建設業界の技能実習生受け入れを考える~技能実習制度について~
- 外国人採用タイムズ
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2024/05/15
技能実習制度とは
技能実習制度とは
外国人技能実習制度は、1960年代後半頃から海外の現地法人などの社員教育として行われていた研修制度が評価され、これを原型として1993年に制度化されたものです。
そして、2009年に入管法が改正され「技能実習」という在留資格ができ、2017年には技能実習法が施行されました。この法律により外国人技能実習機構が設立され、技能実習生の保護、適正な実習の実施のための体制が一層強化されました。
技能実習制度の目的
技能実習制度の目的は技能実習生が日本で技能実習を通して学んだ技術を母国で生かすといった技術移転が目的になっています。
なので、技能を習得することが実習生には求められ、技能を習得するための適正な環境が受け入れ企業には求められます。そのため、技能実習生を労働力の需給の調整の手段として行ってはいけません。
2つの技能実習制度
技能実習を受け入れるタイプは2つあります。
- 企業単独型:日本企業が海外の支店、関連会社から職員を受け入れ技能実習を実施するタイプ
- 団体監理型:監理団体が技能実習生を受け入れ、受入れ企業で実習を実施するタイプ
※2018年段階で、団体監理型の受け入れが9割を超えています。
出典:JITCO「技能実習制度とは」
技能実習制度の在留資格
企業単独型、団体監理型で在留資格が異なり、技能実習の年数によっても在留資格が異なります。
企業単独型が「イ」、団体監理型が「ロ」。となり、技能実習1年目が「第1号技能実習」、2年目、3年目が「第2号技能実習」、4年目、5年目が「第3号技能実習」となります。
例:団体監理型の技能実習2年目の在留資格=「技能実習第2号ロ」
出典:JITCO「技能実習制度とは」
※1号→2号→3号の順序で移行します。
※2号への移行は学科、実技試験の合格が必要です。
※3号への移行は実技試験の合格が必要です。
技能実習のフロー(入国から特定技能1号・技能実習3号まで)
技能実習のフローでのポイント、入国前から入社まで
(1)組合加入
団体監理型の場合は、監理団体(組合)の加入が必要です。
組合加入の際、入会金と年会費がかかります。(金額等は組合によって異なります)
(7) 技能実習計画認定
建設の技能実習を行う際は、キャリアアップシステムの導入と建設業法第3条の許可が必要になります。(詳細は2:【最新】建設技能実習の始め方にて説明しています。
(11)入国後講習
入国後講習では、入国後監理団体のより、約1カ月の講習があります。
そこでは、日本語や日本の生活での一般知識、法的保護講習等の講習を行います。
技能実習1号から特定技能1号又は技能実習3号まで
(10)一時帰国
技能実習2号から技能実習3号への移行の際は、1カ月以上の一時帰国が3号開始前にあります。
※技能実習2号から特定技能1号への移行が主流になってきています。理由としては、技能実習生にメリットがある点と受け入れ企業・監理団体が技能実習3号を受け入れる為の条件があるという点です。
技能実習生と特定技能の違い
- 特定技能のほうが給料水準が高い
- 特定技能2号は家族帯同が可能
特定技能2号では家族帯同が可能になります。そのため、技能実習1号、2号から特定技能1号を経て、特定技能2号という流れの場合は、合計8年間、日本で家族と暮らすことが可能になります。
技能実習1号、2号から技能実習3号、特定技能1号、特定技能2号という流れの場合は、合計10年かかることになります。そのため、技能実習2号修了後、特定技能へ移行を希望する方が多い傾向です。
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受け入れ企業・監理団体が技能実習3号を受け入れる為の条件
条件の結論は、「優良な企業、優良な監理団体である」ということです。
優良な実習実地者(受け入れ企業)とは:技能等の修得等をさせる能力につき高い水準を満たすものとして主務省令で定める基準に適合していることです。
優良な監理団体とは:監理団体については、技能実習の実施状況の監査その他の業務を遂行する能力につき高い水準を満たすものとして主務省令で定める基準に適合していることです。
※技能実習2号から技能実習3号への移行の際は、1カ月以上の一時帰国が3号開始前にあります。
主務大臣の定める基準は下記のリンクから確認できます。
出典:法務省、厚生労働省「技能実習制度について」
受け入れ人数について
受け入れ企業が受け入れる技能実習生については上限数が定められています。
法改正により日本標準産業コードで建設を選択している場合に限り、規則に規定する上限に加え、技能実習生の総数が常勤の職員の総数を超えることができないこととしています。
団体監理型の人数枠
出典:JITCO「技能実習制度とは」
建設の受け入れ人数についてのポイントは下記の3つです。
1.常勤職員数には、外国にある事業所に所属する常勤の職員、技能実習生、外国人 建設就労者及び1号特定技能外国人を含めない点
