外国人の脱退一時金とは?受給条件・金額計算・申請手続きをわかりやすく解説
- 外国人採用タイムズ
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2026/05/18
この記事でわかること
- 脱退一時金とは
- 制度改正により支給上限と支給金額の詳細
- 申請タイミングによるメリットとデメリット
外国人が日本から帰国する際、それまで払い続けた年金保険料が受け取れる「脱退一時金」という制度があります。
この記事では、外国人の脱退一時金について、受給条件・金額の計算方法・申請手続きの流れを、技能実習生・特定技能など在留資格別に詳しく解説します。最新の制度改正(上限8年への引き上げ検討)についても解説しています。
帰国を予定している外国人労働者の方、または外国人を雇用する企業の担当者の方はぜひご活用ください。
脱退一時金と合わせて、外国人雇用における住民税・税金の基礎知識や海外送金サービスの選び方も企業側が把握しておく必要があります。詳細は以下関連記事を参照ください。
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TOPICS
脱退一時金とは?外国人向けにわかりやすく解説
制度の概要と目的
脱退一時金とは、日本の国籍を持たない外国人労働者が、老齢年金の受給資格期間である10年を満たさずに帰国する際に、すでに納めている年金保険料の一部を返金してもらえる制度です。対象となる外国人労働者が、日本に住所を有しなくなった日から2年以内に請求をすることで支給を受けることができます。
過去に技能実習生であった外国人が申請した場合、どのくらいの金額を受け取ることができるのか、下記の図をご参照ください。

どんな外国人が対象か?国籍・ビザ別に解説
脱退一時金の対象となる外国人は、日本国籍を持たない方全般です。国籍(中国・ベトナム・フィリピン・インドネシア・ミャンマー等)は問いません。
ただし、以下の在留資格・ビザの方は対象外となる場合があります。
- 医療滞在ビザ
- 長期観光ビザ
- 日本に住所を有している方(帰国前の請求は原則不可)
また、外国人の年金加入期間が10年以上(120か月以上)ある場合は、脱退一時金の対象外となります。この場合は、日本の老齢年金として将来的に受け取ることができます。
なお、日本とドイツ・韓国・アメリカなど24か国(2026年時点)との間で社会保障協定が締結されています。協定相手国の方は、両国の年金加入期間を通算して老齢年金を受給できる場合があるため、帰国前に協定の適用可否を確認することをお勧めします。
制度改正の歴史(3年→5年→8年への変遷)
2021年改正(3年→5年)の背景と影響
もともと脱退一時金の支給上限は3年(36か月)でした。しかし2021年4月1日の制度改正により、上限が5年(60か月)に引き上げられました。
改正の主な背景は以下の2点です。
- 2019年に新しく在留資格として追加された「特定技能(1号)」の在留期間の上限が5年であること
- 外国人出国者全体のうち、3年から5年滞在していた方の割合が増加したこと
技能実習生は3年間の実習を修了した後、特定技能1号として最長5年間日本で働き続けることができます。しかし旧制度(上限3年)では、厚生年金に加入していた外国人が5年間働いても3年分しか受け取れない状況でした。改正によりこの不公平が解消されています。
なお、脱退一時金の申請には一度退職する必要があります。再入社の手続きが面倒なだけでなく、同時に入社し同時に退職するグループが発生すると、人手不足が深刻化し、企業の営業に大きな影響を及ぼす可能性があります。このため、再入社を希望する企業も少ないのが現状です。
2025年改正 脱退一時金の上限を8年へ引き上げ検討
現在、政府は脱退一時金の支給上限をさらに5年から8年(96か月)に引き上げることを検討しています。
背景には、特定技能2号の在留期間に上限がなく、長期滞在する外国人労働者が増加していることがあります。特定技能1号(5年)修了後も引き続き日本で働く外国人が増えているため、脱退一時金の上限8年への引き上げは実態に合った措置として議論されています。
引き上げが実現した場合、外国人の年金脱退一時金は最大で現行の約1.3倍(支給率 6.6 → 8.8)に増加する見込みです。詳しい金額は後述の「加入年数ごとの受取目安金額」をご参照ください。
