施工管理の採用が難しいのはなぜ?建設業界の現状と採用のコツを解説
現在の建設業界において、優れた施工管理技士の採用は難しいといえます。
求人募集を出しても欲しかった人材が集まらなかったり、応募者数が少なかったりした経験がある方も少なくありません。
この記事では、施工管理の採用が難しいといわれている理由や施工管理が転職を考える理由についてまとめています。
求人情報を書くポイントや求人方法なども紹介しますので、なかなか人材を確保できないと悩まれている担当者は参考にしてください。
希望の人材が採用できない、そもそも改善点がわからないなどの悩みがある方は、人材派遣サービスのような外部の活用を検討してみませんか?
ウィルオブでは人材派遣だけでなく、就業前の研修や就業中の定期面談などのフォロー体制が充実しています。スタッフが安心して働ける環境を提供しているので、施工管理の採用を検討されている方はお気軽にご相談ください。
施工管理の採用が難しい理由
まずは、施工管理の採用が難しいといわれている理由を確認していきましょう。
建設業就業者数の減少
※参照:国土交通省「建設業及び建設工事従事者の現状」
総務省の労働力調査によると、建設業就業者数は2002年の618万人から2016年の14年間で20%(126万人)減の492万人となっています。
このことから施工管理だけではなく、建設業界全体が人材不足であることがわかります。
建設需要の拡大
国土交通省総合政策局「令和5年度(2023 年度)建設投資見通し」によると、2023 年度の建設投資は前年度比2.2%増の70兆3,200 億円となる見通しです。
2025年に控えている大阪万博の影響もあり、今後ますます建設需要の拡大が見込まれています。
建設需要の拡大のため必要な人材が増える一方で、建設業就業者は減少傾向にあり施工管理の人材不足が加速しています。
有効求人倍率
厚生労働省が発表している「一般職業紹介状況(令和5年6月)」によると、2023年6月時点における建設・採掘従事者の有効求人倍率は5.07倍で、全体の有効求人倍率が1.30倍となっており、建築業界全体が採用難の状態です。
建設需要が大きくなれば建設従事者の需要も増えるため、これから施工管理の求人倍率はより高まると予測されます。
若者の建設業界入職者が少ない
国土交通省の「技術検定制度の見直しについて」によると、
- 1級土木施工管理技士の技術検定合格者の年齢は10年前に比べ、平均年齢が3歳上昇(34歳→37歳)しているとともに、20代後半~30代前半の人数が約半数に減少
- その影響により、1級土木施工管理技士の取得による監理技術者についても10年前と比較して、20代後半から30代後半の人数が大幅に減少している
と記載されていることからも、建設業従事者の高齢化が進行していることがわかります。
60歳以上の大半が10年後には引退している可能性が高く、次世代の働き手の確保と技術の継承が大きな課題です。
即戦力となる人材を求めがち
プロジェクトの成功には優れた施工管理技士が不可欠ですが、経験豊富で即戦力となる人材は他社との取り合いとなります。
施工管理の仕事をするうえで資格は必須ではないため、働きながら資格を取得してもらうなど柔軟な対応が求められます。
成長意欲や適応力を持つ候補者にも目を向け、長期的な成長が期待できる候補者を発掘する採用活動が必要です。
施工管理が転職を考える理由
せっかく採用することができた人材に離職されてしまうのは避けたいものです。
転職後のミスマッチを避けるため、施工管理が転職しようと思う理由を4つとその対策になるアピール方法をまとめてみました。
転職を考える理由は求職者が重視している要素でもあるため、この中から自社が求職者に提供できるポイントを探してみてください。
労働条件や待遇
専門性が高くプレッシャーが強い施工管理は、より高い給与を求めて転職する方が多い職業です。
業務量の多さや長時間労働、業務量に対して給与が少ないといった不満が続くと、転職の要因となってしまいます。
労働条件や待遇を重視する方には、高い給与や残業時間の少なさ、有給取得率の高さをアピールすると好印象を得られます。
仕事内容
よりやりがいのある規模の仕事を求めている、自分の力を試すことができる場がほしいなどもよくある転職理由のひとつです。
