【2027年からスタート】技能実習制度から育成就労制度への移行で何が変わる? 受け入れ企業が押さえるべき新制度の実務ポイント
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2026/03/06
この記事でわかること
- 育成就労制度の概要
- 技能実習制度と育成就労制度で変わること
- 育成就労制度活用にあたり企業が抑えるべきポイント
2027年から、技能実習制度は廃止され「育成就労制度」へと移行します。30年あまり続いた制度の変更に伴い、外国人材の受け入れ体制は大きな転換期を迎えます。そのため、これまで技能実習生を受け入れていた企業も、これから外国人材を採用したいと考えている企業も新制度に向けた準備が不可欠です。
しかし企業担当者の中には「技能実習制度と何が違うのか」「企業として何をしたらよいのか」といった疑問を持っている方も少なくありません。
本記事では、技能実習制度から育成就労制度への移行に伴い何が変わるのか、企業は体制を整えるに当たり何を抑えておくべきなのか、実務に即したポイントに焦点を当てて分かりやすく解説します。
※本記事の内容は2026年2月時点の情報です。

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2027年から技能実習制度に代わる新制度「育成就労制度」がスタート
2024年6月に技能実習制度が見直され、新たに「育成就労制度」を創設するための法改正が成立、2027年4月1日から施行されます。施行後は、制度変更による混乱を避けるための激変緩和措置として約3年間の移行期間が設けられます。この期間中は、技能実習制度と育成就労制度が併存する形となり、概ね2030年頃までは両制度が並行して運用される見込みです。そのため外国人材の採用・就労に際して、企業は早急に体制の変更や新制度への対応が求められています。
ここでは新制度の目的と技能実習制度廃止の背景について、解説します。
新制度が始まる目的
従来の技能実習制度は「開発途上国への技能移転による国際貢献(人づくり)」を目的としていました。しかし実際には、日本国内の人手不足分野を支える労働力として活用されてきた側面が大きく、制度の建前と実態の乖離が指摘されてきました。
このような歪みを解消するべく、育成就労制度では日本の人手不足分野における「人材の確保」と、特定技能1号水準への「計画的な育成」を明確な目的として掲げています。そのため従来の制度と比べて、外国人を労働者として位置付けた制度設計や、特定技能への移行を前提としたキャリア形成が明確になっています。
なぜ技能実習制度は廃止になった?
技能実習制度が廃止される背景には、制度目的と運用実態の乖離に加え、深刻な人権問題も要因の一つとして挙げられます。
技能実習制度では「国際貢献」を建前としながらも、原則として転籍(職場変更)が認められていませんでした。そのため、違法な低賃金や長時間労働、ハラスメントなどの不当な待遇を受けた場合でも、実習生が自ら職場を離れることが難しい構造となっています。
結果として問題を訴えることができず、最終手段として失踪を選択する実習生が増えるといった事態に陥りました。実際、2023年の技能実習生の失踪者数は9,753人と過去最多を記録しています。法務省はこうした事態を受け、母国語での相談窓口の設置や受け入れ停止処分の厳格化、悪質な送出機関・ブローカーの排除などの対策を進めてきました。
2024年以降は失踪者数が減少に転じたものの、技能実習制度は抜本的な見直しが不可避と判断され、制度そのものの廃止と育成就労制度への移行が決定しました。
技能実習制度と育成就労制度は何が違う?
