【改正版】技能実習生を受け入れる企業が目指すべき優良な実習実施者とは?

2024/05/14

技能実習制度には、技能実習1号~3号まで存在しますが、技能実習3号の受け入れや移行を検討する際、受け入れ企業に求められる要件に「優良な実習実施者」の認定があります。

すでに技能実習2号の実習を実施していても、この『優秀な実習実施者』の認定を受けていなければ技能実習3号に移行することはできません。

今回は、優良な実習実施者の認定を受けるための基準や、認定を受けることでどのようなメリットがあるのかをご説明します。

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技能実習1号・2号・3号とは

技能実習制度の区分は、入国後1年目の技能等を修得する活動(技能実習1号)、2・3年目の技能等に習熟するための活動(技能実習2号)、4年目・5年目の技能等に熟達する活動(技能実習3号)の3つに分けられます。

技能実習1号もしくは技能実習2号に移行が可能な職種・作業は2021年1月時点で83職種151作業です。
そのうち技能実習3号に移行が可能な職種は76職種134作業です。

また、技能実習1号から技能実習2号、技能実習2号から技能実習3号へそれぞれ移行するためには、技能実習生本人が所定の試験(2号への移行の場合は学科と実技、3号への移行の場合は実技)に合格する必要があります。

出展:外国人技能実習機構『技能実習制度 移行対象職種・作業一覧』

技能実習3号の受け入れに必要な『優良な実習実施者』の認定とは

「優良な実習実施者」は、2017年11月に施行された新たな技能実習法によってできた仕組みで、実習実施者である企業、監理団体がそれぞれの条件をクリアすることで技能実習3号の受け入れが可能になると言うものです。

優良な実習実施社の認定を受けることで技能実習生の受け入れ人数枠の拡大・実習期間が延長できるなどのメリットがあります。

『優良な実習実施者』認定のメリット

1.最長で5年の技能実習期間が可能

技能実習生の技能実習期間は、技能実習1号・2号あわせて3年ですが、実習実施者と監理団体がどちらも優良である場合には、第3号技能実習に移行することが可能となり、技能実習期間を最長で5年に延長することができます。

移行するためには、実習実施者の優良認定と同時に、技能実習生本人が技能検定3級等(技能実習評価試験専門級)の実技試験に合格している必要があります。

技能実習2号から3号に移行する前、もしくは開始後1年以内に,1か月以上1年未満の一時帰国をする必要があります。

【第3号技能実習開始後に一時帰国する場合の注意事項】
※ 一時帰国期間は第3号技能実習の実習期間に含まれませんが、一時帰国の時期は第3号技能実習計画の認定申請前に決定し、技能実習計画に記載する必要があります。

※ 一時帰国に係る旅費については、監理団体が負担する必要があります。 ただし、技能実習2号と3号で監理団体が異なる場合は,技能実習3号を監理する監理団体の負担となります。

※ 一時帰国のための出国が技能実習3号開始後1年以内であれば、一時帰国後の再入国は、技能実習3号開始後1年を経過していても差し支えありません。

※ 一時帰国の期間が3か月を超える場合、地方出入国在留管理局においては、技能実習3号開始時に、一時帰国するまでの在留期間が決定されます。 その場合,一時帰国後の再入国は,在留資格認定証明書交付申請を行い,査証を取得して新規入国する必要があります。

2.基本人数枠の上限規制を免除

技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護の観点から、実習実施者が受け入れる技能実習生の数については上限が定められていますが、優良認定を受けることによって基本人数枠を拡大することが可能になります。


※ 常勤職員数は、実習実施者に継続的に雇用されている職員を指します。
※ 職員が3人以下の企業では、技能実習生数が受入れ企業の常勤職員総数を超えることは出来ません。
※技能実習生の数が常勤職員の総数を超えてはいけないという基準が設けられていますが、優良な実習実施者は受け入れ人数の上限規制を免除されます。

「優良な実習実施者」に認定されるには

「優良な実習実施者」認定の制度採点方法が変わる

「優良な実習実施者」の認定を受けるには、外国人技能実習機構へ「優良要件適合申告書」を提出し、優良な実習実施者の基準をクリアしなければなりません。

この制度採点方法は令和3年10月から変わるのですが、令和2年11月から令和3年10月までの間は、旧配点(120点満点で72点以上)を選択することを可能としています。