社会貢献ができるような仕事や独自性の強いプロジェクトを扱っている場合は、仕事内容について伝えることで求職者の興味を引くことが可能です。
人間関係
職場の人間関係は、働くうえで心身に大きな影響を与える要素です。
良好な人間関係が築けないとモチベーションの低下やストレスを引き起こしてしまい、転職を選ぶ原因となってしまいます。
会社の雰囲気を求人に記載すると、入社後の人間関係への不安を和らげることができるのでおすすめです。
この後の項目「自社の雰囲気を伝える」で求人情報の書き方についてまとめていますので、あわせてご覧ください。
キャリアや将来性
ウィルオブが実施した「建設業界で働く若手の意識調査」によると、建設業界で働こうと思ったきっかけの一位は男女ともに「手に職をつけたいから」となっています。
時代の変化に耐えられるよう、自己成長や新しい分野での経験の機会を求めて転職する方も増えています。
キャリアアップの流れや資格取得のための補助、自社で受けられる研修などがある場合は積極的にアピールしていきましょう。
求人情報の書き方のポイント
求人情報は求職者が最初に接する情報であり、自社の魅力や雰囲気を正確に伝えることが重要です。
適切なターゲット層に向けて、下記のポイントを組み合わせて効果的な求人情報を作成してみてください。
未経験者向け求人の場合
未経験だと専門用語がわからないことがあるため多用せず、わかりやすい表現で説明することが大切です。
研修や教育制度について記載することで業界知識や技術の習得をサポートする姿勢を示すと、具体的なキャリアプランを思い浮かべることができます。
未経験から入社した社員がいる場合は、体験談や一日の流れを書くことで求職者の興味を引き、この会社に入社してみたいと感じさせる効果が期待できるのでおすすめです。
経験者向け求人の場合
具体的なプロジェクト実績や必要なスキルセットを詳細に記載すると、自分が応募対象の求人かを判断する手助けになります。
残業の頻度や現場の工期を示すことで、転職後のイメージをつかんでもらいやすくなります。
キャリアアップの機会や大きなプロジェクトへの挑戦を示し、成長の場を提供する姿勢を伝えることも有効です。
自社の雰囲気を伝える
アットホームな職場のようなあいまいな書き方ではなく、求職者がイメージしやすいよう具体的に記載する必要があります。
たとえば、以下のように会社の特徴だと思えるポイントを書くことをおすすめします。
- 従業員数と男女比
- 社員投票の社内表彰制度
- 月に一度飲み会費用補助
実際に行っていることを求人に書いておくと、求職者の判断の手助けになります。
自社の魅力を伝える
優れた福利厚生やキャリア開発制度、社内イベントなど、自社の魅力や独自性をアピールしましょう。
仕事中または研修中に社員同士でコミュニケーションをとっている様子の写真を掲載すると、より魅力が伝わりやすいです。
「施工管理が転職を考える理由」の項目でまとめた、転職理由の中から自社のアピールできる項目を探してみてください。
面接対応を臨機応変に行う
多忙な職種である施工管理は、現職中は現場対応や事務作業をしているため転職活動を行える時間が限られています。
土日の面接や夜間対応などが可能であれば、求職者の希望に応じて対応を行うことが有効です。
現在の現場が遠いなどの事情で会社に足を運べない方には、WEB面接や出張面接を検討しましょう。
振り返りと改善を行う
採用活動がひと通り完了したら、振り返りと改善を行います。
どのような部分を振り返れば良いか、参考までにいくつか以下一覧で紹介します。
- 経験者を募集したのに未経験者の応募が多かった
- 内定を辞退されてしまった
- 面接の日時が合わない間に他社に決まってしまった
- 採用できたものの、すぐに退職してしまった
振り返りと改善策を立てたら、うまくいかなかった経験を次回の採用活動に活かしましょう。
求人方法と特徴
ここからは実際に採用活動を行う方法とそれぞれの特徴を紹介します。
各求人方法の特徴を理解し、求める人材に合わせて適切な方法を選択することで採用活動の成功につながります。
派遣会社
経験者や未経験者を問わず、幅広いスキルレベルの人材を迅速に確保できることが特徴です。
