【2026年最新】特定技能「介護」はどこまで任せられる?業務範囲・夜勤の限界と利用者に安心してもらえる受け入れ方を解説
- 外国人採用タイムズ
2026/07/29
この記事でわかること
- 特定技能「介護」の基本情報
- 特定技能「介護」にて任せられる業務範囲のリアル
- 特定技能「介護」の具体的な受け入れ方法と成功事例
TOPICS
日本の介護人材の現状
数字で見る介護人材不足
介護現場の人手不足は、数字で見るとその深刻さがはっきりします。厚生労働省の職業安定業務統計によると、介護サービス職業従事者の有効求人倍率は4.10倍に達しており、求職者1人に対して4件以上の求人がある状態が続いています。訪問介護員に限ると倍率はさらに高く14.14倍にのぼり、求人を出しても応募がほとんど来ないという声が現場から上がるのも無理はありません。
一方で、介護職員の離職率は令和5年度介護労働実態調査で13.1%となり、過去最低を更新しました。全産業平均を下回る水準まで改善してきているにもかかわらず、有効求人倍率がここまで高いということは、離職を減らすだけでは母数そのものが足りないという構造的な問題を示しています。
外国人材の受け入れに踏み切れない本当の理由
人手が足りないという課題そのものは、多くの施設がすでに認識しています。それでも外国人材の受け入れに踏み切れないのは、制度が複雑だからという理由だけではありません。実際に施設の担当者から聞こえてくるのは「言葉が通じるのか」「利用者の急な体調変化に気づけるのか」「ご家族が受け入れてくれるのか」という、業務の質と安心感に関わる不安です。
工場のライン作業や配送業務であれば要件を満たすかどうかがすべてに近いのですが、介護は高齢者という人に向き合う仕事である分、制度要件を満たすことと現場で本当に機能することの間に距離があると感じている担当者が少なくありません。この記事では、制度の枠組みを押さえたうえで、「本当に任せて大丈夫か」という不安に正面から答えていきます。
2019年に創設された特定技能「介護」という選択肢
出入国在留管理庁によると、特定技能「介護」は2019年4月に創設された在留資格です。深刻な人手不足が見込まれる産業分野に限り、一定の技能と日本語能力を持つ外国人を受け入れる特定技能制度の中でも、初期から対象分野に指定されていたのが介護分野になります。技能実習のような技能移転を目的とした制度ではなく、即戦力人材の確保を目的としている点が出発点から異なります。
特定技能「介護」の基本を押さえる
制度の目的と特定技能1号のみで2号が無いという特徴
特定技能には1号と2号があり、2号を取得すると在留期間の更新に上限がなくなり家族帯同も可能になります。しかし介護分野には出入国在留管理庁の制度上、この特定技能2号が用意されていません。建設業や製造業など2号への移行が可能な分野がある一方で、介護分野は1号のみという位置づけです。これは後述する「在留資格『介護』」への移行という、介護分野特有のキャリアパスが用意されていることと表裏の関係にあります。
技能実習との違い
技能実習と特定技能「介護」は、混同されやすいものの制度の目的からして異なります。技能実習は日本で得た技能を母国に移転することを目的とした制度で、原則として転籍が制限され、家族帯同もできません。これに対し特定技能は人手不足対応を目的とした就労のための在留資格で、同一の業務区分内であれば転職が可能です。
| 項目 | 技能実習「介護」 | 特定技能「介護」 |
|---|---|---|
| 制度目的 | 技能移転による国際貢献 | 人手不足分野での就労 |
| 在留期間 | 最長5年(1号〜3号) | 通算5年(1号のみ) |
| 転籍・転職 | 原則不可 | 同一業務区分内で可能 |
| 家族帯同 | 不可 | 不可(1号の場合) |
| 従事できる業務 | 訪問系サービスは対象外 | 2025年4月以降は要件を満たせば訪問系も対象 |
2025年4月に解禁された訪問介護という最新動向
介護分野の制度で近年最も大きな変更が、訪問介護への従事解禁です。厚生労働省によると、令和7年4月21日付けの告示改正により、特定技能「介護」の外国人材が訪問系サービスに従事できるようになりました。
