技能実習制度は2027年に終了へ|育成就労制度から特定技能へ移行する流れを分かりやすく解説 

2026/03/06

技能実習制度は2027年に終了へ|育成就労制度から特定技能へ移行する流れを分かりやすく解説

この記事でわかること

  • 育成就労制度の全体像と開始時期について
  • 育成就労から特定技能への移行要件と注意点
  • 現在の技能実習制度の移行処置について

技能実習制度は廃止され、2027年4月から「育成就労制度」がスタートします。これにより、外国人材の受け入れ制度は大きな転換期を迎え、技能実習から特定技能への移行の考え方や実務フローも見直しが必要です。 

特に育成就労制度では、従来の技能実習制度で認められていた「試験免除による特定技能移行」がなくなる見通しで、外国人本人だけではなく、受け入れ企業側にも計画的な育成や支援体制の構築がこれまで以上に求められます。 

本記事では育成就労制度の開始を前提に、特定技能1号への移行要件や対象分野の整理、現行の技能実習生の扱いを分かりやすく解説します。 

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2027年4月から技能実習制度は育成就労制度へ変わる

2024年6月、技能実習制度を抜本的に見直すための改正法が公布されました。この改正により技能実習制度は廃止され、新たに「育成就労制度」が創設されます。

これまでの技能実習制度は、開発途上国への技術移転を通じた「国際貢献」を目的としていました。しかし実態としては、日本国内の人手不足を補う労働力として活用されてきた側面が大きく、制度目的と運用実態の乖離が長年問題視されていたのです。こうした背景を踏まえ、外国人材を実態に即して「労働者」として受け入れ、日本の産業を支える人材として育成・確保することを明確に目的とした制度へ転換することになりました。

育成就労制度は2027年4月に施行され、技能実習制度と育成就労制度が併存する移行期間が3年間設けられる見込みです。そのため、現在技能実習生を受け入れている企業にとっても、今後の外国人材採用を検討している企業にとっても、新制度を前提とした受け入れ体制の見直しが不可欠となります。

キャリアパスの違い

技能実習制度と育成就労制度の大きな違いの一つが、外国人材の「キャリアパス」です。

現行の技能実習制度は、開発途上国への技能移転を目的とした「学び中心」の制度であり、在留期間は最長5年と定められています。技能実習1号から2号、3号へと段階的に進む仕組みはあるものの、実習期間を終えた後は母国へ帰ることが前提となっており、日本での長期就労や定着は想定されていませんでした。

一方、育成就労制度ではこの前提が大きく変わります。新制度では、原則3年間の育成就労期間を通じて、特定技能1号水準の技能を有する人材へと育成することが目的として明確に位置付けられています。育成期間修了後は、所定の試験に合格することで「特定技能1号(通算5年)」へ移行でき、さらに熟練した技能を有する場合には、在留期間に上限のない「特定技能2号」へとステップアップする道も開かれます。

つまり、新制度では「育成就労 → 特定技能1号 → 特定技能2号」という段階的なキャリアパスが制度として用意されているのです。

育成就労制度では「試験免除による特定技能移行」がなくなる見通し

現行の技能実習制度では、技能実習2号を良好に修了し、かつ移行先の特定技能分野と業務内容に関連性が認められる場合、技能試験および日本語試験の両方が免除され、特定技能1号へ移行できるルートが設けられていました。実際、現在日本で働く特定技能外国人のうち、約8割がこの「技能実習ルート」を経て移行しています。

しかし、育成就労制度ではこの仕組みが大きく見直されます。新制度から特定技能1号へ移行する際には、技能実習制度で認められていた試験免除措置は設けられず、原則として所定の技能試験および日本語試験の両方に合格することが必須条件となる見通しです。

そのため、受け入れ企業にとっては「育成就労期間中にどこまで技能と日本語力を引き上げられるか」が、特定技能への円滑な移行を左右する重要なポイントとなります。従来のように修了を待てば自動的に移行できる制度ではなくなることを前提に、早い段階から試験合格を見据えた育成・支援体制を整えておく必要があるでしょう。

▼参考:出入国在留管理庁 論点1~9関連(追加資料)

