製造業の人手不足を解決するには?効果的な対応策を徹底解説
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2024/10/09
この記事でわかること
- データから見る製造業の人手不足の現状
- 人手不足解消に向けて企業が取り組むべきこと
- 即効性のある解決策
少子高齢化や離職率の上昇により、製造業での人手不足がますます深刻化しています。この問題は、生産性の低下や事業存続のリスクにも直結しており、企業にとって避けられない課題です。採用してもすぐに離職されてしまったり、期待した応募が来なかったりと、多くの企業が対策に頭を悩ませています。
本記事では、製造業における人手不足の実態と、このような状況における解決策を具体的に解説していきます。
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データから見える製造業の人手不足
製造業における人手不足の実態を、データをもとに解説します。
就業者数は実は増加傾向
国内では少子高齢化が進行しているものの、総務省統計局のデータによると2023年の就業者人数は2年ぶりに増加に転じています。
男女別でみると、男性が前年度4万人減少、女性が前年度28万人増加していることがわかりました。またここ10年間で女性の就業者数が大幅に増加していることも見てとれます。
参照:総務省統計局「労働力調査(基本集計)2023年(令和5年)」
製造業における就業者数の変化
製造業における就業者数も、2023年は前年比でわずかに増加に転じています。
しかし10年間で就業者数が約400万人増加しているにもかかわらず、全産業に占める製造業就業者の割合は2013年比で0.9%減少しています。また20年前の2003年比では3.1%もの減少がみられます。国内全体の就業者数が増えても、製造業に就業する比率が増えていないことが分かります。
製造業における女性就業者数の減少
女性の就業者数は10年間で約350万人増加していますが、製造業における女性就業者の割合はほとんど変わっていないことが分かります。
全産業における女性就業者割合が2.4%増加に対し、製造業は0.4%にとどまっています。
製造業が抱える採用課題の主な理由
製造業の就業者比率が減少している背景には、近年の原材料価格の高騰や人材の流動化といった採用課題も影響しているといえます。
原材料価格の高騰による採用コストの縮小
製造業が人材不足に陥る背景として、原材料やエネルギー価格の高騰も大きく影響しています。
原材料高騰がコストを圧迫し、労働力不足の対策に費用を回すことができない企業も多くあるようです。少人数で売上を補わなければならないため、残業が増えるなど労働環境が悪くなり、さらに退職者が増え人手不足が進むという悪循環に陥ってしまうこともあります。
人材の流動化
近年では人材の流動化も活発になっており、2023年の転職者は328万人にも上ります。コロナ禍により2019年の353万人をピークに2020~2021年は転職者数が減少傾向を見せましたが、2022年から増加に転じています。従来の終身雇用は崩壊し、転職が当たり前になっていることが伺えます。
参照:総務省統計局「労働力調査(詳細集計)2023 年(令和5年)平均結果の要約」
製造業に対するマイナスイメージの影響
製造業の人手不足には製造業に対するネガティブなイメージが少なからず関係しているといえます。
3K(きつい・汚い・危険)
製造業に対する「3K(きつい・汚い・危険)」という古いイメージが、求職者に敬遠される原因となっています。実際には設備導入や労働環境の整備が進んでいるにもかかわらず、立ち仕事や暑さによる「きつい」、鉄粉や化学薬品の臭いによる「汚い」、重機や重量物を扱うことによる「危険」を連想する人が未だに多くいるのが現状です。
教育制度に対するイメージ
製造業では熟練の作業者が経験をもとに作業を行っており、教育制度やマネジメント体制が整っていないというネガティブイメージを持たれがちです。
実際にDX化の遅れからマニュアルやナレッジの構築ができておらず、「見て覚える」に依存した教育体制や業務の属人化から脱却できないケースも存在しています。
人間関係に対するイメージ
熟練の技術を持った職人気質な人が多く、特に世代交代に必要な若年層からはハードルが高いと感じられている可能性があります。ほかにも人手不足が原因で一人当たりの業務負担が大きく、職場の雰囲気も良くないのではないかという印象を持っている方も多いかもしれません。
自社で行う対策
製造業に対するネガティブなイメージは、業界全体の人手不足をさらに悪化させる要因となっています。では、これらのネガティブイメージを払しょくしつつ、人手不足を解消するためにはどのような対策を行えば良いのでしょうか。
人手不足には「採用」と「定着」の2点を改善する必要があります。
まずは自社で取り組める対策を解説します。
新規採用を増やすための取り組み
新規採用を増やすための取り組みを3つご紹介します。
求職者にアピールできる強みを明確にする
求職者は一般的に就職先を検討する際に、以下の8つ項目について情報を集め、比較する傾向にあります。
これら8つのポイントに対して自社がどんな強みを持っているのかを言語化し、足りない部分は制度発足や実績をつくることで求職者に明示することができるようになります。競合他社がどのような取り組みをしているのかを調査することも有効です。
給与・昇給 | 働き方(柔軟な勤務形態) |
福利厚生 | 職場の雰囲気・文化 |
キャリアパス・研修 | 企業の安定性・ビジョン |
勤務地・通勤 | 仕事のやりがい |
取り組みを広報する
取り組みを実行するだけでは求職者には伝わりません。
面接官がその取り組みについて理解をし、同じように説明ができるか、面接官だけでなく従業員も取り組みを認知しているかが重要です。
また広報として、社外にPRするスキームをつくると良いでしょう。社報をHPにアップしたり、SNSや記事などを作成し取り溜めたりすることで、転職を希望している求職者だけでなく、転職顕在層に対しての認知度アップに寄与する可能性が高まります。
他にも、就業者人口が増加している女性向けのPRコンテンツを増やすことも有益といえるでしょう。