ただし誰でもすぐに訪問介護に入れるわけではなく、介護職員初任者研修修了課程等を修了し、介護事業所等での実務経験を原則1年以上有していることが要件になります。これまで施設サービスに限定されていた業務範囲が、条件付きとはいえ訪問系にまで広がったことは、訪問介護事業所にとって選択肢が増えたことを意味します。
受け入れの規模感
出入国在留管理庁の運用によると、介護分野における特定技能の受け入れ見込数は、令和8年3月時点の発表では、126,900人(令和11年3月までの受け入れ見込み数)とされています。他の特定技能分野と比較しても大きな枠が確保されており、国としても介護分野の人手不足を制度面から下支えする姿勢がうかがえます。
特定技能「介護」人材にどこまで任せられるのか 業務範囲のリアル
制度の対象になるかどうかを確認したら、次に気になるのは「実際にどこまで任せられるのか」という業務範囲です。ここは競合記事でも要件一覧の一項目として扱われがちですが、現場の受け入れ判断に直結するため、独立して整理します。
身体介護・生活援助はどこまで対応できるか
特定技能「介護」の外国人材は、入浴・食事・排せつの介助といった身体介護と、掃除や洗濯、調理といった生活援助のいずれも担当できます。日本人の介護職員と同じ業務範囲で配置される点は、技能実習のように業務が細かく制限される制度とは異なる特定技能ならではの特徴です。
医療的ケアは原則対象外という線引き
一方で、はっきりと線を引かなければならないのが医療的ケアです。喀痰吸引や経管栄養といった行為は、国籍にかかわらず介護福祉士や介護職員が実施するには法律上の制約があり、これは特定技能人材に限った話ではなく介護職員全体に共通する規定になります。制度への理解が進んでいない現場では「外国人だから医療的ケアは無理だろう」と誤解されることがありますが、正確には「認定特定行為業務従事者研修を修了していない介護職員はできない」というのが実態です。
認定特定行為業務従事者研修を受ければ広がる業務範囲
裏を返せば、認定特定行為業務従事者研修を修了すれば、日本人職員と同様に喀痰吸引等の一部の医療的ケアを担当できるようになります。厚生労働省の喀痰吸引等制度によると、認定証には第1号から第3号までの区分があり、第1号は口腔内・鼻腔内・気管カニューレ内部の喀痰吸引と、経鼻・胃ろう・腸ろうによる経管栄養まで、不特定多数の利用者を対象に実施できます。第3号は特定の利用者に限定した認定になるため、どこまでの範囲をカバーする研修を受けてもらうかは、自施設で想定する業務範囲に合わせて選ぶ必要があります。受け入れ後にどこまでの業務を任せたいかを見据えて、この研修の受講を早い段階から計画に組み込んでおくと、戦力化のスピードが変わってきます。
付随的に任せられる業務
身体介護・生活援助のほかにも、レクリエーションの実施や機能訓練の補助といった業務は付随的に任せることができます。利用者との関わりが増える業務でもあるため、後述する日本語コミュニケーションの重要性ともつながる部分です。
施設種別で変わる受け入れ条件
「特定技能 介護」と一括りに検索しても、実際の受け入れ条件は施設の種類によって変わります。自施設がどこに当てはまるかを確認してください。
入所系施設
特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、有料老人ホーム、グループホームといった入所系の施設は、特定技能「介護」の受け入れが最も広く行われている領域です。
24時間体制での介護が前提になるため、後述する夜勤配置の論点が特に重要になります。介護老人保健施設はリハビリテーションを通じた在宅復帰を目的とする施設のため、理学療法士や作業療法士との連携場面が多く、グループホームは1ユニットあたりの入居者数が少人数に限られる分、利用者一人ひとりとの関係が密になりやすいという特徴があります。施設の種類によって求められる連携の形が変わる点も、受け入れ前に押さえておきたいところです。20施設以上を運営する法人が外国人材の受け入れを進めた例でも、施設ごとに担当のスーパーバイザーを置くなど、施設単位で個別に対応する体制が定着の鍵になっています。
通所系事業所
