製造業の人手不足の解決策7選|求職者330人調査でわかった応募が来る求人条件を解説
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2026/09/30
この記事でわかること
- 最新データで見る製造業の人手不足の現状と原因
- 求職者330人調査でわかった「求人を外す条件」
- 製造業の人手不足の解決策7選と進める手順
求人を出しても応募が来ず、ようやく採用できた人も夜勤のラインに入ると数か月で辞めてしまう。製造業での採用担当者で、こうした状況に危機感を感じている人は多いのでは。
製造業の人手不足には、人口減少のように一社では変えられない原因と、求人条件の出し方のように自社で変えられる原因が混ざっています。後者に手を付けるには、求職者が何を見て求人を選び、何を理由に候補から外しているのかを知る必要があります。
そこで本記事では、公的統計と自社の独自調査をもとに求職者が求人を外す条件を紹介します。後半では7つの解決策を、どれから手を付けるべきかの優先順位とあわせて整理しました。
製造業の人手不足の現状
製造業の人手不足は、働き手の総数が減っていることと、若い世代の比率が下がっていることの2つが重なって進んでいます。まず公的統計で全体像を確認します。
製造業の就業者数は減少が続いている
2026年版ものづくり白書によると、製造業の就業者数は2024年に1,046万人、2025年に1,033万人でした。2002年の1,202万人と比べると、20年あまりで約170万人減っています(厚生労働省「2026年版ものづくり白書 概要」、元データは総務省「労働力調査」)。
就業者の減少は、全産業の就業者数が増えている中で起きています。同じ資料では、非製造業を含む全体の就業者は2002年の6,330万人から2025年は6,828万人に増えました。働く人の総数が増えているのに製造業だけが減っているということは、ほかの産業との人材の取り合いで、製造業が選ばれにくくなっていることを示しています。
中小企業の人手の過不足を示す従業員数過不足DIでは、製造業は2025年にマイナス17.9でした(中小企業庁「中小企業景況調査」、2026年版ものづくり白書 概要より)。マイナスは不足と答えた企業が過剰と答えた企業より多いことを意味し、コロナ禍の2020年に一時プラスに転じた後、再び不足が続いています。
生産工程の有効求人倍率は全職業を上回る
厚生労働省の一般職業紹介状況では、令和8年7月の有効求人倍率(常用、パートタイムを含む)は職業計で1.05倍でした。これに対し、生産工程従事者は1.59倍です。職種別に見ると、製品製造・加工処理従事者(金属製品)は2.11倍、機械整備・修理従事者は3.88倍と、さらに高い水準にあります(厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年7月分)」参考統計表6)。
有効求人倍率が1.59倍ということは、ハローワークで仕事を探している人1人に対して1.59件の求人がある状態です。求職者から見れば選べる求人が多く、条件が少しでも合わない求人は後回しにされやすい環境だと言えます。
若年層が減り、高齢層の比率が高まっている
製造業の34歳以下の就業者は、2002年の384万人から2025年は258万人に減りました。就業者全体に占める割合も31.4%から25.0%に下がっています。65歳以上の就業者は同じ期間に58万人から85万人に増え、割合は4.7%から8.2%になりました(厚生労働省「2026年版ものづくり白書 概要」)。
白書は、若年と高齢の就業者数は近年ほぼ横ばいで推移していると説明しています。ただ、20年前と比べて若手の厚みが薄くなった状態が続いている点は変わりません。ベテランが引退する時期に、技能を引き継ぐ若手が十分にいない工場が増えています。
人手不足が工場にもたらす影響
人手が足りない状態を放置すると、影響は生産だけでなく、残っている従業員にも及びます。
受注制限・納期遅延
ラインを回す人数が足りなければ、稼働時間を減らすか、受注そのものを絞るしかありません。取引先からの増産要請に応えられない状態が続くと、次の案件が他社に流れることもあります。
