【3月最新】激変する建設業界!人手不足の対策と省人化について

労働人口の減少が大きく取り上げられる昨今、様々な業界でIT化、省人化・採用手段等の見直しが進められています。

建設業界では、特に人手不足への対策が急がれています。

この記事では、今後の建設業界の変化や人手不足の解決策に関して解説していきます。

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建設業界の人手不足の観点からみた労働力の推移について

建設業界を含め各業界の労働人口の推移を振り返って見てみましょう。

下記表は総務省統計局より発表される労働力調査より作成した図です。

期間別総数 単位万人
抽出年月 2014/4 2015/4 2016/4 2017/4 2018/4 2019/4 2020/4 2021/4
建設業 510 510 499 492 504 503 528  498
製造業 1080 1066 1055 1053  1053  1057 1160 1038
卸売・小売業 1037 1022 1051 1066 1078 1081 1116 1056
飲食店・宿泊業 388 373 371 370 414 419 328 353

労働力調査

※参考元:総務省統計局の労働力調査より作成:人材不足観点から職種別の労働力推移分析

図でも分かる通り、各業界で著しく増減が起こっているわけではありません。

労働力の高齢化により就労できなくなった方がいるのに、なぜ労働者数が減っていないのか、それは各業界で外国人労働者の急激な増加していることが背景にあります。

下記の図は、厚生労働省の外国人雇用状況の届け出より作成しています。

各業界で外国人労働者が、日本人労働者の減少を大きく支えていることがわかります。

その中でも、建設業界は5年間で約4倍近く増えているのです。

期間別総数 単位万人
抽出年月 2015/10 2016/10 2017/10 2018/10 2019/10 2020/10
外国人就労者数 907896 1083769 1278670 1460463 1658804 1724328
建設業 29157 41104 55168 68604 93214 110898
製造業 295761 338535 385997 434342 483278 482002
卸売・小売業 113251 139309 166182 186061 212528 232014
飲食店・宿泊業 107258 130908 157866 185050 206544 202913

外国人就労者数
※参考元:厚生労働省 外国人雇用状況の届け出資料より作成:急増する建設業界の外国人就労者の推移

近年、現場でベトナムやインドネシアなどの外国人が働かれている姿を見ることも増えてきたのではないでしょうか?

それは、2019年に特定技能が新たな在留資格として開始されたことにより、技能実習から合わせて最大10年の就労が可能になったこともあり、急激に需要が伸びたからと予想されます。

建設業界では、特定技能2号の取得で無期限での在留が認められています。

建設業界の現状や課題については、国土交通省からも「建設産業の現状と課題」という資料が出ていますのでご参照ください。

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建設業界の特定技能に関しては、下記記事で詳しく解説しています。
建設特定技能の受入を完全解説。メリット・デメリットと抑えるポイント、おすすめの登録支援機関3社比較

大きく変わる建設業界

大きく変わる建設業界で、労働人口とは別の角度で今後変化が予想されるのかを解説していきます。

労働基準法の改正

2019年4月の労働基準法の改正に伴い労働時間の上限が規制されました。

中小企業に関しては1年間の猶予期間が与えられ多くの企業は2020年4月より運用されています。

建設業界では、まだご認識がない方もおられると思いますが、一部業種にあたる建設業では、労働時間の上限規制の猶予期間がさらに与えられているのです。

中小企業の猶予期間は1年間でしたが、建設業の猶予期間は5年間設けられています。

また、今回の労働基準法改正による建設業の残業上限規制も2024年4月から変わります。

36協定の締結

労働基準法に定められている労働時間の上限は1日8時間、1週間に40時間です。

この36協定が結ばれていれば、1ヶ月に45時間、1年間で360時間を上限に時間外労働ができるようになります。

特別条項付き36協定を結んだ場合は休日出勤を含め月100時間未満、年間720時間以内が時間外労働の上限時間となります。

36協定を結んでいても、年間6回までしか上限である45時間を超えた労働をさせることはできないことに加えて、複数月の平均は休日労働を含めて80時間以内という条件も同時に満たしていなければなりません。

建設業界では、災害復旧や復興事業に従事する場合には上限規制が除外される特例があります。

※参考資料:厚生労働省 働き方改革パンフレット

建設キャリアアップシステム

建設キャリアアップシステム(Construction Career Up System, 略称CCUS)とは、今まで見える化できていなかった、建設業に関わる技能者の資格・社会保険加入状況・現場の就業履歴、キャリアなどを登録し蓄積が可能です。事業者は、建設事業者の現場入場等の申請書類などの業務負担軽減が可能です。

