特定技能外国人の採用にかかる費用とは? 項目ごとの費用相場やコスト最適化の方法を解説
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2026/03/06
この記事でわかること
- 特定技能外国人の受け入れに伴う費用全体像と項目別の相場感
- 特定技能外国人受け入れでのコストを適正化する方法
- 特定技能外国人受け入れでのトラブル回避方法
特定技能外国人の採用を検討する際「結局いくらかかるのか分からない」「初期費用と月々の費用をどう見積もればよいのか判断できない」と感じる企業担当者は少なくありません。
特定技能制度では、人材紹介費用や登録支援機関への委託費、在留資格手続き、住居の初期費用など、複数の費用が段階的に発生するため、全体像を把握しないまま進めると「想定外のコスト」に直面するリスクがあります。
本記事では、特定技能外国人の受け入れにかかる費用について解説します。初期費用と継続費用の全体像を整理した上で、項目ごとの相場感やコストを適正化するための方法、費用トラブルを防ぐポイントを分かりやすくご紹介するので、採用担当者の方はぜひ最後までご覧ください。
※本記事の内容は2026年2月時点の情報です。
特定技能外国人受け入れ費用シミュレーター

在留資格申請費用、紹介費用、外国人の渡航費、生活備品など多くの項目で費用が不透明なため社内検討ができない。そんな担当者様のために 特定技能外国人受け入れ費用をシミュレーションしお送ります。
TOPICS
特定技能外国人の受け入れにかかる費用の全体像
特定技能外国人を受け入れる際にかかる費用は、採用活動から就労開始までに一度だけ発生する「初期費用」 と、雇用を継続する限り定期的に発生する 「継続費用」 の2つに分けて考える必要があります。各費用でかかる主な項目を理解し、全体像を把握しましょう。
初期費用
初期費用には主に以下のような項目が含まれます。
- 人材紹介会社に支払う採用関連費用
- 在留資格(特定技能)の申請・変更に関する手続き費用
- 特定技能外国人の渡航費用
- 住居の初期費用(敷金・礼金、家具・家電の準備など)
これらを合算すると、初期費用の目安は一人当たりおおよそ80万円〜100万円程度です。ただし、海外からの新規採用か、国内在留者(技能実習生など)の移行か、また採用分野や人材の属性によって、費用には大きな差が生じます。
継続費用
継続費用には主に以下のような項目が含まれます。
- 登録支援機関へ支払う支援委託費
- 給与・社会保険料などの人件費
- 在留期間更新や各種届出に関する費用
- 分野別協議会への加入費・年会費(分野による)
これらの継続費用は「一時的な出費」ではなく、雇用期間中ずっと発生し続ける費用です。採用時点では初期費用に目を向けがちですが、実務上は継続費用を含めた中長期的なトータルコストを前提に採用計画を立てることが重要になります。
受け入れ企業が負担する項目ごとの費用相場
先述した費用の項目について、一つずつ詳しく解説します。それぞれの相場感や注意点を理解しましょう。
人材紹介会社に支払う採用関連費用
人材紹介会社とは、特定技能外国人と受け入れ企業をマッチングし、採用までを支援する事業者です。海外在住者・国内在留者のいずれを採用する場合でも、紹介会社を利用すると紹介手数料が発生します。またフィリピン・ベトナム・ミャンマー・カンボジアなど、二国間協定により送出機関の利用が義務付けられている場合、手数料を支払う必要があります。
費用相場は以下の通りです。
- 紹介手数料:一人当たり20万〜30万円程度
- 送出機関の手数料:一人当たり10~60万円程度
紹介手数料は固定費の場合と、特定技能外国人の年収額の〇%といった成果報酬の場合があるので、事前に把握しておきましょう。
在留資格申請・更新・変更にかかる費用
特定技能外国人を採用・雇用する際には、在留資格に関する各種申請手続きが不可欠です。
これらは内容が複雑で提出書類も多岐にわたるため、行政書士などの専門家に申請代行を依頼するケースが多いです。
企業が想定しておくべき主な費用は「新規申請・変更時の費用」と「更新時の費用」の2つに分けて考えると分かりやすいでしょう。
【在留資格の新規申請・変更にかかる費用】
海外から特定技能外国人を呼び寄せる場合や、国内で転職者を採用する場合には、在留資格認定証明書交付申請または在留資格変更許可申請が必要となります。
- 在留資格認定証明書交付申請:手数料は無料
- 在留資格変更許可申請:手数料は6,000円(オンライン申請の場合は5,500円)
- 行政書士らへの依頼料:10~20万円程度
特定技能外国人を国内採用した場合も、転職時に「在留資格変更申請」を行う必要があると留意しておきましょう。
