【社労士監修】外国人の採用手続きマニュアル2024最新!面接から就労ビザ申請、採用後の注意点まで解説

2024/05/14

外国人の採用を検討したいが手続きが難しいのでは?といったお悩みを良く耳にします。

実は、外国人を採用した場合も、社会保険や給与計算などは日本人と同じです。大きく違う点としては、在留資格(就労ビザ等)の取得や更新などになります。

この記事では、外国人を正社員として採用した場合と、外国人留学生を採用した場合の手続きについて解説します。

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外国人を面接する前に就労ビザを確認する

外国人を採用する際に、まず行わなければならない重要なステップは、在留資格(ビザ)の確認です。

外国人の在留資格の確認は、本格的な面接に入る前に行う必要があります。

なぜ面接前に在留資格を確認するのか。それは、在留資格には日本で働けるものと、そうでないものがあるからです。

例えば、留学生をアルバイトで採用する場合であっても確認は必要です。

留学生は、学習や研究のため日本に留学しているので、基本的には就労禁止であり、「資格外活動許可」を受けていないと、アルバイトもできません。それも週28時間以内、風俗営業禁止といった制約があります。

さらに、正式に社員として外国人を採用する場合、原則として就労ビザが必要です。

その多くは就労ビザのうち、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で採用することになると思われますが、就労ビザの申請手続きは雇用契約書を締結していることが前提となります。

(※)就労ビザは外交、公用のほか、近時新設された特定技能まで含め全部で19種類あります。一般の企業に一番関係が深いのが「技術・人文知識・国際業務」でしょう。それぞれの就労ビザごとに日本において行うことができる活動が定められています。また、定められた以外の仕事をしてもらうことはできません。

正社員として外国人を採用する場合、就労ビザを取得できる見込みがあるかを事前に確認することが必要です。

外国人を採用する場合のチェックポイント

  • 在留カード(在留資格の種類、期間、資格外活動許可の有無)
  • 学歴や職歴(卒業証明書や成績証明書など)

※正社員で採用する場合、専攻内容と仕事内容の関連性もしくは、出身国などでの10年以上の実務経験等があれば、「技術・人文知識・国際業務」の就労ビザを取得しやすくなります。

就労ビザを要しない在留資格の種類について

在留資格の種類が「永住者・定住者」「日本人の配偶者」の場合、改めて就労ビザを取得する必要はありません。これらは「地位・身分に基づく在留資格」と呼ばれます。

これらの在留資格を持つ外国人は、活動制限がありません。すなわち職種の制限がなく日本人と同じ条件で働くことができます。

▼関連記事
外国人の在留資格における「永住者」と「特別永住者」の違いとは

在留資格の種類については以下の資料をご参考にしていただければと思います。

採用を決定したら雇用契約書を作成する

外国人を「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で採用する場合の、次のステップは雇用契約書の作成です。外国人の雇用契約書も、基本的に日本人の雇用契約書と作成方法は変わりません。

外国人の雇用契約書に関するポイント3つ

  • 母国語など外国人が理解できる言語で作成する
  • 業務内容は、外国人の学歴や職歴に関連したもの
  • 就労ビザの許可が降りない場合の取り扱いについての一文を添える(※)

※就労ビザの申請手続きは雇用契約書を締結していることが前提となりますが、申請したからといって許可が降りるとは限りません。雇用契約書には「就労可能な在留資格の許可および在留期間の更新」などを条件として明記し、採用予定の外国人にも就労ビザが下りなかった場合には採用を取り消す旨を説明しておきましょう。

就労ビザの申請手続きをする

就労ビザの申請手続きは、採用する企業の所在地を管轄する入国管理局に行います。
出入国在留管理庁

すでに日本で働いている外国人を中途採用する場合

外国人を中途採用する場合、前職と同じ仕事内容であれば、就労ビザの申請手続きではなく、「就労資格証明書交付申請」を行い、自社で採用が可能かを入国管理局に判断してもらいましょう。

