徹底比較『特定技能』と『技能実習』

近年、少子高齢化が急速に進み、2020年7月時点で日本人の人口は約1億2,335万人 、その中で20歳~39歳は25,398人で、2000年頃から若い世代の人口は減少し続けています。

それに伴い、企業では若手人材の確保が難しくなり、特に経験や技術が必要で機械に頼ることができない部品製造工場や、建設・介護・物流企業での人材不足は非常に深刻です。

この深刻な人材不足を解消するべく、数年前から外国人人材受け入れを促進するための制度設立や整備が進められてきました。
2019年4月からスタートした『特定技能』もその取り組みの一つとして新設された在留資格です。

特定技能は従来から存在していた在留資格である『技能実習』からの移行も可能なため、類似した制度だと思われている方も多くいらっしゃいますが、この2つの在留資格は制度の目的や受け入れ要件など多くの違いがあります。今回は『特定技能』と『技能実習』、それぞれの違いを比較しながらご説明していきたいと思います。

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各在留資格の目的の比較

技能実習の目的

技能実習制度は『技能、技術又は知識の開発途上国等への移転を図り、開発途上国の経済発展を担う「人づくり」に協力すること』を目的にしています。

あくまでも、日本で習得した技術を母国に持ち帰り活かしてもらう、国際貢献を目的としているため、労働力を確保するために受け入れることはできません。

出展:厚生労働省『外国人技能実習制度について』

特定技能の目的

現在、人手不足で人材の受け入れが必要と認められている分野(現在14業種)に対して、一定の専門性や技能を持ち、即戦力となる外国人材を受け入れるために創設されました。

既存の就労が可能な在留資格はいずれの資格でも単純労働を行うことはできませんでしたが、特定技能では単純労働を含めた就労も可能になったため、多くの外国人人材に就労チャンスが広がることになりました。

出展:出入国在留管理庁『在留資格「特定技能」について』

受け入れ可能職種の比較

技能実習

技能実習1号 原則制限なし
技能実習2号 83職種151作業
農業(2職種6作業)、漁業(2職種10作業)、建設(22職種33作業)、食品製造(11職種18作業)、繊維・衣類関係(13職種22作業)、機械・金属関係(15職種29作業)、その他(印刷、プラスチック成形、ビルクリーニングなど 17職種30作業)、社内検定型の職種・作業(1職種3作業)
技能実習3号 76職種134作業
農業(2職種6作業)、漁業(2職種9作業)、建設(22職種33作業)、食品製造(9職種16作業)、繊維・衣類関係(10職種12作業)、機械・金属関係(15職種29作業)、その他(印刷、プラスチック成形、ビルクリーニングなど 15職種27作業)、社内検定型の職種・作業(1職種2作業)

(令和3年1月8日現在)
出展:厚生労働省『移行対象職種・作業一覧』

技能実習制度では、技能実習1号から技能実習3号まで段階的に設定されており、技能実習1号では原則的に対象職種の制限がなく、技能実習制度の目的である、発展途上国への技能・技術又は知識の移転、経済発展に寄与する技能であれば基本的に認められます。

ただし、技能実習2号、技能実習3号では対象職種が定められているため、技能実習1号で技能を習得した職種が技能実習2号に含まれていなければ、移行することができません。

また、技能実習2号で対象となっている職種の一部が技能実習3号では整備されておらず、移行できないことがあるのでこちらも注意が必要です。
出展:外国人技能実習機構

特定技能

特定技能1号

  • 介護業
  • ビルクリーニング業
  • 素形材産業
  • 産業機械製造業
  • 電気・電子情報関連産業
  • 建設業
  • 造船・舶用工業
  • 自動車整備業
  • 航空業
  • 宿泊業
  • 農業
  • 漁業
  • 飲食料品製造業
  • 外食業

特定技能2号

  • 建設業
  • 造船・舶用工業

現在、特定技能の対象業種は上記の14業種ですが、人材不足が緩和されれば対象からは外され、また現時点で対象外の職種であっても人材確保の必要性を認められれば随時追加されていく予定です。

