個人事業主の技能実習生受け入れ〜必要書類や保険加入について解説〜

2024/05/14

技能実習生の受け入れを行う際は、様々な手続きが必要ですが、個人事業主が技能実習生の受け入れを行う場合、必要な手続きや提出書類が法人とは異なる場合があります。

今回の記事では、個人事業主の技能実習生受け入れに特化した内容で解説していきたいと思います。今回の内容を踏まえた上で、個人事業主か法人、どちらの方法で技能実習生を受け入れるかの検討材料にしていただければと思います。

提出書類について

技能実習生を受け入れるためには、外国人技能実習機構(OTIT)に技能実習計画認定申請を申請して認定してもらう必要があります。
この申請書類は、法人か個人事業主かによって提出する書類が一部異なります。必要書類の一覧は下記の通りです。

01申請する技能実習計画の対象となる技能実習生の名簿
02技能実習計画認定申請に係る提出書類一覧・確認表(本表)
03技能実習計画認定申請書
04技能実習計画
05入国後講習実施予定表
06実習実施予定表
07実習実施予定表(1年目)
08実習実施予定表(2年目)
09欠格事由非該当の誓約
10申請者の誓約書
11技能実習生の旅券その他の身分を証する書類の写し
12技能実習生の履歴書
13次の(1)~(3)のうちいずれかの資料
(1)外国の所属機関による証明書(団体監理型技能実習)
(2)教育機関の概要書、外国の公的機関若しくは教育機関又は外国の公私の機関が実施した場合は、技能実習生が履修した科目について当該実施機関が証明する文書
(3)技能実習を行わせる理由書、訓練実施予定表、訓練実習生一覧表
14技能実習計画の認定に関する取次送出機関の誓約書
15雇用契約書及び雇用条件書の写し
16技能実習生の報酬に関する説明書
17技能実習の期間中の待遇に関する重要事項説明書
18技能実習生の申告書
19技能実習の準備に関し本国で支払った費用の明細書
20技能実習生の推薦状
21同種業務従事経験等証明書(団体監理型技能実習)
22団体監理型技能実習生と取次送出機関との間の技能実習に係る契約書の写し
23前段階の技能実習計画において目標として定めた技能検定又は技能実習評価試験の合格又は一部合格を証する書類の写し
24申請者の概要書
25【申請者が個人事業主の場合】
申請者の住民票の写し
26【申請者が個人事業主の場合】
直近2年度の納税申告書の写し
27技能実習責任者の履歴書
28技能実習責任者の常勤性が確認できる書類
(健康保険等の被保険者証などの写し)
29技能実習責任者の就任承諾書及び誓約書の写し
30技能実習指導員の履歴書
31技能実習指導員の常勤性が確認できる書類(健康保険等の被保険者証などの写し)
32技能実習指導員の就任承諾書及び誓約書の写し
33生活指導員の履歴書
34生活指導員の常勤性が確認できる書類(健康保険等の被保険者証などの写し)
35生活指導員の就任承諾書及び誓約書の写し
36技能実習を行わせる理由書
37監理団体と実習実施者の間の実習監理に係る契約書又はこれに代わる書類の写し

出典:外国人技能実習機構『技能実習計画の認定申請手続』

申請書類は法人も個人事業主もほぼ同じですが、上記一覧の25番・26番は個人事業主が受け入れを行う場合に提出が必要な書類です。申請書類は数も多く、全て揃えるには時間も必要なため、提出漏れのないように計画的に準備をしておくことが大切です。

保険加入について

個人事業主であっても、常勤従業員が5名以上の場合、法人と同様に保険に加入しなくてはいけません。
また、それらの保険は日本人従業員と同じく、技能実習生にも適用しなくてはいけません。
ここでは、各社会保険について解説していきたいと思います。

■健康保険
在留期間が3ヶ月を超える技能実習生は、健康保険の適用対象になるので、必ず加入する必要があります。
入国直後は、「国民健康保険」に加入し、講習終了後には健康保険に加入します。

公的年金保険
国民年金は日本国内に居住する外国人も含め、全国民に対して強制適用となる制度なので、当然技能実習生も加入が必要です。
個人事業主の場合、原則として国民年金保険に加入します。国民年金保険料は収入にかかわらず一律16,340円(平成30年度)です。
個人事業主の場合は、基本的に国民保険に加入しますが、常時雇用する従業員が5人以上の場合は厚生年金保険に加入します。

また、5人に満たない場合でも任意適用申請をすれば厚生年金保険に加入できます。
事業主は従業員の厚生年金の保険料を半分負担する義務が生じること、厚生年金保険に加入する場合には、従業員過半数の同意が必要になりますので注意が必要です。
※技能実習生は、帰国時に年金に関して掛け捨てではなく脱退一時金の請求が可能ですので帰国後に返還されます。

■労働保険
労働保険には業務中のケガなどを保障する労災保険のほか、失業した場合の保障として雇用保険があります。

【労災保険は法人・個人事業主に関わらず従業員1名以上で加入必須】
労災保険に関しては、従業員を1名でも雇用すれば必ず加入しなければなりません。
正社員だけでなく、アルバイトやパート、日雇いなども含め、給与支給額や労働時間にかかわらず、雇用しているすべての従業員が加入対象となります。
労災保険料は全額事業主負担となり、保険料率は業種により異なります。ただし、個人事業主自身は原則、労災保険に加入できません。

【雇用保険の加入が必要なケース】
31日以上雇用する見込みがあり、週20時間以上勤務する従業員は雇用保険への加入が義務付けられています。
令和3年度の雇用保険料率は事業主負担が0.6%、従業員負担が0.3%です。
※建設の場合は、事業主負担が0.8%、従業員負担が0.4%です。

人数確認方法について

技能実習制度は、職種によって受け入れ可能人数が決まっているものもあるので、事前に確認が必要です。

個人事業主の場合、確定申告書の「事業専従者に関する事項」で従業員数を確認することになります。
また従業員数を証明する書類として、労働保険概算、確定保険料申告書、「事業所別被保険者台帳」の写し、雇用保険被保険者資格取得届出確認照会回答書、標準報酬月額決定通知書、または算定基礎届のいずれかを提出する必要もあります。

※技能実習生受け入れ人数の基準となる従業員数は、労働保険(労災保険・雇用保険)に加入している従業員数です。そのため日本人従業員が一人も保険に加入していないと、従業員数が0となり、技能実習生の受け入れ自体ができません。

まとめ

個人事業主・法人に問わず、技能実習生を受け入れるための環境をしっかりと整えることが必要です。もし自社の現状が技能実習生の受け入れに適用していないのであれば、まずは社労士などに相談し、労働環境の見直しなどを行うことが自社を守るためにも大切です。

今回の記事について、また外国人雇用などについてご質問等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。
最後までご覧いただきありがとうございました。

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