素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業の特定技能外国人雇用
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2024/04/16
2019年4月に「特定技能」という在留資格が新たに創設され、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業などの製造業分野で雇用できる外国人材が増えてきました。
特定技能外国人は、技能水準と日本語能力水準を満たす必要があるので、即戦力が期待できます。
ただし、雇用にあたる業務内容や雇用期間に関する注意点もあるので確認が必要です。
製造業分野の人材の状況
まず、求人倍率を見てみましょう。
求人倍率とは、求職者1人あたりに何件の求人があるかを示すもので、高ければ高いほど人材確保が難しくなります。
2017年の製造業分野における有効求人倍率は、鍛造工が4.32倍、鋳物製造工が3.82倍となりました。
全国平均の1.54倍より非常に高くなっているため、素形材産業における人手不足は深刻化しているといえるでしょう。
また、高齢化も素形材産業の課題の1つで、2012年は素形材産業における60歳以上の労働者は25%でしたが2017年は27%に上昇しています。
製造業分野の外国人材受け入れの必要性
先述の通り、 製造業分野の人手不足は深刻となっています。
そこで、 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業について一定の専門性・技能を有する即戦力の外国人の受け入れを促進するために「特定技能1号」が設立されました。
素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業の特定技能を申請するには
「特定技能」は、それぞれの分野で即戦力が期待できる外国人材を受け入れるために設立されました。
つまり、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業に関して基本的な知識や技能を有するのが求められています。
また、コミュニケーションや仕事を円滑に進めるための日本語能力も必要とします。
そのため、外国人が素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業の「特定技能1号」を申請するには、技能水準と日本語能力水準の両方を満たすことが条件です。
技能水準
「特定技能1号」を申請する外国人が、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業において一定の知識・技能が持っているのかを測定するため、2つの基準が設けられています。
1.「特定技能評価試験」の合格
素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業の特定技能評価試験は、経済産業省が主導する試験となります。
試験問題は、経済産業省が選定した団体が作成するので、試験の信頼性は高いと言えます。
また、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業は様々な職種があり、それぞれの業務内容により必要となるスキルも違うので、評価試験も職種ごとに分かれています。
素形材産業の特定技能評価試験は19職種あります。
試験内容はそれぞれ異なりますが、すべての職種に学科試験と実技試験の両方を設けています。
項番 | 職種 | 試験名 |
1 | 鋳造 | 製造分野特定技能1号評価試験(鋳造) |
2 | 鍛造 | 製造分野特定技能1号評価試験(鍛造) |
3 | ダイカスト | 製造分野特定技能1号評価試験(ダイカスト) |
4 | 機械加工 | 製造分野特定技能1号評価試験(機械加工) |
5 | 金属プレス加工 | 製造分野特定技能1号評価試験(金属プレス加工) |
6 | 鉄工 | 製造分野特定技能1号評価試験(鉄工) |
7 | 工場板金 | 製造分野特定技能1号評価試験(工場板金) |
8 | めっき | 製造分野特定技能1号評価試験(めっき) |
9 | アルミニウム陽極酸化処理 | 製造分野特定技能1号評価試験(アルミニウム陽極酸化処理) |
10 | 仕上げ | 製造分野特定技能1号評価試験(仕上げ) |
11 | 機械検査 | 製造分野特定技能1号評価試験(機械検査) |
12 | 機械保全 | 製造分野特定技能1号評価試験(機械保全) |
13 | 塗装 | 製造分野特定技能1号評価試験(塗装) |
14 | 溶接 | 製造分野特定技能1号評価試験(溶接) |
15 | 電子機器組立て | 製造分野特定技能1号評価試験(電子機器組立て) |
16 | 電気機器組立て | 製造分野特定技能1号評価試験(電気機器組立て) |
17 | プリント配線板製造 | 製造分野特定技能1号評価試験(プリント配線板製造) |
18 | プラスチック成形 | 製造分野特定技能1号評価試験(プラスチック成形) |
19 | 工業包装 | 製造分野特定技能1号評価試験(工業包装) |
2.「技能実習2号」の修了
素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業において「特定技能」を導入している19職種に関連する「技能実習2号」を修了すると、「特定技能」の申請が可能となります。
「技能実習2号」を修了するには、日本で3年以上の素形材産業の実務経験が必要となります。
以下に、移行できる「技能実習2号」と「特定技能」との関連性をまとめました。
技能実習 | 特定技能 | ||||
職種名 | 作業名 | 分野(業務区分) | |||
鋳造 | 鋳鉄鋳物鋳造 | 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業 (機械金属加工) |
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非鉄金属鋳物鋳造 | |||||
鍛造 | ハンマ型鍛造 | ||||
プレス型鍛造 | |||||
ダイカスト | ホットチャンバダイカスト | ||||
コールドチャンバダイカスト | |||||
機械加工 | 普通旋盤 | 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業 (機械金属加工) |
素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業 (電気電子機器組立て) |
造船・舶用工業(機械加工) | |
フライス盤 | |||||
数値制御旋盤 | |||||
マシニングセンタ | |||||
金属プレス加工 | 金属プレス | 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業 (機械金属加工) |
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鉄工 | 構造物鉄工 |
