【企業向け】派遣と請負の違いとは?メリット・デメリットもあわせて徹底解説!

従業員との業務委託契約には「派遣」と「請負」があります。今回の記事では、派遣契約と請負契約はどのように違って、どんなメリット・デメリットがあるのか?などについて詳しく解説していきます。
あなたが事業主として契約を結ぶ際に、「派遣」がいいのか「請負」がいいのか、はこの記事を読んでいただくと完全にお分かりいただけます。

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派遣と請負とは

そもそも「派遣契約」と「請負契約」の間にはどんな違いがあるのでしょうか?簡単にまとめてみたのでご紹介していきます。似たような働き方ですが、共に大きな違いがあります。

派遣とは

派遣とは、発注主の企業が派遣会社と労働者派遣契約を結び、派遣会社から人材を派遣してもらう契約形態です。発注主は派遣会社と契約をし、派遣された人材に対して指揮命令を行って労働力を確保します。雇用期間には定めがあり、報酬は「労働力」に対して支払われるようになっています。

あなたの会社が指揮命令を出し仕事をこなしてもらって、働いた時間に対して賃金を支払っていくのが、派遣労働者を雇用するということです。

請負とは

請負とは、発注主の企業が請負会社と請負契約を結び、請負会社から成果物を納品してもらう雇用形態です。報酬は成果物にのみ対して支払われ、契約期間などは定められていません。どれだけの期間を雇用したのか?という考え方はなく、この成果物にどれだけの支払いをするのか?という考え方になっています。

民法では請負を以下のように定義しています。「請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。(民法632条)」

派遣と請負の主な違い

派遣契約と請負契約がある程度違う事はご理解いただけたと思います。ここではさらに深掘りして4つの項目に分け、派遣と請負の違いについて詳しく解説していきましょう。

目的の違い

派遣契約と請負契約では、目的に対する違いがあります。派遣契約の場合であれば、「労働力を時間で換算して契約」します。「○○円×8時間」というように報酬を計算し、派遣労働者に支払わなければいけません。時給ベースの考え方です。

一方の請負契約では、作業時間での契約はありません。「Aという成果物を○○万円で納品して欲しい」というような契約を請負会社と結び、「成果物に対して報酬を支払う仕組み」となっています。
どれだけの時間を費やして成果物を完成させたのか?ということは、請負契約では加味されないのが特徴です。

指揮命令権の違い

派遣契約と請負契約では、指揮命令権の所在も異なります。指揮命令権とは、仕事の指示を出す権利の事ですが、派遣雇用では発注主が指揮命令権を持っています。

派遣された労働者に対し指示を出すのは、発注主の会社です。ただし、報酬の支払いは派遣会社が行うため、仕事の指示を出すところと、報酬の支払元が異なる契約となっています。

請負契約では、指揮命令権は請負会社が持っていて、作業の指示を出すのは請負会社です。報酬の支払いも請負会社から労働者に支払われるため、シンプルな雇用形態とも言えます。

契約期間の違い

派遣契約と請負契約では、契約期間にも違いがあります。派遣契約には契約期間に関する取り決めが数カ月単位で明確に決められていて、契約期間の終了時に再度契約するのか?を決定しなければいけません。

請負契約では、成果物を納品することを目標としているため、成果物を納品する「納期」が事実上の契約期間に当たります。納品してもらった成果物に対し報酬を支払うため、明確な契約期間というものが存在しない労働契約です。

労働法が適用されるか

派遣契約と請負契約の間では、労働法が適用されるかどうかも異なるポイントです。派遣社員には労働法が適用されますが、請負で業務委託をしている場合には労働法は適用されません。

労働法とは、雇用されている人を守るための法律で、請負で業務委託をしている方と発注主は雇用契約を結んでいないため、労働法の対象にならないのです。

派遣のメリット

派遣のメリット
派遣社員を雇用すると、様々なメリットがあります。具体的に見ていきましょう。

必要な人材を必要な期間だけ使うことができる

請負にも共通するメリットですが、派遣では必要な人材を必要な期間だけ雇用できます。例えば、業務量が時期によって異なる場合などは、特定期間のみ人材が必要というケースもあります。
そのような場合に、PC操作が可能な人材を3ヶ月だけ雇い入れる、ということが可能です。