技能継承の断絶
2026年版ものづくり白書では、製造業で能力開発や人材育成に問題があると答えた事業所のうち、62.8%が指導する人材が不足していると回答しています。人材を育成しても辞めてしまうという回答も54.4%ありました(厚生労働省「能力開発基本調査」、2026年版ものづくり白書 概要より)。教える人が足りず、教えても定着しない状態では、熟練者の技能が次の世代に渡りません。
現場の負担増と離職の連鎖
欠員を残業や休日出勤で埋めると、今いる従業員の負担が増えます。負担に耐えられずに辞める人が出れば、欠員はさらに増えます。人手不足は、一度始まると自然には止まりにくい問題です。
製造業が人手不足になる5つの原因
原因の多くは業界全体の構造によるものですが、最後の1つは工場ごとに見直せる余地があります。
1. 労働力人口の減少と少子高齢化
生産年齢人口が減り続けている以上、どの産業でも採用の競争は厳しくなります。製造業の就業者が減っているのは、この大きな流れの影響を受けているためです。一社で解決できる問題ではないため、限られた母集団からどう選ばれるかを考える必要があります。
2. 若年層の製造業離れと3Kのイメージ
きつい、汚い、危険という3Kのイメージは、実際の職場環境が改善された後も残りがちです。空調や自動化が進んだ工場でも、求職者が求人票だけを見て判断する段階では、そのことが伝わっていないことがあります。
3. 熟練者の高齢化と指導人材の不足
前述のとおり、人材育成に問題がある事業所の62.8%が指導人材の不足を挙げています(2026年版ものづくり白書 概要)。新人が入っても教える人がいなければ、早期に辞めてしまうリスクが高まります。採用と育成は切り離して考えられません。
4. 賃金・労働環境の差
2026年版ものづくり白書では、ものづくり企業が人材の定着に向けて取り組んでいることとして、賃金水準の向上が71.5%で最も多くなっています。労働時間の短縮・休日の増加が37.3%、空調・照明・騒音対策などの作業環境の改善が36.6%で続きます(労働政策研究・研修機構「ものづくり産業における人材確保・定着と技能継承に関する調査」、同白書概要より)。多くの企業が賃金を上げて対応していますが、それだけで人が集まるとは限りません。
5. 求人条件と求職者の希望のずれ
見落とされやすいのが、求人の条件そのものが求職者の希望と合っていないという原因です。夜勤や交替勤務、平日固定の休みなど、工場の稼働に合わせた勤務条件は、求職者から見ると応募を見送る理由になっていることがあります。どの条件がどれくらい求職者を遠ざけているのかは、次の独自調査で具体的な数字として確認できます。
【独自調査】求職者は何で求人を選び、何で外すのか
ウィルオブ・ワークは2026年9月、製造業のうち工業製品の製造分野(繊維、木材、家具、紙、印刷、化学、鉄鋼、金属製品、機械)で就職活動をした経験がある20〜30代を中心とする330名に、求人を選ぶ条件と許容できない条件を尋ねました。
求人を選ぶ条件の1位は給与(65.8%)。ただし月給の下限は67.6%が26万円未満
求人を選ぶ際に重視する条件を上位3つまで尋ねたところ、1位は時給・給与の65.8%でした。2位の業務時間・勤務曜日36.7%の約1.8倍で、ほかの条件を大きく引き離しています。3位以下は残業時間35.8%、福利厚生30.3%、仕事内容30.0%と続きます(株式会社ウィルオブ・ワーク調べ、複数回答)。
給与が最も重視されている一方で、求める水準は高くありません。応募を検討できる月給の下限は、18万〜22万円未満が34.2%で最も多く、22万〜26万円未満の29.1%と合わせると67.6%が月給26万円未満でも応募を検討すると答えました。30万円以上を求める人は15.8%でした。
さらに、給与を重視する人の割合は、月給の下限が22万円未満の層で65.4%、26万円以上の層で67.3%と、ほとんど差がなく、給与を重視する人が高い給与を求めているとは限らないことが。求職者は、自分が必要とする額が確実にもらえるかを見ていると考えられます。
