外国人雇用絶対に注意しなければならないこととは?メリットや助成金・手順も
2024/04/16
少子高齢化が進み今後も労働人口の減少が予想されるなか、日本国内では人手不足が大きな課題です。
企業が労働力を補うための手段として、外国人雇用が選択のひとつとなります。
初めて外国人を雇用する場合、雇用することが企業にとってプラスとなることなのか、どのように雇用すれば良いのか、などが気になりますよね。
そこで、外国人雇用のメリットや雇用の手順、注意点などについて解説します。
TOPICS
外国人を雇用するメリット3つ
まずは、外国人を雇用することで企業が期待できるメリットを3つピックアップし具体的に紹介します。
外国人雇用のほかのメリットを詳しく知りたい方は下記の記事にご覧ください。
くわしくはこちらの記事:外国人労働者雇入れのメリットと課題は?採用方法や手続きも徹底解説
優秀な人材の確保
日本人だけではなく外国人も雇用の対象に含めて検討したほうが、優秀な人材を確保できる可能性を広げられます。
住み慣れた国を出て、慣れない土地で働くためには、気力も体力も必要です。
家族や自分の慣れ親しんだ国を離れて働くには、それなりの決意を持たなければなりません。
日本にはるばる来てまで働きたいと考えるような外国人はモチベーションが高い傾向にあり、バイタリティーにあふれている人が多く見られます。
また、言語が異なる国で働く場合、最低限の日本語は使えなければなりません。
日本語は平仮名、カタカナ、漢字と多種を使いこなさなければならず、世界的にも語学習得の難易度が高いといわれています。
そのような日本語を労働のために事前に学んでくる人はやる気のある優秀な人材である可能性が高く、企業の大事な労働力となり得ます。
職場内の活性化
外国人を雇用することは職場にとって良い刺激となります。
文化や価値観が異なる外国人労働者だと、日本人労働者では思いつかないような新しい発想が生まれる可能性があるからです。
さらに従来の仕事のやり方に外国人が持つ独特の感性が加わることで、社内が活性化する場合があります。
しかし、事前に日本語を学習してきた外国人であっても、日本人と同レベルの日本語能力を持っているとは限りません。
仕事を教えるときに相手が同じ日本人であれば、ある程度察してくれることを期待して簡易的な説明で済ませてしまう場合もあります。
もともとの価値観が異なり言葉が通じにくい外国人が相手であれば、わかりやすく丁寧に教えることが必要です。
新しく入った外国人労働者に仕事を教えることが、既存社員にとっては自分の仕事をあらためて見直す良い機会にもなります。
また、心機一転して日本で働こうと考える外国人は若い人が多い傾向です。
そのため、外国人労働者を雇用すると従業員の年齢層が低くなり、若さから職場が活性化することもあります。
海外進出時の即戦力
外国人を雇用することは、特に今後海外進出を考えている企業にとって大きなメリットとなります。
進出先の国を出身とする外国人を雇用すれば、その国におけるビジネスの際に即戦力となり得るからです。
そもそも、その国の出身者であれば現地の言葉に長けています。
旅行とは異なり、ビジネスでは専門用語が使用される機会も多く、言葉の理解の小さなすれ違いが企業にとって大きな損失につながるおそれもあるため注意が必要です。
また、商談の際には、現地の習慣や文化などをきちんと把握しておかないと失礼に当たる場合もあります。
そのため、現地語を使いこなせ、現地のマナーや商習慣もわきまえている外国人労働者は企業にとって心強い存在です。
その国の文化の理解度も高いため、情報収集やマーケティング活動での活躍も期待できます。
さらに、外国人労働者が現地で持つ人脈をビジネスに利用できる可能性もあります。
外国人を雇用すると助成金がもらえることも
外国人を新たに採用した企業は助成金をもらえる場合があります。
自治体によってさまざまな制度が設けられていますが、ここでは主な助成金を2つ紹介します。
最初に紹介するのが「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」です。
外国人労働者が安心して安定した就業ができるように職場の環境整備を行った場合、その費用の一部が助成されます。
対象となるのは、通訳や翻訳にかかる費用、雇用のために依頼した弁護士や社労士などへの委託料などです。
ただし、受給するには環境整備計画が終了して一定期間を過ぎても、外国人労働者の離職率が10%以下であるといった条件があります。
また、日本人の雇用で利用する助成金のなかにも、条件さえ合えば外国人労働者の雇用の際に利用できる制度があります。
たとえば、職業に対する十分な経験や知識、技術などを持たない労働者の雇用のためにある助成金が「トライアル雇用助成金(一般コース)」です。
常時雇用する前の試用期間において最長3ヶ月、労働者1人あたり最大5万円の支給を事業主が受けられます。
外国人は日本企業のどこに魅力を感じているの?
