同一労働同一賃金の各種手当を徹底解説!18の手当てと休暇まとめ

人材派遣を検討中の企業さまでも、同一労働同一賃金の各種手当について知りたい、という企業も多いのではないでしょうか。

この記事では各種手当についての支給の必要性など詳しく知るために、各手当を詳細に解説していきます。

人材派遣の活用検討がしやすくなるため、ぜひ派遣社員を雇用するときの参考にしてみてください。

なお、本記事は厚生労働省の【同一労働同一賃金ガイドライン】を参考に執筆しています。

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同一労働同一賃金とは?

同一労働同一賃金とは、同じ企業内で雇用形態が違っても、納得のいく待遇が受けられるというものです。

正社員とパートといった違う雇用形態、就業時間であっても手当や休暇などをきちんと支給してくれることが必要です。

柔軟な働き方や多様性に富んだ勤務を選択するための制度であるといえるでしょう。

均等待遇

均等待遇がそもそも何なのかということは、ご存じでしょうか。

これは職務の内容や責任の程度、配置の変更範囲が正社員も非正規社員も同じであるときに、同じ待遇、同じ扱いで遇するというものです。

均衡待遇

均衡待遇とは、職務の内容や責任、配置の変更範囲などが正社員と非正規社員で全く同じではない場合に、待遇差が不合理ではない、というものです。

職務の範囲などに見合うように待遇を決定することが大切です。

▼関連記事
同一労働同一賃金についてお調べの方は、別記事「同一労働同一賃金の労使協定方式とは?派遣先均等・均衡方式の違い」で解説していますので、そちらもぜひ参考にしてください。

同一労働同一賃金における手当について

同一労働同一賃金においては、各種手当や休暇なども等しく正社員と同じように扱う必要があります。

ここでは手当別に支給の条件と、扱いが不当であった時の判例などを紹介します。

手当①通勤・出張手当

通勤・出張手当については、派遣元企業が負担する義務があります。派遣元企業は派遣社員に対して、派遣先企業が通常の社員に出しているのと同等の通勤手当を支給しなければなりません。出張旅費に関しても同じです。

ただし、支払わなくてもよい場合もあります。

例えば本社のほかにいくつかの営業所のある派遣先企業で、営業所には近隣から通える範囲内で社員を雇用しているとします。

通勤手当もその範囲内で問題ないだけの上限を設けていて、上限内での支払いをしています。

そんな中もともと営業所の近隣に住んでいて派遣社員として雇用されていた人が、自分の都合で引っ越しをして通勤手当の上限では賄えないほどの交通費がかかった場合でも、上限以内での支払いで問題なくそれ以上を支払う必要はりません。

関連する裁判には、ハマキョウレックス事件があります。運送会社であり正社員も非正規社員も同じ仕事内容であったにもかかわらず、待遇が同じではないということで裁判になりました。

判決としては、通勤手当などの各種手当が社員と同様非正規社員に支給されないのは違法であると、判決を下しました。

手当②精勤・皆勤手当

精勤・皆勤手当てに関しては、派遣元企業は派遣先企業が雇用する正社員と同じ内容の仕事を派遣社員にも任せるのであれば、正社員に支給されるのと同じ精勤・皆勤手当てを支給しなければなりません。

支給しなくてもよい事例としては、雇用している正社員に対しては欠勤についてマイナスの査定を行い、それが待遇に反映されているときです。

この場合においては一定の日数上出金した時のみ、派遣先企業は正社員に対して精勤手当を支払っています。

派遣社員は欠勤についてマイナス査定を行っていないので、派遣元企業としてはマイナス査定を行わないことと見合いの範囲内で精勤手当を支給していません。

関連する裁判には、井関松山製造所事件がありました。

グループ企業の契約社員5名で扱いが不当であるとして改善を求めた裁判で、待遇の格差是正を求めました。

業務内容が正社員と変わらないのに契約社員というだけで精勤手当などの各種手当を支払わないのは不当であるとして、裁判所は企業側に支払いを命じています。

手当③住宅手当

住宅手当は、派遣先正社員が支払われていて全く同じ仕事を同じようにしているのであれば、支払われます。

支払わなくてもいい事例としては、正社員は移動や転勤などがある場合が明記されているときなどで、移動も転勤もない派遣社員とは全く同じ支給でなくてもよくなります。

関連する裁判には、長澤運輸事件があります。

ドライバーとして有機契約社員が正社員と同じ仕事をしているにもかかわらず、各種手当が支給されていないというものです。

この事件の判決は、精勤手当が支給されていないのは不合理で違法だとしたうえで、住宅手当・家族手当・賞与の支給はなくても合法であるとされました。

理由としてはすでに定年しており、長期の勤務が想定されていないことや老齢年金が支給されているということがあげられました。

手当④家族手当・扶養手当

家族手当は家族を持つ従業員に支給されるもので、その多くは扶養家族に限定されています。

扶養手当は扶養している親族に対しての手当です。こちらは扶養している親族に一定以上の収入があれば手当は支給されません。

関連する裁判には、日本郵便事件があります。日本郵便株式会社が社員と同一の手当を支給せず不合理であるとして、裁判で争われました。

判決としては、扶養親族がありなおかつ相応の期間勤務の継続が見込めるのであれば扶養手当も支給するべきというものでした。

手当⑤役職手当

役職手当は、役職についていて役職の内容に対して支給されるべきものです。

派遣社員であっても役職につき正社員と同じ内容の業務をこなすのであれば、役職手当は派遣先企業が定めるとおりに支給されるべきものです。

また、役職の業務に一部違いがあるのであればその違いに応じた役職手当を支給しなくてはなりません。

ただし、同じ店長という職務であっても正社員の半分の日数しか勤務せず、勤務時間も短い場合は、その相違を考慮したうえで役職手当の半額、または3割などの支給でも問題はありません。