深夜勤務を許容できない人は54.8%。残業を一切許容できない人は5.5%
許容できない勤務時間帯を尋ねると、深夜勤務が39.1%、早朝と深夜の両方が15.8%で、合わせて54.8%が深夜勤務を許容できないと答えました。何らかの時間帯を避けたいと答えた人は85.5%にのぼります。
対照的に、残業を一切許容できないと答えた人は5.5%にとどまりました。月40時間以内なら許容できる人が50.0%、月20時間以内なら許容できる人が37.6%です。
求職者の多くは残業そのものを拒んでいるわけではありません。応募を妨げているのは、給与や残業よりも勤務時間帯です。
夜勤ありの求人に応募を検討できるのは最大3割。日勤のみなら最大6割超
許容できない勤務時間帯と、許容できない休日パターンの回答を組み合わせ、求人の条件ごとに応募を検討できる人の割合を算出しました。
勤務時間帯と休日の組み合わせ別の応募検討割合
どちらの設問も単一回答のため、複数の条件を許容できない人も1つしか選べていません。表の数値は上限値で、実際に応募を検討できる人の割合はこれ以下になる可能性があります。
| 勤務時間帯\休日 | 土日祝休み(固定) | 平日休み(固定) | シフト制(不定休) |
|---|---|---|---|
| 日勤のみ | 最大73.3% | 最大61.2% | 最大79.1% |
| 早朝勤務あり | 最大44.8% | 最大29.1% | 最大43.3% |
| 深夜勤務あり(夜勤) | 最大29.4% | 最大33.6% | 最大37.3% |
| 早朝・深夜ともあり(交替勤務) | 最大13.9% | 最大13.0% | 最大10.0% |
出典:株式会社ウィルオブ・ワーク調べ(n=330)
休日を変えても最大33.6%→37.3%。夜勤をなくすと最大61.2%
夜勤あり×平日休みの求人では、応募を検討できる人は最大33.6%です。休日をシフト制に変えても最大37.3%で、上がるのは3.7ポイントにとどまります。これに対し、夜勤をなくして日勤のみ×平日休みにすると最大61.2%になり、約1.8倍に広がります。
休日の組み方を工夫するより、勤務時間帯を変えるほうが、応募を検討できる人の数ははるかに大きく動きます。
交替勤務は最大10.0〜13.9%
早朝と深夜の両方がある交替勤務の求人では、応募を検討できる人は休日パターンにかかわらず最大10.0〜13.9%でした。日勤のみの求人と比べると、母集団は5分の1から6分の1程度まで小さくなります。交替勤務のラインで欠員が埋まりにくいのは、求人の出し方以前に、応募を検討できる人がそもそも少ないためです。
正社員登用の可能性があれば派遣・契約でも可が33.3%。この層の63.6%がLINE応募を希望
応募を検討できる雇用形態を尋ねたところ、正社員雇用が51.2%、正社員登用の可能性があれば派遣・契約でも可が33.3%でした。派遣社員の8.8%などを含めると、正社員以外の雇用形態も受け入れる人は48.8%です。
正社員登用の可能性があれば派遣・契約でも可と答えた人は、女性(46.5%、男性は21.4%)、子どもがいる人(41.5%、いない人は24.5%)、月給の下限が22万円未満の人(49.6%)で多い傾向がありました。この層は、LINEで応募・やりとりができることを求める割合が63.6%で、正社員のみを希望する層の33.1%のほぼ2倍です。なお、この層の66.4%は女性で、女性回答者は20代の比重が高いため、性別と年代のどちらの影響かは切り分けられません。
正社員求人だけを出している工場は、この3人に1人の層に届いていない可能性があります。
会社規模で求人を選ぶ人は1.8%
求人を選ぶ際に会社規模を重視すると答えた人は1.8%で、11項目中最下位でした。給与、勤務時間、残業、福利厚生といった具体的な条件のほうがはるかに重視されています。知名度で大手に劣る中小の工場でも、条件の設計と見せ方しだいで選ばれる余地は十分にあります。
調査からわかる、採用の打ち手の優先順位
調査結果を採用の打ち手に置き換えると、優先順位は次のようになります。