デイサービスなどの通所系事業所も対象になります。夜勤が発生しない分、入所系施設に比べると受け入れのハードルは低く感じられますが、送迎業務への同乗や、限られた時間の中での複数利用者への対応力が求められる点は押さえておく必要があります。利用者の入れ替わりが1日の中で発生するため、短時間で信頼関係を築くコミュニケーション力は、入所系施設以上に問われます。
訪問系(訪問介護)で追加される要件
訪問介護事業所が受け入れる場合は、前述の通り介護職員初任者研修修了課程等の修了と、施設系サービスでの実務経験原則1年以上という追加要件があります。つまり訪問介護事業所が特定技能人材をいきなり単独で訪問させることはできず、まずは施設系での実務を積んでもらう、あるいはすでに実務経験のある人材を確保するという段取りが必要になります。
雇用形態の制約
雇用形態については、特定技能は直接雇用が原則で、労働者派遣は認められていません。正社員だけでなくパート・アルバイトといった雇用形態自体は選べますが、派遣会社を介した受け入れはできない点に注意してください。
見落とすと危険 夜勤の1人配置と訪問時の安全管理
制度要件を満たしていても、現場運用で見落とすと危険なのがこの章の内容です。特に夜勤体制は、受け入れの是非を左右するほど重要な論点になります。
配属直後から人員配置基準に算入できる
特定技能「介護」の外国人材は、配属された直後から人員配置基準(常勤換算)に算入することができます。技能実習の一部区分で入国後一定期間は配置基準に算入できないという制約があるのとは対照的に、即戦力として人員配置に組み込める点は、特定技能ならではの利点です。
特定技能の外国人材は夜勤に1人で入れるのか
受け入れ担当者が最も気にする論点がこれです。特定技能「介護」の外国人材は、日本人の介護職員と同様の扱いで夜勤の配置基準に算入されるため、一定の実務経験や施設側の教育体制が整っていれば、夜勤に1人で配置することも制度上は可能になります。ただし「制度上できる」ことと「今すぐ実施して安全か」は別の話です。日本語での緊急対応、利用者の急変時の判断、他職種への連絡といった業務は、夜勤という限られた人員の中で最も負荷がかかる場面でもあります。だからこそ配属してすぐに1人夜勤へ入れる施設は少なく、段階的に独り立ちまでの期間を設けるのが実情に近いといえます。
訪問介護で1人で利用者宅を訪問するときのリスク管理
訪問介護に従事する場合は、夜勤とはまた別のリスク管理が必要になります。訪問先には同僚も上司もいないため、緊急時にどう対応するか、利用者やご家族との間でトラブルが起きたときにどう連携するかを、受け入れ前に決めておく必要があります。
特に高齢者虐待の疑いを持たれるような誤解を避けるための記録の残し方や、感染対策の徹底は、日本人スタッフ以上に丁寧な事前説明が求められる部分です。スマートフォンでの事業所への即時連絡や、訪問先の変化を記録する仕組みを整えておくと、1人で訪問する不安を減らせます。
日本語コミュニケーションが特に重要になる場面
夜勤や訪問介護のように周囲に相談できる人がいない場面では、日本語でのコミュニケーション力がそのまま安全性に直結します。利用者の体調変化を家族や医療職に的確に伝える場面、服薬状況を次のシフトの職員に申し送る場面は、日常会話とは異なる専門的な語彙が必要になります。配属前の研修で、こうした場面を想定した実践的な日本語練習を組み込んでおくと、独り立ちまでの期間を短縮できます。
配置基準違反を避けるための実務チェックポイント
人員配置基準は事業所の常勤介護職員総数が上限になるため、特定技能人材を何人まで受け入れられるかは、自施設の常勤日本人職員数によって変わります。受け入れ人数を決める前に、自施設の常勤職員数を正確に把握しておくことが最初のチェックポイントになります。
利用者・ご家族に安心して受け入れてもらうための工夫
制度要件をすべて満たしていても、利用者やご家族の理解が得られなければ現場は回りません。ここは介護という対人サービスならではの論点で、他の産業の外国人材受け入れ記事にはあまり出てこない視点です。
「言葉が通じるか」という不安をどう払拭するか
特定技能「介護」の取得には、国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験N4以上に加えて、介護日本語評価試験の合格が必要です。
