技能実習生の失踪の実態やその後の対応方法とは?
- 外国人採用タイムズ
- 投稿
2024/05/15
失踪の実態
近年、国内における人材不足が深刻化し、技能実習生を積極的に受け入れる企業が増えています。
同時に技能実習生の受け入れ人数に比例して技能実習生の失踪が年々増加しており、大変問題になっています。
【技能実習生の失踪率】
出典:法務省 技能実習制度における失踪問題への対応について
失踪後の受け入れ企業と監理団体の対応
もしも技能実習生が失踪してしまった場合、受入れ企業・監理団体は必要書類の提出や、警察への相談など行うべき対応があります。
ここでは技能実習生の失踪が起こってしまった場合に必要な対応をご紹介します。
1. 監理団体に報告
まずは技能実習生を受け入れに使用している監理団体へ報告が必要です。
そこから監理団体・送り出し機関・受入れ企業の3者間で捜索します。
2. 警察に相談
失踪した技能実習生が事件に巻き込まれている可能性も十分にあるので、警察へ捜索願の提出を行う必要があります。
3. 外国人技能実習機構に「技能実習実施困難時 届出書」を提出
監理団体から外国人技能実習機構へ「技能実習実施困難時 届出書」を提出します。
「技能実習実施困難時 届出書」にて失踪についての詳細を技能実習機構へ報告します。
提出後は、「技能実習実施困難時 届出書」に記載された理由と、監理団体の監査記録を比較し、記載された理由が正当か否かを外国人技能実習機構が判断します。
その理由が正当な理由だと判断された後に、失踪した技能実習生が警察に捕まり、新たな理由が明らかになった場合は、この新たな理由が正当か否か再度判断されます。
※提出後に技能実習生が企業に戻って来た場合は、技能実習機構の判断で実習継続が可能になるケースがあります。
4. 退職手続きを行う
社会保険・雇用保険の資格喪失手続きをする必要があります。
5. 給与の支払い
受入れ企業は技能実習生が失踪前に就業した分の給与は給料日に支払うことが求められます。
支払わなければ「給与の未払い」扱いになるため注意が必要です。
失踪後の就業していない期間の給与は当然支払う義務はありません。
失踪による優良認定要件の減点
法務省は「優良な実習実施者(受け入れ企業)及び管理団体の要件」を定めており、要件を満たし、優良認定を受けられた場合、主に下記の3点のようなメリットがあります。
- 技能実習3号の受け入れが可能になる
- 技能実習期間の延長が可能になる(技能実習3号で5年の受け入れ可能)
- 実習生の受け入れ人数が拡大できる
※優良認定には120点満点中66点以上の点数を獲得することが求められます。
しかし、技能実習生の失踪が起こってしまった場合、減点対象になり優良認定を受けられなくなる可能性があります。
出典:法務省 新たな外国人技能実習制度について
優良認定の減点は技能実習生の失踪が起こると必ず減点されるわけではなく、ポイントがあります。
【ポイント:失踪の原因によって減点対象になるか否かが判断される】
実習実施者(受け入れ企業)、監理団体の優良要件の共通部分である、「直近過去3年以内に責めによるべき失踪があること(旧制度を含む。)」に記載されています。
(実習実施者の要件では④Ⅲに記載、監理団体の要件では③Ⅲに記載されています)
責めによるべき失踪とは、失踪の原因が実習実施者(受け入れ企業)と監理団体にある場合の失踪を指します。(例:給料の未払い、不適切な監査等)この場合は、「-50点の減点対象である」と技能実習機構に判断されます。
技能実習生がSNS上で不法就労者とつながり失踪した、など技能実習生本人の意向により失踪が起こった場合、減点対象にならない可能性もありますが、その様な場合でも減点対象か否かの判断は技能実習機構が行います。
まとめ
技能実習制度において、失踪を起こさせないことが大前提ですが、万が一失踪が起こってしまった場合は適切な対応を迅速に行う必要があります。
技能実習生の失踪を防ぐためにも受入れ企業、監理団体ともに適切な管理等が求められます。
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