外国人労働者の受け入れに係るデメリットを解説

少子化の流れを受けて国内の若年層の労働者が減少しつつある中、それを補うために増えているのが外国人労働者です。

もっとも、外国人を雇用することにはメリットだけでなく、いくつか注意しておく必要があるデメリットも存在します。

ここでは、雇用してから思ってもみなかったような事態に直面することのないように、外国人雇用に係るデメリットを紹介していきます。

外国人労働者の受け入れに係るデメリットとは？

はじめに、外国人労働者の受け入れに係るデメリットについて、順を追って紹介していきます。

外国人雇用に関する専門的な知識が求められる

まず、外国人を雇用するためには専門的な知識が求められるという点に要注意です。

常時10人以上の外国人労働者を雇用する場合には、「外国人労働者雇用管理責任者」を選任する必要がありますし、就労可能な在留資格を有している外国人だけを雇用するようにしなければなりません。

特に後者については、万が一、就労可能な在留資格がない者を雇用してしまうと、不法就労助長とみなされて3年以下の懲役又は300万円以下の罰金が科されるおそれがあります。

そのような事態に陥らないようにするためにも、雇用する側には高度な労務管理の知識が求められるのです。

文化や言語の壁にによる価値観の不一致

外国人労働者を雇用する上では、外国と日本の文化や言語の違いが障害となり得ます。

日本では当たり前と思われるようなことでも、外国人にとっては必ずしもそうではないかもしれません。

たとえば、日本では会社からの賞与をそのまま受け入れることが多いのに対して、海外ではボーナスの金額については会社と徹底的に交渉して決める国もあるため、思わぬトラブルになる可能性があります。

また、慣れるまではコミュニケーションをするだけでも一苦労です。

加えて、海外には日本のように「空気を読む」というカルチャーがないので、会社側としてきちんと伝えたつもりでも、意図をしっかり理解してもらえないというケースも起こり得ます。

このようなデメリットを回避するためには、会社側でも外国語を使いこなせる人材を用意する必要があります。

また、外国人労働者に対してはまわりくどい言い方はできる限り使わず、直接的に言いたいことを伝えるようにするという取り組みが必要となります。

すぐには即戦力にならない可能性もあり

外国人労働者はすぐに即戦力になるわけではありません。

そもそも就労ビザを取得するには、一般的には1ヶ月から3ヶ月ほどかかるため、今すぐに人員を補充したいという時に外国人労働者を雇用しようとしても間に合わない可能性もあります。

また、前述のように、外国人は言語やカルチャーの面で日本に馴染むのに時間がかかります。

日本と海外とでは業務のやり方が違うケースも少なくないため、数日から1週間程度の研修だけですぐに業務に従事できるようになると思わないほうが良いこともあります。

それなりに戦力になるようにするためには、想像する以上に長期の研修が必要になることも珍しくないのです。

そのため、外国人労働者を雇用しようとする場合には、十分な研修期間を設けたうえで、現場に投入するタイミングから逆算して、早めに採用に踏み切ることが重要となります。

就労ビザの申請や労務管理などの追加費用が必要になる

外国人労働者を雇用するためには、日本人労働者の場合よりも多くのコストが発生するおそれがあります。

一般的にかかるコストとしては、就労ビザの取得費用、外国人の渡航費、現地での面接費用です。

また、外国人労働者を募集するために外国人向けの求人媒体を利用する場合には、そのための求人費も発生します。

実際にはそれ以外にここに挙げたようなさまざまな費用が生じうる恐れがあるので、予算を組む際には、そういったコストも加味して考えるようにしなければなりません。

外国人労働者の雇用にはメリットも多くある

ここまで外国人労働者を雇用する場合のデメリットを紹介してきましたが、実際にはデメリットばかりではなく、メリットも多くあります。

例えば、代表的なメリットの1つに、外国人を雇っていれば、訪日する日本語が分からない外国人への対応が容易になります。

飲食業や小売業のように外国人の顧客と直接やり取りする機会が多いような業種の場合には、このメリットを享受できる可能性が高くなります。

また、人材不足を解消しやすくなるというメリットもあります。

少子化傾向が続く中で日本人を雇用するハードルは益々上がっていっていますが、外国人を雇用できれば採用の門戸を広げられるので、不足しがちな人材をスムーズに確保できるようになるはずです。

さらに、外国人は日本人とは発想や視点が異なるため、新たなアイデアを得て会社が成長する機会にできるというメリットもあります。

日本人だけでは思いつかないような新たな商品やサービスの案を提供してもらえるかもしれません。

くわしくはこちらの記事：外国人労働者雇入れのメリットと課題は？採用方法や手続きも徹底解説

デメリットを頭に入れてしっかり準備することが重要

このように外国人労働者の雇用にはいくつか注意が必要なデメリットがあります。

そのため受け入れに当たっては、それらを正しく理解した上で、入念に準備するようにしましょう。