受入準備編~外国人労働者指導成功への7ステップ~

近年、日本で働く外国人労働者数は年々増加傾向にあります。

街で外国人を見かけても珍しくない、そんな時代になりました。

日本政府により留学生30万人計画が公表され、2019年4月1日には新在留資格の特定技能制度が開始。
その結果、令和2年6月末時点での在留外国人の人数は、288万5904人まで増加しました。

※参考元:出入国在留管理庁

そんな中、各メディアでの外国人労働者に関する報道はネガティブなものばかりです。
受入企業側に問題があるケース(賃金の未払いや劣悪な労働環境)と外国人労働者側に問題があるケース(長期滞在を目的とした失踪や犯罪)の両方があります。

上記は事実であり、改善が必須です。しかし実態は、ネガティブなことばかりではありません。

外国人雇用をはじめたことによって「職場が明るくなって活気づいた!」「外国人労働者が入社し初めての指導を若手社員が経験し飛躍的に成長した!」などのポジティブな声も多いのも事実です。

今回はこのような成功事例を交え外国人労働者に対する指導成功への7ステップをご紹介いたします。

メインの対象を技能実習生としますが、他資格である特定技能や留学への接し方、指導の仕方にも応用できる内容となっています。

技能実習以外の外国人労働者を雇用しているまたは検討している方も是非ご覧になっていたければと思います。

また日本語教育についても指導するうえで欠かせないことの一つですが、本シリーズでは日本語教育以前に重要になることについて解説していきます。

▼関連記事
日本語教育について詳しく知りたい方は、別記事「外国人労働者の日本語教育の方法とは?現状と対策について解説」で解説していますので、そちらもぜひ参考にしてください。

本記事でいう成功とは

本記事でいう成功とは、外国人労働者と受入企業が円滑に気持ちよく働くことができるだけでなく、外国人労働者を受け入れたことによって会社の成長に繋がったというところまでを指します。

「日本人だけが働く現場だけでは体現できなかった」などの声が挙がる、そんな外国人労働者だからこその成功事例です。

例えば、日本人社員が暗黙のルールにより残業しているのに実態に合わせ残業時間を申請していなかったが、新しく入社した外国人労働者は残業時間をそのまま申請(技能実習の場合はタイムシート・給与明細など監理団体等が厳しく監査するため)したとします。

すると「日本人社員が我慢しているのに外国人労働者だけ特別扱いはずるい」という声があがり、外国人労働者も日本人社員と同様に我慢を強いられそうになる、ということがあります。

このように外国人労働者を受け入れることによって、いままで当たり前となってしまっていた悪しき文化が顕在化し、改善に繋がったケースもあります。

外国人労働者の雇用は、このような会社を良い方向へと変えるきっかけにもなりえるのです。

 

現場の受入準備

本記事は、外国人労働者に対する指導成功への7ステップの1ステップ目となりますが、この現場の受入準備が1番の基本であり、成功につながる最重要項目となります。

まずは、「在留資格の制度理解」が必須となるでしょう。技能実習でいれば下記の内容となります。

■ 目的・趣旨
日本で培われた技能、技術又は知識の開発途上地域等への移転を図り当該開発途上地域等の経済発展を担う「人づくり」に寄与するという国際協力の推進が目的になっています。

■ 基本理念
技能実習は、労働力の需給の調整の手段として行われてはならない(法第3条第2項)を基本理念としています。

上記の制度の趣旨および基本理念の理解は必須となりますが、経営者をはじめとした上層部だけではなく.必ず現場で働く社員まで理解をするように周知の徹底が必要です。

失敗事例の多くが、監理団体の監理が行き届きにくい現場で働く指導員の理解が足りない(入国直後日本語をほぼ完璧に覚えてから入国してくると思っている、必須業務をはじめとした技能実習計画に沿って実習しなければならないこと、技能検定試験に関して現場は全くの無関係だと思っているなど)ことで起こります。

そのため、現場配属前に必ず現場職員に周知をする時間を設ける必要があります。

▼関連記事
技能実習制度について詳しく知りたい方は、別記事「製造業で技能実習生を受け入れる ~制度編~」で解説していますので、そちらもぜひ参考にしてください。

外国人労働者への意識

外国人社員を受け入れるにあたり、1番重要となるのがこの「外国人労働者への意識」です。

必ず「日本を選んでもらった」「数ある企業の中から選んでもらった」という意識で接しましょう。

全社でこのような意識を持ち外国人労働者とコミュニケーションを図ろうとする姿勢があるかないか、そしてそれが伝わるかどうかで、指導や信頼関係の構築が成功するかが決まるといっても過言ではありません。

陥りがちな思考・言動として、「日本で働かせてあげている」「母国より高い賃金を払ってあげている」などがあります。

このあとに続く言葉はだいたい、「我慢しろ」や「生意気だ」などであることが多く、外国人労働者にとって劣悪な環境となるでしょう。

劣悪な環境で働いた外国人労働者が母国に帰り評判が伝わることで、日本は実習先や労働先の国としての人気が近年下がってきており、代わりに台湾や韓国を選択することが多くなってきているとの声も聞きます。

ではどうすれば受入側の歓迎の意が伝わるかですが、以下に実施施策例を挙げます。

・母国の家族との面談
・入社式の実施(規模問わず)
・歓迎会の実施(規模問わず)
・日本人と同等以上の待遇設計
・母国の家族を日本へ招聘
・雇用する外国人労働者の出身国勉強会を設ける

上記のような対応を行えば、信頼関係は構築しやすくなります。

夜の食事会が難しいコロナ禍ではランチ会や昼休憩中のお菓子パーティなどで工夫して交流を深める企業もいます。
日本にある母国の料理屋さんに行ってみるのもよいでしょう。

 

まとめ

今回は、外国人労働者に対する指導成功への7ステップの最重要項目となる受入準備についてを解説いたしました。

日本人の特徴として「言わなくても感謝は伝わっているだろう」や「職場で困っているところを見つけたときはさりげなく助けている、ただし表立ってはやらない」などの考え方をもつ人も多くいます。

そのため、せっかく感謝やサポートをしていても外国人労働者にうまく伝わっていないケースがあります。

自分自身が逆の立場に立って、海外で勉強や仕事をすることを想像し、外国人労働者に安心感を与えるような言動を心掛けましょう。

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採用ジャーナル編集部

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