また、2026年5月現在、制度改正の施行日・詳細は未確定です。最新情報は日本年金機構のウェブサイトでご確認ください。
国民年金に加入していた外国人の場合
脱退一時金支給要件
下記の1~4で計算した第1号被保険者(任意加入被保険者も含む)の期間が、6か月以上あること
- 保険料納付済期間の月数
- 保険料4分の1免除期間の月数×4分の3
- 保険料半額免除期間の月数×2分の1
- 保険料4分の3免除期間の月数×4分の1
- 日本国籍を有しない方であること
- 老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていないこと
- 国民年金の被保険者でないこと
下記いずれかに該当した場合は脱退一時金を請求できません
- 国民年金の被保険者となっているとき
- 日本国内に住所を有するとき
- 障害基礎年金などの年金を受けたことがあるとき
- 最後に国民年金の資格を喪失した日から2年以上経過しているとき
※ただし、国民年金または厚生年金保険の被保険者資格を喪失した日に日本国内に住所を有していた人は、同日後に初めて、日本国内に住所を有しなくなった日から2年を起算します。
脱退一時金の金額
最後に保険料を納付した月が属する年度と、保険料納付済月数に応じて、以下のとおりとなります。
■最後に保険料を納付した月が2021年(令和3年)4月以降
| 保険料納付済 期間等 | 令和8年度 | 令和7年度 | 令和6年度 | 令和5年度 | 令和4年度 | 令和3年度 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 6〜12月未満 | 53,760円 | 52,530円 | 50,940円 | 49,560円 | 49,770円 | 49,830円 |
| 12〜18月未満 | 107,520円 | 105,060円 | 101,880円 | 99,120円 | 99,540円 | 99,660円 |
| 18〜24月未満 | 161,280円 | 157,590円 | 152,820円 | 148,680円 | 149,310円 | 149,490円 |
| 24〜30月未満 | 215,040円 | 210,120円 | 203,760円 | 198,240円 | 199,080円 | 199,320円 |
| 30〜36月未満 | 268,800円 | 262,650円 | 254,700円 | 247,800円 | 248,850円 | 249,150円 |
| 36〜42月未満 | 322,560円 | 315,180円 | 305,640円 | 297,360円 | 298,620円 | 298,980円 |
| 42〜48月未満 | 376,320円 | 367,710円 | 356,580円 | 346,920円 | 348,390円 | 348,810円 |
| 48〜54月未満 | 430,080円 | 420,240円 | 407,520円 | 396,480円 | 398,160円 | 398,640円 |
| 54〜60月未満 | 483,840円 | 472,770円 | 458,460円 | 446,040円 | 447,930円 | 448,470円 |
| 60月以上 | 537,600円 | 525,300円 | 509,400円 | 495,600円 | 497,700円 | 498,300円 |
■最後に保険料を納付した月が2021年(令和3年)3月以
| 保険料納付済 期間等 | 令和2年度 | 平成31年度 (令和元年度) | 平成30年度 | 平成29年度 |
|---|---|---|---|---|
| 6〜12月未満 | 49,620円 | 49,230円 | 49,020円 | 49,470円 |
| 12〜18月未満 | 99,240円 | 98,460円 | 98,040円 | 98,940円 |
| 18〜24月未満 | 148,860円 | 147,690円 | 147,060円 | 148,410円 |
| 24〜30月未満 | 198,480円 | 196,920円 | 196,080円 | 197,880円 |
| 30〜36月未満 | 248,100円 | 246,150円 | 245,100円 | 247,350円 |
| 36月以上 | 297,720円 | 295,380円 | 294,120円 | 296,820円 |