2.企業単独型、団体監理型ともに、下記の人数を超えることができない点
- 1号実習生:常勤職員の総数
- 2号実習生:常勤職員数の総数の2倍
- 3号実習生:常勤職員数の総数の3倍
※団体監理型技能実習にあっては申請者が同条の基準に適合する優良な実習実施者(受け入れ企業)であり、かつ、監理団体が一般監理事業に係る監理許可を受けた優良な監理団体である場合には、「技能実習生の総数が常勤の職員の総数を超えないこと」という要件は課されません。
※「優良の定義」については上記の【技能実習のフロー(入国から特定技能1号・技能実習3号まで)】で説明しています。
3.建設関係職種等に属する作業に係る技能実習生の数の基準は、令和4年4月1日より施行されます。
※現状技能実習1号・2号の実習生が常勤職員数より多い場合は令和4年4月1日までに調整する必要があります。
建設技能実習の始め方
2020年1月より、新規技能実習生の受け入れに変更が出ています。
※その背景には建設分野での技能実習生の失踪が多発したことにより技能実習等の基準が強化されました。
重要な4つのポイント、変更された点、受け入れ可能職種をご紹介します。
ポイント1:建設業法第3条の許可
建設業法第3条の許可を所得していなければこれから新規の技能実習生の受け入れはできません。こちらの許可ですが受け入れ職種以外の建設業許可でも問題ありません。
ポイント2:建設キャリアアップシステムの導入
受け入れ企業、技能実習生ともに建設キャリアアップシステムの登録が必要になります。
2024年までにすべての建設にかかわる技能者の登録が求められています。
建設キャリアアップシステム
ポイント3:時給から月給制に変更
技能実習生に報酬を安定的に支払うことを目的に、天候を理由とした休業も含め、使用者の都合による休業の場合には、労働基準法に基づき、平均賃金の60%以上を支払う必要があります。休業する日について本人から年次有給休暇を取得する旨の申出が あった場合、年次有給休暇としても問題ありません。
ポイント4:監理団体への加入
企業単独型の場合、自社で受入れを行わなければいけないので、業界の最大手であれば可能ですが、自社での場合は難しく、ほとんど団体監理型を選択するのが現状です。各監理団体を通して技能実習生の受入れを行うことになります。
団体管理型の場合、監理団体に加入して送り出し機関より技能実習生を受け入れることになります。
変更点:受け入れ人数の厳格化
技能実習生の受け入れ人数が建設職種に関して変更になります。技能実習生の人数が常勤職員の総数を超えてはいけません。優良な実習実施者・監理団体は受け入れ人数の制限が免除となります。
※ここでの注意点は「技能実習生の数が、すでに常勤職員数を超えており。尚且つ特定技能に移行を希望しており、その人数が常勤職員を超えている場合に調整が必要」ということです。
※理事、監事、取締役などの役員は、会社から労働の対価を得ている場合を除いては、常勤職員として、カウントすることはできません。「取締役部長」という肩書があっても、会社から役員報酬しか支払われていない場合には、やはり常勤職員とすることはできません。「部長」としての労働の対価(給与)が支払われていれば、常勤職員としてカウントできます。
建設業界の受け入れ可能職種
建設業界で受け入れ可能な職種は下記になります。※各職種で作業内容が決まっています。
作業には、必須業務、安全衛生業務、関連業務・周辺業務があります。必須業務は50%以上の作業と安全衛生業務は10%以上必要と定められています。
さく井 | パーカッション式さく井工事 ロータリー式さく井工事 |
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建築板金 | ダクト板金 内外装板金 |
冷凍空気調和機器施工 | 冷凍空気調和機器施工 |
建具製作 | 木製建具手加工 |
建築大工 | 大工工事 |
型枠施工 | 型枠工事 |
鉄筋施工 | 鉄筋組立て |
とび | とび |
石材施工 | 石材加工 石張り |
タイル張り | タイル張り |
かわらぶき | かわらぶき |
左官 | 左官 |
配管 | 建設配管 プラント配管 |
熱絶緑施工 | 保温保冷工事 |
内装仕上げ施工 | プラスチック系床仕上げ工事 カーペット系床上げ工事 銅製下地工事 ボード仕上げ工事 カーテン工事 |
サッシ施工 | ビル用サッシ施工 |
防水施工 | シーリング防水工事 |
コンクリート圧送施工 | コンクリート圧送施工 |
ウエルポイント施工 | ウエルポイント施工 |
表装 | 壁装 |
建設機械施工 | 押土・整地 積込み 掘削 締固め |
築炉 | 築炉 |
塗装 | 建築塗装 鋼橋塗装 |
出典:JITCO 外国人技能実習機構
まとめ
技能実習の活用により、人材不足の問題が解決した建設企業様、もしくは、これからより深刻化していく人材不足の問題に対して現在から技能実習の運用の準備をしている建設企業様も多くいらっしゃいます。
技能実習を活用する上でこれからの業界のため、自社のためにもしっかり理解していただくことが必要です。