受け入れ可能人数の比較

技能実習

技能実習生は受け入れ人数に制限があり、基本人数枠内でしか受け入れることはできません。
基本人数枠は、実習実施者(受け入れ企業)の常勤職員数の総数で決まります。

特定技能

特定技能では基本的に受け入れ人数に制限はありませんが、建設業・介護業に関しては適切な労働環境確保への配慮が必要と言う観点から受け入れられる人数は『企業の常勤職員の総数を超えないこと』などの制限が設けられています。

受け入れ方法の比較

技能実習

技能実習生を受け入れる場合は、海外の送り出し機関と協力し、現地で人選を行い面談や事前研修を行い、企業での実習が開始されます。

受入れ方法には企業単独型と団体監理型があり、企業単独型で技能実習生を受入れる場合、送り出し機関との契約をはじめ、技能実習を実施する際に必要な『技能実習計画』の作成、在留資格の申請手続き等、すべてを企業側で行わなくてはならないため、多くの企業は監理団体に入会し、人選から入国後のサポートまで任せるのが一般的です。

【受入れ時の注意点】
・面接を書面のみで行うことはできません。現地に赴くか、テレビ電話などで候補者と直接話す必要があります。
・実習対象の職種や作業内容は細かく決められているため、事前に確認が必要です。

特定技能

特定技能外国人は、対象の外国人が技能実習2号修了者、もしくは『日本語能力に関する試験』および『各分野の技能評価試験』に合格することが必要です。

日本在住の外国人でも、技能実習を修了し母国に帰国している外国人でも雇用することは可能です。

また、特定技能外国人の受け入れが決まれば、『特定技能外国人支援計画』の作成や、在留資格の申請など煩雑な作業が発生するため、特定技能外国人の日本での生活や就労の支援を行う、登録支援機関にサポートを依頼する企業様がほとんどです。

【受入れ時の注意点】
・技能実習からの移行の場合、取得する特定技能の業種と修了した技能実習の業種が同一であることが求められます。
・留学生から特定技能に変更して受け入れる際、学生の間に『資格外活動』として就労していたアルバイトで制限時間を超えて働いていなかったか、租税・保険料を正しく納めていたかなど、法令の順守に関する確認が必要です。

在留期間の比較

技能実習

技能実習1号:1年
技能実習2号:2年
技能実習3号:2年

特定技能

特定技能1号:5年
特定技能2号:制限なし

技能実習は2号修了後、1ヵ月以上の一時帰国が必要ですが、最長5年まで実習を行えます。
さらに、特定技能へ移行できれば、通算10年間安定して人材を確保することが可能になります。

受け入れの際にかかる費用の比較

ここでは外国人を受け入れる際にかかる費用や内訳を、それぞれ表を使って比較・ご紹介します。
利用する団体や職種によって金額は変動しますので、おおよその目安として参考にしてみてください。
※人件費、住居家賃等の生活サポート費は含んでいません。

技能実習

監理団体に入会して受け入れを行う場合を想定した例です。

入会金 1万円~10万円
年会費 2万円~15万円
採用者の渡航費 約15万円~25万円
(往復の航空券代、宿泊費、食事代)
在留資格申請 約2万円~4万円
技能実習生総合保険料(37ヵ月) 約2万円~6万円
健康診断費用 約1万円
入国前講習費 約1万5000円~4万円
入国渡航費 約10万円
入国後研修 約10万円
講習手当て 約6万円
健康診断費用 約1万円

技能実習生を受け入れたあとの継続的な費用

管理費用(送り出し機関への費用など) 約3万円~4万円
帰国渡航費
積立金
(年間)
約2万円
技能検定料 約2万円
在留資格更新 約2万円~4万円

特定技能

送り出し機関支払い費用 約5万円~30万円
入管申請費用 約5万円~20万円
入国渡航費 約10万円
生活サポート費 約3万円/月

まとめ

技能実習、特定技能それぞれの違いについて比較、ご説明してきました。

創設の目的や受け入れ可能人数など違う点が多い制度ですが、日本の高い技術を習得しようと積極的な方たちがこれらの制度を利用しています。

技術を身に付けると言う目的を持って日本で就労する外国人の方はスキルアップのための努力を惜しまないため、技能実習から受け入れ、引き続き特定技能として就労してもらえれば、長期にわたり企業様で活躍してくれることが期待できます。

しかし、技能実習や、特定技能は計画書の作成や行政への申請手続きなどの煩雑な作業も多く、企業様単独で受け入れを進めるには多くのコストが必要になってしまいます。

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