国内にも仕事があるにもかかわらず海を渡ってやって来る外国人は、日本の仕事に何を期待しているのでしょうか。
日本へ働きに来る労働者が考える日本企業の魅力は主に3つあります。
1つ目は日本で働くと自分の労働スキルを高められる点です。
日本の技術や顧客対応は世界的に見ても高いといわれています。
採用後の研修やOJTを含めた就業後の実務を通してさまざまなスキルを身につけ、将来に生かしたいと考えて日本へ来る外国人は少なくありません。
2つ目は労働者に対する制度がきちんと整備されているため安心して働ける点です。
日本には、健康保険や雇用保険などの制度がきちんと整備されています。
保険の適用事業所であれば、事業主は労働者が外国人であっても、日本人と同じく保険に加入させなければなりません。
さらに、健康保険に加入していれば毎年健康診断を受けることができます。
くわえて、日々の労働にかかる交通費の支給まで受けられることも外国人労働者にとっては魅力です。
3つ目は、安定した雇用に期待が持てる点です。
生活費を稼ぐ労働を失うリスクは生きることへの不安にもつながるものです。
日本では正社員として一度雇用されると、特別な理由がない限り安定して働き続けられるため、外国人にとっては安心して働ける環境となります。
外国人を雇用する際の4つの注意点
企業にとって外国人雇用はメリットのあることですが、実際に雇用する際には注意も必要です。
ここでは、外国人を雇用する際に気をつけなければならないポイントを4つ紹介します。
在留資格を必ず確認しなければならない
外国人を日本で雇用する場合には、必ず在留資格を確認しなければなりません。
在留資格とは、外国人が日本に滞在して一定の活動をするために必要となる法的な資格です。
在留資格には、報酬を伴う就労が認められているものと、そうでないものがあります。
さらに、就労できるものであっても、在留資格の種類によって認められている業務の範囲や在留期間が異なるため注意が必要です。
たとえば、「医療」の在留資格をもっていれば、医師・歯科衛生士・看護師・薬剤師・理学療法士などの資格を有する者として、医療業務に従事する活動ができます。
もし「介護」の在留資格をもっていれば、介護福祉士の資格を根拠にして、介護福祉施設との契約に基づき介護業務に従事する活動ができます。
雇用する外国人がすでに在留資格を有している場合には、その外国人労働者に任せる仕事が在留資格で認められている業務の範囲内であるかをきちんと確認しておきましょう。
また、雇用するにあたり初めて在留資格を受ける外国人労働者の場合には、その外国人の職歴や学歴などが自社の業務に該当する在留資格をきちんと取得できそうかを調べておいたほうが安心です。
在留資格を得られなければ、採用にかかった手間も費用もすべて無駄になります。
くわしくはこちらの記事:在留資格とは?外国人雇用する前に知っておきたい基礎知識
雇用手続きや労務管理が煩雑
外国人労働者を雇用する方法は、日本人を雇用する場合とさまざまな点で異なります。
そのため、特に外国人労働者の雇用が初めての場合には、募集をかける場所や方法に迷いやすく、雇用に際する必要書類集めや採用後の手続き、労務管理などに手間取るケースも少なくありません。
大事な手続きのため、漏れやミスがないように気をつけながらしっかりと対応しましょう。
くわしくはこちらの記事:【記入例付き】外国人雇用状況届出書の書き方・提出方法・期限の徹底解説
言語の壁がある
仕事を行うにあたり、従業員同士のコミュニケーションは重要です。
コミュニケーションがきちんと取れていないと仕事がスムーズに進みません。
また、指示が正確に相手へ伝わっていなければ、業務に重大なミスを発生させてしまう可能性もあります。
同じ言語を話す人同士でも、相手の指示を十分に理解し合えずミスをしてしまうことはありえます。
言葉を十分に理解できない外国人労働者との間であれば、なおさらトラブルが発生するリスクは高まります。
就労を希望する外国人労働者のなかには日本語を勉強している人も少なくありません。