【在留資格の更新にかかる費用】
在留カードに記載されている在留期限が来るたびに、在留期間更新許可申請を行う必要があります。
- 在留期間更新許可申請:手数料は6,000円(オンライン申請の場合は5,500円)
- 行政書士らへの依頼料:3~8万円程度
雇用条件は適切に維持されているか・納税状況に問題はないかといった点が審査対象となるため、登録・変更に比べて書類は少ないものの、専門家にサポートを依頼する場合、費用が発生します。
渡航費用
海外から特定技能外国人を呼び寄せる場合、航空券代などの渡航費が発生します。制度上は、外国人本人が渡航費を負担することも可能ですが、送出機関が企業負担を条件にしている・採用競争力を高めるため・入社後の定着率を高めるためといった理由から、企業が負担するケースが多く見られます。
航空代の相場は以下の通りです。
- 航空代(片道):4~10万円程度
住居・生活立ち上げに関する費用
日本での生活拠点の確保に当たり、以下の費用がかかります。
- 敷金、礼金、仲介手数料:家賃の3~4カ月分
- 家具や家電の準備:20~25万円程度
これらを合算すると40~50万円程度がかかる見込みです。登録支援機関へ生活支援を委託する場合でも、住居の初期費用は企業負担となる点に注意が必要です。
登録支援機関に支払う支援委託費
特定技能制度では、外国人が日本で安定して就労・生活できるよう、事前ガイダンスや生活支援、日本語学習支援、定期的な面談などの支援を行うことが義務とされています。登録支援機関とは、こうした「支援業務」を受け入れ企業に代わって実施する機関です。
登録支援機関に支払う費用は、大きく分けて初期費用・月額費用に分けられます。
【登録支援機関に支払う初期費用】
- 入国前の事前ガイダンス:2万〜6万円程度
- 生活オリエンテーション(住民登録、口座開設、生活ルール説明など):2万〜8万円程度
多くの機関はこれらを月額費用とは別枠で請求するため、契約締結前に確認しておくことが重要です。
【登録支援機関に支払う月額費用】
- 委託費:一人当たり2~4万円程度
月額費用では、定期的な面談や相談対応、日本語学習の機会提供、行政手続きや生活面のフォロー、職場定着支援などを受けられます。
ただし登録支援機関は必ずしも利用する必要はないため、受け入れ企業が自社で支援要件を満たすことができれば、この費用を削減することも可能です。
特定技能外国人へ支払う給与と各種保険費用
特定外国人の給与や賞与、福利厚生は、同等の業務に従事する日本人と同等以上にすることが求められています。例え最低賃金を満たしていても、日本人との待遇差が不合理と判断されれば、在留資格の更新や変更審査に悪影響を及ぼす恐れがあります。
また健康保険や厚生年金、雇用保険、労災保険なども、日本人従業員と同様、加入が原則必須です。そのため保険料の事業主負担分(額面給与の15%程度)を支払う必要があります。
分野別協議会への加入に伴う経費
特定技能制度では、受け入れ分野ごとに設置されている分野別協議会への加入が義務付けられている場合があります。加入費用や負担金がかかることもあるので、あらかじめ確認しておきましょう。
例えば、工業製品製造分野では一般社団法人工業製品製造技能人材機構に加入し、以下の費用を納める必要があります。
| 正会員団体に所属する場合 | 正会員団体に未所属の場合 | |
|---|---|---|
| 中小企業 | 60,000 円 / 年 | 63,000 円 / 年 |
| 大企業 | 80,000 円 / 年 | 83,000 円 / 年 |
特定技能人材の採用コストを適正化するための方法
特定技能人材の受け入れにかかる費用は、採用ルートや支援体制の設計次第で大きく変わります。ここでは制度を正しく理解した上で、無理なくコストを最適化するための方法をご紹介します。
自社の技能実習生を特定技能へ移行させる
すでに技能実習生の受け入れをしている企業にとって、実習生を特定技能へ移行させる方法は、コスト・採用の両面で負担の軽減につながる最適解です。この場合、人材紹介会社への手数料や渡航費といった費用が不要となり、初期費用を大幅に抑えられます。
現行制度では、特定技能1号の対象となる分野と業務内容に関連性があり、技能実習2号または3号を良好に修了した外国人は、技能試験・日本語試験が免除され、無試験で特定技能1号へ移行できる仕組みが設けられています。そのため、すでに現場経験のある人材を、比較的スムーズに即戦力として継続雇用できる点も企業にとって大きなメリットです。
ただし2027年に技能実習制度は廃止され、育成就労制度がスタートします。新制度では、特定技能への移行に当たり原則として試験合格が必要となる見込みであり、これまでのような無試験移行は認められなくなります。今後新たに実習生の受け入れを検討している企業や、中長期的な外国人材の活用を考えている企業は、制度移行を見据えた採用・育成計画を立てることが重要といえるでしょう。