自社の方針・方法で業務を指揮できる

派遣社員を雇用すると、発注主に指揮命令権があります。つまり、あなたの会社で派遣労働者を雇うと、あなたの会社から派遣社員に指示が出せます。

請負契約のように、外部委託をしてしまうと、ムラや無駄が発生している事もあります。自社の方針・方法のノウハウを教え込めば、ムラや無駄を極力なくした作業をしてもらう事が可能でしょう。

派遣から正社員に雇用可能な場合もある

派遣社員と雇用契約を継続して結び続けていれば、正社員として登用することも可能です。派遣社員と正社員では雇用条件や福利厚生が違う場合が多いのが現状です。

派遣社員の中には、正社員になってより待遇の良い環境で働きたいと考える人もいます。優秀な派遣社員であれば、正社員に登用して雇用すれば自社の利益にも繋がるでしょう。

派遣のデメリット

派遣社員を雇用すると、どんなデメリットがあるのか?詳しくご紹介いたします。

指揮命令のコストがかかる

派遣社員を雇用すると、指揮命令を行うのは発注主である会社です。派遣社員は指示をしなければ業務を遂行してくれないため、指示が出せる人材を常に確保しておく必要があります。

正社員とは違い帰属意識も低くなりがちなので、自ら率先して仕事をする人よりも、指示待ちをしてしまう人の方が多いでしょう。

教育コストがかかる

派遣社員を雇用すると、作業内容に対して知識がない事が多いため、研修や教育などにある程度の時間が必要です。きちんと仕事を覚えて業務をこなせるようになるまでは、育成コストを考えておかなければいけません。

また、仕事を覚えてもらっても契約期間が満了してしまうと、派遣会社に戻ってしまうため、社内にノウハウとして蓄積されにくいのも派遣社員のデメリットでしょう。

請負のメリット

一方、請負契約を結ぶ中にもいくつかのメリットがあるのでご紹介していきます。

成果に対して費用を支払う

請負で契約を結ぶと成果に対して費用を支払うことになります。つまり、ある一定の金額以上は報酬を支払う事が無くなるため、人件コストを抑制することに繋がるのです。
派遣社員と違って、時給での報酬換算がありませんので、無駄な報酬を支払わなくていいのは大きなメリットでしょう。

教育コストを削減できる

請負で契約を結ぶと教育コストを削減できるメリットもあります。請負の労働者には成果物に対しての報酬を支払うのみです。
もともと専門的なスキルを持っている人が作業をこなしてくれるため、発注主から教育を行う必要がありません。
研修や教育を行う手間が省かれるため、教育コストを大幅に削減することが出来るでしょう。

指揮命令のコストを削減できる

請負で業務委託をした際には、指揮命令のコストを削減できるというメリットがあります。請負の労働者の場合、指揮命令権を持っているのは、請負会社です。
発注主には指揮命令をする権限が無いため、指揮命令のコスト負担削減に繋がります。社員を雇用するコストを考えると割安に業務委託が出来るでしょう。

請負のデメリット

請負で労働者と契約するとどんなデメリットがあるのでしょうか?いくつか見ていきましょう。

業務の質のコントロールが難しい

請負で契約を結ぶと、作業内容も人材に任せることになるため、業務の質にムラが出来やすいです。スキルが高い人材であれば問題ありませんが、スキル不足の人材に委託することになれば、精度は劣ってしまうでしょう。
また、指揮命令を行う事も請負会社にしか許されていないため、その点でも質をコントロールすることは難しくなります。

ノウハウや技術が会社に蓄積されない

請負で業務委託すると、ノウハウや技術は会社に蓄積されていきません。社内での横展開でノウハウを広げていくことも難しいといえるでしょう。
ただし、契約内でレポートの作成や定期的な報告をさせることは可能で、それを通じて作業全体の流れを共有することは出来ます。

