インドネシア人の特徴とは? 文化や価値観など採用・受け入れ時に知っておきたいポイントを解説
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2026/03/06
この記事でわかること
- インドネシアの地理・文化形成の概要
- インドネシア人に多く見られる特徴
- インドネシア人を受け入れる際の企業側の注意点
特定技能や育成就労制度を活用した、インドネシア人の採用を検討する企業が増えています。実際、2025年の日本国内で就労するインドネシア人の労働者数は約22万人とされ、前年の約17万人から大きく伸びています。就労分野は、建設・製造・医療・福祉分野の割合が高く、人手不足が深刻な業種を中心に受け入れが進んでいるようです。
またインドネシアは、ベトナムに次いで特定技能(1号)の在留人数が多い国としても知られており、今後も人材の受け入れが拡大していくと見込まれています。
本記事ではインドネシア人の特徴や宗教・生活習慣で理解しておきたいポイント、受け入れ時の注意点を解説します。インドネシア人の採用を検討している企業担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
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インドネシアはどんな国?
インドネシア人の特徴を理解するための基礎として、まずは彼らが生まれ育った国の概要について把握しましょう。
【インドネシアの基本データ】
| 国名 | インドネシア共和国 |
|---|---|
| 首都 | ジャカルタ |
| 国土面積 | 約192万k㎡ |
| 日本との時差 | 日本より2時間遅れ(ジャカルタ) |
| 人口 | 約2億8,500万人 |
| 民族 | 約1,300(ジャワ人、スンダ人、マドゥーラ人等マレー系、パプア人等メラネシア系、中華系、アラブ系、インド系など) |
| 公用語 | インドネシア語 |
| 宗教 | イスラム教 87%、キリスト教 10.4%(プロテスタント7.4%、カトリック 3%)、ヒンドゥー教 1.7%、仏教 0.7% ※2023年 宗教省統計 |
ここでは、インドネシアの地理・人口規模と公用語について、詳しく解説します。
▼参考:外務省 インドネシア共和国基礎データ
▼参考:UNFPA 世界人口白書2025
地理、人口規模
インドネシアは、東西約5,000kmに広がる1万7,500以上もの島で構成される島嶼(とうしょ)国家で、赤道直下の東南アジアに位置します。国土面積は約192万km²あり、日本のおよそ5倍に当たります。経済・政治の中心地であるジャワ島や天然資源の多いスマトラ島、観光地として知られるバリ島などが有名です。
人口は約2.8億人と多く、インド・中国・アメリカ合衆国に次いで世界第4位の規模を誇ります。特に注目されるのが年齢構成で、平均年齢は約30歳と若く、日本の約50歳と比べると大きな差があります。生産年齢人口(15~64歳の人口)の割合が高い「人口ボーナス期」にあり、豊富な労働力と経済の成長が見込まれる点が特徴です。
▼参考:world meter インドネシアの人口
▼参考:world meter 日本の人口統計
公用語
インドネシアの公用語は「インドネシア語」です。インドネシア語は、1928年に宣言された「青年の誓い」によって、民族間の共通語として定められました。特定の民族の言語ではなく、異なる民族や文化をつなぐ中立的な共通語として位置付けられており、現在では教育、行政、ビジネスなど、あらゆる場面で使用されています。
ただしインドネシアは多民族国家のため、国内にはジャワ語やスンダ語など、500〜700以上の地方言語が存在します。家庭内や同じ出身地域の人同士では、こうした地方言語が日常的に使われることも少なくありません。
多民族・多宗教国家
インドネシアは、多民族・多宗教国家として知られています。国内にはジャワ人、スンダ人、バタック人、ミナンカバウ人など、多くの民族がおり、文化や生活習慣は地域ごとに大きく異なります。このように、単一の民族や文化に統一されていない点が、インドネシア社会の大きな特徴です。
こうした多様性を前提とする社会の基盤となっているのが、インドネシアの国家理念である「パンチャシラ(Pancasila)」です。パンチャシラは、信仰の尊重や人道主義、国家の統一、民主主義、社会的公正といった五原則から構成されており、多様な民族や宗教を一つの国家としてまとめるための価値観として位置付られています。
