外国人の在留資格における「永住者」と「特別永住者」の違い
- 外国人採用タイムズ
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2024/10/02
企業で外国人雇用を考えたとき、日本語レベルや適応力など様々な面から適正を判断しなければなりませんが、最も気にすべきポイントは雇用する外国人の在留資格の種類でしょう。
在留資格には様々な種類があります。中でも「一般永住者」や「特別永住者」は、日本での労働活動について制限がなく手続きがスムーズなので、この資格を持つ外国人を雇用したいと思う企業は少なくありません。ここでは、一般永住者と特別永住者の違いについてご紹介します。
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外国人雇用の前に知っておくべき「在留資格」とは?
そもそも在留資格とは、外国人が日本国内で在留している間に一定の活動ができることや、定められた身分、または地位を有するものとして活動できることを示す資格のことです。
33種類ほどの用途のものがあり、それぞれの在留資格によって、期間・就労範囲が決まっているので、外国人を雇用したいときには必ず確認しましょう。
就労に関する在留資格については以下の記事を参考にしてください。
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一般永住者とは?在留資格を得る3つの要件
外国人が「一般永住者」の資格を得るためには、日本に原則10年以上継続して在留していることが第一条件となります。その条件に加えて3つの要件を満たさなければなりません。3つの要件とはどんなものなのでしょうか? 下記にまとめました。
(1)素行が良好であること
(2)独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること
(3)その者の永住が日本国の利益に合すると認められること
※ただし日本人または、永住者・特別永住者の配偶者もしくは子である場合には、(1)(2)に適合しなくても良いとされます。また、難民の認定を受けている場合には、(2)に適合することを要しません。
中には「特例」が適応され10年未満の滞在でも一般永住者として認められる場合があります。
例えば、日本人の配偶者となった外国人です。日本人の配偶者となった外国人の滞在期間は1年と3年の2種類があります。日本人と結婚すると、まずは1年が許可され、次回の申請から3年への延長申請が認められます。3年への延長が認められ、滞在期間が3年を過ぎた時点で永住者への変更が可能となる流れです。日本人の配偶者は、前科があったり無収入でも一般永住者資格を取得することができます。
【出展】法務省:永住許可に関するガイドライン(令和元年5月31日改定)
特別永住者とは?
「特別永住者」とは、1991年(平成3年)11月1日に執行された「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法(入管特例法)」によって定められた在留資格を持つ外国人 のことをいいます。
具体的な対象者は、第二次世界大戦の以前から日本に居住して日本国民として暮らしていた外国人で、サンフランシスコ平和条約により日本国籍を失った方々です。平和条約による国籍離脱者が韓国・朝鮮人、台湾人のみであったことから、その3つの国の方の割合が非常に多いのが特徴となります。
また、特別永住者の子孫もその対象となり、両親のどちらか一方が特別永住者であった場合に、特別永住許可を申請することができます。
なお申請に関しては、在留資格を申請する場合とは異なり、居住地の市区町村の窓口を通じて法務大臣の許可を得ることで完了 します。
一般永住者と特別永住者を雇用する上での違いとは?
2つの永住者の大きな違いは2つあります。
まず1つ目は「在留カードの有無」です。
外国人を雇用する際に必要な在留カードは、一般永住者には交付されていますが、特別永住者は在留カードの代わりに「特別永住者証明書」 が交付されています。
2つ目は「外国人雇用状況届出の要否」 です。
一般永住者を雇用する場合は、外国人雇用状況届出をハローワークに届け出ることが義務付けれられていますが、特別永住者を雇用する場合は、その必要がありません。
尚、どちらの永住者にも、就労に関わる制限はなく、日本人と同じように働くことができる資格 を持っています。
帰化との違いは?
帰化とは、日本国籍を取得することです。
日本は二重国籍を認めていないため、出身国はもちろんのこと、他に持っている国籍もすべて喪失します。帰化すれば、日本のパスポートの発行や公務員への就職、選挙での投票などが可能になります。
ただし、審査期間は1年前後と長いうえに、膨大な量の書類を提出しなければなりません。また、元の国籍に戻りたい場合は、その国の帰化の申請が必要です。
対して永住権は、出身国の国籍は失わないうえに、日本人とほぼ同等の権利を与えられることが特徴です。つまり、日本人と同じように日本国内で行動できるようになります。
国籍を失わないうえに多くの権利を与えられるため、多くの外国人が永住権の取得を求めています。しかし、審査が厳しいため、すぐに取得できるわけではありません。例外はありますが、基本的には日本に10年以上住んでいる必要があります。
永住者の推移
1997年の時点で一般永住者の割合は、日本に在住する外国人総数のうち約6%でしたが、2016年には約30%まで伸びています。これは、認知度の向上や徐々に外国人の雇用をする企業が増えたのが要因だと考えられます。都道府県別の割合としては東京、神奈川を中心とする関東地方と東海地方の12都県在住の方が多い傾向です。
また、2018年6月末の時点では、一般永住者は28.8%と減少しています。わずかな減少幅のため、現時点での特定は困難です。
特別永住者については1997年の時点で約37%でしたが、2016年には14%に減っています。その原因としては、帰化を選択する外国人の増加や少子高齢化が考えられます。また、2018年6月末の時点では、特別永住者は12.4%に減少しています。理由は上記のとおり、帰化を選択する外国人の増加や少子高齢化でしょう。
都道府県別の割合としては、大阪を中心とする近畿地方在中の方が圧倒的に多く、次いで中京圏、首都圏に集中してます。
また、2017年の時点では長崎県を除き、すべての都道府県で増加傾向にあります。
まとめ:外国人の雇用に必要な体制の整備を
政府による留学生30万人計画など、日本に在留する外国人は増加し続けています。また留学生は日本での就職を望む割合が半数を超えるので、それに付随して永住者も増え続けていくことになります。
外国人の中では、永住者は企業にとって雇用しやすい人材となるわけですから、今現在ビザの問題で躊躇している企業も採用に踏み切りやすくなるわけです。労働人口の減少が叫ばれる日本において、永住者は企業にとって貴重な戦力とも言えるでしょう。今の段階から職場のグローバル化を行ない外国人を迎え入れる体制を整えていくことをお勧めします。
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