育成就労制度から特定技能1号へ移行するための要件

育成就労制度から特定技能1号へ移行するためには、原則として「技能」と「日本語能力」の2つの要件を満たす必要があります。ここでは、それぞれの要件について具体的に解説します。

技能要件

技能面については、以下のいずれかの試験に合格することが求められます。

●技能検定試験「3級」
●各分野ごとに実施される「特定技能1号評価試験」

これらの試験は単なる知識ではなく、現場で実務を遂行できる水準の技能を有しているかを確認することを目的としています。試験内容は、日常業務で行う作業手順や安全管理、基本的な知識・技能が中心であり、育成就労期間中に計画的に業務を経験していれば、過度に高いハードルではありません。とはいえ育成就労期間中は、日常業務そのものが試験対策と直結する形になります。

受け入れ企業は、育成就労計画の段階で「どの業務経験を積ませれば、どの試験に対応できるのか」を把握しておくことが重要です。技能実習制度のように「限定的な作業のみを担当させる」運用を続けてしまうと、試験に必要な技能が身に付かず、結果として特定技能への移行が難しくなる点に注意しましょう。

日本語能力要件

日本語能力については、A2相当以上の試験に合格することが条件です。具体的には、以下のような試験が要件に定められています。

●日本語能力試験(JLPT)N4以上
●A2相当と認められる日本語試験

A2相当とは日常生活や職場において、簡単な指示や説明を理解し、基本的なやり取りができるレベルを指します。単なる語学力の評価というよりも、安全管理や業務指示を正確に理解し、職場内で最低限の意思疎通が取れる水準を担保する必要があるでしょう。

技能実習制度では介護職種を除き、日本語能力に明確な要件が設けられていませんでしたが、育成就労制度では日本語能力の向上が特定技能移行の前提条件として制度上明確に位置付けられています。

そのため、企業側には「業務ができれば問題ない」という従来の考え方から一歩進み、日本語学習を含めた育成体制の構築が不可欠です。外国人材受け入れ時に作成・提出する「育成就労計画」に以下のような対策を盛り込み、試験合格を目指せるレベルへの育成を目指しましょう。

●就労開始前後での日本語レベルの把握
●現場での指示方法や用語の整理
●外部研修やオンライン学習サービスの活用
●試験時期を見据えた学習スケジュールの設計 など

不合格になっても最長1年間の在留継続が認められる

育成就労制度では、試験に不合格となった場合でも、再受験のために最長1年間の在留継続が認められる救済措置が設けられています。

ただしこれはあくまで再チャレンジのための措置であり、無制限に在留できるわけではありません。

新制度の対象分野は17分野に統合される見通し

技能実習制度では対応職種・作業が約92職種・169作業に分かれていましたが、育成就労制度では現行の特定技能制度の対象分野(19分野)から「航空」「自動車運送業」の2つを除いた17分野が対象となる見込みです。航空は制度設計の議論の遅れにより、自動車運送業は運転免許が必要なことにより、育成就労の対象外となっています。

ここでは17分野の主な業務例と、特定技能1号の人数が多い国をご紹介します。

対象分野主な作業例特定技能1号の人数が多い国
介護身体介護 などインドネシア、ミャンマー、ベトナム など
ビルクリーニングビルクーリング などベトナム、インドネシア、中国 など
リネンサプライ仕上げ業務(プレス、アイロン、検品など)、集配業務(積み込み、回収補助、在庫管理 など)2027年4月に新設
工業製品製造業鋳鉄鋳物鋳造、金属プレス、建築塗装、製本、精紡工程、染色 などベトナム、インドネシア、フィリピン など
建設とび作業、内外装板金作業、タイル張り作業、カーテン工事作業、壁装作業、保温保冷工事作業 などベトナム、インドネシア、フィリピン など
造船・舶用工業建築配管、構造物鉄工、普通旋盤、マシニングセンタ、変圧器組立て などフィリピン、インドネシア、ベトナム など
自動車整備自動車整備ベトナム、フィリピン、インドネシア など
宿泊接客・衛生管理ミャンマー、インドネシア、ベトナム など
鉄道軌道保守整備、走行装置検修・解ぎ装、金属プレス、電子機器組立て などインドネシア、ベトナム、中国 など
物流倉庫ピッキング、仕訳、検品 など2027年4月に新設
農業施設園芸、畑作、果樹、養豚、養鶏、酪農 などインドネシア、ベトナム、フィリピン など
漁業かつお一本釣り漁業、まき網漁業、ひき網漁業、定置網漁業、ほたてがい・まがき養殖 などインドネシア、ベトナム、中国 など
飲食料品製造業缶詰巻締、加熱乾製品製造、塩蔵品製造、ハム・ソーセージ・ベーコン製造、パン製造 などベトナム、インドネシア、中国 など
外食業医療・福祉施設給食製造ベトナム、ミャンマー、ねパール など
林業育林、素材生産、育苗、製炭作業 など2024年9月に新設
木材産業機械製材中国 など
資源循環受け入れ業務、選別業務、処分業務、搬出業務 など2024年9月に新設