技能実習制と育成就労制度の主な違いには、在留資格や期間、対象職種、転籍可否などがあります。それぞれの違いと企業に求められている対応について、詳しく解説します。
なお育成就労制度のメリット・デメリットや具体的な受け入れ分野・職種については、以下の記事で解説しているので、併せてご覧ください。
▼「育成就労」の制度とは、最新情報のまとめと技能実習生との比較
在留資格・在留期間
技能実習制度では在留期間は最長5年とされ、原則として期間満了後は母国へ帰国することが前提でした。そのため、日本での長期就労や定着は想定されていませんでした。
一方、育成就労制度の在留期間は原則3年とされています。この3年間は、特定技能1号水準の技能を身につけるための育成期間と位置付けられています。育成期間修了後は、所定の試験に合格すれば、特定技能1号(最長5年)へ移行することが可能となり、さらに要件を満たせば特定技能2号(在留期間の上限なし)へ進むことも可能です。
このように育成就労制度は、特定技能制度への移行を前提としたキャリアパスが制度上明確に設計されています。受け入れ企業は外国人材を人手不足を解消するための短期的な労働力としてではなく、中長期的な就業・定着を前提とした人材育成や雇用設計を体制として構築する必要があるでしょう。
対象職種・業務内容
技能実習制度では、約92職種・169作業以上と対象が細かく区分されており、実習生が従事できる業務範囲も限定的でした。
これに対し育成就労制度では、特定技能制度の「特定産業分野」から「航空」「自動車運送業」を除いた17分野となる予定です。この2分野は、制度設計の議論の遅れや免許の必要性を理由に「国内での育成になじまない」といった理由で対象外となります。
また特定技能と同じ業務区分の範囲内で、より幅広い業務に従事できるようになる点も、技能実習制度との違いです。対象分野が特定技能制度と原則一致することで、受け入れ企業側は「どの業務まで従事させられるのか」「育成後にどの分野へ移行させるのか」をあらかじめ見据えた業務設計が可能になります。技能実習制度のように限定的な作業だけを任せる運用ではなく、将来的な特定技能移行を前提とした業務配置や育成計画を検討することが大切です。
転籍(職場変更)の扱い
技能実習制度では、原則として転籍(職場変更)が認められておらず、例外的な場合に限られていました。
育成就労制度ではこの点が大きく見直され、一定の要件を満たす場合には外国人本人の意向による転籍が可能となります。具体的には以下の要件が規定される見込みです。
●同一機関での就労が1年以上(分野により1~2年)経過していること
●技能検定試験基礎級等およびA1~A2相当の日本語試験への合格など、一定水準以上の技能と日本語能力を有すること
●転籍先が同一業務区分で、適正な基準を満たしていること
●ハローワークや管理支援機関などを通じて行われる転籍であること
●取次ぎ及び育成に係る費用として、一定額を転籍元の企業に支払うこと
また労働条件の相違やハラスメントなど、やむを得ない事情がある場合の転籍についても、対象範囲が拡大・明確化され、手続きが柔軟化されます。
受け入れ企業は転籍による人材流出を防ぐためにも、賃金や就労環境、育成体制の適正さがこれまで以上に問われることになるでしょう。
日本語能力・技能要件
技能実習制度では、就労開始前の日本語能力について明確な要件が定められていませんでした。しかし育成就労制度では、日本語能力・技能水準が段階的に定められます。
各段階で求められる日本語能力と技能要件は以下の通りです。
| 段階 | 日本語能力 | 技能要件 |
|---|---|---|
| 就労開始前まで | ・日本語能力A1相当以上(日本語能力試験N5レベル等)への合格 ・上記に相当する講習の受講 | – |
| 就労開始から1年経過時点 | ・日本語能力(A1相当以上の水準からA2相当以上まで)の日本語試験への合格 | 技能検定基礎級等の合格 |
| 特定技能1号への移行時 | 日本語能力A2相当以上(N4レベル等)への試験合格 | 技能検定試験3級等(または特定技能1号評価試験) |
ちなみに、技能実習制度にあった試験免除のルートは設けられていません。そのため、企業側には採用時点で日本語能力を確認するのに加え、就労開始後の学習支援や試験対策を含めた継続的なフォロー体制の構築が求められます。
監理団体
技能実習制度で設けられていた「監理団体」は、育成就労制度では「監理支援機関」へと名称が変更されます。
