【2024版】カスタマーサクセスとは?定義や役割・導入メリットを解説
カスタマーサクセスは、顧客の成功体験に焦点を当てた営業活動です。
商品やサービス購入後のアフターケアとしての機能だけではなく、自社の商材の利用によって顧客が得る成功や満足を維持・増幅できるよう能動的にサポートを行うことによって、継続利用やアップセル、クロスセルなどに繋げていきます。
顧客にとっては購入後も継続的かつ積極的なサポートを受けやすく、カスタマーサクセスを運用している企業にとっては、顧客との関係性の維持や新たな利益の創出にも繋がるため、双方にとって大きなメリットがあります。
本記事では、カスタマーサクセスの定義やメリット、カスタマーサクセス組織を立ち上げる手順などを紹介します。
カスタマーサクセスとは
カスタマーサクセスは、顧客の成功体験の最大化と、それによって受け取る報酬(売上・利益)の増加を目的とした営業活動です。
そもそも、顧客にとっての成功体験とは何でしょうか。
顧客にとっての満足(成功)とは、具体的には以下の様な状態を指します。
- (BtoBにおいては)自社の商品やサービスの導入によって、顧客のビジネスで具体的な実績が出ること
- (BtoCにおいては)顧客が自社の商品やサービスに満足したという実感を得たり、顧客の人生に利益が出ること
顧客サポートの行為を、ホスピタリティや商品価値を高めるために行うだけにとどまらず、自社の利益の維持・増幅へ繋げる機会のひとつとして捉え、顧客に対して戦略的にアプローチを行うのがカスタマーサクセスです。
カスタマーサポートとの違い
購入後の顧客へのサポートという意味では、カスタマーサクセスとカスタマーサポートは近い役割を担っていますが、目的やアプローチが異なります。
カスタマーサポートは、顧客から問い合わせのあった問題の解決を行う受動的な役割であるのに対し、カスタマーサクセスは、積極的な課題解決の提起や発展的な利用方法の提案などを能動的に行い、それによって顧客にも自社にも利益が創出されるサイクルを生み出します。
カスタマーサクセスが注目される理由
カスタマーサクセスは、以下のような理由で、多くの企業から注目を集めています。
- サブスクリプション型・利用課金型サービスの普及
- デジタル技術の進化
- 顧客視点の重要性の高まり
サブスクリプション型・利用課金型サービスの普及
これまでは一度商品やサービスを販売したら、それ以降利益が発生しない売り切り型のビジネスモデルが主流でした。しかし、近年では一定期間のサービス利用権を提供するサブスクリプション型や、利用量・期間に応じて課金する利用課金型のビジネスモデルが普及しています。
サブスクリプション型や利用課金型のサービスは、顧客が継続的に利用することで、企業の収益となるビジネスモデルです。
このようなサービスの変化より、企業は顧客との長期的な関係を重視するようになり、顧客の離脱防止や継続的な収益の確保を担うカスタマーサクセスが注目を集めています。
デジタル技術の進化
従来は、顧客の声をアンケートやインタビューを通じて間接的に収集していましたが、近年では、データ分析や自動化などのデジタル技術の進化により、顧客とのあらゆるタッチポイントデータを収集できるようになりました。
サービスや製品を提供する企業は、従来以上に一人ひとりのニーズを深く把握できるようになり、いかに顧客ニーズに合わせたサポートを行うかが、競争が激しい業界で売り上げを伸ばすための重要なポイントとなっています。
そこで注目されているのがカスタマーサクセスです。カスタマーサクセスは、顧客の行動履歴などから収集されたデータを基に、能動的にサポートを提供。顧客満足度の向上を図ることで、売り上げの増加や競合他社との差別化を実現しています。
顧客ニーズの変化
顧客側のニーズが変化したことも、カスタマーサクセスが重要視される理由のひとつです。
インターネットやSNSが普及した今、顧客は製品やサービスの情報を迅速かつ容易に入手し、比較検討ができるようになりました。これにより、従来の画一的な製品やサービスではなく、個々のニーズに合致した価値を重視する顧客が増加しています。
