農業支援外国人受入事業で外国人雇用する特定機関の要件と役割
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2024/04/16
経営規模拡大による「強い農業」を実現するために、国家戦略特別区域内において農業支援活動を行う外国人材を受け入れる「農業支援外国人受入事業」が開始しました。
この制度によって、厚生労働省が認定した派遣会社を特定機関と呼び 、外国人を農業を営む事業所に派遣することが出来ます。
特定機関になるには、事業者の要件と労働者の要件の両方を満たす必要があるので、申請する前に確認してください。
農業支援外国人受入事業
日本の農業経営者の経営規模の拡大や成長産業化の推進などによる強い農業を実現や、農業の国際競争力の強化のため、農業支援外国人受入事業が導入されました。
それに伴い、農業の専門学校や大学から卒業した留学生を雇用することができるようになりました。
農閑期や天候不順の期間などを配慮して、外国人を直接雇用するのではなく派遣で雇用することができ、外国人を派遣する会社を特定機関といいます。
農業支援外国人受入事業とは
農業支援外国人受入事業とは、国家戦略特別区域内において、関係自治体や国の機関が参画する適正な管理体制の下、農作業や加工の作業に従事する日本の農業現場で即戦力となる外国人材を特定機関が雇用契約に基づいて受け入れる事業です。
この制度によって、厚生労働省が認定した派遣会社が、外国人を農業の事業所に派遣することが可能となります。
特定機関とは
特定機関とは、労働者派遣法によって労働者派遣事業を行う企業で、適正受入管理協議会から特定機関の基準にあてはまることが認可された企業です。
適正受入管理協議会は、都道府県の自治体、内閣府地方創生推進事務局、入国管理局、都道府県労働局、都道府県農政局によって構成されているため、特定機関は国によって厳密に審査・監督されます。
特定機関の申請要件
特定機関になるためには、会社の要件と労働者の要件の両方を満たす必要があります。
また、外国人労働者の住所確保と研修の実施も必要です。
ここでは、それぞれについて詳しく見てみましょう。
事業者の要件
特定機関になるために、以下の基準に満たして、適正受入管理協議会へ申請しないといけません。
- 人材派遣事業許可: 労働者派遣法に基づいて、厚生労働省の派遣事業の許可を受ける必要があります。
- 本社、もしくは直営の事業所:外国人派遣事業を実施する区域内、または隣接する市町村の区域内に、本社もしくは直営の事業所を設立しないといけません。
- 経済の基礎:会社が過去3年に健全な状態にあることが求められます。設立してから3年経っていない会社は個別の判断となります。
- 事業実績:労働者を農業の会社に派遣した実績が必須となります。
- 人的構成:農業現場の状況を常に把握できる体制を設ける必要があります。また、農業における派遣、もしくは農業分野に関する業務の運営に指導や助言を行える職員が会社にいる必要もあります。例えば、農業経営や農作業に1年以上従事したことある人、農業分野の関連団体に勤める経験がある人、農業分野の行政経験や学識がある人です。
契約者の要件
特定機関は、外国人農業支援人材を派遣労働者としてフルタイムで雇用しないといけません。
また、職務内容や雇用期間、報酬などを雇用契約書に明記して締結する必要があります。
ちなみにフルタイムとは、週所定労働日数が5日以上で週所定労働時間が30時間以上のことです。
- 職務内容:主な職務内容は農作業となります。つまり、天気や天災の影響以外、派遣期間中に農作業に従事する時間が半分以上占める必要があります。農作業以外の時間には、製造・加工、販売などの作業に従事することも可能ですが、半分以上を占めるのは禁止です。複数の派遣先で勤務する場合、それぞれの派遣先で行う農作業の時間が過半数を占める必要があるので、注意してください。
- 雇用期間:通算3年となります。継続して3年の間に雇用するのも、農繫期だけでの雇用も可能となります。また、農業の技能実習を終了してから1年経っていない外国人は雇用できないので気を付けてください。
- 給与:同じ作業を行う日本人と同等以上の報酬にする必要があります。
- 費用負担・保証金・違約金の禁止:日本に来る費用を外国人に負担してもらうのは禁止されています。また、外国人もしくはその家族から保証金や違約金などを徴収することも禁止です。
住居の確保
特定機関は外国人の住居を確保しないといけません。