ここでは、旧制度と新制度で何が変わるのかを紹介していきます。

旧制度採点方法

優良な実習実施者の基準については、下記の表で6割以上の点数(120点満点で72点以上)を獲得した場合に、優良であると判断することとされています。

新制度採点方法を知りたい方は、こちらの「新制度採点方法」へお進みください。

※参考元: 「技能実習制度 運用要領」

新制度採点方法

優良な実習実施者の基準については、以下の表で6割以上の点数(150点満点で90点以上)を獲得した場合に「優良」な実習実施者の基準に適合することとなります。

技能等の修得等に係る実績【最大70点】

Ⅰ 過去3年間の基礎級程度の技能検定等の学科試験及び 実技試験の合格率
※旧制度技能検定2級の合格率含む
95%以上:20点
80%以上95%未満:10点
75%以上80%未満:0点
75%未満:-20点
Ⅱ 過去3年間の2・3級程度の技能検定等の実技試験の合格率
<計算方法>
分母:新制度の技能実習生の2号・3号修了者数-うちやむを得ない不受検者数+旧制度の技能実習生の受検者数分子:(3級合格者数+2級合格者数×1.5)×1.2
*旧制度の技能実習生の受検実績について、施行日以後の受検実績は必ず算入。* 上記の計算式の分母の算入対象となる技能実習生
がいない場合は、過去3技能実習事業年度には2号未
修了であった者の申請日時点の3級程度の技能検定
等の実技試験の合格実績に応じて、右欄のとおり加点する。
80%以上:40点
70%以上80%未満:30点
60%以上70%未満:20点
50%以上60%未満:0点
50%未満:-40点* 左欄に該当する場合
・合格者 3 人以上:20 点
・合格者 2 人:10 点
・合格者 1 人:5 点
・合格者 0 人:0 点
Ⅲ 直近過去3年間の2・3級程度の技能検定等の学科試験の合格実績
* 2級、3級で分けず、合格人数の合計で評価
合格者2人以上:5点
合格者1人以上:3点
Ⅳ 技能検定等の実施への協力

 

* 技能検定委員(技能検定における学科試験及び実

技試験の問題の作成、採点、実施要領の作成や検定

試験会場での指導監督などを職務として行う者)又は

技能実習評価試験において技能検定委員に相当する

者を社員等の中から輩出している場合や、実技試験の

実施に必要とされる機材・設備等の貸与等を行っている場合を想定

有:5点

技能実習を行わせる体制【最大10点】

Ⅰ 直近過去3年以内の「技能実習指導員の養成講習」受講歴(※2019年4月以降から算入)全員有:5点
Ⅱ 直近過去3年以内の「生活指導員の養成講習」受講歴(※2019年4月以降から算入)全員有:5点

技能実習生の待遇【最大10点】

Ⅰ 第1号技能実習生の賃金(基本給)のうち最低のものと最低賃金の比較115%以上:5点

105%以上115%未満:3点

Ⅱ 技能実習生の賃金に係る技能実習の各段階ごとの昇給率5%以上:5点

3%以上5%未満:3点

Ⅲ 技能実習生の住環境 の向上に向けた取組有:5点

法令違反・問題の発生状況【最大5点】

Ⅰ 直近過去3年以内に改善命令を受けたことがあること(旧制度の改善命令相当の行政指導を含む。)改善未実施:-50点
改善実施:-30点
Ⅱ 直近過去3年以内における失踪がゼロ又は失踪の割合が低いこと(旧制度を含む。)ゼロ:5点
10%未満又は1人以下:0点
20%未満又は2人以下:-5点
20%以上又は3人以上:-10点
Ⅲ 直近過去3年以内に責めによるべき失踪があること(旧制度を含む。)該当:-50点

相談・支援体制【最大45点(新配点)】又は【最大15点(旧配点)】

Ⅰ 母国語相談・支援の実施方法・手順を定めたマニュアル等を策定し、関係職員に周知していること有:5点
Ⅱ 受け入れた技能実習生について、全ての母国語で相談できる相談員を確保していること(旧制度を含む。)有:5点
Ⅲ 直近過去3年以内に、技能実習の継続が困難となった技能実習生に引き続き技能実習を行う機会を与えるために当該技能実習生の受入れを行ったこと(旧制度下における受入れを含む。)(旧配点)

有:5点

 

(新配点)

基本人数枠以上の受入れ: 25点

基本人数枠未満の受入れ:15点

Ⅳ 技能実習の継続が困難となった技能実 習生(他の監理団体傘下の実習実施者で技能実習を行っていた者に限る。)に引き続き技能実習を行う機会を与えるため、実習先変更支援サイトに監理団体を通じて 受入れ可能人数の登録を行っていること有:10点

※ 新配点のみに設けられた加点項目です

 

地域社会との共生【最大10点】

Ⅰ 受け入れた実習生に対し、日本語の学習の支援を行っていること有:4点
Ⅱ 地域社会との交流を行う機会をアレンジしていること有:3点
Ⅲ 日本の文化を学ぶ機会をアレンジしていること有:3点

※参考元: 「技能実習制度 運用要領」

まとめ

『優良な実習実施者』の認定を受けるには、法令違反や実習生の失踪等の問題を発生させないなど、実習生にとって良い環境を整えることも大切です。
しっかりとした技術を身に付けた技能実習生に、特定技能に移行して特定技能1号としてさらに5年間、同じ企業で即戦力として就労してもらえれば受け入れ企業にとっても大きなメリットとなります。

技能実習生は技術を学ぶために努力を惜しまない真面目な方が多く、普段から仕事だけではなく積極的にコミュニケーションを取るなど、良い関係を築けていれば、長期にわたり企業に貢献してくれる存在になるでしょう。

こちらの記事では技能実習生を受け入れる際に必要な費用について解説しております。あわせてご覧ください。

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