ビルクリーニング業界の技能実習・特定技能を解説 vol. 2 ~必要な準備編~

前回の記事では、ビルクリーニング職種における技能実習制度特定技能制度それぞれでの受け入れにおける違いを比較しながら解説しました。

今回は、実際に受け入れを検討するにあたり必要な許可申請や理解すべき部分を解説いたします。

技能実習・特定技能受け入れに必要な建築物衛生法の理解と登録

技能実習生や特定技能外国人を受け入れる場合は、建築物衛生法に従った登録が必要です。

 

■ 建築物衛生法の概要

『興行場、百貨店、店舗、事務所、学校等の用に供される建築物で、相当程度の規模を有するものを「特定建築物」と定義し、その特定建築物の所有者、占有者等に対して、「建築物環境衛生管理基準」に従って維持管理をすることを義務づけ、厚生労働大臣の免状を持つ「建築物環境衛生管理技術者」にその維持管理の監督に当たらせるとともに、建築物の環境衛生上の維持管理を行う事業者は都道府県知事の登録を受けることができる。』

ということを主な内容としています。

 

■ 特定建築物の定義

(1)建築基準法に定義された建築物であること。

 

(2)1つの建築物において、次に掲げる特定用途の1又は2以上に使用される建築物であること。

特定用途:興行場、百貨店、集会場、図書館、博物館、美術館、遊技場、店舗、事務所、学校(研修所を含む)、旅館

 

(3)1つの建築物において、特定用途に使用される延べ面積が、3,000平方メートル以上であること。

(ただし、専ら学校教育法第1条に定められている学校(小学校、中学校等)については、8,000平方メートル以上であること)

出展:厚生労働省『建築物衛生のページ』

 

■ 必要な登録とは

技能実習・特定技能ともに、受け入れを行う場合は下記のいずれかの登録を各都道府県にて行う必要があります。

 

・第1号「建築物清掃業」

建築物内の清掃を行う事業(建築物の外壁や窓の清掃、給排水設備のみの清掃を行う事業は含まない)

 

・第8号「建築物環境衛生総合管理業」

建築物における清掃、空気調和設備及び機械換気設備の運転、日常的な点検及び補修(以下「運転等」という。)並びに空気環境の測定、給水および排水に関する設備の運転等並びに給水栓における水に含まれる遊離残留塩素の検査並びに給水栓における水の色、濁り、臭い及び味の検査であって、特定建築物の衛生的環境の維持管理に必要な程度のものを併せ行う事業

出展:厚生労働省『建築物における衛生的環境の確保に関する事業の登録について』

『建築物清掃業』『建築物環境衛生総合管理業』の登録について

■ 建築物清掃業の登録基準

 

(1)次の機械器具等を所有していること

・真空掃除機
・床みがき機
※上記の2つは、営業所ごとに常備されていること。原則として借り入れは認められていません。 同一の機械器具で2つ以上の事業の登録を受ける、または2か所以上の営業所の登録を受けるなど、共用することはできません。

 

(2)「清掃作業監督者」がいること

※「清掃作業監督者」は、他の登録営業所の同監督者として登録するなどの兼任はできません。

また、他の登録業種(空気環境測定業、空気調和用ダクト清掃業、 飲料水水質検査業、飲料水貯水槽清掃業、排水管清掃業、ねずみ昆虫等防除業、環 境衛生総合管理業)の有資格者としての兼任もできません。

さらに、特定建築物に選任される建築物環境衛生管理技術者(ビル管理技術者)と の兼任も認められていません。

 

(3)清掃作業従事者は研修を修了していること

※新規登録申請の場合には、過去1年間に従事者研修を実施していること、及び今後 1年間の計画を立てることが必要です。

 

(4)その他の要件

作業の方法、機械器具等の維持管理の方法が基準に適合していること。
作業方法や機械器具等の維持管理方法が厚生労働省告示第117号に示す項目にすべて合致している必要があります。
告示の内容を十分に把握した上で標準的な作業実施方法等を作成し、申請時に提出しなくてはいけません。

出展:東京都健康安全研究センター『建築物清掃業登録基準』

 