コストが高くなる場合もある

請負で業務委託をすると、かえってコストが高くなることもあります。請負で作業をする人材は、専門性が高いスキルを持ち合わせている場合が多いです。

そのため、高額な依頼料金を支払うケースもあります。そうした時に、長期的に請負契約をしていると、正社員に仕事を任せた方が安く済むこともあります。

派遣か請負か、選ぶ基準

派遣か請負か選ぶ基準
派遣契約を結ぶのか、請負契約を結ぶのか、はそれぞれに一長一短のメリット・デメリットがあります。どんなところに気を付けて選んでいけばいいのか解説していきます。

指揮命令権が必要かどうか

現場での指揮命令権が必要かどうかは、派遣にするか請負にするかで気にするべき点です。製造組み立て、建築、テレオペなどの業務では、突発的なアクシデントが発生してしまう事もあります。

そうした時に、派遣契約を結んでいればアクシデントにも対応できる命令を下せますが、請負契約では指揮命令権が請負会社にあるため、臨機応変な対応がしにくいこともあります。成果物出来上がりの精度が重視される仕事に対しては、請負の方が効率的でしょう。

第三者の視点を求めるかどうか

派遣と請負を比べた際に派遣労働者であれば、自社のノウハウで仕事を進めていくことでしょう。その場合、派遣社員は指揮命令を待って仕事に取り掛かるため、第三者出来な視点で物事を見られなくなっていきます。

一方、請負の業務委託で仕事をこなす人材は、会社とは関係のない外部の人間です。常に客観的な視点であなたの会社を見ることが出来るため、新たな発見をし、イノベーションに繋がりやすいでしょう。

どれくらい予算があるか

派遣社員と契約を結ぶと、契約期間中は賃金の支払いが発生します。長期的に契約していると、相応の負担になってくるでしょう。

一方の請負で契約すると成果物に対しての支払いのみなので、無駄な支出を抑えられる場合もあります。自社の予算に応じて、派遣と請負を使い分けましょう。

派遣と請負の契約時の注意点

派遣契約を結ぶときと、請負契約を結ぶときにはどんなところに注意をして結べばいいでしょうか?簡単にご紹介いたします。

請負の場合

請負の場合に気を付けなければいけないのは「偽装請負」です。偽装請負とは請負を装った労働者派遣のことで、契約書類などをよく確認することで防ぐことが可能です。
派遣と請負の違いを明確に理解し、偽装請負に合わないように注意しましょう。

派遣の場合

派遣契約を結ぶ際にはいくつかの規制があります。
1つ目は「派遣労働者への事前面接の禁止」です。派遣労働者に事前に面接を行う事は法律で禁止されています。

2つ目は「派遣禁止業務ではないか?」という点です。港湾運送業務や建設業務、警備業務、病院などでの業務は派遣社員に禁止されている業務です。

3つ目は「派遣元事業者は労働者派遣事業の許可を有しているか」ということです。平成30年9月30日より、派遣事業は許可制になりました。許可を受けていない派遣元事業主から労働者派遣を受け入れた場合は、労働者派遣法違反の罪の問われると定められています。

4つ目は「偽装請負ではないか?」という点です。偽装請負は偽装をした会社だけでなく、受け入れた会社も同様の罪に問われます。知らないうちに派遣社員を請負として契約した際には、「労働契約申込みみなし制度」が適用される事もあります。この制度が適用されると、派遣社員のスキルが不十分であるにも関わらず、正社員と同じ条件で雇用をしなければいけなくなるのです。

まとめ

今回は派遣と請負の違いを詳しく解説してきました。派遣と請負はとても似た雇用形態に見えますが、実際には契約内容は大きく異なるのです。

フレキシブルな働き方をする労働者は増えていています。会社規模や課題に合わせて、効率よく、優秀な人材を獲得していくために、まずは課題の整理からしていきましょう。

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