2019年4月より本格運用が開始されました。2024年4月に全技能者の登録を目標としています。

■建設キャリアアップシステム目的

・技能者のキャリアを可視化
・技能者レベルの設定により待遇の向上
・事業者の業務負担軽減

こちらで「建設キャリアアップシステム」にて詳しく解説しています。

インボイス制度で減る一人親方

2023年10月1日から、消費税の仕入税額控除の方式としてインボイス制度が導入されます。

適格請求書(インボイス)とは、売手が買手に対して、正確な適用税率や消費税額等を伝える為の請求書です。

適格請求書を発行するためには「適格請求書発行事業者」の登録が必要になります。

※登録申請書の提出が可能となるのは、令和3年10月1日以降。

売手である登録事業者は、買手である取引相手(課税事業者)から求められたときは、インボイスを交付しなければなりません(また、交付したインボイスの写しを保存しておく必要があります)。

買手は仕入税額控除の適用を受けるために、原則として、取引相手(売手)である登録事業者から交付を受けたインボイス(※)の保存等が必要となります。

(※)買手は、自らが作成した仕入明細書等のうち、一定の事項(インボイスに記載が必要な事項)が記載され取引相手の確認を受けたものを保存することで、仕入税額控除の適用を受けることもできます。

制度の仕組みや詳細は、国税庁「インボイス制度の 理解のために」のパンフレットをご覧ください。

1000万円以下の取引が多い建設業界では、一人親方が課税事業者か免税事業者かで、仕事を発注する会社(元請側)の負担は大きく変わります。

簡単に説明すると、令和5年10月1日以降は「適格請求書発行事業者」から仕入れないと「仕入税額控除」は使えないということです。

「適格請求書発行事業者」にならないと、仕入先として選んでもらえない可能性があるので注意しましょう。

人手不足の解決策

変わりゆく建設業界の方向性が見えてきたと思いますが、変化を意識しながら今後どのように人手不足の建設業界に対応していくのかを解説します。

業界イメージ・環境の改善

人材を仮に採用できても、退職・転職される方が多いのであれば雇用企業や建設業界にとって抜本的な改善は見込めません。

今回の労働基準法改正についても、週6日勤務、残業超過が日常的にある企業に対しての労働環境の改善によるものです。

この改善は、建設業界を若い方に人気がある仕事にするため、労働環境を改善して業界のイメージアップにつなげて建設修行者の増加を促すという意図があります。

建設企業としての対策

技能者のレベルに合わせた適切な給料水準を考え昇給制度自体を見直すことも必要になるかもしれません。
福利厚生や誰もが働きたいと思える環境整備を他の業界、業種を参考にしながら取り入れていく必要があります。

建築省人化

人手不足を解決するためには雇用以外の視点で考えることが、工期短縮を実現するためにも新工法を採用し省人化を図ることが重要です。

この建設省人化については、日本建設業連合会の「建設省人化 全事例」で詳細が紹介されているので、あわせてご覧ください。

また大手ゼネコンでは各社でロボットの導入で省人化を進めています。

大手であるため取り組めるものがほとんどですが、今後数十年先を見越した期待がされています。

外国人労働者の確保

最初にご紹介しましたが、現状の建設就労者数は年々外国人労働者が増えてきています。

人材の採用ができず人手不足の企業にとっては、外国人の採用を前向きに検討する必要があります。

また、2019年から始まった特定技能制度が建設労働者増加の解決策になると考えられています。

ここでは、そんな技能実習と特定技能について簡単に説明いたします。

【技能実習】

技能実習は、1号(1年)2号(2年)3号(2年)と区分され移行する際は実技及び日本語の試験が行われます。

母国で学ぶことができない技能を日本で習得して、母国の経済発展に生かしてもらう技能移転を目的とした人材育成制度です。

【特定技能】

2019年4月1日より人手不足が深刻な産業分野において「特定技能」での新たな外国人材の受入れが可能となりました。

「特定技能」とは、中小・小規模事業者をはじめとした深刻化する人手不足に対応するため、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れ技能実習より幅広い範囲での労働を行うことができます。

建設分野では特定技能2号移行で無期限での雇用が可能です。

まとめ

2024年に建設業界は、法改正や業界を取り巻く環境の大きな変化が重なる時期になるため1つのターニングポイントを迎えると考えられています。

解説してきました「人手不足」「省人化」についてまず自社で何から取り組みしやすいのかを、「人手不足」の観点からであれば【労働環境】【採用方法・手段】【PR】など大カテゴリーで別けて更に【昇給制度明確化】【就業時間見直し】【外国人雇用】【youtube】など小カテゴリーにして取り組む優先順位をきめ、給料を上げるためにも受注単価なども見直す機会になるかもしれません。

採用が難しいのであれば、いかに人的工数を減らすための効率を最も重視する方法を考える必要があります。例えば、現場移動時間を減らすために、現場間の工期等をデータで可視化して効率化を計ることも一つです。それ以外のも、新しい工法を考えたりすることも重要になってきます。

変化の激しい時代ですが、自社の状況に合わせて、対策を検討していただければ幸いです。

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