人材紹介と生活支援の両方をサポートする会社を選ぶ
特定技能外国人を採用する際、人材紹介会社と登録支援機関を別々の会社に依頼するケースも少なくありません。しかしこの場合、それぞれに手数料が発生するだけではなく、契約管理や情報共有、調整業務が煩雑になり、結果として企業側の負担が大きくなることがあります。
一方で、人材紹介と登録支援機関の役割を一括して依頼できる会社に委託すれば、トータルコストを抑えられる可能性がある他、窓口を一本化できるため実務上の負担を大幅に軽減できます。採用から入国後の生活支援、定着フォローまでを一貫して任せられる点は、特に初めて特定技能外国人を受け入れる企業にとって大きなメリットでしょう。
また万が一トラブルが発生した場合でも、対応窓口が明確になるため責任の所在が不透明になるリスクを避けやすい点も重要です。結果として、社内調整や対応に追われる時間を減らし、本来の業務に集中しやすくなります。
特定技能の受け入れを継続的に行うのであれば、費用面だけでなく運用負担や管理体制まで含めて委託先を選ぶことが望ましいです。
外国人雇用に関連する助成金・補助金制度を活用する
特定技能人材の採用に限定した制度ではありませんが、外国人雇用を含む人材確保や就労環境整備を支援する助成金・補助金を活用できるケースがあります。
代表的な国の制度は以下の通りです。
また、自治体独自で特定技能人材の受け入れ費用や支援委託費を補助する制度を設けている地域もあります。これらの制度を活用できれば、企業の費用負担を一定程度軽減することが可能です。ただし申請要件や対象経費は制度ごとに異なるため、詳しくは各助成金・補助金サイトをご確認ください。
特定技能外国人を採用する際の費用トラブルを防ぐポイント
ここでは特定技能外国人を採用する際の費用にまつわるトラブルと、回避するためのポイントを解説します。
多言語での合意形成を図り、費用説明の透明性を高める
特定技能外国人の採用では、費用負担に関する説明不足がトラブルの原因になりやすい点に注意が必要です。例えば、渡航費や住居の初期費用を外国人本人の負担とする場合、事前の説明が十分でないと、入社後に「聞いていなかった」「そんな条件だとは思わなかった」といった認識のズレが生じ、早期離職や不満につながるケースがあります。
こうしたトラブルを防ぐためには、採用時点で以下を徹底することが重要です。
- 費用項目ごとに「誰が・いつ・いくら負担するのか」を明確にする
- 日本語だけでなく、本人が理解できる母国語などで説明する
- 口頭説明だけでなく、書面で費用一覧を作成し、同意を得る
特定技能制度では、不当に費用を負担させること自体が問題視される可能性もあります。企業側は「説明したつもり」で終わらせるのではなく、本人が理解・同意したことを客観的に証明できる状態を整えておきましょう。
社内教育・マニュアル翻訳などの見落としがちな隠れコストを把握する
特定技能外国人の受け入れでは、外部に支払う費用だけでなく、社内で発生する間接的なコストにも目を向ける必要があります。具体的には、以下のような「隠れコスト」が発生しがちです。
- 入社初期の通訳・翻訳対応にかかる工数
- 業務マニュアルや安全ルールの多言語化
- 現場担当者への教育・指導時間
- 生活面やメンタル面のフォロー体制づくり
これらは目に見える費用ではありませんが、担当者の稼働時間や社内リソースを確実に消費するコストです。事前に想定していないと「思った以上に手がかかる」「現場の負担が大きい」と感じ、受け入れ体制が崩れてしまう原因にもなります。
特定技能人材を安定して定着させるためには、こうした見えにくい支援コストも含めて洗い出し、年次予算や人員計画にあらかじめ組み込んでおくことが重要です。
まとめ
特定技能外国人の受け入れにかかる費用は、単なる「採用コスト」ではなく、人材の定着と戦力化を実現するための先行投資と捉えることが重要です。短期的なコスト削減だけを重視すると、説明不足によるトラブルや早期離職、現場負担の増大といったリスクを招きかねません。
自社に合った採用ルートや支援体制を戦略的に設計し、費用負担の透明化と運用面の見通しを立てた上で受け入れを進めることで、費用対効果の高い外国人雇用を実現できます。中長期的な視点で制度を理解し、無理のない形で特定技能人材を採用していきましょう。
特定技能外国人受け入れ費用シミュレーター

在留資格申請費用、紹介費用、外国人の渡航費、生活備品など多くの項目で費用が不透明なため社内検討ができない。そんな担当者様のために 特定技能外国人受け入れ費用をシミュレーションしお送ります。
