技能実習制度における技能検定の準備と対策
- 外国人採用タイムズ
- 投稿
2024/05/15
技能検定とは
技能検定とは、技能実習制度において技能実習生が修得した技能等についての認定に活用されるものとして実施されている検定です。
技能実習制度では技能実習の目標として、該当する職種に関する技能検定に合格することを掲げており、必ず技能検定を受検しなくてはなりません。
また、技能検定は在留期間が終了するまでに合格する必要があり、不合格だった場合の再検定は1度しか受検することができません。
技能検定試験までの準備とスケジュール
技能検定試験の準備
まず実習内容は、技能検定合格のために必要な技能が修得できるものである必要があります。過去の試験問題を参考に、どのような技能検定が行われるかあらかじめ確認し、技能実習計画を作成しなくてはなりません。
また、都道府県によっては、一部の職種について技能検定を実施しない場合があるため、技能実習を実施する都道府県の技能検定実施計画についても事前に確認が必要です。
※都道府県によっては技能検定委員の準備が必要です
技能検定委員は公平性を保つ観点から、実習実施者や監理団体職員は不可となります。
OB・OGの方、子会社、グループ会社に所属する方、親族が経営する企業に所属されている方も不可となります。
技能検定試験スケジュール
技能実習の次の段階への移行の有無に関わらず、以下の技能検定の受検が必要です。※一部例外あり
- 技能実習1号修了までに「基礎級」技能検定(実技と学科試験)
- 技能実習2号修了までに「随時3級」技能検定(実技試験)
- 技能実習3号修了までに「随時2級」技能検定(実技試験)
受検申請から合格証書交付までの流れ
1.技能検定試験の各都道府県実施状況を確認する
各都道府県で受け入れ職種での試験が実施されているかどうかと、試験の日程の確認、調整を行います。
※実習実施の都道府県で試験が実施されていない場合は、お近くの都道府県での受講になります。
2.外国人技能実習機構へ受検手続き支援を申し込む
外国人技能実習機構(OTIT)では、技能実習生が、技能検定を適切に受検し、次の段階スムーズに移行できるよう、受検手続きの支援を行っています。監理団体(企業単独型技能実習の場合は実習実施者) からの申請で、試験実施機関に取り次ぐことで、試験実施に関する日程調整などが円滑になるように調整します。また、試験実施機関からの合否結果を迅速に把握することで、技能実習計画認定の審査への円滑な反映などにつなげています。 受検申請に当たって、監理団体または実習実施者は、外国人技能実習機構(OTIT)が提供する「受検手続支援サイト」で、期限内に必ず申請が必要です。
【必要書類】
- 受検申請書
- 写真
- パスポートの写し(顔写真部分を明瞭にコピーしたもの)
- 在留カードの写し(両面を明瞭に拡大コピーしたもの)
- 技能検定合格証書の写し
- 基礎級 ⇒ 不要
- 随時3級 ⇒ 基礎級合格証書の写し
- 随時2級 ⇒ 随時3級合格証書または一部合格通知の写し
※確実に受検できるよう、試験実施日の30日前までには、すべて揃えておきましょう。
【申し込み期限】
- 技能実習1号は、技能実習計画の認定を受けたら速やかに、遅くとも実習が修了する6か月前までに申し込み。
- 技能実習2号と3号は、技能実習計画の認定を受けたら速やかに遅くとも実習が修了する12か月前までに申し込み。
3.試験実施
それぞれの職種に応じた筆記試験や実技試験を実施します。
合格に向けたポイント
合格基準は100点を満点として、原則として実技試験は60点以上、学科試験は基礎級60%以上・随時級65%以上です。
基本的に「基礎級」は“合格させるための試験”と言われてはいるものの、再検定でも不合格となってしまい、帰国せざるを得なくなった実習生も少なからず生じています。
日本語理解が不十分なために、学科試験の問題が理解できず不合格となってしまうケースもあるため、日本語習得のために、年に2回(7月、12月)実施される日本語能力試験(N4)の受検を促すなど実習実施者側での努力も求められます。
技能実習評価試験基準について
厚生労働省のHPに対象職種ごとの審査基準、試験基準が一覧で掲載されていますので、こちらで学科試験・実技試験に必要な項目を確認し、試験合格に向けての対策の参考にしてみてください。
厚生労働省『技能実習計画審査基準・技能実習実施計画書モデル例・技能実習評価試験 試験基準』
過去問題の閲覧について
中央職業能力開発協会のHPにて過去の問題を職種ごとに掲載されています。
出題の傾向などの参考にご覧ください。
4.合格証書の交付
学科試験・実技試験共に合格すれば、合格証書が交付されます。
技能検定を受検するために、各職種の検定内容に合った技能実習の実施と、 検定試験のための準備とスケジュール管理が必要になります。
もし受検手続きが遅れ、試験日が在留期間終了の直前となってしまった場合、その試験で合格できなければ再検定を受けることができません。また、在留期限内に試験日が確保できず、そもそも受検できなくなる恐れがあるので注意が必要です。
追試受検をする場合なども考慮し、遅くても在留期限の6ヶ月前までには受検することをおすすめします。
特に実技試験は、試験の実施にあたり、機材の準備、試験会場の確保など、一定の時間が必要になるため余裕を持って受検申請と準備をすすめましょう。
まとめ
技能実習生の受け入れには企業自身が直接技能実習生の受け入れを行う「企業単独型」と「監理団体」を通して受け入れを行う「団体監理型」がありますが、どちらで技能実習生を受け入れる際にも技能検定についての知識は必ず持っておかなくてはいけません。
十分な理解と準備をすることで期限内に受検できないなどのトラブルを防ぐことができます。
また、はじめての技能実習生受け入れで試験について疑問などがあれば、各都道府県の都道府県職業能力開発協会に相談するのもいいかと思います。