日常会話レベルに加えて介護の現場で使う言葉についても一定の理解を確認したうえで来日している人材だという事実は、ご家族への説明材料になります。それでも配属直後は聞き取りにくい場面が出てくるものなので、最初の数か月は日本人職員とペアで対応する、専門用語には振り仮名付きのマニュアルを用意するといった工夫が、現場の安心感につながります。
認知症の方とのコミュニケーションで意識したいこと
認知症の利用者とのやり取りは、日本語が母語の職員にとっても難しい場面が多くあります。表情やジェスチャーを交えたコミュニケーション、同じ説明を繰り返す根気強さは、国籍にかかわらず必要なスキルです。受け入れ研修の中で、認知症ケアの基本的な考え方を早い段階で伝えておくことが、利用者との関係づくりを左右します。
宗教・生活習慣への配慮が定着にもつながる理由
特定技能「介護」ではインドネシア国籍の人材が活躍する場面が増えており、イスラム教を信仰するスタッフも少なくありません。礼拝の時間の確保や、勤務中の食事における配慮は、スタッフ本人の働きやすさに直結する部分です。こうした配慮は単なる福利厚生ではなく、長期的な定着率にも関わってくるため、受け入れ前の準備段階で施設として方針を決めておくことをおすすめします。
現場に受け入れ前に準備しておきたいこと
利用者やご家族への事前説明、職員向けの異文化理解研修、緊急時の対応マニュアルの多言語化は、受け入れ後にあわてて用意するのではなく、配属前に準備しておきたい項目です。準備が整っているかどうかは、受け入れ初期の現場の空気を大きく左右します。
技能実習・EPA・在留資格「介護」 併存する4つのルートを比較する
介護分野には、特定技能以外にも外国人材が働くための複数の在留資格・制度が並存しています。どのルートで採用するかを判断するには、まず全体像を押さえる必要があります。
4つのルートの全体像
| ルート | 概要 |
|---|---|
| 技能実習 | 技能移転を目的とした制度。介護職種の技能実習2号を良好に修了すると、特定技能への移行時に技能評価試験と一部の日本語試験が免除される |
| 特定技能1号 | 介護技能評価試験と日本語要件(国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験N4以上、および介護日本語評価試験)への合格で取得できる |
| 在留資格「介護」 | 介護福祉士の資格を取得した人材向けの在留資格。在留期間の更新に上限がなく、家族帯同も可能 |
| EPA介護福祉士候補者 | インドネシア・フィリピン・ベトナムとの経済連携協定に基づく受け入れ制度。就労・研修を経て介護福祉士資格の取得を目指す |
取得までの期間・費用感の比較
| ルート | 取得までの主な流れ | 施設側の負担感 |
|---|---|---|
| 技能実習からの移行 | 技能実習2号を良好に修了し、特定技能へ在留資格変更(試験の一部が免除) | 監理団体を通じた既存の受け入れ実績があれば比較的スムーズ |
| 特定技能1号(新規) | 介護技能評価試験と日本語要件に合格し、海外または国内で採用 | 登録支援機関の活用有無で準備負担が大きく変わる |
| 在留資格「介護」 | 介護福祉士養成施設を修了、または実務経験ルートで国家試験に合格 | 資格取得までの学習支援・時間確保のコストが継続的にかかる |
| EPA介護福祉士候補者 | 経済連携協定に基づく受け入れ機関を通じて来日し、就労・研修を経て国家試験を受験 | 受け入れ機関を通じた手続きが中心で、施設側の直接負担は他ルートより小さい |
自施設に既に技能実習生がいるかどうか、国内在住の候補者と海外在住の候補者のどちらを想定するかによって、現実的に取りやすいルートは変わってきます。複数のルートを比較する際は、取得までの期間だけでなく、施設側がどこまで学習支援や手続きに関与する必要があるかも合わせて確認してください。
特定技能2号が無いことと「在留資格『介護』」へのキャリアアップという独自導線