就労資格証明書交付申請の手続きに必要なもの

・申請書
・資格外活動許可書を提示(同許可書の交付を受けている者に限ります。)
・在留カード(在留カードとみなされる外国人登録証明書を含みます。以下同じ。)又は特別永住者証明書(特別永住者証明書とみなされる外国人登録証明書を含みます。)を提示
※申請人以外の方が,当該申請人に係る就労資格証明書交付申請を行う場合には,在留カードの写しを申請人に携帯させてください。
・旅券又は在留資格証明書を提示
・旅券又は在留資格証明書を提示することができないときは,その理由を記載した理由書
・身分を証する文書等の提示(申請取次者が申請を提出する場合)

引用元:必要書類等

留学生を新卒社員として採用する場合

留学生を採用する場合、在留資格が留学生のままでは一般就労はできません。

就労可能なビザに変更する必要があります。原則として本人が手続きを行なうことになっていますが、行政書士や弁護士が代行することも許されています。

近年では、雇用主である企業が行政書士などに依頼して、一括で手続きを行なうことも多くなっています。

在留資格変更許可申請の手続きに必要なもの

・申請書
・写真(1葉,次の規格の写真の裏面に氏名を記入し,申請書に添付して提出)

1 申請人本人のみが撮影されたもの
2 縁を除いた部分の寸法が,上記図画面の各寸法を満たしたもの(顔の寸法は,頭頂部(髪を含む。)からあご先まで)
3 無帽で正面を向いたもの
4 背景(影を含む。)がないもの
5 鮮明であるもの
6 提出の日前3か月以内に撮影されたもの

※16歳未満の方は,写真の提出は不要です。また,中長期在留者とならない在留資格への変更を希望される場合も写真の提出は必要ありません。

・日本での活動内容に応じた資料を提出していただきます。・在留カード(在留カードとみなされる外国人登録証明書を含みます。以下同じ。)を提示

※同カードの交付を受けている者に限ります。
※申請人以外の方が,当該申請人に係る在留資格変更許可申請を行う場合には,在留カードの写しを申請人に携帯させてください。

・資格外活動許可書を提示(同許可書の交付を受けている者に限ります。)
・旅券又は在留資格証明書を提示
・旅券又は在留資格証明書を提示することができないときは,その理由を記載した理由書
・身分を証する文書等の提示(申請取次者が申請を提出する場合)
引用元:必要書類等

また、申請様式は下記のとおりです。

1 在留資格変更許可申請書(新様式)
2 (1)身元保証書(日本語版)【PDF】 (2)身元保証書(英語版)【PDF】
3 質問書【PDF】
※ 平成29年6月6日に様式を改訂しています。新様式による提出をお願いします。
引用元:申請書様式

就労ビザの審査は1~3ヶ月が必要

在留資格変更許可申請は入国管理局で行われます。

1ヶ月から3ヶ月ほど期間がかかるのが一般的です。就労ビザは手続きを行なえば必ず認められるものではありません。2018年の統計によると約16%が不許可となっています。

在留資格変更に伴う審査のポイント

  • 仕事内容と学歴・職歴の関連性
  • 採用予定の外国人の前科の有無
  • 採用する企業の財務状況
  • 採用予定の外国人の給与水準

前述した通り仕事内容が、外国人が卒業または卒業予定の大学や専門学校での専攻内容に関連していることが重要です。

とりわけ日本の専門学校卒業生の場合は、業務内容と学校で学んだことの「関連性」が大卒者以上に求められる傾向が見られます。

他にも、採用予定の企業の財務状況が安定していない場合や、採用予定の外国人の給与水準が極端に低い場合や、同職種の日本人より低い場合などは、就労ビザの許可が降りない場合があります。

外国人を採用後した後の手続きと注意点

外国人を採用した際には、法律上ハローワークに「外国人雇用状況届出書」の届け出が義務付けられています。

ただし、採用した外国人が雇用保険に加入する場合は、雇用保険の手続きと兼ねることができます。
届出様式について |厚生労働省

担当業務に制限がある認識を

技術・人文知識・国際業務の就労ビザで外国人を採用した場合、在留資格にもとづく業務のみ担当することが許されます。例えば、単純労働は認められていません。

また、コンピュータ技術者が「技術」の在留資格を持っている場合、通訳や翻訳の仕事に従事することはできません。

場合によっては採用した企業が不法就労助長罪に問われることもあるので、部署異動の際など、十分に気を付けましょう。

在留資格(就労ビザ)の管理

在留資格は一定期間で更新を行う必要があります。基本的には外国人本人が管理しますが、在留期間を過ぎた外国人を雇用していると、採用した企業も不法就労助長罪という犯罪に問われることがあるので、会社としても注意をしていく必要があります。