| 保険料納付済 期間等 | 平成28年度 | 平成27年度 | 平成26年度 | 平成25年度 |
|---|---|---|---|---|
| 6〜12月未満 | 48,780円 | 46,770円 | 45,750円 | 45,120円 |
| 12〜18月未満 | 97,560円 | 93,540円 | 91,500円 | 90,240円 |
| 18〜24月未満 | 146,340円 | 140,310円 | 137,250円 | 135,360円 |
| 24〜30月未満 | 195,120円 | 187,080円 | 183,000円 | 180,480円 |
| 30〜36月未満 | 243,900円 | 233,850円 | 228,750円 | 225,600円 |
| 36月以上 | 292,680円 | 280,620円 | 274,500円 | 270,720円 |
| 保険料納付済 期間等 | 平成24年度 | 平成23年度 | 平成22年度 | 平成21年度 |
|---|---|---|---|---|
| 6〜12月未満 | 44,940円 | 45,060円 | 45,300円 | 43,980円 |
| 12〜18月未満 | 89,880円 | 90,120円 | 90,600円 | 87,960円 |
| 18〜24月未満 | 134,820円 | 135,180円 | 135,900円 | 131,940円 |
| 24〜30月未満 | 179,760円 | 180,240円 | 181,200円 | 175,920円 |
| 30〜36月未満 | 224,700円 | 225,300円 | 226,500円 | 219,900円 |
| 36月以上 | 269,640円 | 270,360円 | 271,800円 | 263,880円 |
参考:日本年金機構参照
厚生年金保険加入していた外国人の場合
脱退一時金の支給要件
- 厚生年金保険・共済組合等の加入期間の合計が6月以上あること
- 日本国籍を有しない方であること
- 老齢厚生年金などの年金の受給権を満たしていないこと
下記いずれかに該当した場合は脱退一時金を請求できません
- 国民年金の被保険者となっているとき
- 日本国内に住所を有するとき
- 障害厚生年金などの年金を受けたことがあるとき
- 最後に国民年金の資格を喪失した日から2年以上経過しているとき
※ただし、国民年金または厚生年金保険の被保険者資格を喪失した日に日本国内に住所を有していた人は、同日後に初めて、日本国内に住所を有しなくなった日から2年を起算します。
脱退一時金の金額
(1)被保険者であった期間の平均標準報酬額 ×(2)支給率(保険料率×2分の1×支給額計算に用いる数)
(1)被保険者期間であった期間における平均標準報酬額は以下のA+Bを合算した額を、全体の被保険者期間の月数で除して得た額をいいます。
A 2003年4月より前の被保険者期間の標準報酬月額に1.3を乗じた額
B 2003年4月以後の被保険者期間の標準報酬月額および標準賞与額を合算した額
(2)支給率とは、最終月(資格喪失した日の属する月の前月)の属する年の前年10月の保険料率(最終月が1月~8月であれば、前々年10月の保険料率)に2分の1を乗じた率に、被保険者期間に応じた以下の表の数を掛けたものをいいます。
加入年数ごとの受取目安金額(厚生年金・外国人の場合)
厚生年金に加入していた外国人の脱退一時金は、加入期間が長くなるほど受取額が増加します。現行の支給上限は5年(60か月)ですが、将来的に8年への引き上げが検討されており、実現すれば最大で約1.3倍の受取額となります。
以下は平均標準報酬額が20万円・25万円・30万円の場合の受取目安金額(税引前)です。
| 加入期間 | 支給率 | 月収20万円の場合 | 月収25万円の場合 | 月収30万円の場合 |
|---|---|---|---|---|
| 6〜11か月 | 1.1 | 220,000円 | 275,000円 | 330,000円 |
| 1年〜1年11か月 | 2.2 | 440,000円 | 550,000円 | 660,000円 |
| 2年〜2年11か月 | 3.3 | 660,000円 | 825,000円 | 990,000円 |
| 3年〜3年11か月 | 4.4 | 880,000円 | 1,100,000円 | 1,320,000円 |
