コールセンター立ち上げ手順とは?5つのステップと運営コストなど徹底解説!
- コールセンター
2025/06/04

この記事でわかること
- コールセンター立ち上げに必要な5つの手順
- コールセンターの立ち上げにかかる費用
- コールセンター立ち上げ時に押さえておくべきポイント
お客様の生の声を聴くことのできるコールセンターは、非常に大切な顧客とのコミュニケーション方法の一つです。本記事では、コールセンター立ち上げの設計から構築、運用までの手順を紹介し、立ち上げにかかる費用を解説します。
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TOPICS
コールセンター立ち上げに必要な5つの手順
コールセンターの立ち上げる際にまず知らなければいけないのが、立ち上げの「手順」です。一般的に下記「手順」に沿って行っています。
- 目的・ゴールの設定
- 現状調査と課題の整理
- プロセスの設計
- 構築
- 実行と検証
この手順が完了して、コールセンターの運用を開始することができます。では、具体的に手順の詳細について解説していきます。
手順1:コールセンターの目的・ゴールを設定する
まず初めに、立ち上げる目的・ゴール(KGI)の設定をする必要があります。その理由は、目的やゴールがぶれてしまうとコールセンターを運用する意味が分からなくなってしまう可能性があるからです。
なぜ、センターを立ち上げるのか(目的)、どのような課題を解決するのか(ゴール)を明確に定義することが大切です。例えば、「顧客満足度9.0/10.0を獲得するための高品質なコールセンターを目指す」。
この場合、以下のように定義することができます。
「高品質なコールセンターを目指す」 = 「目的」
「顧客満足度9.0/10.0を獲得する」 = 「ゴール」
「目的」と「ゴール」は一つとは限りませんので、自社の課題解決にあったものを設定していく必要があります。コールセンターの役割は顧客からの問い合わせ窓口にとどまらず、企業が顧客の生の声をヒアリングできる顧客接点となっています。
コールセンターの応対品質によって、顧客からの企業イメージが変わり、顧客満足度に大きく影響があるため、コールセンターの目的・ゴールはしっかりと定めましょう。
手順2:現状調査と課題を整理する
目的とゴールを設定出来たら、次は自社の現状を可視化させます。コールセンター立ち上げで、すでにセンターを保有している場合は、現状把握と課題をしっかりと認識します。
まだ、コールセンターを保有していない場合は、立ち上げたことによって発生する問題点を設定した目的・ゴールから逆算して考えていくことをおすすめします。
上記の「顧客満足度9.0/10.0を獲得するための高品質なコールセンターを目指す」といった場合は下記のような課題が考えられます。
- お客様からの電話に対してすぐに対応できるだけの人員数
- 顧客対応後の後処理をスムーズに行うシステム導入
- 高品質なサービス提供をするために必要なオペレーター教育
このように課題を可視化させることによって、課題に対してどう対応・マネジメントするのかを決められます。
手順3:4つの項目におけるプロセスを設計する
目的・ゴール設定をし、現状把握・課題の可視化ができたら、次にプロセスの設計を行います。設計に必要な内容としては大きく分けて「業務プロセスの設計」「マネジメント設計」「組織体制の設計」「人材育成の体制設計」の4つです。
業務プロセスの設計
自社コールセンターの目標・ゴール達成のため、必要な機能や運用に必要な業務プロセスを明確化していきましよう。一例ではありますが、以下のような業務フローの設計をすることで、社員が問題なく業務を行うことができます。
- 目標の数値をどのように追うのかのKPIマネジメント
- ゴール達成に必要な数値の報告方法
- 緊急時の対応方法の明確化
- オペレーター配置などの体制や組織図の設計
業務プロセスの設計を詳細な部分まで設計することで、緊急時や複雑なクレームなどにも柔軟に対応することが可能です。できるだけ広範囲の業務プロセスを想定・検討し、策定しておくことで、様々な状況で臨機応変に対応できるでしょう。
マネジメント設計
業務プロセスが固まっただけでは上手く運用することはできません。その決めたプロセスを的確にマネジメントするために、どの数値を追っていくのかを決めるKPI(重要業績評価指標)を設定する必要があります。
KPIの設定には、以下のような内容があります。
- 1日あたりの電話対応件数
- 1本当たりの電話時間
- コールセンターの稼働率
コールセンター運用が上手くいっているか判断するために適正な数値を設定し、マネジメントすることで目標達成に近づいていきます。
組織体制の設計
業務プロセス・マネジメント設計で設定した項目をどのような体制で運用していくのか決めるため組織体制を明確にしていく必要があります。
主に、オペレーターの人数や、誰が誰をどのようにするのかなどの役目・役割、人員の配置を決めていきます。大規模なコールセンターであれば、それなりに多くのオペレーターが必要ですし、1日にかかってくる電話も多いはずです。
コールセンターの規模感なども考慮して組織体制を設計しましょう。
人材育成の体制設計