外国人雇用にともなう手続きは専門家に任せたほうがスムーズです。
以下のページでは、おすすめの外国人紹介サービスや選定方法を解説しています。

▼関連記事
【最新】外国人人材に特化 採用・紹介サービスおすすめ13選|メリット・注意点なども解説

外国人留学生を採用するメリットとデメリット

外国人留学生を採用するメリットとデメリットを見ていきましょう。

メリット

メリットとしては以下のような点が挙げられます。

  • 職場の活性化
  • 若手人材の確保
  • 国籍を問わず優秀人材の確保
  • インバウンド顧客の取り込み
  • 海外展開とその拡大
  • 多様な発想やアイデアの取り込み

少子化による人材不足を解決する一助となるだけでなく、外国人人材は日本人人材の刺激となり、グローバルに活躍する人材となるための学びも与えてくれるでしょう。

海外展開を視野に入れる場合、外国人人材が戦力となるはずです。

デメリット

デメリットとしては以下のような点が挙げられます。

  • 在留資格の切り替え手続きが複雑
  • 受け入れ体制の整備が必要
  • 価値観/仕事観の相違

在留資格の変更には手間と時間がかかります

原則的には本人が申請手続きをしますが、雇用する企業の協力が欠かせません。

受け入れ後は業務や職場に馴染めるようにあらゆる角度からの環境整備とサポートが必要です。

日本とは異なる文化背景や環境で育った人材は日本人とは異なる価値観や仕事観を持っています。

日本人だけの組織とは異なる意見の相違も発生するでしょう。

メリットにもあるようにその多様性を活かす方向に持っていきたいものです。

▼こちらの記事では、外国人を採用・雇用するときに必要な基礎知識や外国人人材紹介会社の選び方をまとめて解説しています。採用・雇用前の事前知識として、あわせてご覧ください。

▼関連記事
【失敗しない外国人の採用・雇用】必要な基礎知識や外国人人材紹介会社の選び方をまとめて解説

外国人留学生の採用なら外国人人材紹介会社を活用しよう

今回は外国人を採用する際の手続きについて解説しました。

外国人の面接から就労ビザの申請、採用後の注意点まで、一連のポイントを把握いただけたかと思います。

日本人の採用と比べてハードルを感じられた方は、集客~就労ビザチェック~ビザ申請代行までワンストップで行なう外国人人材紹介会社を通すのも一つの手かもしれません。

本記事が、外国人採用におけるスムーズな手続きの参考になれば幸いです。

社労士からのアドバイス

本文で解説した通り、外国人を採用する場合には、とりわけ在留資格に基づく厳しい制約があります。この記事の解説は、あくまでごく基礎的な流れを網羅したものに過ぎません。

志を持って日本で働こうとする外国人が、我国の人事担当者の知識不足や考え違いなどで、働けなくなるとか、ましてや「不法就労」等とされては、大変です。本人への大きな迷惑であり、会社にとっても非常に恥ずかしいことです。

外国人の採用や雇用管理に詳しい専門の人材紹介事業者や行政書士など専門家の助けを借りることは、必須でしょう。

少なくとも、厚生労働省がまとめた次のパンフレットなどは、しっかり読み込み、専門家のアドバイスを受けながら、外国人が生き生きと働く職場を目指してください。
厚生労働省「外国人雇用はルールを守って適正に

監修者プロフィール
玉上 信明(たまがみ のぶあき)

社会保険労務士 健康経営エキスパートアドバイザー

三井住友信託銀行にて年金信託・法務・コンプライアンスなどを担当。
2015年10月65歳定年退職後、社会保険労務士開業。執筆・セミナーを中心に活動。
人事労務問題を中心に、企業法務全般や時事問題にも取り組んでいます。

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外国人登録者数およそ3万人。特定技能に関しても飲食料品製造分野で、すぐに就業が可能な人材が随時100名以上(切り替え希望で登録)おります。ご希望の雇用スタイルや在留資格になどお気軽にご相談ください。

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