介護職種で外国人雇用をするには?受け入れの仕組みと留意点を解説

採用活動をしていてもなかなか応募が集まらず、新しい採用方法を検討していく中で、外国人雇用に関心を持っている介護事業所が増えています。

ですが、外国人をどうやって雇用したらいいのかわからないという漠然とした疑問や不安を抱いている人が多いのも事実です。そこで、この記事では介護職種で外国人雇用をするための受け入れの仕組みと、雇用した際の留意点について解説します。

介護業界で外国人の採用・雇用を検討しているならJapanWorkに相談を

人手不足の問題を抱えている介護業界。外国人の雇用を検討していても、手続きや指導・教育などが難しいと悩まれているのであれば、ウィルオブにご相談ください。

詳しい制度の説明や、受け入れ準備、配属後のサポートまで行っているので安心して受け入れ態勢を整えられます。

JapanWorkへ問い合わせ・相談する

介護施設で外国人を雇用する理由

まずは、なぜ外国人雇用を進めている事業所が多いのか、その理由とメリットを説明します。

介護業界の現状

介護業界は、2025年問題や2040年問題と言われているように、少子高齢化社会の影響で働き手が不足することが予想されています。

厚生労働省「第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」によると、2040年度には約69万人の介護職員の追加が必要であると公表しています。

そして、介護労働安定センター「令和元年度「介護労働実態調査」の結果」によると、介護事業所の従業員からは「従業員の不足を感じる」と答えた人が全体の約65%との結果がでており、不足の理由は「採用が困難である」の回答が約90%でした。同業他社との競争が激しいことが、採用困難の主な理由とされています。

このように、介護業界では慢性的な人手不足の状態であることがよくわかります。人材不足を解消するために、採用費を多くかけている事業所も増えているようですが、応募者が集まらない、長期就業につながらないという悩みもよく聞きます。そこで、外国人雇用に挑戦しようという事業所が多くなってきました。

外国人を雇用するメリット

ここからは、外国人雇用のメリットについて説明します。また、デメリットについても触れていきますので、そちらもあわせてご覧ください。

長期就労の人材を確保できる

外国人は、日本で働くことのできる在留資格を持っていないと就労できません。在留資格にはそれぞれ在留期限という、日本に滞在できる期間=働ける期間が決まっています。介護職として働くことのできる在留期限は、最低でも3年はあるので長期雇用が可能です。

また、外国人雇用が注目されているとはいえ、まだまだ外国人が転職しやすい環境ではないところもあります。
外国人にとっても日本語で職を探して、一から新しいことを始めるのはハードルが高いため、結果として同じ会社で長期的に就労する傾向にあります。

職場に活気がでる

外国人を雇用することで、教育について話し合ったり、みんなで育てようという共通の目標ができることで職員間でのコミュニケーションも頻繁になります。

利用者にとっても、外国人が一生懸命頑張っている様子を見て話しかけたり日本語を教えたりという交流を増やすきっかけにもなります。

介護サービスの満足度向上につながる

外国人に教えるのが大変というイメージもありますが、教育係とほかの職員からの指示が違う表現であれば混乱することは日本人も同じです。

 

そういった混乱を防ぐために、事業所内のマニュアルや職員同士で使用する専門用語や略語を統一したり、職場全体で今までの業務を見直すことで介護サービスの向上につなげることができます。そのような職場は外国人にとっても業務がわかりやすく、すぐに仕事を覚えてもらえます。

国際貢献につながる

外国人の持っている在留資格によって異なりますが、特に技能実習は国際貢献を目的としている制度です。高齢化が日本ほど進んでいる国は少ないため、介護技術を外国人に学んでもらい、それを母国の発展に役立ててもらうことができます。

外国人を雇用するデメリット

メリットだけではなく、デメリットとなる部分もありますので紹介していきます。

指導や教育に時間を要する

異国の地に来て、母国語以外で仕事をするので指導内容の理解に時間がかかり、日本人職員よりも指導や教育には時間がかかります。ただし、メリットでも紹介したように、外国人にとってもわかりやすいようなマニュアルや指導方法の見直しができれば、すぐに仕事を覚えて戦力となってくれますよ。