派遣は、有期雇用なので必要な期間に会社の状況に応じた利用が可能ですし、優秀な人材を直接雇用したくなったときも派遣から人材紹介に切り替えられるメリットがあります。
ただ、自社で採用するよりも人件費が多くかかることや契約によっては仕事時間や仕事内容に制限がかかることもあるので、活用する際はこのあたりも考慮しておきましょう。
人材紹介サービス
人材を求めている企業と求職者を仲介するサービスです。
お互いのニーズをしっかりと把握して仲介してくれるため、入社後のミスマッチを低く抑えることができます。
採用するまでの費用を削減できますが、採用時に成功報酬が発生することに注意しましょう。
求人サイト
求人サイトは数多くあり、幅広い層の方が閲覧することができます。
施工管理などの専門性が高い人を探している場合は、建設関係に特化した求人サイトへの掲載を行いましょう。
多くの企業が求人情報を掲載するため、他社の求人に埋もれないように求人を作成する必要があります。
合同説明会・イベントに参加
会社の特徴や魅力を伝え、興味を持った候補者と直接対話する機会を得ることができるのが特徴です。
知名度の高い大企業に注目が集まりがちのため、自社ブースへの呼び込みや配布物で工夫を行う必要があります。
採用サイト・採用ページ
自社のウェブサイト内に専用の採用ページを設けることで、求職者に直接情報を提供できます。
放置していると現在募集しているのかどうかわからず求職者を不安にさせてしまうので、こまめに更新する必要があります。
従業員からの紹介
現在の職員が自身の知り合いから人材を紹介する方法です。
職場の雰囲気に合った人物を雇えることもありますが、職場に合わなかった場合に紹介者との関係にも影響を及ぼす可能性があります。
よくある質問
ここからは、施工管理の採用に関することでよくある質問をいくつか紹介します。
大企業のような福利厚生や給料がなくても施工管理の採用は可能ですか?
給料や福利厚生は大切ですが、今回の記事にある「施工管理が転職を考える理由」で解説したように、転職を考える理由は待遇面だけではありません。
職場内の人間関係の良さなど自社の魅力をしっかりとアピールすることで、施工管理技士の採用が可能です。
無料の求人サイトだけでも大丈夫でしょうか?
無料の求人への掲載だけでも求職者の目に入るため、一定の効果はあります。
施工管理技士は専門性が高いため、求職者も一般の求人ではなく建設業向け求人サイトでの求職活動が多くなります。
未経験者を採用して育てたい場合はさまざまな人の目に入る無料の求人も良いですが、即戦力や経験者を雇いたい場合は専門性の高い求人サイトをご検討ください。
なかには掲載は無料でも応募発生や採用決定時に料金が発生する求人サイトがあるので、事前に確認しておきましょう。
こちらの「求人方法と特徴」でも解説しているので、比較をしてみるのもおすすめです。
複数の募集を同時に行うときの求人内容は同じでも良いですか?
求人に記載する内容は、募集している相手によって変えましょう。
経験者と未経験者は専門知識に差があるため、それぞれに合った内容を記載する必要があります。
くわしくは「求人情報の書き方のポイント」の項目で解説していますので、そちらをご確認ください。
まとめ
建設業界における施工管理者の重要性は高まる一方ですが、その採用にはさまざまな課題が存在します。
施工管理の採用が難しい理由は、建設需要が拡大する中で若年層の入職者が増えず、企業による施工管理の取り合いが起こっていることが原因のひとつです。
即戦力の人材の採用難易度は非常に高いため、未経験者や資格を未取得の方を採用して育成するといった対象者を広げた採用を考える必要があります。
採用活動では自社の魅力をしっかりと把握し、求職者にどれだけ伝えられるかが重要です。
今回の記事では求人情報の書き方のポイントや求人方法も解説しているので、自社に合う施工管理を確保できるよう採用活動に取り組みましょう。
なかなか希望条件に合う採用ができない悩み以外にも、コスト削減や業務効率などを考慮して採用活動が難しい場合は人材派遣の活用もおすすめです。
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