日本にいる外国人留学生を新卒採用する注意点

2024/04/16

労働人口が徐々に減っている日本では、若い人材の確保が重要となってくるでしょう。留学生の新卒採用は若い人材を確保する1つの方法と言えます。

その場合は、「留学」という在留資格から「技術・人文知識・国際業務」のような就労ビザと言われる在留資格に切り替えないといけません。その際の、手続きと注意点について解説します。

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外国人留学生の就職現状

2008年に国が「30万人留学生計画」を公表してから、日本に来る留学生が毎年増加していました。しかし、卒業後日本で働く留学生がどれくらいいるでしょうか。

入国管理局の「平成30年における留学生の日本企業等への就職状況について」の報告によると、2018年に在留資格「留学」と「特定活動(就職活動)」から、就労ビザへの「在留資格変更許可」の申請数は3.1万人でした。そのうちに許可されたのは2.6万人で、許可率は84%ほどです。

2017年に比べると、申請数が10%ほど増えていて、許可率も4%ほど高くなってきました。

就労ビザを取得した人の在留資格は、技術者やホワイトカラーとして勤務できる「技術・人文知識・国際業務」となっており、全体の9割以上を占める2.4万人になっています。平成28年度の数値をもとに、詳しく見てみましょう。

新卒留学生が就く業種

業種別でみてみると、2018年に製造業が全体の18%、非製造業が82%を占めています。

非製造業で特に多いのはIT関連と貿易関連で、それぞれ約10%ほどしめています。

新卒留学生の職務内容

職務内容では翻訳・通訳に従事するが人が多く、全体の24%を占めています。次の多いのは販売・営業で、14%ほどになります。

新卒留学生の月給

全体の83%は、月給25万円未満となっています。そのうち、月給20万円未満の人は33%です。

また産労総合研究所の研究によると、日本人の2019年大卒の平均初任給は月20~22万となっており、外国人留学生を新卒で雇う場合とあまり変わりはないようです。

新卒留学生を雇用する企業の規模

従業員数が50人未満の小規模企業が約37%、従業員数100人以上の企業が48%となっています。企業の規模に関係なく、幅広く採用しているようです。

新卒留学生を雇用する際の注意点

新卒留学生を雇用する場合、注意すべき点がいくつあります。

それらを知らないまま内定を出し、結局働くことができないとなると採用コストを無駄にしてしまいます。そうならないために、事前にしっかりと予習しておきましょう。

在留カードを確認

「在留カード」は、入国管理局が、中長期滞在の外国人に渡す身分証明書です。日本でできる活動内容や在留期限が記載されています。

在留期限が切れている留学生は「不法滞在」となり、雇用しても就労ビザを取得できない可能性が高いですので、充分注意してください。

留学生の学歴と専攻を確認

新卒として留学生を雇用する場合、大卒、もしくは専門学校卒の学歴が必須となります。

また、学校での専攻と従事する業務への関連性も大切となります。例えば、システムエンジニア(SE)として採用する場合、IT関連の学位が必要となります。もしなければ、就労ビザをおりない可能性があります。

日本人と同額以上の給与

外国人を雇う場合は、日本人と同額以上の給与が必要となります。「外国人だから安く雇うことができる」というのは大きな間違いです。

外国人が日本で働くことができるのは、外国人の専門性やスキルを活かして日本に貢献するためということを認識しましょう。

在留資格の変更手続き

在留資格の変更手続き

留学生の新卒採用が決まったあとは、就労できる在留資格に変更しないといけません。変更の手続きを行う人は誰か、またそれをいつまでに行えば良いのかを確認しましょう。

くわしくはこちらの記事を:就労ビザの申請の流れや注意点をチェック

在留資格変更の申請者

在留資格の変更申請は、以下の2種類の人に決められています。

  1. 申請人本人。つまり、日本で滞在したい外国人本人。
  2. 取次者。申請人から依頼を受けた人。例えば、外国人の学校の職員や行政書士や外国人の管理団体です。

また、申請人本人が16歳未満の場合、法定代理人が代わりに申請することも可能です。ただ、新卒採用の場合は16歳未満の可能性が低いでしょう。

一般的に、在留資格の変更申請は、申請人本人か行政書士が行うことが多いです。

在留資格変更申請の時期

在留資格の変更の審査は、大体1ヶ月ほどかかります。ただし、時期によっては2ヶ月程度かかる場合もあるので余裕をもって申請しましょう

例えば、入社日を4月1日にする場合、4月1日までに在留資格の変更の手続きをすべて完了しないといけません。そのため、1月末くらいまでに申請を完了すれば間に合う可能性が高いです。

また、提出資料に不備があった際は、通常よりも確認や再提出などに時間がかかる場合があります。書類を事前にしっかりと確認することがおすすめです。

まとめ

外国人留学生を新卒として雇用する場合の手続きと注意点を理解できましたでしょうか。前提として留学生を新卒として採用する場合、在留資格の変更を申請しないといけません。

また、外国人が大学・専門学校での専攻が職務内容とのかかわりが少ないと、申請が却下される可能性が高くなります。また、審査が2ヶ月ほどかかる場合もありますので、入社に間に合うように申請を提出する必要があります。

余裕を持って在留資格の変更手続きを行うのがおすすめです。

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