技能実習制度における監理団体は、外国人技能実習生の受け入れに当たり、企業と実習生の間に立って制度運用を支援する役割を担ってきました。具体的には、技能実習計画の作成支援、実習状況の定期的な監査、法令遵守の確認、実習生からの相談対応などを行い、制度が適正に運用されるよう監督する立場にあります。
ただし監理団体は受け入れ企業に代わって責任を負う存在ではなく、最終的な労務管理や就労環境の整備に関する責任は、あくまで企業側にあります。育成就労制度ではこの点がより明確になり、監理支援機関は「受け入れ企業を支援・監督する立場」として位置付けられることになりました。そのため、管理団体自体にも高いコンプライアンス意識や透明性が求められます。
具体的には、監理支援機関になるには国の許可が必要である点や、外部監査人の設置が義務化される点、受け入れ企業と密接な関係を持つ役職員の関与が制限される点などが挙げられます。これにより悪質なブローカーの排除や、制度運用の適正化が図られる仕組みとなっています。
新制度の導入にあたり企業が押さえておきたいポイント
育成就労制度の導入により、受け入れ企業にはこれまで以上に明確な育成方針や適切な就労環境の整備が求められます。新制度の下で企業が押さえておくべき実務上のポイントを解説します。
受け入れ企業側の体制強化が求められる
新制度では、受け入れ企業ごとに受け入れ人数の上限が設定される他、育成・支援体制に関する要件が見直される方針です。また転籍が一定条件で認められることに伴い、不適切な引き抜きや斡旋が増えないよう、不法就労助長罪が厳罰化されます。受け入れ企業は5年以下の懲役または500万円以下の罰金、またはこれらが併科される恐れがあるので、注意が必要です。
例えば企業が在留資格の確認を怠ったり、就労可能な在留資格であっても認められた範囲を超えた就労をさせたりなど、過失があった場合も処罰対象となります。そのため採用時だけではなく在籍中も含めた在留資格・就労条件の確認体制を整備することが不可欠です。
育成就労計画の策定が必要になる
育成就労制度では、外国人一人ひとりについて、原則3年間の「育成就労計画」を作成し、外国人育成就労機構(現・外国人技能実習機構)の認定を受ける必要があります。計画には、就労期間中に修得させる「主たる技能」や、日本語能力の向上目標、育成方法などを具体的に記載しなければなりません。
計画内容と実際の就労・育成状況に乖離がある場合は、是正指導や認定取消しの対象となる可能性があるため、形式的な作成ではなく、実行可能な内容を設計することが重要です。
分野別協議会への加入が義務化される見通し
育成就労制度では、特定技能制度と同様に受け入れ企業に対して「分野別協議会」への関与が求められる見込みです。分野別協議会とは、各産業分野ごとに、国や業界団体、関係機関が連携し、外国人材の受け入れ状況や人材育成の課題、就労環境の実態などを共有・検討するための枠組みです。
現時点では、加入手続きや具体的な運用ルールの詳細は示されていませんが、受け入れ企業は、特定技能制度と同様に「業界全体でのルール形成や情報共有に関与する立場になる」という認識を持っておく必要があります。制度の詳細が明らかになり次第、速やかに対応できるよう、最新情報を継続的に確認する体制を整えておきましょう。
就労環境の見直しが求められる
育成就労制度では、本人意向による転籍が一定条件下で認められるため、就労環境の良し悪しが人材定着に直結します。そのため賃金や労働時間、休日の適正な管理はもちろん、ハラスメント防止や相談体制の整備がこれまで以上に重要になるでしょう。
母国語での相談対応や生活面の支援も含め「外国人に選ばれる職場づくり」を意識した環境整備が、中長期的な定着の鍵となります。
まとめ
育成就労制度は、特定技能への移行を前提に外国人材を計画的に育成・確保することを目的とした新たな制度です。従来の技能実習制度と比べて、外国人を「労働者」として受け入れる仕組みへと位置付けが明確になった点が大きな特徴といえます。ただし新制度では本人意向による転籍が認められるため、受け入れ企業には人材流出を防ぐための環境整備が求められます。
育成就労制度への移行を成功させるには、外国人材を単なる人手不足対策ではなく、企業成長を担う重要な戦力と捉えることが重要です。本記事を参考に制度変更の内容を正しく理解し、外国人材を「いかに育成し、定着させるか」という視点で、自社の現行体制を見直す一歩を踏み出しましょう。

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