| 4年〜4年11か月 | 5.5 | 1,100,000円 | 1,375,000円 | 1,650,000円 |
| 5年〜(現行上限) | 6.6 | 1,320,000円 | 1,650,000円 | 1,980,000円 |
| 8年〜(引き上げ後) | 8.8 | 1,760,000円 | 2,200,000円 | 2,640,000円 |
※ 受取額から20.42%の源泉徴収税(所得税+復興特別所得税)が差し引かれます。
※ 支給率は最終月の前年10月の保険料率(18.3%)に基づき計算しています。
※ 上限8年は現在検討中(2026年5月時点で未確定)。
脱退一時金の請求に関する注意事項
脱退一時金を受け取った場合、脱退一時金の計算の基礎となった期間は、年金加入期間ではなくなります。脱退一時金の請求に際しては、以下の注意事項を確認の上、請求の手続きが必要です。
2017年8月から老齢年金の受給資格期間が10年に短縮されています
2017年8月以降の脱退一時金の請求には、受給資格期間が10年以上ある方(老齢年金を受ける権利がある方)は、脱退一時金を受け取ることができません。将来、日本の老齢年金として受け取ることができます。
※ この取扱いは、2017年8月1日以降に日本年金機構が受理した脱退一時金請求書について適用されます。
(1)受給資格期間10年以上(25年未満)ある方が2017年7月31日までに脱退一時金の請求をした場合は、脱退一時金を受け取ることができます。
※ 脱退一時金の全ての支給要件を満たしていることが前提となります。
※ 脱退一時金の請求は、転出日(日本に住所を有しなくなった日)または被保険者資格喪失日のどちらか遅い方の日以降に行うことになります。外国人の方であっても日本に住所があるときは、国民年金第1号被保険者となり(60歳未満の者に限る)、2017年7月31日に転出した場合、国民年金の資格喪失日は翌日の8月1日となります。この場合、上記(2)のケースに該当することになりますのでご注意ください。
日本と年金通算の協定を締結している相手国の年金加入期間のある場合
一定の要件のもと年金加入期間を通算して、日本および協定相手国の年金を受け取ることができる場合があります。詳しくは社会保障協定をご確認ください。
日本年金機構:社会保障協定
脱退一時金を複数回申請する場合
脱退一時金は、日本の年金制度に加入していた期間に応じて、36カ月を上限として計算されます(注)。長期間(37カ月以上)日本の年金制度に加入されていた方が脱退一時金を請求した場合、脱退一時金の支給金額は36カ月を上限として計算されますが、脱退一時金を請求する以前の全ての期間が年金加入期間ではなくなります。
※ 複数回の在留を繰り返し、日本の年金制度に加入する期間が通算で37カ月以上になる予定の方で、加入期間に応じた脱退一時金の受給を希望される場合には、各在留終了後の帰国の都度、請求が必要になる場合があります。(例えば、3年間(36カ月)で第1号・2号技能実習を終了し帰国の後、第3号技能実習生として実習を受けようとする方は、第2号技能実習終了後および第3号技能実習終了後に請求をすることで各加入期間に応じた支給を受けることができます。)
帰国前に日本国内から請求書を提出する場合
請求書を住民票の転出(予定)日以降に日本年金機構に提出します。(脱退一時金の受給要件として、日本年金機構が請求書を受理した日に日本に住所を有していないことが必要です。)郵送等で手続きをする場合には、請求書が転出(予定)日以降に日本年金機構に到達するよう送付しなければなりません。
再入国許可およびみなし再入国許可を受けて出国する場合
帰国後に再入国する予定がある外国人が脱退一時金を受け取るには、市区町村への転出届の提出が必須です。再入国許可を取得して出国する場合でも、転出届を提出していれば脱退一時金を請求できます。一方、転出届を出さずに再入国許可で出国した場合は、原則として再入国許可の有効期間中は請求できませんのでご注意ください。
市区町村に転出届を提出したうえで、再入国許可を受けて出国している方は、脱退一時金を請求することができます。転出届を提出していない場合、再入国許可期間内は、原則として脱退一時金を請求することができません。