このような顧客のニーズに応えるためには、顧客視点に立った製品・サービスの提供が欠かせません。ニーズの多様化が起こる今、顧客一人ひとりが求めるニーズを深く理解し、長期的な関係を構築するカスタマーサクセスは、顧客満足度の向上や事業の成長に不可欠な存在になりつつあるといえます。
カスタマーサクセスを導入するメリット
カスタマーサクセスの導入には、次のようなメリットがあります。
- 顧客満足度の向上
- プロダクトやサービスの改善
- ブランドを好きになる顧客の増加
- 競合他社との差別化
顧客満足度の向上
カスタマーサクセスは、顧客との密接なコミュニケーションを通して、顧客のニーズを深く理解し、顧客が成功体験を味わえるよう能動的な提案やサポートを提供します。
目標達成や課題解決を経験した顧客は、高い満足度を得ることができ、離脱率(チャーン)低減、アップセル/クロスセルの機会創出などにつながります。
プロダクトやサービスの改善
カスタマーサクセスは購入後の顧客に最も近しいポジションのため、商品やサービスの改善に繋がる情報を集積し、社内にフィードバックすることが可能です。
その情報をサービス開発やプロダクトの改善に活かすことで、既存顧客の満足度の向上だけでなく、新たな顧客の獲得にも繋がります。
ブランドを好きになる顧客の増加
カスタマーサクセスは、いわゆるブランディングにも寄与します。
カスタマーサクセスによって“購入後の顧客にはノータッチ”という状態を作らず、適切なタイミングでの継続した働きかけによって顧客に好意的な認知をしてもらうことで、自社ブランドへの肯定的な印象を与えることに繋がります。
自社のファンになってくれた顧客は、社内の別事業や別部署への展開を検討してくれたり、追加購入や購入頻度が増えたりと、さまざまな恩恵をもたらしてくれます。
競合他社との差別化
カスタマーサクセスが顧客に提供できる価値は、サービス自体の品質や利便性といった価値だけではなく、目標達成や課題解決、丁寧な対応などといった体験が含まれます。
これらのポジティブな体験をした顧客の満足度は高まり、顧客からの支持やロイヤリティの獲得につながるでしょう。
特に競争が激しい業界においては、カスタマーサクセスがいかに質の高いサポートを提供するかが競合他社と差別化をするために重要なポイントとなります。
カスタマーサクセスの業務内容
カスタマーサクセスが行う業務内容は、商材や企業によって異なります。
今回は、一般的にカスタマーサクセスが行う5つの業務を紹介します。
- サービスの利用促進
- 顧客フィードバックの収集・管理
- アップセル/クロスセルの機会創出
- 問い合わせ対応
- 顧客の離脱(チャーン)防止
サービスの利用促進
カスタマーサクセスは、サービスの導入時にオンボーディングやユーザートレーニングを行い、顧客がスムーズに利用を開始できるよう支援を行います。
また、利用開始後も利用状況の調査やヒアリングから、サービスの利用にあたり顧客が課題を抱えていないかを確認し、能動的にサポートを提供。顧客がサービスや製品を最大限活用できるようなアクションを行います。
顧客フィードバックの収集・管理
顧客からのフィードバックを収集・管理することもカスタマーサクセスの役割のひとつです。
アンケートや日々のコミュニケーションで収集したフィードバックは分析を行い、個別サポートだけでなく、新製品開発やサービスの改善に生かします。
アップセル/クロスセルの機会創出
カスタマーサクセスでは、日ごろから顧客ニーズを深く理解し、適切なタイミングでアップセル・クロスセルの提案を行います。
顧客との関係が構築できていれば、顧客にとって価値のある提案を行うことができ、顧客満足度の向上や売り上げの増加を期待できます。
問い合わせ対応
顧客から問い合わせがあった場合には、カスタマーサクセスが対応を行います。