採用対象を拡大する
ネガティブイメージの払しょくは、人手不足の解消に重要ですが即効性があるとは言えません。
新規採用を増やすには、正社員以外の雇用受け入れの柔軟性、シニア人材、外国人労働者などの採用枠を拡大することも有効な手段のひとつです。
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離職者を減らすための取り組み
人手不足を根本的に解決するには、「定着」の対策は必ず行わなければなりません。熟練度の高い人材を確保し続けることができれば、教育コストを下げ、生産性を上げることができます。
離職者を減らすための取り組みを4つご紹介します。
課題の明確化
まずは離職率が高い原因を明確化させる必要があります。
従業員だけでなく離職者も含めた両者の意見を抽出することで、実態を把握することができるでしょう。
また、市況の転職理由は厚労省が2021年に公表した、「性・年齢階級、自己都合による転職の理由別転職者割合」によって見ることができます。
1位「賃金以外の労働条件が良くなかった」
2位「満足のいく仕事ではなかった」
3位「賃金が低かった」
4位「会社の将来性に不安を感じた」
5位「人間関係がうまくいかなかった」
となっています。
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労働条件や制度の見直し
離職理由1位の「賃金以外の労働条件が良くなかった」には、残業の多さや休日数、福利厚生の充実度と活用度などが含まれています。求人サイトでは年間休日数や休暇制度、残業時間で検索をかけられる仕組みになっており、労働条件が伴わない企業は検索結果にも表示されません。また条件で検索をかけられてしまうため、より良い条件を求めた転職にもつながってしまいます。
競合や市場の平均を把握し、「選ばれる企業」になるための差別化は条件面でも必要になるでしょう。
風通しの良い雰囲気づくり
人間関係は業種問わず非常に重要な要素です。
ハラスメント対策の強化、管理職向けの部下とのコミュニケーションの取り方に対する教育や、アンガーマネジメントを身につけさせることも有効です。また第三者による相談窓口や産業医の設置も進めることで、より心理的安全性が保たれる風通しの良い職場環境をつくることができるでしょう。
属人化の廃止
より多くの人を定着させるためには、属人的業務はすぐにでも改善すべきでしょう。
業務をマニュアル化することができれば育成スピードも上がり、業務品質が統一されることで、急な人員不足にも速やかに対応できる組織をつくることが可能になります。最近ではデジタル化によって業務プロセスそのものの改善も期待できます。
外注で行う対策
自社で行う対策は重要度と優先度は高いものの、即効性や専門性には欠けてしまいます。
早急に人員が必要な場合や、人手不足により制度改革をする余裕がない場合は、外注に頼ることも対策手段としては有効です。
外注の手段としては、
- 人材派遣
- 業務委託
- コンサルティング
- DX導入とオートメーション化
などが挙げられます。
人材派遣
人材派遣は、必要な期間に必要なスキルを持った人材を柔軟に受け入れることができる効率的な手段です。製造業に特化した派遣会社も多数存在し、繁忙期の増員や従業員の代替として、即戦力となる人材を確保することが可能です。さらに、労務管理や採用にかかるコストと手間を削減でき、比較的早い人手不足の解消が期待できます。
ただし派遣社員を受け入れるには、労働者派遣事業許可の申請や、派遣先責任者の設置など法律に基づいた事前対応が必要になるため注意が必要です。
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業務委託
業務委託とは、製品の製造・生産業務におけるすべての業務を外部に委託する方法です。
採用や育成にかかるコストの削減や、自社の従業員をより利益率の高い商品の製造に集中させることができるなどのメリットがあります。
しかし製造業務を任せてしまうため、デメリットとしては自社にノウハウが蓄積されづらいことや、品質管理が難しくなる可能性があります。一部のライン作業を委託するなど、必要に応じた契約も有効でしょう。
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コンサルティング
教育や研修制度の構築、業務効率化、採用関連などは、コンサルティング会社に改善策の企画を依頼するケースも多くあります。特に管理者育成は属人化に陥りやすくナレッジが溜まりづらいため、外部に依頼することでより専門性の高い教育を受けることができるでしょう。
しかし、これらは課題解決が目的のため、重要性は高いものの人手不足に対しての即効性はないといえるでしょう。
DX導入とオートメーション化
DXを促進し生産ラインそのもののオートメーション化や、事務作業の電子化を進めることで業務効率を改善させることができます。少ない人員でも生産数を保つことができ、3K(きつい・危険・汚い)を機械に任せることで従業員の安全性も高めることができます。
しかし導入には多額の費用が掛かるケースも多く、未来投資とはいえすぐに踏み出せない企業も多いでしょう。
費用と人手不足解消までの時間
4つの対策における「費用」と「解決までの時間」のポジショニングマップはこのようになります。
あくまで一例で規模や内容によって大きく変わりますが、人手不足解消への即効性のある手段は人材派遣といえるでしょう。しかし企業ごとに人手不足に陥っている要因は異なりますので、緊急度や課題にあわせた解決策を選ぶことが重要です。
まとめ
少子高齢化や離職率の上昇により、製造業では人手不足が深刻な問題となっています。特に3K(きつい、汚い、危険)といったマイナスイメージが就業者数の減少を加速させています。自社での採用と定着策が重要ですが、即効性のある対策としては人材派遣や外注の活用が効果的です。派遣社員を活用すれば、労務管理の負担軽減やコスト削減が期待でき、早期の人手不足解消が可能です。
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