組織体制を設計したら、その体制に必要な人材を育成していく必要があります。高品質なコールセンターサービスを提供するために、オペレーターやスタッフの研修を行うのも必要なことです。
なお、コールセンターは離職率が高い職種の一つで、長期的に働くことが少ない傾向があります。経験豊富の将来有望な人材を育てることは大事ですが、それと同様に、長く安心して働ける環境づくりを心掛けることで、良い人材が定着していくでしょう。
離職率が高いことについて詳しく知りたい方は、別記事「コールセンターの離職率が高い6つの理由とは?対策方法も合わせて解説!」で解説していますので、ご参考ください。
手順4:設計した内容に沿って構築する
ここまで設計してきた内容を、ここからは実際に構築していきます。構築するものとしては、「インフラ設備とシステム」「業務フロー」「教育体制」の流れで実装していきます。
インフラ設備とシステム
コールセンターを立ち上げ・運用するのに欠かせないインフラ設備とシステムは、以下のものです。
コールセンター施設の手配
まずはコールセンターの場所、施設の席数、電話配線やその他センターに必要なファシリティ(設備)を整えます。
ネットワークの設計
続いて行うのは、ネットワークの設計です。
コールセンターは、顧客とのリアルタイムなやり取りを行うため、通信の安定性が業務品質を大きく左右します。ネットワークが不安定で音声が途切れたり、CRMシステムにアクセスできなかったりすると、顧客満足度が低下し、業務の信頼性にも悪影響を与えます。
また、顧客の個人情報や取引内容、通話データなど機密性の高い情報を日常的に取り扱います。ネットワーク設計においては、こうしたデータを守るためのセキュリティ対策が最優先事項となるでしょう。
電話・PBXの設置
電話機は顧客対応を行う上で必須です。加えて、お客様からの電話を適切に振り分けることのできる PBX(構内交換機)も必要なので、設置しましょう。
同じタイミングで、オペレーター人員よりも多いコール数があった場合や、業務時間外でのコールなど、オペレーターが対応できないコールに対応するためには必須のシステムです。
CTS(コールセンターシステム)・CTIの導入
PCと電話・FAXを連携させるCTIを導入しCTSを稼働させることも、高品質なコールセンター運営を目指すためにはおすすめです。
PCから電話番号を入力して発信したり、顧客管理システムから直接電話をかけたりすることができたり、顧客情報を一元管理し、様々なチャネル(電話、メール、ウェブサイトなど)からの問い合わせを効率的に管理できたりします。
CMSの導入
CMS(コールマネジメントシステム)とは、コールセンターにおける着信状況やオペレーターの応対データを収集・分析し、生産性・品質・効率などのKPIを可視化・管理するためのシステムであり、通話件数や放棄呼、通話時間、後処理時間などを基に自動で統計レポートを生成することができます。
CRMの導入
顧客情報や応対履歴などをデータとして蓄積し管理できるシステムです。さまざまなオペレーターが対応するコールセンターでは、情報を正しく共有するツールとして、顧客満足度の確保には欠かせないシステムです。
コールセンターのシステムについて詳しく知りたい方は、【最新】コールセンターのシステム比較9選!導入ポイントも合わせてご紹介」「【最新】FAQシステム5選徹底比較!機能や導入ポイントも解説」でも解説していますので、ぜひ参考にしてください。
業務フロー
実際に業務を行うのはオペレーターやスタッフです。設計した業務プロセスを基に業務フローマニュアルを作成し、コールセンター運営にかかわる全員が可視化できるようにしてください。
作成すべきマニュアルとして、オペレーター用のマニュアルと管理者用のマニュアルがあります。
オペレーター用マニュアル
- 機材やシステム操作のマニュアル
- 電話応対スクリプト
- クレーム時や緊急時の対応マニュアル
- サービス・商品マニュアル
管理者用のマニュアル
- オペレーターのマネージメントマニュアル
- 管理者用システムマニュアル
- KPIなどの数値管理マニュアル
具体的なマニュアルを作成することで、新規のオペレーターや管理者にも対応できます。
採用・教育体制
ここまで構築出来たら、オペレーターの教育・採用を行います。組織体制の設計を基に、自社に必要となる人数の人材要件を満たしたオペレーター・スタッフの採用をします。採用後は、コールセンターに必要な業務知識を身に着けるために、オペレーター・スタッフに研修を受けてもらうような教育体制を構築する必要があります
【研修内容例】
- 電話応対や応対品質の研修
- コンプライアンス研修
- サービス・商品知識の研修
- 管理者用の研修
研修内容が充実していれば、よりオペレーターの育成を効率的に行えます。
手順5:実行と検証を行う
準備段階を経て、スタッフの教育が一段落すれば、いよいよ本格的な稼働に移ります。 とはいえ、センターが実際に動き出してから初めて明らかになる課題も多く、計画段階での想定と運用現場との間にはギャップが生じることもしばしばです。そうしたズレに対応するには、運用マニュアルや対応フローを、その都度見直して調整していく柔軟さが不可欠です。
継続的な改善には、短いサイクルでのPDCAが有効