介護分野には特定技能2号が無い代わりに、介護福祉士の国家資格を取得すれば「在留資格『介護』」へ移行できるという独自の導線が用意されています。この資格は特定技能や技能実習にあった在留期間の上限を撤廃し、家族帯同も可能にするため、特定技能1号の通算5年という期限の中でどう資格取得を後押しするかが、長期的な戦力化のカギになります。実際に、施設内研修を通じて資格取得を後押しした結果、入職から数年でリーダー級に成長する人材が出てきている例もあり、資格取得支援は単なる制度対応ではなく戦力化のスピードを左右する取り組みだといえます。
自施設にはどのルートが向いているか
短期間でも即戦力を確保したい施設には特定技能1号、長期的な定着とキャリアパスまで見据えたい施設には特定技能からの介護福祉士取得を経由した在留資格「介護」への移行、すでに技能実習生を受け入れている施設には技能実習2号からの移行が、それぞれ現実的な選択肢になります。複数のルートを組み合わせて、短期の人員確保と長期の定着支援を並行して進める施設も少なくありません。
受け入れ準備の実務
受け入れ機関に求められる主な要件
受け入れ機関には、特定技能雇用契約の適正な履行や、1号特定技能外国人支援計画の実施が義務付けられます。具体的には、日本人の職員と同等以上の報酬を確保すること、支援計画に基づく生活オリエンテーションや相談対応の体制を整えること、出入国在留管理庁や介護分野における特定技能協議会への定期的な報告に対応できる体制を持つことが求められます。これらを自施設内だけで完結させるのが難しい場合に、登録支援機関へ支援計画の実施を委託するという選択肢が出てきます。住まい探しの代行支援まで一貫して行った結果、外国人スタッフの生活面の不安が減り定着につながった例もあり、支援計画は書類上の要件を満たすだけでなく生活面までカバーできるかどうかで効果が変わってきます。
事業所ごとの受け入れ人数の上限
出入国在留管理庁の運用要領では、受け入れ人数の上限は事業所の常勤介護職員総数までとされています。自施設で何人まで受け入れられるかは、常勤職員数を基準に計算することになります。
介護分野別協議会への加入と1号特定技能外国人支援計画の策定
厚生労働省によると、令和6年6月15日以降、特定技能「介護」の外国人材を受け入れる法人は「介護分野における特定技能協議会」の構成員となり、入会証明書の発行を受けることが必要になりました。加入前の受け入れはできないため、採用活動と並行して早めに手続きを進める必要があります。支援計画については、住居の確保や生活オリエンテーションなど、外国人材が日本で安定して働き続けられるための支援内容を具体的に定めて実施します。
準備から就労開始までの流れ
まず自施設が対象施設に該当するかと、どのルートで採用するかを確認します。次に協議会への加入手続きを進め、並行して候補者の選定と支援計画の策定に着手します。雇用契約を締結したら在留資格の申請を行い、許可が下りて初めて就労開始となります。書類の準備から就労開始まで数か月単位の時間がかかることを見込んで、早めに動き出すことが重要です。
受け入れ後に気をつけたいこと
受け入れ後は、協議会や出入国在留管理庁への定期的な報告、在留期間の更新管理が必要になります。特定技能1号は通算5年が上限のため、更新のタイミングを見誤らないよう管理体制を整えておいてください。また特定技能人材は同一業務区分内であれば転職が可能な制度のため、他施設への転職を防ぐという観点でも、日頃からの定着支援が欠かせません。
特定技能「介護」の受け入れ事例
スーパーバイザー配置と資格取得支援で40名近くの人材が定着した事例
首都圏で20施設以上の特別養護老人ホームや介護老人保健施設などを運営する社会福祉法人による事例です。
課題
外国人スタッフの日本文化への適応支援と早期定着の方法を模索していました。特定技能の在留期間には上限があるため、継続雇用のためには介護福祉士資格の取得が必要でしたが、内製での教育体制を整えるのが難しい状況であった。
対応策
日本在住の外国人スタッフをスーパーバイザーとして配置し、業務指導と生活サポートを行う体制を構築。あわせて施設内に講師を派遣する資格取得支援サービスを活用し、独自教材を使いながら日本人職員と一緒に資格取得を進める仕組みを導入。
導入効果
- 定量面:外国人材の紹介数が40名近くに拡大
- 定量面:入職4〜5年目の人材がリーダー級に成長
- 定性面:施設長候補となる人材育成の促進
夜勤独立までの手厚いサポートで利用者評価が高まった事例