宗教面にも多様性があり、イスラム教、キリスト教(プロテスタント・カトリック)、ヒンドゥー教、仏教、儒教の6つが政府により公認されています。信仰者の割合としてはイスラム教徒が多数を占めていますが、特定の宗教を国教として定めるのではなく、異なる宗教同士が互いを尊重することが社会の前提とされているのです。
インドネシア人に多く見られる特徴
次にインドネシア人の価値観や傾向の特徴について、解説します。なおインドネシア人の性格やコミュニケーションの傾向などについては、以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
▼インドネシア人の性格・気質とは? 日本の職場で評価・誤解されやすい点、定着につながる接し方を解説
日本に好意的な印象を持つ人が多い
一般的に、インドネシア人は日本に対して好意的な印象を持つ人が多いとされています。背景の一つとして、日本が長年にわたり政府開発援助(ODA)を通じた経済協力を行ってきた関係性が挙げられます。また日本の自動車やバイクといった工業製品に加え、アニメやマンガ、J-POPなどのポップカルチャーが広く浸透している点も、日本への関心を高める理由の一つです。
こうした関心の高さは、日本語学習者数の多さにも表れており、インドネシアは日本語学習者数が中国に次いで2番目に多い国でもあります。
宗教や家族を重視する価値観がある
インドネシアには約1,300もの異なる民族が暮らしており、文化や生活習慣には地域差があります。一方で、共通した価値観として挙げられるのが「宗教」を重んじる点です。信仰の度合いや生活習慣は、民族や個人によって異なるものの、宗教はあらゆる場面での判断基準であり、価値観が強く反映されています。
また、インドネシア社会には「ゴトン・ロヨン(Gotong Royong)」と呼ばれる相互扶助の精神が根付いているとされ、地域社会の中で困っている人を助け合う意識が強いことも特徴の一つです。特に家族や親への絆や尊敬の念が強く、仕事の選択や決定においても家族の意見が大きな影響を与えます。
このようなコミュニティ意識の強さは、インドネシア人の行動や判断の前提を理解する上で重要なポイントとなります。
多様性を受け入れる姿勢が根付いている
インドネシアは異なる文化や価値観を持つ人々が共存する社会構造のため、他者の考え方や背景の違いを受け止める姿勢が比較的浸透しています。そのため、信仰や戒律が異なるからといって、お互いを非難することは基本的にありません。
こうした多様性を受け入れ、お互いの価値観を認め合えるおおらかさもインドネシア人の特徴であるといえます。
インドネシア人を雇用する上で押さえておきたい宗教・生活習慣
インドネシア人の雇用を検討しているなら、特に理解しておきたいのが、宗教を背景とした生活習慣です。ここでは食事や行事、服装などについて、就労時に配慮が必要となる部分をご紹介します。
ハラルとハラムに配慮する
イスラム教では「ハラル(許されたもの)」と「ハラム(禁じられたもの)」という考え方があり、食事においてもこの区別が重視されています。一般的に、豚肉やアルコールはハラムに該当するとされ、口にしない人が多いです。また豚肉そのものだけではなく、豚由来の成分が含まれる食品や調味料を避ける人もいます。
ただし、こうした戒律の捉え方や実践の度合いには個人差があり、全ての人が同じ対応を求めるわけではありません。そのため食事に関する配慮については、個別に確認する必要があるでしょう。
礼拝・断食などの宗教行事がある
イスラム教徒が行う1日5回の礼拝(サラート)も、重要な生活習慣の一つです。就労中の対応方法については、その時間に祈りをする、休憩時間や就業後に行うなど、個人や職場環境に応じてさまざまな形が取られています。
またイスラム暦の第9月には、約1か月間にわたる断食(ラマダン)が行われます。この期間は、日の出から日没まで飲食を控える習慣があり、体調や業務への影響を考慮するのが望ましいです。断食明けの大祭であるレバランは、家族と過ごす重要な行事とされ、長期休暇を希望する可能性があります。
身体の扱いや服装の決まりがある
宗教的な価値観から、身体の扱いや服装に関しても配慮が求められる場面があります。例えば、頭部は宗教的に重要な部位と捉えられることが多く、他人が不用意に触れることは避けるのが望ましいです。また左手は衛生上の理由から、食事や物の受け渡しに使用しない習慣を持つ人もいます。
女性の場合、ヒジャブ(ジルバブ)と呼ばれるスカーフを身に着け、肌の露出を控える服装を選択する人もいますが、服装の在り方についても宗派や個人の考え方によって違いがあります。
時間に対する考え方が異なる