再入国許可を受けて出国する方でも、国外へ住所を移す場合には、市区町村へ転出届を提出する必要があります。市区町村へ転出届を提出したうえで、再入国許可を受けて出国している方は、脱退一時金を請求することができます。この場合、転出日の翌日(国民年金の資格喪失日)から2年間が脱退一時金の請求可能期間となります。
原則として、再入国許可の有効期間が経過するまでは国民年金の被保険者とされることから、脱退一時金は請求できません。なお、国民年金の被保険者資格の喪失日(再入国許可の有効期間(みなし再入国許可期間)が経過した日)から2年間が脱退一時金の請求可能期間となります。(再入国許可期限内であっても住民票が消除される場合がありますので、脱退一時金請求の時効起算日についてはご注意ください。)
申請タイミングによるメリットとデメリット
脱退一時金を申請するのは主に技能実習生や特定技能の在留資格で日本に滞在していた外国人です。帰国のタイミングや在留期間によって、いつ脱退一時金を申請するかが受取額や再就労への影響に関わります。
以下の図を参考に、採用中の外国人社員に帰国前から説明しておくことで、退職率の抑制にもつながります。
| 申請期間 | メリット | デメリット | 還付金額のシミュレーション |
|---|---|---|---|
| 3年分 (2号修了見込み) | ・帰国の際に組合がチケットを買ってくれる(片道) ・ビザ申請の結果待ちの間に、帰国して申請可能 ・還付金は母国の口座に預けて利息がもらえる | ・円安の影響でベトナムのお金に換金すると損 | 加入期間:35か月分 還付率 :2.7 還付金額:2.7 x 25万 = 67.5万 ※片道のチケットがただ |
| 5年分 (3号又は 特定技能2年目修了見込み) | ▼3号の場合 ・帰国の際に組合がチケットを買ってくれる(片道) ・ビザ申請の結果待ちの際に、帰国して申請可能 ▼特定技能2年目の場合 ・3年分より、還付率が高い為、還付金額も高い | ▼3号の場合 ・円安の影響で母国のお金に換金すると損 ▼特定技能2年目の場合 ・自分でチケット購入が必要 ・再入社できる会社が少なく転職しないといけない ・残りは3年なので、受け入れの会社が少ない ・帰国して母国からの応募だと求人が良くない | 加入期間:59か月分 還付率 :4.9 還付金額:4.9 x 25万 = 122.5万 |
| 8年分 (政府が検討中) | ・3年分と5年分より、8年分の方は還付率が高い ・将来、円高になる可能性がある為、還付金額が高い ・航空代が節約できる、転職しなくてもいい | ・再入国の場合、申請不可 (空港で在留資格に穴をあける) | 加入期間:95か月分 還付率 :8.2(予測) 還付金額:8.2 x 25万 = 205万 |
| 10年以上加入する 場合 | ・海外滞在でも、65歳から年金を受け取ることが可能 | ・脱退一時金の申請が不可 | 65歳以降、月数万円ぐらい受給できる ※計算式が不明 |
※平均総支給額:月25万円としています
よくある質問(FAQ)
ウィルオブワークでは、外国人の紹介・派遣・雇用支援のサポートを法人様向けに運営しており、日々お客様より外国人雇用についてのご質問をお受けしています。今回はその中でも、脱退一時金についてのよく頂く質問を4つピックアップしご紹介します。外国人を雇用中、もしくは今後雇用予定の企業担当者様はぜひ参考にしてください。
Q1:外国人の年金脱退一時金はいくらもらえますか?
脱退一時金の金額は、加入していた年金の種類(国民年金・厚生年金)と加入期間によって異なります。
【国民年金の場合】
最後に保険料を納付した月が属する年度と保険料納付済月数に応じて支給額が決まります。たとえば、2021年4月以降に保険料を納付し、加入期間が6〜11か月の場合は約49,920円、60か月(5年)の場合は約299,520円が目安です(年度により変動)。
【厚生年金の場合】
「平均標準報酬額 × 支給率」で計算されます。支給率は加入期間に応じて変わります。
- 6〜11か月:1.1
- 1年〜:2.2
- 2年〜:3.3
- 3年〜:4.4
- 4年〜:5.5
- 5年〜(現行上限):6.6
例)平均標準報酬額20万円・加入5年の場合 → 200,000円 × 6.6 = 約132万円(税引前)
※ 受取額から20.42%の源泉徴収税(所得税+復興特別所得税)が差し引かれます。
※ 上限が8年に引き上げられた場合、支給率が最大8.8となり、受取額がさらに増加する見込みです。
Q2:外国人なら誰でも脱退一時金を受け取れますか?国籍は関係ありますか?