■ 建築物環境衛生総合管理業の登録基準

(1)次の機械器具等を所有していること

※上記の機械等は営業所ごとに常備されていること。
原則として借り入れは認められません。
同一の機械器具で、2つ以上の事業の登録を受ける、または2か所以上の営業所の登録を受けるなど共用することはできません。

 

(2)監督者等の選任

・統括管理者がいること

・清掃作業監督者がいること

・空気環境測定実施者がいること

・空調給排水管理監督者がいること


※監督者等の有資格者は、兼任できません。

また、他の登録営業所や登録業種(清掃 業、空気環境測定業、空気調和用ダクト清掃業、飲料水水質検査業、飲料水貯水槽清 掃業、排水管清掃業、ねずみ昆虫等防除業)の有資格者として登録するなどの兼任もできません。

さらに、特定建築物に選任される建築物環境衛生管理技術者(ビル管理技術者)との兼任も認められていません。

 

(3)従事者の研修を行っていること

(4)その他の要件

作業の方法、機械器具等の維持管理の方法が基準に適合していること。
作業方法や機械器具等の維持管理方法が厚生労働省告示第117号に示す項目にすべて合致している必要があります。告示の内容を十分に把握した上で標準的な作業実施方法等を作成し、申請時に提出しなくてはいけません。

出展:東京都健康安全研究センター『建築物県境衛生総合管理業登録基準』

 

ビルクリーニング分野特定技能協議会への加入

特定技能外国人を受け入れる場合、受け入れ企業は特定技能外国人を受け入れた日から4ヶ月以内に、ビルクリーニング分野特定技能協議会の構成員になる必要があります。

 

■ ビルクリーニング分野特定技能協議会とは?

ビルクリーニング分野特定技能協議会とは特定技能外国人の受け入れと制度運用に関する情報を共有し、スムーズな運営を行う目的で設立されました。

 

【構成員】
・法務省出入国在留管理庁
・警察庁刑事局組織犯罪対策部
・外務省領事局 厚生労働省職業安定局
・公益社団法人全国ビルメンテナンス協会
・厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生課(事務局)

 

【受け入れ機関に求められる協力内容】
・特定技能外国人の受入れに係る状況の全体的な把握
・問題発生時の対応
・法令遵守の啓発
・特定技能所属機関の倒産時等における特定技能外国人に対する転職支援
・就業構造の変化や経済情勢の変化に関する情報の把握
・分析等

出展:ビルクリーニング分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」 に係る運用要領

 

【申請方法】
下記の必要書類を送付し、申請内容に問題がなければ、厚生労働省から「ビルクリーニング分野特定技能競技会構成員資格証明書」が発行されます。

〈必要書類〉
・ ビルクリーニング分野特定技能協議会入会申請書
・ 雇用する特定技能外国人の在留カードの写し
・雇用する特定技能外国人がビルクリーニング分野特定技能1号評価試験合格者の場合は、合格証書の写し
※技能実習から在留資格を変更した場合には必要ありません。
・返信用封筒:角 2 号(A4 版)
・担当者の氏名、連絡先の住所、電話番号を書いたメモ用紙

出展:厚生労働省『ビルクリーニング分野特定技能競技会の加入の流れについて』

まとめ

今回はビルクリーニング業界で技能実習生・特定技能外国人を受け入れる際に必要な準備について解説してきました。

 

ビルクリーニング業での技能実習・特定技能は、それぞれ業種内容に沿った事業の登録や協議会の加入手続きをする必要があるため、漏れのないように余裕をもって準備を行うことが大切です。

ですが、各種の申請や手続きを全て受け入れ企業だけで行うことは手続きの不備や申請漏れの可能性もあり、コスト面でも人事担当者の負担が大きくなってしまいます。

 

技能実習制度では監理団体に加入する必要があり、特定技能制度では登録支援機関に登録する企業様がほとんどですが、どちらの団体も各種申請に関しての知識もあるため、相談することも可能です。

 

当社でも外国人雇用に関するあらゆる申請についてのご相談を多くの企業様からいただいておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

最後までご覧いただきありがとうございました。

 

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