- 勤務時間帯を見直します。夜勤や交替勤務がある求人は、日勤のみの枠を切り出せないかを最初に検討します
- 雇用形態の入口を広げます。正社員登用の道がある派遣や契約の枠を用意します
- 求人票と応募導線を整えます。給与の内訳、残業時間の目安、LINE応募などを明記します
- 休日パターンの調整は、1〜3の後に検討します
給与の額を上げる判断は、この順番の後でも遅くありません。給与を重視する人の多くは、高い給与よりも確実な給与を求めているためです。
製造業の人手不足の解決策7選
解決策は、採用で母集団を広げる方向(解決策①〜④)、定着と育成で人を減らさない方向(解決策⑤⑥)、省人化で必要な人数そのものを減らす方向(解決策⑦)の3つに分けられます。目の前の欠員を埋めるなら採用から、中長期で人が足りない構造を変えるなら省人化も並行して進めます。
解決策① 日勤専属枠・時間帯限定枠をつくる
調査で最も大きな差が出たのは勤務時間帯でした。交替勤務のラインでも、すべての人に同じ勤務を求める必要があるとは限りません。
交替勤務のラインから日勤枠を切り出す考え方
たとえばこんな場面を想像してみてください。2交替のラインで10人の欠員があり、交替勤務の求人を出し続けているものの、応募はほとんど来ません。この場合、10人全員を交替勤務で募集するのではなく、段取り替え、検査、梱包、出荷準備など、日中に集中させられる工程を洗い出し、その分を日勤専属の枠として別に募集する方法があります。
日勤専属の枠が埋まれば、既存の交替勤務の従業員の一部を夜勤に集中させる、あるいは夜勤の人員をしぼって残りを日勤で吸収するなど、配置の組み直しが可能になります。調査では、日勤のみの求人は応募を検討できる人が最大6〜8割になるため、交替勤務で募集するよりも応募が集まる見込みは高くなります。
生産計画・シフト表とのすり合わせ方
日勤枠を切り出すには、採用担当だけでなく、製造部門と生産管理部門の協力が欠かせません。どの工程を日中に寄せられるか、夜勤の最低人数は何人か、日勤の人数が増えた場合に設備の稼働計画をどう組み直すかを、生産計画とシフト表をもとに確認します。
すべての工程で日勤化できるわけではありません。連続稼働が必要な設備や、夜間にしか動かせない工程がある場合は、その工程に必要な夜勤の人数を先に確保したうえで、残りを日勤枠に回す順番で考えます。
解決策② 求人票と応募導線を見直す
勤務条件を変えずに取り組める施策が、求人票と応募導線の見直しです。費用がほとんどかからず、翌週からでも始められます。
給与は高さより内訳と見通しを書く
給与を重視する人でも、多くは月給26万円未満で応募を検討しています。基本給、各種手当、残業代を含めた月収の例を示し、自分の生活に必要な額が確実にもらえるかを判断できるようにします。福利厚生で最も重視されたのは交通費の全額支給で61.8%でした(株式会社ウィルオブ・ワーク調べ、複数回答)。交通費の扱いは必ず明記します。
残業時間の目安と勤務時間帯を明記する
残業を一切許容できない人は5.5%ですが、残業時間は重視する条件の3位に入っています。求職者が気にしているのは残業の有無ではなく、どれくらいになるかがわかるかどうかです。月平均の残業時間と繁忙期の目安を書き、勤務時間帯は始業と終業の時刻まで具体的に示します。
LINE応募・面接1回など応募のハードルを下げる
応募したくなる採用プロセスとして、LINEで応募・やりとりができるが42.7%、面接が1回で終わるが35.5%、電話でのやりとりが不要が29.4%で上位に入りました(株式会社ウィルオブ・ワーク調べ、複数回答)。採用プロセスを求人選びの決め手に挙げた人は3.9%でしたが、94.8%が何らかの項目を選んでおり、応募するかどうかの分かれ目になっていると考えられます。
解決策③ 採用する人材の幅を広げる
これまで採用の対象にしていなかった層に目を向けることも、母集団を広げる方法の1つです。
女性の採用では、力仕事の少ない工程や、日勤のみ・土日休みの枠を用意すると応募を検討しやすくなります。シニア層は、2026年版ものづくり白書でも技能継承の取組として再雇用や勤務延長による継続勤務が54.8%で最も多く(同白書概要)、指導役としての活躍も期待できます。
