外国人の雇用後に必要な届出とは?

外国人を雇用する場合、日本人の雇用の際には必要のない申請や届出の必要なものがいくつか存在します。
提出期限が決められており、雇用が決定した時点で早急に対応しなければならないものもあるため、注意が必要です。
今回は、各届出に関して解説していきます。

事業主の外国人雇用状況の届出義務

外国人人材の雇用・退職の際には その氏名や、在留資格、在留期間などについてハローワークへ外国人雇用状況の届出を行う必要があります。届出の義務を怠ると30万円以下の罰金の対象になるので必ず忘れずに行うようにしましょう。

【届出が必要になる対象者】

日本の国籍を有しない在留資格「外交」「公用」以外の方
「特別永住者」(在日韓国・朝鮮人等)の方は、特別の法的地位が与えられており、日本における活動に制限がありません。このため、特別永住者の方は、外国人雇用状況の届出制度の対象外とされておりますので、確認・届出の必要はありません。

【届出の方法】

外国人雇用状況の届出方法については、届出の対象となる外国人が雇用保険の被保険者となるかによって、使用する様式や届出先となるハローワーク、届出の提出期限が異なります。

【雇用保険の被保険者となる外国人について届け出る場合(雇用保険被保険者資格取得届)】

届出事項 ・氏名 ・在留資格 ・在留期間 ・生年月日 ・性別 ・国籍、地域 ・資格外活動許可の有無 ・雇入れに係る事業所の名称および所在地など、取得届けに記載が必要な事項
届出方法 『17』~『22』欄に「国籍・地域」や「在留資格」などを記入し、ハローワークに提出することによって、外国人雇用状況の雇入れの届出を行なったことになります
届出先 雇用保険の適用を受けている事業所を管轄するハローワーク(公共職業安定所)
提出期限 翌月10日まで

【雇用保険の被保険者となる外国人について届け出る場合(雇用保険被保険者資格喪失届)】

届出事項 ・氏名 ・在留資格 ・在留期間 ・生年月日 ・性別 ・国籍、地域 ・離職に係る事業所の名称および所在地など、喪失届けに記載が必要な事項
届出方法 表面の「住所(被保険者の住所または居所)」欄のほか、裏面の『14』~『18』欄に「国籍・地域」や「在留資格」などを記入し、ハローワークに提出することによって、外国人雇用状況の離職の届出を行なったことになります
届出先 雇用保険の適用を受けている事業所を管轄するハローワーク(公共職業安定所)
提出期限 翌日から10日以内

【雇用保険の被保険者とならない外国人について届け出る場合】

届出事項 ・氏名 ・在留資格 ・在留期間 ・生年月日 ・性別 ・国籍、地域 ・資格外活動許可の有無(雇入の時のみ)・雇入れまたは離職年月日 ・雇入れまたは離職に係る事業所の名称、所在地等
届出方法 外国人雇用状況届出書に、上記「届出事項」を記載し届け出てください
届出先 当該外国人が勤務する事業所施設の住所を管轄するハローワーク
提出期限 雇入れ、離職の場合ともに翌月の末日まで

出典:厚生労働省 都道府県労働局ハローワーク「外国人雇用はルールを守って適正に」

技能実習生を受け入れた場合

初めて技能実習生の受け入れを行った場合の1回のみ提出が必要です。
すでに実習実施者届出の受理書を外国人技能実習機構から受け取り済みの場合、提出は不要です。
技能実習開始後すぐに、外国人技能実習機構の地方事務所・支所の認定課へ提出します。

出典:技能実習機構「実習実施者届出書」

中長期在留者に係る届出義務

外国人が日本に中長期滞在中、守らなくてはならない義務がいくつかあります。
代表的なものには以下があります。

1.在留資格の適正な管理(認定・変更・更新・再入国許可・資格外活動許可など)
2.在留カードの管理(携帯・提示・更新(永住者・高度専門職2号対象)など)
3.各種変更の届出(住居地・所属機関・配偶者・その他在留カード記載項目)

※1と2の届出は入社時に行う申請なので、忘れずに届出を行っている外国人の方がほとんどですが、3の各種変更の届出に関しては変更があった際に届出を忘れてしまうことが多いので注意が必要です。

【届出対象者】
届出が義務付けられている中長期在留者とは、以下のいずれにも当てはまらない在留外国人の方を指します。

1.「3ヶ月」以下の在留期間が決定された人
2.「短期滞在」の在留資格が決定された人
3.「外交」又は「公用」の在留資格が決定された人
4. 1から3の外国人に準じるものとして法務省令で定める人 (※1)
5.特別永住者
6.在留資格を有しない人
(※1) 「特定活動」の在留資格が決定された,台湾日本関係協会の本邦の事務所(台北駐日経済文化代表処等)若しくは駐日パレスチナ総代表部の職員又はその家族の方

中長期在留者の届出は本人から提出しなければならないものと、所属機関から提出しなければならないものがあり、いずれも漏れがないように提出する必要があります。
所属機関から提出するものに関しては「事業主の外国人雇用状況の届出義務」で解説させていただいたのでここでは外国人本人から提出しなければならない届出について解説いたします。

【中長期在留者本人による届出】
中長期在留者本人が届出義務のある変更には、在留資格により以下があります。

■所属(契約)機関に関する届出 ※事由が生じた日から14日以内
契約機関の名称若しくは所在地の変更若しくはその消滅又は契約機関との契約の終了若しくは新たな契約の締結があった高度専門職1号イ又はロ,高度専門職2号(イ又はロ),研究,技術・人文知識・国際業務,介護,興行(所属機関との契約に基づいて活動に従事する者に限る。),技能又は特定技能の在留資格を有する中長期在留者

出典:出入国在留管理庁「所属(契約)機関に関する届出」

■所属(活動)機関に関する届出 ※事由が生じた日から14日以内
活動機関の名称若しくは所在地の変更若しくはその消滅又は活動機関からの離脱,移籍があった教授,高度専門職1号ハ,高度専門職2号(ハ),経営・管理,法律・会計業務,医療,教育,企業内転勤,技能実習,留学又は研修の在留資格を有する中長期在留者

出典:出入国在留管理庁「所属(活動)機関に関する届出」

1:住居地の変更・・・・・・・住居地の市区町役所
・転出届:引っ越し前(転出元)の地方自治体に、住居変更の14日前から変更後の14日以内に
・転出元:引っ越し後(転入先)の地方自治体に、住居変更後の14日以内に
2:所属機関の変更・・・・・・・地方出入国在留管理局
3:配偶者との離婚または死別・・・・・地方出入国在留管理局
4:在留カード記載事項の変更・・・・・地方出入国在留管理局
これらに変更があった場合、変更後14日以内に、住所地を管轄する地方出入国在留管理局またはその出張所に変更を届出なければなりません。

まとめ

提出義務のある届出は万が一、不備などで再提出しなければならない場合も見越して、期限内に確実に提出できるよう早めに準備を行いましょう。

また、企業側で用意する届出だけでなく、雇用している外国人から提出しなくてはならない届出に関しても提出漏れや不備があった場合、雇用を取り消さざるを得なくなることもあるので、本人が間違いなく申請しているかどうか、受け入れ企業としてしっかりと確認を行うことをおすすめします。

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