もし外国人から同意を得た場合、派遣先に住み込むのも可能ですが、日本人労働者と同じ以上の住居環境が求められています。
また、外国人が安心して住むことができるように、日常生活に関する情報提供をきちんと行わないといけません。
研修の実施
外国人に対して、仕事における研修と日本語における教育を実施する必要があります。
また、在留資格や在留に関する手続きと、労働関係の法律の研修も定期的に実施しないといけません。
特定機関の役割
派遣先からの報告と、適正受入管理協議会への報告、外国人の職場の巡回指導や監査、外国人の保護など、さまざまな役割があります。
派遣先からの報告
1ヶ月に1回の通知と3ヶ月に1回の報告を受ける必要があります。
1ヶ月に1回の通知
- 外国人労働者の名前
- 農作業に従事した日にち
- 作業従事日ごとの始業・終業時刻と休憩時間
- 従事した農作業の内容
- 農作業等に従事した場所
3ヶ月に1回の報告
- 外国人労働者と同じ作業等に従事する日本人従業員の新たな雇用人数
- 外国人労働者の農作業以外の作業への従事状況
- 勤務・生活態度など、外国人労働者と同じ業務に従事する日本人労働者の就労日数
- 外国人労働者からの苦情・相談件数とその内容
- 1ヶ月当たりの最長労働時間数
- 最少休日日数
- 休暇の付与・取得の状況
- 外国人労働者健康診断の実施の有無
- 労働災害の発生の有無
適正受入管理協議会への報告
1ヶ月に1回の報告と3ヶ月に1回の報告を行う必要があります。
1ヶ月に1回の報告
- 派遣先の所在地
- 外国人の派遣状況
3ヶ月に1回の報告
- 報告期間内の外国人農業支援人材及び外国人農業支援人材に従事させる業務と同等の業務に従事する日本人従業員の雇用状況・就労状況・農業支援活動の提供状況
- 外国人農業支援人材に対する研修及び情報の提供その他の必要な支援の実施状況
- 報告期間内の外国人農業支援人材及び派遣先農業経営体からの苦情又は相談の件数及びその内容
- 労働条件・安全衛生の確保状況
- 雇用保険、労働者災害補償保険、健康保険及び厚生年金保険への加入状況
巡回指導や監査
特定機関は、次に掲げる事項について、少なくとも1年に1回、外国人農業支援人材を雇用している本社、または直営事業所において、適正受入管理協議会による巡回指導を受けなければなりません。
- 適正な農業支援活動の提供に関すること。
- 適正な労働条件の確保(第5第3項の規定による同等の農業支援活動に日本人が従事する場合の報酬と同等額以上の報酬の確保を含む)に関すること。
- 安全衛生の確保に関すること。
- 雇用保険、労働者災害補償保険、健康保険及び厚生年金保険への加入に関すること。
- 出入国管理及び難民認定法の遵守に関すること。
- その他適正受入管理協議会が必要と認めること。
監査において特定機関は、適正受入管理協議会から求められた場合、巡回指導または監査に関する事項について、書面のような方法で説明しなければなりません。
また、 外国人農業支援人材を雇用している本社、または直営事業所が特定機関に対し是正のための措置を講ずることを求めた場合、以下の対応が必要です。
当該特定機関は当該期間内に是正のための措置を講じ、その内容について適正受入管理協議会に報告します。
派遣先への現地調査
特定機関が 適正受入管理協議会に提出した報告内容を確認するため、現地調査が必要と判断する場合があります。
その場合は、派遣先に適正受入管理協議会による現地の調査を受けさせる必要があります。
また、現地調査の結果により、適正受入管理協議会が本事業の適正かつ確実な実施の観点から特定機関に対し是正のための措置を講ずることを求めた場合、 特定機関と派遣先と連携してその措置を講じて、適正受入管理協議会に報告しないといけません。
外国人労働者の保護
外国人農業支援人材の苦情及び相談を受ける窓口や、 派遣先において外国人材が不当に扱われた場合に、適切に対応できる体制を設ける必要があります。
また相談を受けたことを理由に、外国人労働者との契約を解約することはできません。
まとめ
農業支援外国人受入事業を通じて、日本で働く外国人は特定機関より農業の事業所に派遣されます。
外国人の適切な労働環境を確保するため、特定機関を申請する事業者と労働者との契約に対して審査が行われます。
また、特定機関は法律に決まった役割を十分に果たし、外国人を保護する必要があります。
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