外国人材の受け入れは、特定技能などの在留資格ごとに対象となる業務や手続きが異なります。住居や生活面の支援体制まで整えておかないと、受け入れても定着しにくくなります。制度の詳細は 特定技能 製造業 にまとめました。
解決策④ 正社員型派遣・紹介予定派遣・請負を活用する
自社採用で埋まらない部分は、外部の人材サービスで補えます。使い分けの目安は次のとおりです。
| サービス | 向いているケース | 特徴 |
|---|---|---|
| 人材派遣(有期) | 繁忙期の増員、急な欠員補充 | 必要な期間だけ人員を確保できる。派遣先が指揮命令を行う |
| 正社員型派遣(無期雇用派遣) | 長く働ける人をすぐに確保したい | 派遣会社が無期雇用するため、派遣期間の制限を受けない |
| 紹介予定派遣 | 適性を見極めてから直接雇用したい | 最長6か月の派遣期間を経て、双方が合意すれば直接雇用する |
| 業務請負 | 工程ごと任せ、管理の負担も減らしたい | 請負会社が人員の管理と指揮命令を行う |
調査で33.3%いた、正社員登用の可能性があれば派遣・契約でも可と考える層には、正社員型派遣や紹介予定派遣が届きやすいと考えられます。派遣社員を直接雇用に切り替える方法と注意点は、派遣社員の直接雇用を解説した記事で詳しく紹介しています。
解決策⑤ 定着率を上げる
採用した人が辞めなければ、採用の負担はそれだけ軽くなります。定着の取組では、賃金水準の向上が71.5%で最も多く、労働時間の短縮・休日の増加37.3%、作業環境の改善36.6%、福利厚生の拡充33.9%が続きます(労働政策研究・研修機構の調査、2026年版ものづくり白書 概要より)。
賃金以外で手を付けやすいのは、入社後の最初の数週間の受け入れ体制です。誰が仕事を教えるのか、困ったときに誰に相談できるのかを入社前に決めておくだけでも、早期離職の不安は減らせます。
解決策⑥ 技能継承をマニュアル化し、多能工を育てる
熟練者の技能を属人化させたままでは、その人が引退した時点で生産が止まるリスクがあります。2026年版ものづくり白書では、技能継承の取組として、継承すべき技能のテキスト化・マニュアル化・デジタル化が31.2%で2番目に多く挙げられています(同白書概要)。
作業手順を動画や写真付きのマニュアルにすると、指導者が足りない現場でも新人が自分で確認しながら覚えられます。1人が複数の工程を担当できる多能工を育てれば、欠員が出たときにも配置を柔軟に組み替えられます。
解決策⑦ 自動化・省人化を進める
搬送、検査、梱包など、繰り返しの多い工程は、ロボットや自動化設備で人手を減らせる可能性があります。IoTで設備の稼働状況を見える化し、停止時間を減らすことも、少ない人数で生産量を保つ方法の1つです。
設備投資の負担が大きい場合は、国の補助金を活用できることがあります。制度ごとに対象や公募時期が異なるため、導入計画の早い段階で確認しておくと、投資のタイミングを合わせやすくなります。
ただし、自動化は導入まで時間がかかり、すべての工程を置き換えられるわけでもありません。目の前の欠員は採用で埋め、並行して自動化の計画を進めるのが現実的です。
工場のタイプ別・雇用形態別に見る解決策の選び方
7つの解決策のうち、どれを優先するかは工場の勤務体制と、採りたい人材の雇用形態で変わります。
工場のタイプ別
交替勤務・夜勤が中心の工場
最優先は解決策①の日勤枠の切り出しです。交替勤務の求人は応募を検討できる人が最大でも1割程度のため、求人票の書き方を工夫しても母集団の小ささは変わりません。夜勤がどうしても必要な工程は、夜勤を許容できる人に絞って確実に届けるため、夜勤手当を含めた月収例を明記します。
日勤中心だが人が集まらない工場
日勤のみの求人は、応募を検討できる人が最大6〜8割あります。それでも応募が来ない場合は、求人票の中身か応募導線に原因がある可能性が高いと考えられます。解決策②の見直しから始め、給与の内訳、残業時間、応募方法を点検します。
繁閑差が大きい工場