育成就労制度では、こうした分野ごとの業務内容に応じて育成計画の設計・技能評価の基準・試験要件が細かく定められる予定です。自社の受け入れ対応で不明点がある場合は、各分野の問い合わせ先に確認しましょう。

▼参考:出入国在留管理庁 特定技能1号在留外国人数(第4表)

新制度後は外国人材の裁量の幅が広がる

育成就労制度では、外国人材が従事できる業務の範囲が特定技能制度の業務区分と原則として同一になります。これまでの技能実習制度のように「特定の作業のみを反復する」といった限定的な業務ではなく、業務区分の中から「主たる技能」を定め、その技能を中心に段階的な業務経験を積ませていきます。外国人材を単純作業に固定させることなく、関連業務や工程全体に触れる機会を増やせるため、スキルの幅を広げやすくなるのが新制度の大きな特徴です。

ただし育成の設計があいまいなままでは、現場担当者の負担増を招く他、特定技能移行に必要な技能が十分に身に付かない恐れもあります。

企業は、単に「任せられる業務が広がる」という側面だけを捉えるのではなく、特定技能1号への円滑な移行を見据えた実務経験の提供が求められます。将来の即戦力として、いかに計画的に育成していくかという姿勢が、これまで以上に重要になるでしょう。

現在技能実習生として受け入れている外国人材はどうなる?

育成就労制度は2027年4月から施行されますが、それ以前に受け入れた技能実習生は、直ちに新制度へ切り替わるわけではありません。

2027年3月までに入国した技能実習生は、原則として現行の技能実習制度のルールのまま実習を継続することができます。技能実習1号から2号、さらに3号への移行についても、これまでと同様に現行制度の要件が適用されます。つまり、制度施行時点で在籍している技能実習生は、従来の枠組みの中で実習を修了することが可能です。

また技能実習を良好に修了した場合には、現行制度と同様に特定技能1号への移行が可能です。この点については、従来の移行ルートが維持される見込みであり、技能実習2号を良好に修了し、業務の関連性が認められる場合には、所定の試験免除措置が適用されるケースもあります。

ただし注意が必要なのは、技能実習として在留している途中で、育成就労制度へ切り替えることはできないという点です。あくまでも入国時点の在留資格に基づく制度が適用されるため「途中から新制度へ移行する」といった柔軟な運用は想定されていません。

2027年前後は新旧制度が併存する移行期となるため、対象者ごとに適用制度を誤らないよう、在留資格と入国時期を正確に把握しておくことが実務上の重要なポイントとなります。

まとめ

育成就労制度は、特定技能への移行を前提に、外国人材を中長期の戦力として育成・確保するための制度です。技能実習制度で認められていた試験免除による移行ルートがなくなる見通しであるなど、特定技能1号への移行に向けた要件はこれまで以上に明確かつ厳格になります。

一方で、育成期間中に業務経験と日本語学習を計画的に支援できれば、育成した人材をそのまま定着・戦力化しやすくなる点は、企業にとって大きなメリットといえます。短期的な人手不足の解消ではなく「育成 → 定着 → 戦力化」を見据えた人材戦略が取りやすくなるでしょう。

2027年の施行に向けて、企業は育成就労計画の実効性を高めつつ、試験合格を見据えた業務設計や日本語学習の支援体制など、新たな制度要件に適合する受け入れ環境を段階的に整備していく必要があります。新制度への対応を単なる制度変更として捉えるのではなく、将来の人材確保を左右する重要な経営課題として位置付け、早めに準備を進めていきましょう。

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