業務の品質向上を図るには、PDCAサイクルを短期間で回していくことが効果的です。たとえば、2~3週間あるいは1カ月程度のタームで「計画→実行→検証→改善」の流れを繰り返すことで、現場で起こる変化にもすばやく対応でき、継続的な業務改善が現実的に実行できます。
小さな変化に素早く反応し、都度対応を進める、このスピード感こそがコールセンターを成熟させていく上で欠かせないポイントです。
コールセンター業務委託に関するご相談やサービス資料提供を随時受け付けております。お気軽にご相談ください。
コールセンターの立ち上げにかかる費用
構築ができたら、ようやくコールセンターの運営を開始できます。センター立ち上げ・運用に必要な費用について解説します。
初期費用
コールセンター導入の際に必要な初期費用は、主に「システム導入費(CTIやPBX、CRMなど)」「機材費や通信費(電話子機や通話料)」「ネットや電話回線の工事費用(設置費用)」です。
導入するシステムによって変動はありますが、相場では約30~250万円と、決して安くはない金額になっています。
維持費用
維持費用はシステム利用料やメンテナンス・保守費のことです。こちらも導入するシステムによってかなり変動しますが、相場は月に約3~20万円です。システムを提供している企業によって料金プランは違うので、しっかりと確認するようにしましょう。
人件費・採用費
当たり前ですが、稼働しているオペレーターやスタッフに支払う給料も加味しなくてはなりません。オペレーターの時給相場は、約1,200~3,000円となっています。オペレーターのスキルや経験によって、かなり変動するためこのように幅広い賃金相場になるのです。
尚、オペレーターやスタッフを採用するときに使った採用費(求人媒体利用料や広告宣伝費など)もかかってきます。こちらもシステム料同様にかなり変動しますが、相場は月に約20~40万円です。
センター運営費用について詳しく知りたい方は、「コールセンター運営に必要な費用はどれくらい?自社運営と委託の2つの視点で解説」で解説していますので、そちらもぜひ参考にしてください。
コールセンター立ち上げ時に押さえておくべきポイント
コールセンターの立ち上げは綿密な準備が求められ、予想外の課題に直面することも珍しくありません。一度、機材や人員の準備が整ってしまえば、計画を止めるのは困難で、大きな損失を招くリスクもあります。そのため、事前の計画段階で入念なシミュレーションと見通しの設定が不可欠です。
ここでは、コールセンターをスムーズに立ち上げ、安定的に運用していくために押さえておきたい要点を4つご紹介します。
初期投資と運用コストを正確に把握する
コールセンターの設立には、通信機器や専用システム、デスク・椅子などの設備費用に加え、継続的に発生するオペレーターの人件費など、予想以上に多くのコストがかかります。
計画の早い段階で、こうした初期・運用両面の費用を見積もり、全体の収支バランスを把握しておくことが重要です。
想定している規模に対して費用が過大である場合には、センターの規模を縮小する、計画自体を見直す、あるいは外部に委託するという選択肢も考慮する必要があります。
長期運用を見据えた構築を意識する
コールセンターは単なる問い合わせ窓口ではなく、顧客からの意見や反応を直接受け取る「企業の顔」としての役割も果たします。その情報は、経営判断にとって貴重なインサイトとなり得ます。
だからこそ、短期的な視点で立ち上げるのではなく、持続的に運用できる体制を整えることが、結果的に企業全体の利益につながります。
通信環境は十分かを見極める
たとえ小規模でも、コールセンターでは通信の安定性と処理能力が非常に重要です。CRMツールへのアクセスやウェブ情報の確認が滞るようでは、顧客対応の質に直結してしまいます。
電話回線も含め、同時多発的な問い合わせに対応できるだけの容量と速度があるかを事前に確認し、不足があれば早急にインフラの強化を検討しましょう。
外部の支援を活用するという選択肢
経験やノウハウが乏しい状態から、自社内だけでゼロからコールセンターを構築しようとすると、多大な労力と時間が必要になります。準備から運用、管理、スタッフ育成に至るまで、数多くの課題が待ち受けているのが現実です。
こうした課題に対応するためには、外部の専門企業に支援を仰ぐというのも有効な手段です。コールセンター事業を専門に扱う企業の中には、立ち上げ支援に特化したサービスを提供しているところや、センター、インフラ設備、人員を含めた運営そのものを請け負っている企業もあります。企画段階から参画し、構築フェーズでの設計アドバイス、マニュアル整備、KPI設定、人材研修代行など、包括的にサポートを行ってくれます。
このようなサービスを上手く取り入れることで、無理のない形でスピーディーかつ確実に立ち上げを進めることができるでしょう。
まとめ
これまでコールセンター立ち上げの手順を説明し、項目ごとの詳細と立ち上げ・運用に必要な費用を解説してきました。立ち上げの手順は把握できたかと思いますが、実際にセンターを立ち上げ、運用するとなると簡単ではありません。
実際に、コールセンター業務を委託している企業は多くあります。ビジネスの拡大に応じて、センター新規拠点の立ち上げを検討している方は、コールセンター運営のプロに相談することをおすすめします。
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