しかし、その日本語能力が日本企業の求めるレベルと異なっているケースもあります。
後々のトラブルを防ぐためにも、外国人を雇用するときには、自社が求めるレベルの言語能力を備えているかについてきちんと確認しておくことが大切です。
文化の違いがある
外国人労働者との間でトラブルを引き起こす原因となり得るものには、言語の壁以外に文化や風習の違いもあります。
文化や風習の違いから、ほかの従業員とのコミュニケーションがうまくいかず、離職につながるケースもあるため気をつけなければなりません。
たとえば、信仰する宗教を大事にする国の人であれば、お祈りが欠かせなかったり、食べられない食事があったりする場合もあります。
相手が外国人である場合に限らず、職場の労働環境をよりよく保つためには、既存の従業員と異なる習慣や文化を持つ人に対してもきちんと理解を示すことが大切です。
自分とは異なる習慣や文化を持つ人を理解するためには、まず習慣や文化を正しく知ることが基本となります。
外国人労働者を雇用する際には、事前に外国人労働者の習慣や文化に関わる情報を社内に周知させ、就業後の協力を呼びかけておきましょう。
「安い労働力」という考えは絶対にやめるべき
外国人労働者に対する考え方として注意しておきたいポイントもあります。
外国人労働者のなかには物価が安い国から来る場合もありますが、日本で労働するのであれば、日本の労働者として適切な賃金で雇用しなければならない点です。
決して安い労働力を手に入れることを外国人労働者の雇用目的としないようにしましょう。
労働者本人の能力や業務内容などから適正に評価した賃金で雇用しないと、労働者に不満が募ります。
労働者の不満は離職につながるだけではく、不満をSNSで拡散されてしまい、ほかの外国人に広く悪評が伝わるおそれもあるため要注意です。
外国人労働者を安く雇用する会社というレッテルが一度貼られてしまうと今後の雇用が難しくなります。
また、給与が適正でなかったりコンプライアンスが守られていなかったりすると、法律で罰則を受ける可能性があります。
目先の利益だけに目を奪われて安易に安い賃金で外国人を雇うと、気がつかないうちに法律違反をしてしまう場合もあるため注意が必要です。
くわしくはこちらの記事:外国人労働者の問題と解決策|社会的問題も徹底解説
外国人を雇用する手順|実際どうすれば良いの?
外国人を雇用するためにはさまざまな手続きが必要です。
ここでは大きく5つのステップに分けて手順を解説します。
①就労希望の外国人を募集
最初のステップとして行わなければならないことが、日本での就労を希望する外国人の募集と選考です。
外国人労働者の募集方法は主に4つあります。
1つめがSNSや自社のホームページなどを利用して就労希望者を募る方法です。
インターネットを利用すれば、世界中の就労希望者に見てもらえるチャンスをつくれます。
2つめは大学や語学学校に協力を求める方法です。
学校によっては留学生の就職をサポートしているところもあるため、就職課やキャリアセンターに問い合わせてみましょう。
日本の学校に来ている留学生であれば、日本語や日本文化に対する理解も比較的高い傾向にあります。
3つめが外国人を対象とした求人媒体や派遣会社を利用する方法です。
外国人留学生が参加する就職イベントを開催している派遣会社もあるため、参加してみるのもおすすめです。
4つめがハローワークの公的機関を活用する手段です。
ハローワークには、外国人の雇用についての悩みを無料で相談できる制度もあります。
➁書類審査や面接を通じて選考
就労希望者が集まったら続けて行うのが選考です。
選考方法は日本人採用とほぼ一緒で、書類選考や面接などで募集要項や人物像に合う人を絞り込みます。
外国人雇用の場合、選考において押さえておきたいポイントが大きく2つあります。
まず、外国人の在留資格を確認することです。
自社の業種が採用する外国人の持っている在留資格で認められているのかを確認するだけではなく、その更新期日もきちんとチェックしておきましょう。
期日が過ぎてしまうと、日本国内での労働は原則認められないため要注意です。