1都5県で36の事業所・施設を運営し、外国人スタッフ約50〜60名が在籍する介護福祉事業者の事例です。
課題
特定技能資格保有者の採用方法が明確でなく、外国人スタッフの住まい探しの負担も大きい状況。加えて、職員のコミュニケーションや生活サポートに対する現場不安が絶えない状況。
対応策
入社前の二次面接でミスマッチを防ぎ、住まい探しの代行支援を実施。夜勤に1人で入れるようになるまでの独立支援と、緊急時対応の研修も実施。
導入効果
- 定量面:外国人スタッフがリーダー・サブリーダー職に昇進する実績を多数輩出
- 定性面:利用者からの評価が非常に高い水準で推移
- 定性面:介護福祉士資格の取得を目指すスタッフの増加
採用費1,000万円超でも進まなかった採用が半年で20名規模に転じた事例
臨床検査業を母体とし、神奈川エリアで地域密着型の介護事業を展開する企業の事例です。
課題
深刻な職員不足に対して、1,000万円以上の採用費をかけてもパート4名程度しか採用できない状況が続いていた。特定技能外国人制度への知見不足と、コミュニケーション面での現場の懸念もあり。
対応策
在留資格変更の手続きを含めた特定技能外国人の採用支援と、人材紹介による候補者提供を活用。一緒に受け入れ環境をつくっていく伴走型の支援を受けながら、段階的に自社で運用できる体制へと移行。
導入効果
- 定量面:特定技能外国人13名、技能実習生7名を採用し、半年で7名以上の採用に成功
- 定量面:各施設の採用希望人数が当初3名から17名に増加
- 定性面:社員の残業時間が減少し、感染症流行時など人員需要が増えた場面でも迅速に対応できる体制構築に成功。
3つの事例に共通するのは、制度対応だけで終わらせず、夜勤への独り立ち支援、資格取得を通じた長期的なキャリアパスの提示、採用コストに見合う効果検証という、この記事で取り上げた論点を実務の中で具体的に運用している点です。
人手不足と受け入れ体制の課題を経営層に説明する コストと効果の伝え方
整理すべきコスト要素
| コスト要素 | 内容 |
|---|---|
| 協議会関連費用 | 介護分野における特定技能協議会への加入・年会費等 |
| 支援体制構築費用 | 支援計画の策定、住居確保支援、生活オリエンテーション等の実施体制 |
| 登録支援機関委託費用 | 支援計画の実施を委託する場合の月額委託料 |
| その他周辺コスト | 日本語教育、資格取得支援、異文化理解研修等 |
効果を数字で示す
経営層への説明では、コストだけでなく効果を対にして示すことが欠かせません。前章の事例では、採用希望人数が3名から17名に増えた例や、残業時間の減少、離職率の改善につながった例が見られます。自施設に置き換えたときにどの程度の効果が見込めるかを、現状の有効求人倍率や離職率の数値と照らし合わせて提示すると、説得力のある資料になります。
介護報酬・処遇改善加算との関係で押さえておきたいこと
介護保険制度のもとでは、人員配置基準を満たしているかどうかが介護報酬や各種加算の算定要件に関わってきます。特定技能人材を配属直後から人員配置基準に算入できることは、単なる人手確保にとどまらず、加算要件の維持や新たな加算の算定可能性にもつながる経営上のメリットです。人員体制が薄いことを理由に加算を算定できていない施設にとっては、特定技能人材の受け入れが加算区分の見直しにつながる可能性もあります。処遇改善加算の対象となる職員の範囲についても、自施設の給与体系と照らし合わせて事前に確認しておくと、経営層への説明がより具体的になります。日本人職員と同等以上の待遇を確保する義務がある点も踏まえ、賃金テーブルの整合性を事前に整理しておくとスムーズです。
決裁を得るための資料の作り方
決裁を得るための資料は、現状の人手不足の深刻さを数字で示す部分と、受け入れにかかるコストと得られる効果を対比させる部分の2つで構成すると伝わりやすくなります。既存の派遣・紹介サービスと比較したコスト構造の違いも、あわせて示しておくと判断材料として機能します。加えて、協議会加入から就労開始までにかかる期間の見通しを添えることで、経営層は意思決定のタイミングを判断しやすくなります。受け入れ後にどのタイミングで人員配置基準への算入や夜勤への段階的な参加が見込めるかまで示せると、資料としての説得力がさらに増します。