顧客の課題や問題を迅速に解決することができれば、顧客満足度の向上につながるため、適切なサポートが重要です。
顧客の離脱(チャーン)防止
日々のやり取りや顧客の行動、フィードバックから離脱の兆候を見つけることもカスタマーサクセスの重要な役割です。
離脱リスクを察知した場合は、解決策を講じることで顧客満足度を保ち、離脱を防止します。
カスタマーサクセスにおける6つのKPI
カスタマーサクセスの目標達成度を測るKPIは、サービス・製品内容によって異なります。
今回は、使用されることの多いKPIを6つピックアップし、紹介します。
- NPS(Net Promoter Score)
- CSAT (Customer Satisfaction Score)
- 顧客離脱率(チャーンレート)
- 平均使用時間
- アップセル・クロスセルの割合
- ライフタイムバリュー(CLTV/Customer Lifetime Value)
NPS(Net Promoter Score)
NPSは、製品やサービスが顧客からどれだけ推奨されているか、顧客ロイヤルティを測定するための指標です。日本語では「正味推奨者比率」と訳されます。
測定方法は、商品・サービスをどの程度親しい人にすすめたいと思うかという問いに対し、0~10の11段階で回答してもらい、その結果からスコアを算出します。
NPSスコアが高いほど顧客ロイヤリティが高いことがわかり、単に製品やサービスへの満足度が高いだけでなく、深い信頼や愛着を得られていることがわかります。
顧客ロイヤルティは定期的に測定する必要があり、推移や変化を把握しておくことが大切です。
CSAT (Customer Satisfaction Score)
CSATは顧客満足度を示す指標で、日本語では「顧客満足度スコア」と訳されます。
商品に対する評価である機能的価値と商品やサービスを利用する上での感覚に対する感情的価値の2つの要因でスコアを図り、その結果を平均化しスコアを算出します。
これにより顧客満足度を定量的に把握することが可能です。
CSATは、あくまでも一時的な満足度を図るものであり長期的なロイヤリティや推奨意向を反映するものではありません。
前出のNPSとは分けて考えたほうがいいでしょう。
顧客離脱率(チャーンレート)
顧客離脱率は、一定期間内にサービスや製品の利用を停止した顧客の割合を表す指標です。
この指標は、サブスクリプション型のサービスや会員制サービス、利用課金型サービスなど、継続利用をしてもらうことで利益が上がるサービス・製品で特に重視されています。
チャーンレートが高い場合は、製品やサービスに対する満足度が低い・顧客を維持するのに問題があることになるため、顧客満足度の向上や顧客ロイヤリティの構築で改善を図ることが可能です。
平均使用時間
平均使用時間は、ソフトウェアやアプリケーションなどのサービスでカスタマーサクセスを行う場合によく活用される指標です。
顧客が自社サービスにどれだけの時間を費やしているかを把握することができ、使用時間が長いほど顧客が自社サービスに価値を見出していると解釈できます。
アップセル・クロスセルの割合
アップセルは、現状利用しているものよりも高価なサービスや高機能な製品など、上位モデルを販売することを指し、クロスセルは、すでに利用しているサービスや製品に関連するサービスを販売することを指します。
どちらも既存の顧客から追加的な売り上げを生み出す戦略であり、アップセル・クロスセルを行うためには、顧客のニーズや行動、購買傾向を理解して、適した製品を提供しなければなりません。
割合が高いほど、顧客満足度が高く、顧客と深い関係が築けていると推測できます。
ライフタイムバリュー(CLTV/Customer Lifetime Value)
ライフタイムバリューは、顧客が企業に対して生涯でもたらす総利益を予測した指標を指し、日本語では「顧客生涯価値」と訳されます。
一回購入当たりの顧客利益・年間取引回数・顧客の寿命の3要素を組み合わせることでスコアを算出し、数値が良いほど顧客満足度の高さと顧客ロイヤルティが強いことを示します。