繁忙期に合わせて正社員を採用すると、閑散期に人が余ります。繁忙期の増員は有期の人材派遣で対応し、年間を通じて必要な人数は正社員や正社員型派遣で確保するなど、雇用形態を組み合わせるのが効率的です。
雇用形態別
同じ工場の求人でも、正社員のみを希望する人と、正社員登用の道があれば派遣や契約でもよいと考える人では、求人で重視する情報が違います。
正社員のみを希望する層に届く求人の見せ方
正社員のみを希望する層は、業務時間・勤務曜日(49.7%)、仕事内容(37.9%)、社会保険完備(49.1%)、退職金制度(32.0%)を重視する割合が高く、採用プロセスでは面接が1回で終わるが39.6%で1位でした。長く働く前提の情報を求めているため、勤務時間と曜日、社会保険と退職金の有無、キャリアの見通しを具体的に書きます。
登用の道があれば派遣でもよいと考える層に届く求人の見せ方
正社員登用の可能性があれば派遣・契約でも可と答えた層は、LINEで応募・やりとりができることを63.6%が求め、平日固定休を許容できない人が50.9%、社員食堂・食事補助を重視する人が35.5%でした。正社員登用の実績と条件、土日に休めるかどうか、LINEで応募できるかどうかの3点を、求人の最初に見せます。
製造業の人手不足対策を進める手順
解決策を並べても、どこから着手するかが決まらなければ動き出せません。次の順番で進めると、採用と省人化を無理なく組み合わせられます。
1. 欠員の状況と必要人数を棚卸しする
どのラインの、どの勤務帯で、何人足りないのかを整理します。過去1年の退職者がどの工程とどの勤務帯に多かったかも、あわせて見ておくと役に立ちます。欠員の中身がわかれば、採用で埋めるべき人数と、定着の改善で減らせる人数を分けて考えられます。
2. 募集枠(時間帯・雇用形態)を設計する
棚卸しの結果をもとに、日勤専属枠を切り出せるか、正社員登用ありの派遣・契約枠を用意するかを決めます。この段階で製造部門と生産管理部門に参加してもらい、シフトと生産計画に無理がないかを確認します。
3. 求人票と応募導線を見直す
募集枠ごとに求人票を作り直します。給与の内訳、残業時間の目安、勤務時間帯、応募方法を明記し、雇用形態に合わせて前面に出す情報を変えます。
4. 外部サービスと自動化の組み合わせを決める
自社採用で埋まらない人数と期間を見積もり、派遣や請負で補う範囲を決めます。同時に、中長期で自動化できる工程を洗い出し、補助金の公募時期も含めて投資計画に組み込みます。
5. 応募数・定着率を見て改善する
求人を公開した後は、募集枠ごとの応募数、面接に進んだ人数、入社後3か月時点の定着率を記録します。数字を見ると、どの枠で、どの段階でつまずいているかがわかり、次の見直しの対象が決まります。
経営層に提案するときの整理のしかた
経営層に対策を提案する際は、給与改定、日勤枠の新設、外部サービスの活用、自動化投資を同じ表に並べ、費用、効果が出るまでの期間、リスクを比べると判断を仰ぎやすくなります。
| 打ち手 | 費用の性質 | 効果が出るまでの期間 | 主なリスク |
|---|---|---|---|
| 給与水準の引き上げ | 固定費が継続的に増える | 求人公開後すぐ | 既存社員との調整、下げにくい |
| 日勤専属枠の新設 | 主にシフト再編の工数 | 生産計画の調整後 | 夜勤の人員確保 |
| 求人票・応募導線の見直し | ほぼかからない | 求人公開後すぐ | 単独では母集団の大きさが変わらない |
| 派遣・請負の活用 | 変動費として調整できる | 契約後すぐ | 管理方法やコストの確認が必要 |
| 自動化・省人化 | 初期投資が大きい | 導入まで数か月以上 | 対象工程が限られる |
このとき、給与を重視する人の多くは月給26万円未満でも応募を検討している、夜勤をなくすと応募を検討できる人が最大約1.8倍になる、という調査結果を添えると、給与を上げる前に募集条件を見直す根拠として説明できます。
製造業の人手不足に関するよくある質問
製造業の人手不足について、採用担当者からよく寄せられる質問にお答えします。
製造業の人手不足はなぜ起きているのですか?