登録支援機関を選ぶ際の視点
支援計画の実施を登録支援機関に委託する場合は、介護分野での実績があるか、住居確保や生活オリエンテーションまで一貫して対応できるかを確認してください。制度対応だけでなく、定着支援まで見据えた提案ができるかどうかが、選定の分かれ目になります。
専門パートナーの活用も選択肢に
制度理解から候補者の紹介、支援計画の実務までを自社だけで抱えるのが難しい場合は、専門の支援会社を活用するのも現実的な選択肢です。
ウィルオブ・ワークでは、介護分野に特化した特定技能外国人の紹介から、住まい探しの支援、資格取得を後押しする研修プログラムまで、受け入れ準備から定着支援までを一貫してサポートしています。制度対応に不安がある場合は、まず現状の課題を相談してみることをおすすめします。
特定技能「介護」に関するよくある質問
特定技能「介護」を検討する中で寄せられることが多い質問をまとめました。
特定技能「介護」と技能実習「介護」はどう違いますか
技能実習は技能移転を目的とした制度で転籍が原則できないのに対し、特定技能は人手不足対応を目的とした就労のための在留資格で、同一業務区分内であれば転職が可能です。技能実習2号を良好に修了すると、特定技能への移行時に技能評価試験と一部の日本語試験が免除されます。
喀痰吸引などの医療的ケアは任せられますか
原則として対象外です。認定特定行為業務従事者研修を修了すれば、日本人職員と同様に一部の医療的ケアを担当できるようになります。
特定技能の外国人材は夜勤に1人で配置できますか
配属直後から人員配置基準に算入されるため制度上は可能ですが、緊急対応や日本語での連絡といった業務負荷を踏まえ、段階的に独り立ちまでの期間を設ける施設が多くなっています。
訪問介護にも対応してもらえますか
2025年4月の告示改正以降、介護職員初任者研修修了課程等の修了と、施設系サービスでの実務経験原則1年以上を満たせば訪問系サービスにも従事できます。
派遣社員として受け入れることはできますか
できません。特定技能は直接雇用が原則で、労働者派遣は認められていません。
特定技能2号はありますか、介護福祉士になるにはどうすればいいですか
介護分野に特定技能2号はありません。代わりに介護福祉士の国家資格を取得すると、在留期間の上限がなく家族帯同も可能な「在留資格『介護』」へ移行できます。介護福祉士は実務経験ルートや養成施設ルートなど複数の取得方法があります。
介護分野別協議会への加入は必須ですか
必須です。令和6年6月15日以降、特定技能「介護」の外国人材を受け入れる法人は介護分野における特定技能協議会の構成員となり、入会証明書の発行を受ける必要があります。
受け入れ人数に上限はありますか
あります。事業所ごとの受け入れ人数は、常勤の日本人等介護職員の総数が上限になります。
EPA介護福祉士候補者と特定技能はどう違いますか
EPA介護福祉士候補者は、インドネシア・フィリピン・ベトナムとの経済連携協定に基づく受け入れ制度で、就労・研修を経て介護福祉士の国家資格取得を目指す仕組みです。特定技能は人手不足対応を目的とした就労のための在留資格である点が異なり、受け入れの手続きも異なる機関を通じて行われます。
まとめ:任せられる範囲・夜勤配置・利用者受容の3点から見極めて動く
特定技能「介護」を検討する際は、制度要件を満たしているかどうかだけでなく、次の3点を順に確認することをおすすめします。まず身体介護と生活援助はどこまで任せられ、医療的ケアはどこで線引きされるのかという業務範囲の把握です。次に、配属直後は人員配置基準に算入できる一方、夜勤への1人配置だけは段階的に進める必要があります。そして、言葉の壁や認知症ケア、宗教・生活習慣への配慮まで含めた、利用者とご家族に安心してもらうための受け入れ準備です。この3点を押さえたうえで、技能実習・特定技能・在留資格「介護」・EPAという4つのルートの中から自施設に合う採用経路を選べば、制度対応で終わらない、現場に根付く受け入れが実現できます。
介護現場の人手不足や外国人材の受け入れ体制づくりについて相談したい場合は、ウィルオブ・ワークの介護分野向け特定技能外国人受け入れ支援サービスをご検討ください。