手続きの工数が増える

日本人雇用とは違い、外国人を雇用するには在留資格の手続きやハローワークへの届け出などが必要です。在留期限を過ぎてしまっている、届け出を忘れていた、ということがないように管理には注意しましょう。

在留資格の手続きについては、在留期日の1か月前までに出入国在留管理局へ書類を提出します。ハローワークへの届け出については、「ハローワークへの届け出」で説明しているのでそちらをご覧ください。

4つの在留資格の受け入れの仕組みとは

介護職として外国人が働くことのできる在留資格は4つです。この4つの在留資格で採用する場合は、日本人とは方法が異なるため受け入れの仕組みについて解説します。下記の記事で、在留資格の制度や条件などを解説していますので、あわせてご覧ください。

 

1.EPA

EPAとは日本と経済連携協定を結んでいるインドネシア、ベトナム、フィリピンの3か国から、介護福祉士取得を目的として来日する外国人のことです。在留期間は4年間ですが、EPAでの採用を希望する場合は、必ず公益社団法人国際厚生事業団(JICWELS)への登録をしましょう。

JICWELSは、日本国内の医療法人、社会福祉法人等を対象に候補者のあっせん等の業務を行う唯一の受入れ調整機関です。登録をしないと面接をすることはできませんが、登録後、面接を行い候補者とマッチングした場合に企業の直接雇用として採用することができます。
ただしマッチングが成功したからといってすぐに職場に来てもらえるわけではなく、日本語の研修があるため、最短でも2.5か月後から就労開始となります。また、国によって就労開始までの流れが違うので、以下画像を参考にしてください。


参考元:厚生労働省「経済連携協定(EPA)に基づく外国人看護師・介護福祉士候補者の受入れ概要

就労開始後は、介護福祉士合格のための学習支援を行いましょう。

 

2.在留資格「介護」

日本で介護職として就職するための在留資格で、介護福祉士資格を所有しているもしくは介護福祉士養成校を卒業した外国人が対象です。在留期間の上限がなく、日本の介護の知識を持った外国人を採用できるのが最大の特徴です。

日本にいる外国人を採用するのが一般的ですが、介護福祉士を取得していれば海外から呼び寄せることも可能です。あっせん機関への登録は必要なく、派遣社員としての雇用はできないため、自社で採用となります。

3.技能実習

技能実習は、母国の発展のために日本の介護技術を実習しに来る外国人です。先ほど国際貢献ができる制度として紹介したのが、この技能実習です。在留期間は3~5年間で、技能実習を採用する場合は、監理団体の会員になる必要があります。

監理団体は海外にいる候補者のあっせん機関であり、技能実習生が来日した後の監査なども担っています。監理団体を選ぶ際は下記2点をポイントにしてください。

  • 介護職の知識がある団体かどうか
  • 技能実習生の来日後もフォローをしてくれるかどうか

監理団体の会員になったら面接を行いますが、候補者は海外にいるため現地に行くか、Zoomなどのオンラインで実施します。内定後、技能実習計画を作成します。技能実習生は実習が目的のため、そのプランを作成し、外国人技能実習機構から認定をもらわなければ来日ができません。

また、来日までに技能実習生の住居の手配も進めましょう。

実習開始までの期間 事業所の動き
実習6か月以上前 監理団体の会員加入
実習6か月前 面接
実習4か月前 技能実習計画の作成・提出
実習1~2か月前 技能実習生 来日
実習1か月前 住居の手配など受け入れ準備
実習開始

 

4.特定技能

特定技能は、人手不足が顕著にみられる14の分野で外国人が働くことができる制度で、その分野の相当程度の知識または経験を持つ外国人に向けた在留資格です。在留期間は、通算5年あります。