インドネシア人には状況や人間関係を重視し、時間を柔軟に捉える文化的な感覚があるといわれています。いわゆる「ジャム・カレット(Jam Karet)・ゴムの時間」という考え方です。この考え方は、日常生活や社会全体の価値観に根差したものであり、必ずしも仕事に対する意欲や責任感の低さを意味するものではありません。
日本の職場では時間厳守が強く求められる傾向にあるため、受け入れに当たっては、時間に対する価値観の違いが双方のストレスにならないよう、事前に日本人従業員へ共有しておくことが重要です。
時間に関する捉え方の違いは個人差も大きいため、一律に判断するのではなく、具体的な業務内容や職場ルールを丁寧に説明し、認識をすり合わせていくことが必要でしょう。
インドネシア人の受け入れをする際の注意点
インドネシア人を雇用する企業の中には、制度や在留資格の手続きは問題なく進められたものの、現場での運用に課題を感じるケースも少なくありません。また、注意や指導がうまく伝わらず定着につながらなかったというケースも見られます。こうした問題は、受け入れ体制や事前準備の不足が原因である可能性が高いです。
以下ではこうした失敗を防ぎ、インドネシア人と円滑な雇用関係を築くために、企業側が注意すべき点をご紹介します。
受け入れ前の事前準備を入念に行う
先述した通りインドネシア人の受け入れに当たっては、受け入れ前の事前準備をどこまで整えられているかが、その後の雇用の安定性を大きく左右します。例えば、宗教や生活習慣に関する基本的な理解が不足したまま受け入れを開始した結果、礼拝や食事をめぐって現場で戸惑いが生じてしまうといったことが起こり得ます。
具体的には、以下のような準備が欠かせません。
●現場の日本人従業員にインドネシアの文化や宗教的背景について周知をする
●業務マニュアルは分かりやすい日本語(もしくは母国語)で作成する
●更衣室や会議室を礼拝スペースとして利用できるようにする
●食堂のメニューに豚肉を含まないものを作る
このような工夫を行うことで、受け入れ後の混乱を防ぎやすくなります。
事前準備の段階で「どこまで配慮できるのか」「職場として守るべきルールは何か」を明確にしておくことが、円滑な雇用関係の第一歩となるでしょう。
業務内容・期待値を事前にすり合わせる
インドネシア人を受け入れる際には、業務内容や求める役割、期待している水準を事前に明確に伝えることが大切です。日本の職場では「察する」「空気を読む」といった暗黙の了解が前提となる場面もありますが、こうした配慮を同じように求めてしまうと、期待値のずれが起こりやすくなってしまいます。
業務範囲や作業手順、求められる品質やスピード、報告・連絡のタイミングなどを具体的に言語化し、本人が理解できているかを確認しながら進めることが重要です。「はい」と返答があった場合でも、実際にどこまで理解しているかを都度確認しましょう。
また勤務時間やラマダン・レバランなどの宗教行事における休暇の扱いについても、事前にルールを明確にし、雇用条件書で合意を得ておくことが後のトラブル回避につながります。認識の齟齬がないよう、母国語表記のものも用意し、すり合わせができる準備を整えましょう。
定着までを見据えた支援を受ける
インドネシア人の雇用においては、安定して働き続けられる環境を整えることも重要です。業務内容に問題がなくても、生活面での不安や孤立感が原因となり、早期離職につながるケースも少なくありません。
住居の確保や行政手続き、日本での生活ルールへの理解、日本語学習など、仕事以外の部分でつまずきが生じた場合にも対応できるような支援体制を整えることが重要です。自社だけで対応が難しいケースも多いため、定着までを見据えた支援を受けられる登録支援機関や専門事業者を選ぶことも有効な選択肢といえます。
まとめ
インドネシア人は日本に対して好意的な印象を持つ人が多く、宗教や家族、コミュニティを大切にする価値観を持つことが特徴とされています。こうした特徴は多民族・多宗教国家としての社会的背景や、宗教が日常生活に深く根付いている文化から形成されているものであり、日本の職場環境とは前提条件が異なる部分も少なくありません。
特に食事や礼拝、断食といった宗教に基づく生活習慣や、時間に対する考え方などは、雇用主として事前に理解しておくべき重要なポイントです。ただし、必要以上に構える必要はなく「どの場面で配慮が必要か」「業務に支障が出ない範囲はどこか」を整理し、本人とすり合わせていくことが現実的な対応といえます。
受け入れ前の準備を行う際は自社だけで抱え込まず、登録支援機関や専門事業者などの知見や支援を適切に活用しながら、無理のない受け入れ体制を整えていきましょう。
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