離職率が高い会社に共通する項目とは何か!原因から導き出した対策も紹介

社員の離職率が高い場合、新たに人材を採用する工数が何度も発生してしまいます。

さらに、社員育成のために費やしたコストや時間も、無駄になってしまうデメリットもあります。

そのため、どうやって抑制していくかは、どの企業においても避けて通れない課題の一つと言えます。

しかし、対策を取ろうにも何から取り組めば分からないという声も多く聞かれます。

ここでは、離職率の概要だけでなく、業界別の離職率データや離職率が高い会社に共通する要因を解説していきます。

合わせて、離職率を抑えるための取り組みも紹介していきますので、離職率の高さにお悩みの方は参考にしてみてください。

離職率とは

離職率とは、一定期間内にどれだけ離職者が発生したかを表す指標と定義されています。

一般的には、期初の在籍社員数を分母に、その1年間で離職した社員数を分子にすることが多いです。

分母に関しては、在籍社員数に限らず、入社人数であったりと求めたい指標によって変更することができます。

そのため、分母を変えることで、様々な切り口から離職率を出すことが可能です。

離職率の計算方法

離職率は常用労働者数に対する離職者の割合を指しているため、以下の式で算出することができます。

離職率=離職者÷1月1日現在の常用労働者数×100%

例えば2021年1月1日現在の常用労働者数が500人で、年間の離職者が10名だった場合、2021年度の離職率は2%となります。

平均の離職率ってどれくらい

厚生労働省の「令和2年上半期雇用動向調査結果」によると、令和2年上半期の常用労働者の平均離職率は8.6%でした。

前年同期(9.1%)と比較すると、0.6%改善した結果となっています。

この平均離職率に関しては、産業全体の数値であるため、自社の離職率を分析する際の比較対象としても活用出来ます。

では、業界別で比較した場合、どの業界の離職率が高くなっているのでしょうか?

次の章で見ていきましょう。

業界別離職率

「令和2年上半期雇用動向調査結果」内で報告された業界別離職率に関して、離職率の高い順に並べ替えた結果が以下となります。

No 業界 離職率
宿泊業・飲食サービス業 15.3%
教育・学習支援業 12.2%
サービス業(他に分類されないもの) 11.0%
生活科案円サービス業・娯楽業 10.2%
医療・福祉 8.8%
不動産業・物品賃貸業 8.1%
運輸業・郵便業 8.0%
電気・ガス・熱供給・水道業 7.9%
卸売業・小売業 7.7%
10 学術専門・専門/技術サービス業 6.5%
11 複合サービス事業 5.4%
12 情報通信業 5.2%
13 製造業 5.1%
14 建設業 4.8%
15 金融業・保険業 4.5%

離職率が高い業界は、①宿泊業・飲食サービス業、②教育・学習支援業、③サービス業(他に分類されないもの)の順となっています。

この3業界の共通点としては、法人ではなく、個人の消費者がサービスの対象であることが挙げられます。

個人の消費者の場合、平日のオンタイムだけ対応するということが難しく、残業や休日対応など労働時間が長くなることから高い離職率に繋がるという見方ができます。

次に、離職率が低い業界は、①金融業・保険業、②建設業、③製造業の順となっています。

金融業・保険業の離職率が低い理由の一つに、平均給与の高さが挙げられます。

国税庁が発表した「令和元年分民間給与実態統計調査結果」において、金融業・保険業の平均給与は571万円で、最も高い電気・ガス・熱供給・水道業(820万円)に次いで2番目の高さです。

ちなみに、宿泊業・飲食サービス業の平均給与はもっとも低い195万円となっています。

この平均給与の差も、離職率の差に繋がっているのではないかという考え方もできます。

離職率が高くなる要因

ここまで業界別に見てきた離職率ですが、離職率の低い金融業・保険業のなかでも離職率の高い会社はありますし、逆に離職率の高い宿泊業・飲食サービス業のなかでも離職率の低い会社は存在します。

