技能実習の建設分野における受け入れ人数について
- 外国人採用タイムズ
2024/05/16
技能実習の建設分野に関する法改正について
2020年12月24日、「建設関係職種等に属する作業について外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律施行規則に規定する特定の職種及び作業に特有の事情に鑑みて事業所管大臣が定める基準等の一部を改正する件」が公布され、建築分野における新たな基準の告示が出されました。
建設分野の技能実習計画の認定の際、主に、以下の基準が追加され、外国人技能実習機構によって審査されることになります。
(1)技能実習を行う体制の基準
- 申請者が建設業法第3条の許可を受けていること
- 申請者が建設キャリアアップシステムに登録していること
- 技能実習生を建設キャリアアップシステムに登録すること
※許可を受けた建設業の種類と技能実習の職種は、必ずしも一致している必要はありません。
(例)「許可を受けた建設業の種類:とび・土工・コンクリート工事、技能実習の職種:とび」・「許可を受けた建設業の種類:塗装工事、技能実習の職種:左官」など
(2)技能実習生の待遇の基準
- 技能実習生に対し、報酬を安定的に支払うこと
(3)技能実習生の数
- 技能実習生の数が常勤職員の総数を超えないこと(優良な実習実施者・監理団体は免除)
企業単独型技能実習:実施者が技能実習法施行規則第15条の基準に適合する者である場合
団体監理型技能実習:実習者が技能実習法施行規則第15条の基準に適合する者であり、かつ、監理団体が一般監理事業に係る監理許可を受けた者である場合
出典:国土交通省『建設分野技能実習の新たな受入れ基準について』
適用スケジュール
告示の適用は順次行われ、スケジュールは下記で進められていく予定です。
- 第1号技能実習計画の認定申請は、令和2年(2020年)1月1日~
- 第2号技能実習計画の認定申請は、令和3年(2021年)1月1日~
- 第3号技能実習計画の認定申請は、令和5年(2023年)1月1日~
上記それぞれの日程以降に外国人技能実習機構が認定申請を受理した場合に適応されます。
※基準日より前に認定申請をした技能実習計画については、本基準は適用されません。
※郵送の遅延などにより、適応開始日後に技能実習計画が受理された場合には、新基準が適用されます。
【改正に伴う追記(令和2年12月24日)】
令和2年1月1日の前日以前に第1号技能実習計画の新規の認定申請を行い、本基準の適用となっていない第1号技能実習生について、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による入国制限等の影響を受け、その第1号技能実習の開始が遅れたことにより、第2号又は第3号技能実習計画の新規の認定申請が上記以降となる場合に限り、
- 第2号技能実習計画の認定申請については、令和4年(2022年)1月1日
- 第3号技能実習計画の認定申請については、令和6年(2024年)1月1日
が基準日となります。
※新基準が適用された技能実習計画から第2号又は第3号技能実習へと移行する場合の認定申請は、新基準が適用されます。
受け入れ人数の注意点
今回の法改正により、現在、常勤職員以上に技能実習生を受け入れている企業は令和4年(2022年)4月1日までに、技能実習生の総数が常勤の職員の総数以下となるように、調整を行う必要があります。
常勤職員の定義
今回の告示で定められている「常勤職員」の定義は企業の社会保険の被保険者を指します。
被保険者になるには、適用事業所から「労務の対象として報酬を受け」「使用される者」と認められることが必要となります。
法人の取締役、理事は原則として雇用保険の被保険者としませんが、取締役であって同時に会社の部長、支店長、工場長等従業員などを兼任している場合、報酬支払い等の面からみて労働者的性格の面が強く、雇用関係があると認められるものに限り被保険者となる場合もあります。
【例】
- 役員報酬とは別に労働の対償として賃金を得ているもの
- 役員報酬と賃金を比較して賃金の占める割合が役員報酬を上回っていること
- 労働者部分についての就業規則等の適用が一般の労働者と同様であること
技能実習生・特定技能有資格者の人数のカウントは?
今回の告示で公表された項目の一つである、『技能実習生の数が常勤職員の総数を超えないこと』の具体的な内容についてご説明していきます。
【技能実習での常勤人数】
常勤の職員には、外国にある事業所に所属する常勤の職員、技能実習生、外国人建設就労者及び1号特定技能外国人は含まれません。
また、代表取締役、役員は「使用者」にあたり常勤職員ではないため、人数には含めません。
【特定技能での常勤人数】
特定技能1号の在留資格で受け入れている外国人の人数と特定活動の在留資格で受け入れている外国人(外国人建設就労者)の人数の合計が、特定技能所属機関の常勤の職員(外国人技能実習生、外国人建設就労者、1号特定技能外国人を除く。) の総数を超えないこと。
また、代表取締役、役員であっても条件を満たしていれば常勤職員に含まれます。
■代表取締役
週5日30時間以上勤務していて社会保険料を一定額以上納めている場合
※社長は、他の企業で役員をしていないことが前提です。
■役員
週5日30時間以上勤務していて社会保険料を一定額以上納めている場合
※この条件に当てはまらない、非常勤の場合は人数に含まれません。
まとめ
今回は、建設分野での技能実習生受け入れに関する新基準による受け入れ人数の制限や注意点などについて解説いたしました。
様々な職種で受け入れが行われている技能実習制度ですが、建設分野においては、特別な制限が設けられていることがあり、制度の内容についての知識をしっかり持っておくことが必要です。
本記事の詳しい内容や、外国人雇用についてご質問等ございましたらお気軽にお問い合わせください。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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