労働力人口の減少、若年層の製造業離れ、熟練者の高齢化と指導人材の不足、賃金・労働環境の差が主な原因です。製造業の就業者数は2025年に1,033万人で、2002年から約170万人減っています(2026年版ものづくり白書 概要)。加えて、夜勤や交替勤務などの求人条件が、求職者の希望と合っていないことも原因の1つです。
製造業の人手不足を解消するには、まず何から始めればよいですか?
どのラインの、どの勤務帯で、何人足りないのかを棚卸しすることから始めます。そのうえで、勤務時間帯を限定した募集枠をつくれないかを検討します。ウィルオブ・ワークの調査では、夜勤をなくすと応募を検討できる人が最大約1.8倍になりました。
夜勤や交替勤務がある工場で応募を増やす方法はありますか?
交替勤務のラインから、日中に集中させられる工程を日勤専属の枠として切り出す方法があります。夜勤が必要な工程は、夜勤手当を含めた月収例を明記し、夜勤を許容できる人に確実に届く求人にします。休日パターンの変更だけでは、応募を検討できる人はあまり増えません。
給与を上げないと人は集まりませんか?
給与は求人を選ぶ条件の1位ですが、応募を検討できる月給の下限は67.6%が26万円未満でした。給与の額を上げる前に、月収例や手当の内訳、交通費の扱いを具体的に書くこと、勤務時間帯を見直すことで応募が増える余地があります。
人材派遣と請負はどちらを選べばよいですか?
自社の社員が現場で指示を出し、必要な期間だけ人員を増やしたい場合は人材派遣が向いています。工程ごと任せて、人員の管理や指揮命令も外部に任せたいなら請負です。長く働ける人をすぐに確保したい場合は、正社員型派遣という選択肢もあります。
まとめ
製造業の就業者数は20年あまりで約170万人減り、若手の比率も下がっています(2026年版ものづくり白書 概要)。人口の減少は一社では止められませんが、求職者が求人を外す条件は、工場ごとに見直せます。
ウィルオブ・ワークの調査では、求職者は給与で求人を選び、勤務時間帯で外していました。夜勤ありの求人に応募を検討できるのは最大3割程度で、日勤のみにすると最大6割を超えます。採用で母集団を広げるなら、給与を上げる前に、日勤専属枠の切り出し、正社員登用の道がある雇用形態の用意、求人票と応募導線の見直しを検討してください。
そのうえで、定着と技能継承の仕組みを整え、自動化で必要な人数そのものを減らしていきます。外されない求人と、人に頼りすぎない工程。この2つを並行して進めることが、人手不足から抜け出す現実的な道筋です。
調査概要
記事内で紹介した独自調査の概要は次のとおりです。
- 調査名:お仕事に関するアンケート
- 調査期間:2026年9月
- 調査方法:インターネットリサーチ
- 調査対象:製造業のうち工業製品の製造分野(繊維工業、木材・木製品製造業、家具・装備品製造業、パルプ・紙・紙加工品製造業、印刷・同関連業、化学工業、鉄鋼業、金属製品製造業、機械製造業)で就職活動(転職を含む)の経験がある20〜30代を中心とする男女
- 有効回答数:330名
- 調査主体:株式会社ウィルオブ・ワーク