素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業
(機械金属加工)
|
建設(土木) | 建設(建築) | 造船・舶用工業(鉄工) |
工場板金 | 機械板金 | 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業 (機械金属加工) |
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めっき | 電気めっき | 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業 (金属表面処理) |
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溶融亜鉛めっき | |||||
アルミニウム陽極酸化処理 | 陽極酸化処理 | ||||
仕上げ | 治工具仕上げ | 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業 (機械金属加工) |
素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業 (電気電子機器組立て) |
造船・舶用工業(仕上げ) | |
金型仕上げ | |||||
機械組立仕上げ | |||||
機械検査 | 機械検査 | 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業 (機械金属加工) |
素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業 (電気電子機器組立て) |
||
機械保全 | 機械系保全 | 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業 (機械金属加工) |
素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業 (電気電子機器組立て) |
||
電子機器組立て | 電子機器組立て | 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業 (電気電子機器組立て) |
|||
電気機器組立て | 回転電機組立て | 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業 (機械金属加工) |
素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業 (電気電子機器組立て) |
造船・舶用工業(電気機器組立て) | |
変圧器組立て | |||||
配電盤・制御盤組立て | |||||
開閉制御器具組立て | |||||
回転電機巻線製作 | |||||
プリント配線板製造 | プリント配線板設計 | 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業 (電気電子機器組立て) |
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プリント配線板製造 |
日本語能力水準
国際交流基金日本語基礎テストのA2レベル、もしくは日本語能力試験のN4以上に合格する必要があります。
これらに合格すると、外国人が基本的な日本語を理解することができると認定されます。
素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業での特定技能外国人雇用の注意点
素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業における特定技能外国人を受け入れる際に注意すべき点があります。
例えば、従事できる業務内容や、受け入れる人数と期間が変わってきますので、必ず確認をしましょう。
1号特定技能外国人を雇用できる
素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野の1号特定技能外国人を雇用できる事業者は、以下の産業のうちいずれかを営んでいる必要があります。
- 鋳型製造業(中子を含む)
- 鉄素形材製造業
- 非鉄金属素形材製造業
- 作業工具製造業
- 配管工事用附属品製造業(バルブ、コックを除く)
- 金属素形材製品製造業
- 金属熱処理業
- 工業窯炉製造業
- 弁・同附属品製造業
- 鋳造装置製造業
- 金属用金型・同部分品・附属品製造業
- 非金属用金型・同部分品・附属品製造業
- その他の産業用電気機械器具製造業(車両用、船舶用を含む)
- 工業用模型製造業
素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業の「特定技能1号」の業務内容
1号特定技能外国人は、合格した特定技能評価試験、または修了した特定技能2号により確認された技能が必要となる業務のみに従事できます。
たとえば、鋳造の評価試験を合格した特定技能外国人は鋳造のみに従事できるので、もし機械検査の業務を行うと不法就労となります。
くわしくはこちらの記事:不法就労の外国人を雇ってしまったら!?外国人雇用のリスクと回避方法
特定技能外国人の受け入れの期間は最長5年
素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野の特定技能外国人の受け入れの期間は最長5年となっています。
5年以上の雇用は原則的に不可となっています。
また、技能実習2号の修了者を雇用する場合はその期間も5年に含まれ、最長2年の勤務となりますので気を付けてください。
なお、特定技能外国人の受け入れが停止になる可能性があります。
2019年から2024年の間で、 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野における特定技能外国人の受け入れの人数上限は、21,500人と決められています。
この上限を超えることが見込まれる場合、国が特定技能外国人の受け入れを止めることができます。
派遣での雇用は禁止
素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業における1号特定技能外国人の受け入れは、直接雇用のみとなっています。
素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業において特定技能は中長期雇用を通じて人材の確保を図るために導入された制度なので、派遣や短期雇用は認められません。
まとめ
素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業における人手不足が深刻になっています。
即戦力が期待できる外国人を雇用するため、2019年4月より「特定技能」という在留資格が新設されました。
特定技能外国人は日本で3年の実務経験がある人と同じ程度の知識・技能を有すると認定されています。
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