

2019年11月において東京と神奈川で1回目の試験が実施されました。

それ以降、ミャンマーとフィリピンでも開催されています。

2022年12月までの受験者数3372人の中、合格者は2645人、合格率は78%です。

特定技能の日本語試験

特定技能の日本語試験

「特定技能」を申請するには、技能水準だけでなく外国人の日本語水準も必要です。

日本語水準を測定する試験は国際交流基金日本語基礎テストと日本語能力試験の2つあり、決められた水準以上で合格しなくてはいけません。

また、介護分野の特定技能外国人の場合、介護日本語評価試験にも合格する必要があります。

国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)

国際交流基金日本語基礎テストとは、就労のために来日する外国人が遭遇する生活場面でのコミュニケーションに必要な日本語能力あるかどうかを測定するための試験です。

テストは文字と語彙・会話と表現・聴解・読解の4部分に構成され、結果はA1、A2、B1、B2、C1、C2の6レベルに分かれています。

「特定技能」を申請するためには、A2以上に合格することが条件です。

A2

A2の日本語能力の目安は次の通りです。

  • 基本的な個人的情報や家族情報、買い物、近所、仕事など、直接的関係がある領域に関する、よく使われる文や表現が理解できる
  • 簡単で日常的な範囲なら、身近で日常の事柄についての情報交換に応ずることができる
  • 自分の背景や身の回りの状況や、直接的な必要性のある領域の事柄を簡単な言葉で説明できる

日本語能力試験(JLPT)

「日本語能力試験(JLPT)」は日本語を母語としない人を対象に、日本語能力を測定する試験です。

結果はN1、N2、N3、N4、N5の5つにわけられており、N1が最も難しく、N5が最も簡単です。

「特定技能」を取得するためには、N4以上に合格することが条件です。

N4

N4の日本語能力の目安は次の通りです。

  • 基本的な語彙や漢字を理解できる
  • 日常生活の中で身近な話題の文章を理解できる
  • 日常的な場面で、ややゆっくりと話される会話をほぼ理解できる

介護日本語評価試験

介護分野の「特定技能」を取得するためには、上記の日本語試験に加えて、介護日本語評価試験に合格しないといけません

介護分野での勤務において日本人と接する機会が多く、求められる日本語能力が他分野より高いためです。

介護日本語評価試験の内容は介護のことば、介護の会話・声かけ、介護の文書の3つのカテゴリーがあります。

まとめ

在留資格「特定技能」は、日本の労働人口を補う目的として設立され、技能や日本語が一定水準以上求められます。

それを判定するために技能評価試験が設けられ、技能評価試験には、技能試験と日本語試験があります。

技能試験は関連する省庁の監督を受けて行われるため、信頼性が高いと言えます。

試験は、学科試験と実技試験の2つに分かれており両方合格しなければなりません。

また、「特定技能」の取得には仕事に必要な日本語能力も求められるので、 特定技能外国人が国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)もしくは日本語能力試験(JLPT)を取得も必要です。

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