海外からも日本国内でも採用ができ、あっせん機関を利用せず自社で採用することができます。ただし、採用にあたり外国人への決められた支援があります。この支援を行うことが特定技能外国人を雇用する条件ともなるので、事前に支援が自社で行えるか判断しておくことが大切です。
自社で支援を行う場合は、支援計画を作成し入国管理局へ提出します。自社での支援が難しい場合は、登録支援機関へ委託をすることができます。

1. 事前ガイダンス 労働条件や入国手続きについて対面・テレビ電話等で説明
2. 出入国する際の送迎 出入国時の空港等⇔住居の送迎
3. 住居確保・生活に必要な契約支援 社宅の提供や携帯電話や水道ガス電気などの契約の案内、補助
4. 生活オリエンテーション 日本のマナーや交通ルール等の説明(8時間以上の実施)
5. 公的手続等への同行 住居地・社会保障・税などの手続の同行、補助
6. 日本語学習の機会の提供 日本語学校や教材の案内
7. 相談・苦情への対応 職場や生活上の相談や苦情に対し、その外国人の母国語での対応、指導
8. 日本人との交流促進 地域住民との交流の場やお祭りなどの案内
9. 転職支援(人員整理等の場合) 雇用側の理由により契約を解除する場合は、転職先を探す手伝いや必要な行政手続の情報の提供
10. 定期的な面談・行政機関への通報 支援責任者等が外国人及びその上司等と3か月に1回以上面談を行い、違反等があれば通報

参考元:出入国在留管理庁「新たな外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組

 

▼関連記事
介護の特定技能に関しては、下記記事で詳しく解説しています。
介護の「特定技能」とは?採用検討で必要な知識を解説

 

外国人を雇用した際の留意点

外国人にも日本の労働関係法が適用されるため、就業時間や残業、給与などの待遇面は日本人と同じです。それ以外にも雇用した際に注意が必要な部分を説明します。

保険や年金の加入について

日本の企業で働いているため、こちらも日本人と同様に加入が必須です。社会保険や労災保険など、忘れずに加入の手続きをしましょう。また、外国人であっても年金手帳は発行されるので、年金の手続きも忘れずに行ってください。

日本で暮らす・働くということは日本の行政のルールが適用されるため、外国人も納税の義務があり、住民票やマイナンバーも登録・発行されます。外国人だからといって手続きを怠らないよう注意してください。

ハローワークへの届け出

どの在留資格であれ、外国人を雇用している企業は、ハローワークへ「外国人雇用状況の届出」が義務付けられています。これは特別な手続きではなく、雇用保険被保険者資格取得届をハローワークに提出するさいに、国籍や在留資格名を記入するだけです。

入職時と離職時に届け出をしなければならないため、忘れずに行いましょう。

宗教や文化の理解、配慮

外国人の宗教や母国の文化理解、配慮を行うことも大切です。宗教や育ってきた環境により、食事も違いますし、お祈りの習慣がある人もいます。お互いがどこまで歩み寄れるか相談しておくといいでしょう。

宗教や文化への理解や配慮をしてくれる職場であれば、外国人にとって働きやすい環境となります。長期就労をしてもらうためにも、そのような取り組みを会社全体で行うことが重要です。

まとめ

介護職種で働くことのできる在留資格は4つあり、それぞれ受け入れ方法が異なることから事業所にあった採用方法を見つけることが大切です。また、雇用したら日本人と同じように社会保険の加入など手続きを忘れずに行い、一緒に働く仲間としてお互いに宗教や文化の理解をすることが長期就労してもらうためのポイントです。

今回紹介した外国人を雇用するための受け入れの仕組みや留意点、雇用することによるメリット・デメリットを考慮し、採用課題解決のための外国人雇用の検討を進めてみましょう。

介護業界で外国人の採用・雇用を検討しているならウィルオブに相談を

人手不足の問題を抱えている介護業界。外国人の雇用を検討していても、手続きや指導・教育などが難しいと悩まれているのであれば、JapanWorkにご相談ください。詳しい制度の説明や、受け入れ準備、配属後のサポートまで行っているので安心して受け入れ態勢を整えることが可能です。

ウィルオブへ問い合わせ・相談する
ユーザー画像
編集部採用ジャーナル