大事なことは業界問わず、離職率の高さに繋がる要因をとらえて、対策を打っていくことです。

ここからは、離職率が高くなる要因を見ていきましょう。

評価が正しく行われない

上司からの評価は、給与や人事に直結することもあり、社員が気に掛ける項目の一つです。

上司の個人的な感情による評価は、不公平を感じ、不満が募っていく要因となります。

また頑張っても評価されない場合、会社への失望感につながり、社員のモチベーションは下がっていきます。

社員は、自分が取り組んだ業務に対しては、客観的で正当な評価が欲しいものです。

評価者は、あくまで客観的で妥当性のある評価をつけるように、心がけましょう。

人間関係が悪く、コミュニケーションがとりづらい

コミュニケーションエラーによるストレスも、離職要因に挙げられます。

会社においては上司だけでなく、同僚や部下などコミュニケーションを取る機会は多いため、コミュニケーションエラーが発生する可能性が拡がります。

そこに人間関係の悪さが重なると、コミュニケーションロスによる溝はさらに深くなります。

社員の離職という結果に繋がらないためにも、社員同士が積極的に交流できるような環境作りが必要になってきます。

教育やフォロー体制が整備されていない

新入社員にとって、慣れない環境下にいるなかで、サポート体制がないことは大きな不安に繋がっていきます。

大きな不安があると、なかなか思うようなパフォーマンスを出せず自信を無くし、結果的に離職してしまうといったケースも考えられます。

入社直後は特に不安が大きくなる時期でもありますので、教育やフォロー体制を整備しておくことは重要です。

労働時間が長い

労働時間が長くなればなるほど、心身ともにダメージが大きくなってきます。

また、上司が残っているので帰りづらい、残業しないと評価されないといった風習が会社にある場合、必然的に長時間労働を作り出す環境になってしまいます。

長時間労働だけでなく、休日出勤や深夜残業が常態化している場合、社員の離職につながりやすくなります。

上司が率先して定時で帰るなど、会社全体で長時間労働を減らす動きをすることで、健全な労働環境が構築できます。

離職防止だけでなく、生産性向上の観点でも、労働時間や労働環境の見直しを図っていくことは重要です。

離職率を抑える手段・方法とは

ここからは、離職率を抑えるための取り組みを紹介していきますが、その前にまず取り組むべきことがあります。

それは、退職分析です。

なぜなら、自社の退職データの中に真実がすべて含まれているからです。

自社で多く見受けられる退職要因を分析できたら、どのような対策が最善なのかが、見えてくるはずです。

時間と工数がかかる作業ですが、自社が抱える課題を正しくとらえるためにも、まず最初に分析しましょう。

では改めて、離職率を抑える取り組みを四つ紹介していきます。

評価制度の見直し

一つ目の対策は、評価制度の見直しです。

ここで、重要なポイントとなるのは客観的な視点を取り入れることです。

これまで評価・人事制度が主観的に行われていたのであれば、客観的な視点を取り入れるだけでも、社員からの納得感や信頼感が得られるはずです。

上司単独の評価ではなく、同僚・部下など複数の評価者を置く360度評価を導入するなど、
客観的な評価を心がけてみてください。

社内コミュニケーションの活性化

二つ目の対策は、社内コミュニケーションを活性化させることです。

たとえば、座席を固定化しないフリーアドレス制度を導入したり、社内SNSを活用することは社員同士の積極的な交流を生むことができます。

上司や他部署の社員も含めた積極的な交流が生まれることで、気軽に相談できるだけでなく、風通しの良い職場作りが可能になります。

その結果、ハラスメントやセクショナリズム防止といった副次的効果も見込めます。

メンター制度の導入

三つ目の対策は、メンター制度の導入です。

メンター制度とは、新入社員や若手社員のメンタルフォローを、年齢や社歴の近い先輩社員が対応する制度のことです。

メンター制度を導入することで、社歴の浅い社員は何でも相談できる相手ができ、安心感を得ることができます。

また相談役となる先輩社員においても、良いお手本になろうと自発的に仕事に取り組むなど、仕事に対する責任感が高まるといった効果が見込めます。

社員フォローだけでなく、会社組織としても成長機会に繋がりやすい制度だといえます。

そのほか、若手社員へのフォロー手段として、1on1ミーティングを実施することもおすすめです。

1on1ミーティングは、気軽な話し合いの場として設けられるため、コミュニケーション改善が図れる絶好の機会です。

上司としても、プロジェクトの進捗状況をこまめに把握できる機会が得られるため、客観的な評価がしやすくなります。

毎月の実施が難しい場合、3か月に1度でも構いませんので、コミュニケーション機会を設けてみてください。

ワークライフバランスの導入

四つ目の対策は、ワークライフバランス制度の導入です。

ワークライフバランスとは、仕事と生活の調和を意味します。

時短勤務やテレワーク、フレックスタイムなどの制度があることで、心身の健康やゆとりが保てるため、前向きに業務に取り組むことができます。

国としても推進している取り組みでもあるので、離職率抑制、生産性向上のためにも導入してみてはいかがでしょうか?

すぐに導入できる離職対策とは

ここまで紹介してきた対策の導入を検討したいものの、離職が相次いでいるため、すでに人手が不足しているという企業もいらっしゃると思います。

その場合は、外部サービスの利用をおすすめします。

たとえば、人手不足による社員の負担を減らしたいのであれば、必要なスキルを持つ人材を必要な期間だけ雇用ができる人材派遣サービスがあります。

人材派遣サービスの活用に関しては、別記事「【2023】人材派遣会社8社比較!派遣雇用のメリットと各社特徴を解説」で詳しく解説していますので、参考にしてみてください。

また、一部業務を丸ごと委託することで効率化を図りたい場合、アウトソーシングも一つの手段です。

こちらも、別記事「アウトソーシングとは?メリット・デメリットや 人材派遣との違いを解説」で解説しています。

自社の課題を解決するには、どの対策が必要なのか、今回の記事を参考に検討していただければ幸いです。

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