手当⑥特殊作業手当

特殊作業手当は、業務の危険度や作業環境に応じて支給される手当であり、正社員と全く同じ業務をこなし同じくらい危険度があるまたは同じ作業環境であるのなら、支給されるべき手当です。

ただし、正社員と同様の環境であったとしても働く時間帯が違うことで正社員のような危険がないなどの場合は、支払う必要がありません。

手当⑦特殊勤務手当

特殊勤務手当は、交代制の勤務で朝の勤務や夜間の勤務などがある勤務形態の場合に支給される手当です。

ただし、時給や日給に事前に上乗せしてある場合には、別途支給する必要はありません。

手当⑧時間外労働手当

通常の勤務時間を超過して仕事をしなければならない場合に、支払われるのが時間外手当です。

派遣社員であっても契約時間外に仕事をしなければならない場合には、通常の時給に規定量の割り増しをされて支払われます。

ただし、契約時間外に退社したとしても仕事をせずに会社にとどまっているときやもともと時間外が契約に盛り込まれていてその分を時給に上乗せしてある場合などは支給する必要がありません。

手当⑨地域手当

特定の地域で働くときに支給されるのが、地域手当です。正社員と同じ地域・同じ業務内容で派遣社員が働くことになった時には、支給する必要があります。

ただし、派遣社員がその地域で雇用された場合には支払わなくていい場合もあります。

手当⑩食事手当

食事手当は、労働時間内に食事をする必要がある場合に補助として支給される手当のことです。

ただし、派遣社員の勤務時間の都合で昼休憩・食事の時間が必要ない場合は支給する必要はありません。

手当⑪単身赴任手当

派遣元企業は、派遣先企業が従業員に支給する単身赴任手当がある場合には、同一の要件を満たす場合に派遣社員に対して単身赴任手当を支給する必要があります。

ただし、派遣先の正社員が単身赴任として着任する営業所などの近隣で雇用された派遣社員には支払う必要はありません。

手当⑬無事故手当

無事故手当とは、既定の期間無事故で勤め上げたドライバーに対して支払われる手当です。派遣社員であっても既定の期間を無事故で勤め上げたドライバーであれば、支払う必要があります。

たとえ無事故で契約期間を終えたとしても、派遣先企業の規定の期間に達していない場合などは支払わなくても問題ありません。

手当⑭資格手当

資格手当とは、業務に活かせる資格を取得している場合に、会社の規定に従って支給される手当のことです。

正社員と同じ資格を持ち同じ仕事をしている場合には会社の規定に沿って同じ金額を支給する必要があります。

ただし、たとえ資格を持っていたとしても、業務には関係のない資格であったり、会社の規定に級が足りなかったりする場合には支払う必要はありません。

手当⑮慶弔休暇

慶事や弔辞があった場合に、会社の規定に沿って休暇を取得できるようにするのが慶弔休暇です。

親や兄弟などで慶弔休暇が必要な事案が生じた場合には、派遣社員にも正社員と同じように慶弔休暇を保証する必要があります。

しかし、決められた親等以外の親族、または友人や知人などの慶弔であったならその限りではありません。

手当⑯病気休暇・特別休暇

病気になった際に取得できるのが、病気休暇です。

そのほか法定外の休暇を派遣先企業が設定している場合には、派遣社員にも正社員と同じように特別休暇を取得するようにしなければなりません。

リフレッシュ休暇や介護休暇などを取得できるようにしている企業であれば、会社で規定している日数を勤務している、あるいは会社が設定している理由があれば派遣社員にも取得することができるようにしなければなりません。

ただし病気休暇などは、派遣社員の契約が満了した後にも休暇分の手当を支給するということはありません。

手当⑰賞与

賞与は派遣先企業が社員の業績などによって、基本給とは別に支給するものです。

派遣社員であっても、社員と同じように業績に貢献したのであれば支給する必要があります。

ただし、勤務時間や業務内容に差があるのなら、正社員よりも減額して支給しても問題はありません。

関連する裁判には、大阪医科薬科大学事件があります。

正社員に支給されている賞与がアルバイト職員には支給されないのは不合理として、裁判を起こした事件です。判決としては要求金額よりもかなり少ないながら、企業側に賞与の支払いが命じられました。

理由としては、アルバイトといいながらも正社員と同じ勤務時間、同じ業務内容だったことから全く支給されないのは不合理とのことです。

手当⑱退職金

退職金は、企業を退職するときに支払われる手当です。形態はいくつかあり、退職したときにもらえるもの、給与に上乗せされて支給されているものなどです。

退職金は派遣先正社員と同じ仕事、同じ勤務時間であれば支給されてしかるべきです。

ただし、3年未満の勤務であれば支給しないことが認められているため、派遣の契約期間が3年以内に切れる場合は規定にのっとって支給しなくても問題はありません。

関連する裁判には、京都市立浴場運営財団事件があります。

正職員には退職金規定がありましたが、嘱託職員には退職金規定がありませんでした。しかし、訴えにより退職金の支払いが全くないのは不当として、企業側に退職金の支払いを命じました。

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まとめ

以上、同一労働同一賃金の各種手当についてご理解いただけましたか?

派遣社員であっても、仕事日数や勤務時間によっては各種手当を支払う必要があります。

しかしその分モチベーションも上がり、しっかりと業務をこなしてくれることでしょう。

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