脱退一時金は「日本国籍を有しない方」が対象です。国籍の種類(中国・ベトナム・フィリピン・インドネシア・ミャンマー等)に関係なく、下記の要件を満たせば受け取ることができます。
【基本要件(厚生年金の場合)】
- 日本国籍を有しないこと
- 厚生年金保険・共済組合等への加入期間が合計6か月以上あること
- 老齢厚生年金などの受給権を満たしていないこと
- 日本国内に住所を有していないこと(帰国後に申請)
- 資格喪失日から2年以内であること
【社会保障協定締結国の方への注意点】
日本とドイツ・韓国・アメリカ・フランスなど24か国(2026年現在)との間で社会保障協定が締結されています。協定相手国の年金加入期間と日本の加入期間を通算して老齢年金を受け取れる場合があるため、脱退一時金を受け取る前に協定の適用可否を確認することを推奨します。
詳細は日本年金機構「社会保障協定」ページをご参照ください。
Q3:何年(何か月)日本の年金に加入すれば脱退一時金を受け取れますか?
国民年金・厚生年金ともに、最低加入期間は「6か月以上」です。6か月に満たない場合は受け取ることができません。 なお、加入期間が長いほど受取額が増加します(上限あり)。現行制度では上限は5年(60か月)ですが、政府は今後8年(96か月)に引き上げることを検討しています。
また、老齢年金の受給資格期間である10年(120か月)以上加入している場合は、脱退一時金ではなく日本の老齢年金として受け取ることになるため、脱退一時金は受け取れません。
【まとめ:受取の可否】
- 6か月未満:受取不可
- 6か月〜10年未満:受取可(加入期間が長いほど金額が増加)
- 10年以上:受取不可(老齢年金として受給)
Q4:帰国後、脱退一時金を受け取るための手続き方法を教えてください。
脱退一時金の請求手続きは、帰国後2年以内に行う必要があります。以下の流れで手続きを進めてください。
- STEP1:日本を出国する前に市区町村役場で「転出届」を提出する
- STEP2:出国後、日本年金機構に「脱退一時金請求書」を郵送で提出する
→ 請求書は日本年金機構のウェブサイトからダウンロード可能 - STEP3:審査完了後、指定の海外口座に振り込まれる(通常3〜4か月程度)
【主な必要書類】
- 脱退一時金請求書
- パスポートのコピー(氏名・生年月日・国籍・在留資格・入国日が確認できるページ)
- 年金手帳または基礎年金番号通知書
- 預金通帳のコピー(海外の銀行口座)
- 住民票の除票(転出届を出した証明)
※ 再入国許可を取得して出国する場合は、転出届の提出が必要です。転出届を出さずに再入国許可で出国した場合は、原則として脱退一時金を請求できません(詳細は「請求に関する注意事項」セクションを参照)。
まとめ
外国人の脱退一時金は、日本で働いた外国人労働者が帰国前に請求できる年金保険料の返金制度です。受給条件・金額・手続きをあらかじめ正しく把握しておくことが、外国人労働者と雇用企業の双方にとって重要です。
本記事のポイントをまとめます。
- 対象:日本国籍を持たない外国人で、年金加入期間が6か月以上10年未満の方
- 申請期限:日本を離れてから2年以内
- 支給上限:現行5年(8年への引き上げ検討中)
- 金額:加入期間と平均標準報酬額に応じて変動
- 再入国予定がある場合:転出届の提出が必須
外国人の脱退一時金をはじめ、帰国する外国人の年金手続きは複雑なため、外国人雇用のサポート体制が整った人材紹介サービスを選ぶことが長期雇用の安定につながります。
脱退一時金をはじめとした複雑な手続きのサポート体制がある人材紹介サービスを選ぶことが、長期雇用の安定につながります。「外国人人材紹介サービス14社の比較と選び方」もあわせてご覧ください。

