個人事業主が外国人雇用をする場合の注意点と確認事項

個人事業主で外国人の人材が必要なとき、法人企業と同じ流れで採用できるのかどうか気になっている方は多いのではないでしょうか。個人事業主は法人企業と比べて外国人の採用が難しい傾向にあります。

また、採用時にはいくつかの注意点もあるので、あわせて確認しておきましょう。ここでは、個人事業主が外国人を雇用するケースや方法、注意点などについて詳しくご紹介します。

 

個人事業主が外国人採用するケース

個人事業主が外国人を採用するのは、次のようなケースです。

  • 翻訳の仕事を任せる
  • 外国人の取引先との通訳担当
  • 外国人の顧客対応

 

外国人は母国語をネイティブレベルで話せるため、その国の言葉へ翻訳する仕事や外国人の取引先との通訳、外国人の顧客対応などを任せられます。うまく活用すれば、利益を伸ばすことができるでしょう。

 

個人事業主でも外国人採用は可能?

個人事業主でも外国人を採用することは可能ですが、難易度が非常に高いことに注意が必要です。外国人を採用するには、外国人が活動内容に適した就労ビザを申請する必要があります。このとき、さまざまな必要書類を求められるため、雇用側としては速やかに用意することが大切です。

 

個人事業主は法人企業と比べて、より慎重に審査されます。開業の方法は税務署への開業届の提出のみのため、法人企業よりも信用性が低いのです。

 

ですから、個人で雇用するよりは外国人に特化した人材会社を利用すると安心かつスムーズに雇用することができます。

 

また、個人事業主は1月1日~12月31日の売上を確定申告しますが、無申告の状況では必要書類を用意できないため、実質のところ外国人を採用できません。確定申告をしていない場合は、さかのぼって修正申告をしましょう。

 

外国人採用時に確認しておきたいことや注意点

それでは、個人事業主が外国人を採用するときの確認事項や注意点について、詳しくみていきましょう。

 

就労ビザの申請が通りにくい

個人事業主は、法人企業と比べて実態の証明が難しいため、就労ビザの審査が厳しくなります。例えば、個人事業主は登記が不要のため、登記簿謄本を用意できません。また、節税によって赤字になっているケースもあるでしょう。

このように、必要書類を十分に用意できず、決算上も赤字になっていることで審査を通過できなくなります。

 

個人事業主の場合の必要書類

個人事業主は登記簿謄本を提出できないため、代替え書類として前年度の確定申告書の控えを提出します。しかし、開業から1年が経過していない場合は、確定申告書の控えを提出できません。その場合は、次の書類を提出しましょう。

 

  • 給与支払事務所等の開設届出書の写し(受付印があるもの)
  • 「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」の写し(受付印があるもの)、または「直近3か月分の給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書」の写し(受付印があるもの)
  • 事業計画書
  • 取引の実態がわかる契約書や発注書など

上記の書類により、個人事業主として実際に事業を行っていることを証明することが大切です。

 

審査に通過するためのポイント

それでは、就労ビザに通過するためのポイントを詳しくみていきましょう。

 

必要書類を全てそろえる

外国人を雇用する企業や個人の規模に応じて、4つのカテゴリーにわかれています。カテゴリーの数字が大きいほどに必要書類が増えます。個人事業主は、最も多くの必要書類を求められるカテゴリー4です。下記では個人事業主の場合に必要な書類の部分のみ抜粋しました。提出を求められる書類を詳しくみていきましょう。

 

・労働契約を締結する場合
労働基準法第15条第1項及び同法施行規則第5条に基づき,労働者に交付される労働条件を明示する文書 1通

引用元:6 申請人の活動の内容等を明らかにする次のいずれかの資料

・7申請人の学歴及び職歴その他経歴等を証明する文書
(1)申請に係る技術又は知識を要する職務に従事した機関及び内容並びに期間を明示した履歴書 1通
(2)学歴又は職歴等を証明する次のいずれかの文書
ア 大学等の卒業証明書又はこれと同等以上の教育を受けたことを証明する文書。なお,DOEACC制度の資格保有者の場合は,DOEACC資格の認定証(レベル「A」,「B」又は「C」に限る。) 1通

イ 在職証明書等で,関連する業務に従事した期間を証明する文書(大学,高等専門学校,高等学校又は専修学校の専門課程において当該技術又は知識に係る科目を専攻した期間の記載された当該学校からの証明書を含む。) 1通

ウ IT技術者については,法務大臣が特例告示をもって定める「情報処理技術」に関する試験又は資格の合格証書又は資格証書 1通
※【共通】5の資料を提出している場合は不要

エ 外国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務に従事する場合(大学を卒業した者が翻訳・通訳又は語学の指導に従事する場合を除く。)は,関連する業務について3年以上の実務経験を証明する文書 1通

8 登記事項証明書 1通
9 事業内容を明らかにする次のいずれかの資料
(1)勤務先等の沿革,役員,組織,事業内容(主要取引先と取引実績を含む。)等が詳細に記載された案内書 1通
(2)その他の勤務先等の作成した上記(1)に準ずる文書 1通

引用元:7 申請人の学歴及び職歴その他経歴等を証明する文書

・8 登記事項証明書 1通
9 事業内容を明らかにする次のいずれかの資料
(1)勤務先等の沿革,役員,組織,事業内容(主要取引先と取引実績を含む。)等が詳細に記載された案内書 1通
(2)その他の勤務先等の作成した上記(1)に準ずる文書 1通

引用元:7申請人の学歴及び職歴その他経歴等を証明する文書

・直近の年度の決算文書の写し。新規事業の場合は事業計画書 1通
・ 前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表を提出できない理由を明らかにする次のいずれかの資料
(1)源泉徴収の免除を受ける機関の場合
外国法人の源泉徴収に対する免除証明書その他の源泉徴収を要しないことを明らかにする資料 1通
(2)上記(1)を除く機関の場合
ア 給与支払事務所等の開設届出書の写し 1通
イ 次のいずれかの資料
(ア)直近3か月分の給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書
(領収日付印のあるものの写し) 1通
(イ)納期の特例を受けている場合は,その承認を受けていることを明らかにする資料 1通

引用元:
10直近の年度の決算文書の写し。新規事業の場合は事業計画書 1通

 

 

的確な事業計画書を作成する

審査に通過するには、的確な事業計画書を作成することも大切です。創業理由やその事業を選択した理由、集客方法など、さまざまな情報を記載しましょう。また、すでに取引先が存在している場合は、契約書のコピーを提出すると信用性が高まります。収支計画書は、最低1年分を作成しましょう。

 

そのほか、外国人を採用したい理由を申請理由書にて具体的に説明することも重要です。業績アップを見込める理由を外国人ならではのスキルに基づいて示すことで、外国人を採用する必要性をアピールできます。

 

また、翌年の売上見込額が今年度を上回る場合は、翌年分の決算見込みの書類を追加で提出しましょう。安定性が高く継続的に事業を展開できることを示せば、審査に通りやすくなります。

 

必要書類を用意して就労ビザの審査に通過しよう

個人事業主は就労ビザの審査に通過しにくいことが難点ですが、必要書類を十分に用意すれば通過できる可能性があります。特に、事業計画書や収支計算書などの内容が重要なため、外国人人材紹介のコンサルタントのサポートを受けることが大切です。必要書類を十分に用意して審査に通過し、優秀な外国人労働者を雇用しましょう。

 

こちらの記事では、外国人の採用や雇用に関する情報をまとめて紹介しています。ぜひあわせてご覧ください。

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採用ジャーナル 編集部

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