ライフタイムバリューが高い顧客は、企業にとって重要な顧客です。ライフタイムバリューを定期的に算出することで、サポート体制の見直し、適切なマーケティング戦略の展開に活用できます。
カスタマーサクセスの立ち上げ手順
カスタマーサクセスの立ち上げは、一定の時間とリソースが必要ですが、顧客と長期的な関係を構築し、ビジネスの成長を生むという観点で非常に重要です。
カスタマーサクセスは、取り扱いサービスや企業の状況により立ち上げ方が異なりますが、今回は一般的な立上げ手順を紹介します。
①カスタマーサクセスの目標を定義する
まずはカスタマーサクセスで達成したい目標を定義します。
顧客満足度の向上、離脱防止、アップセル・クロスセルの増加など、具体的な目標を設定しましょう。
②プロセスと使用ツールの設定
カスタマーサクセスの目標が明確になったら、達成までの戦略を策定します。
具体的には、顧客との接点の持ち方、問題解決手法、顧客データの管理方法などカスタマーサクセスを行う上で必要なプロセスなどの設計を行いましょう。
カスタマーサクセスは、長期的に顧客とやり取りを行う必要があるため、適切な管理ができるよう、必要に応じてCRMやチケット管理ツール、データ分析ツールなどの導入を検討することをおすすめします。
③メンバーの選定
目標設定やプロセスの設計が完了したら、実際に業務を行うメンバーの選定を行います。
カスタマーサクセスは、商品やサービスを提供するだけでなく、サービスの利用を通じて成功を達成する支援を行うため、業務にあたるスタッフは、製品の知識、コミュニケーション能力、問題解決能力などが必要です。
自社だけで選定が難しい場合は、業務委託や派遣を利用する方法もあります。
④KPI(重要業績評価指標)の設定
続いてチームが目標を達成しているかを計る指標であるKPIを設定しましょう。
カスタマーサクセスは、サービス内容や企業の状況によって、設定するべき指標が異なります。
一般的に使われる指標は以下の通りです。
- NPS(Net Promoter Score)
- CSAT(Customer Satisfaction Score)
- 顧客離脱率(チャーンレート)
- ライフタイムバリュー(CLTV/Customer Lifetime Value)
自社の状況を整理したうえでKPIの設定を行いましょう。
⑤アクションプランの作成
メンバーの選定やKPI設定が完了したら、顧客へのアクションプランを作成します。
具体的には、製品導入から問題解決、アップセル・クロスセルの機会や離脱防止施策まで、各顧客へ提案する内容をまとめます。
カスタマーサクセスは個々のニーズを深く理解し、一人ひとりあった支援を行うことが重要です。顧客ニーズや市場環境の変化に合わせた長期的なプランを作成しましょう。
⑥プランの実行と定期的な評価
目標やプロセス、稼働メンバーなどカスタマーサクセス組織の設計が完了したら、プランに基づいてアクションを実行します。
カスタマーサクセスは、定期的な振り返りや最新情報の収集が非常に重要です。カスタマーサクセスの効果や実施内容を振り返り、改善と実行を繰り返していきましょう。
まとめ
カスタマーサクセスは、顧客の成功体験の最大化と、それによって受け取る報酬(売上・利益)の増加を目的とした営業活動です。
売り切り型ではなく、サブスクリプション型や従量課金型のサービスが増加している今、顧客と長期的な関係を築き、ニーズに合わせた支援を行う重要度は非常に高まっています。
カスタマーサクセスは、能動的な支援を行う必要があるため、製品の知識、コミュニケーション能力、問題解決能力などが必要です。
自社だけで立ち上げが難しい場合は、業務委託や派遣を利用するという方法もあります。
自社に合った方法でカスタマーサクセスを行うことができれば、顧客満足度の向上・利益の増加を期待することができるでしょう。
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