また留学生や家族滞在の方は基本的に就労不可の在留資格であり、資格外活動の許可がある場合のみ就労が可能ですので、面接時に確認しておかなければなりません。
くわしくはこちらの記事:資格外活動許可とは?| 留学生雇用の注意点
➂就労ビザの申請
海外にいる、もしくは業務内容にあたる在留資格を有していない外国人を雇用したい場合、就労ビザの取得手続きを行わなければなりません。
在留資格認定証明書交付申請書に必要事項を明記し、身元保証書や雇用契約書などの添付書類とともに地方出入国在留管理官署の窓口へ提出して在留資格認定証明書の交付申請を行いましょう。
在留資格認定証明書が発行されたら、続けて行わなければならないのがビザの申請です。
ビザの申請は企業ではなく、雇用予定の外国人が自分で行います。
発行された在留資格認定証明書を外国人に渡し、自ら現地の日本大使館でビザの申請をしてもらいましょう。
くわしくはこちらの記事:就労ビザの申請の流れや注意点をチェック
➃雇用を開始し労務管理を始める
雇用を始める前に、雇用契約の締結をしなければなりません。
これは日本人雇用も同じですが、外国人の場合、雇用契約の内容をしっかりと理解してもらうために外国語版を用意したほうがおすすめです。
また、不法就労助長のリスクを回避するために、外国人雇用における労務管理もしっかりしないといけません。
まず、雇用契約を締結する際に外国人在留カードが本物であることの確認と、コピーの回収を行う必要があります。
そして、在留期限の管理も大事です。
在留期限が迫ってくる外国人従業員に在留カードの更新を促し、新しいカードの提出を依頼してください。
さらに、留学生の場合1週間の就労時間が28時間に超えないような管理も必要となるので、勤務時間の管理も求められます。
上記1つでも漏れてしまうと不法就労に加担する可能性が大いにあります。
事業存続への影響もあり得るので、しっかりルールを決めてやっていきましょう。
➄行政手続きの提出
外国人の雇用が始まったらハローワークへ外国人雇用状況届出書の提出を行います。
ハローワークへ届出書を提出するのは事業主の義務で、正しく届け出ないと罰金の対象となります。
届出方法は、雇用する外国人が雇用保険の被保険者となるかどうかで変わり、被保険者とならない場合に必要となるのは、外国人雇用状況届出書 第3号様式の提出です。
一方、外国人が雇用保険に加入して被保険者となる場合には、雇用保険における被保険者資格の取得届を提出して雇用保険の手続きを行わなければなりません。
届出書には、在留資格や在留期間、国籍などの記載が必要です。
くわしくはこちらの記事:【記入例付き】外国人雇用状況届出書の書き方・提出方法・期限の徹底解説
外国人雇用に関する行政の相談先
初めて外国人を雇用する場合、どのように雇用管理し、職業生活上の問題に対応すれば良いのか悩む場合もあります。
そのような際には、外国人雇用に関わる行政に相談することもおすすめです。
たとえば、ハローワークには無料で外国人労働者の雇用に関する悩みを相談したり、支援を受けたりできる外国人雇用管理アドバイザー制度があります。
また、外国人留学生に対するサポートを行っている外国人雇用サービスセンターに相談するのも方法のひとつです。
外国人雇用サービスセンターは、外国人留学生に向けた各種就職情報やインターンシッププログラムの提供のほか、入学後早々から就業ガイダンスのようなの就業支援をしたり、就職面接会なども行ったりもしています。
東京、名古屋、大阪、福岡の各外国人雇用サービスセンターを拠点にしているため、最寄りのセンターを利用することをおすすめします。
そのほかにも、人材総合サービス会社へ雇用支援をしていただく方法もあります。
外国人雇用をお考えならば、まずはご相談を!
外国人雇用を検討していても、在留資格や制度や手続き・受け入れ環境の整備など、わからないことが多くて不安という方が多いのではないでしょうか。
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