カスタマーサクセスとSaaSビジネス/注目を集める理由と立ち上げのポイント
IT/SaaSビジネスにおいて、カスタマーサクセスの取り組みは広く普及しています。
カスタマーサクセスがIT/SaaS業界に受け入れられている理由と、
これから立ち上げる際に知っておきたいポイントを解説します。
カスタマーサクセスとは
カスタマーサクセスは、顧客に成功体験をもたらすことで、
売上・利益達成を目的とした営業活動のひとつです。
BtoBビジネスを中心に普及が進んでおり、特にIT/SaaS業界と相性が良いとされています。
その役割から、カスタマーサポートと混同されがちですが、
アフターサービスや保守的な役割を担うカスタマーサポートとは異なり、
カスタマーサクセスは積極的に顧客にアプローチし顧客を成功体験へと導くことで、
顧客とのエンゲージメントを高めることを目的としています。
詳細は5分でわかるカスタマーサクセスとは?定義・メリットをわかりやすく解説の記事で
解説していますので、あわせてご覧ください。
SaaS業界で注目を集める理由
SaaS業界でカスタマーサクセスが受け入れられているのは、以下の要因が絡んでいます。
サブスクリプション型サービスの浸透
サブスクリプションは、従来の売り切り型とは異なり、
一度の料金の支払いで一定期間サービスを利用できるビジネスモデルのことです。
定期購読や定期購買になることで、安定した収益が見込めるのに加え、
売上の予測が立てやすくなるメリットがあります。
IT/SaaS業界では、継続利用前提の商材・サービスは以前から存在していました。
しかし、いわゆるカスタマーサクセスの活動は一部企業が取り組んでいた程度にとどまり、
多くのSaaS企業はカスタマーサポートなどの保守サービスを提供しているだけでした。
時流によって、SaaS業界以外でも広くサブスクリプション型ビジネスモデルが浸透してきた結果、
カスタマーサクセスへの理解も広まってきました。
解約率を下げ長期継続利用してもらうことによる
LTV(顧客生涯価値)の向上に取り組む企業が増えてきたのです。
もともとサブスクリプションと親和性の高かったSaaS業界では、
カスタマーサクセスの立ち上げも容易であり、カスタマーサクセスに取り組む企業が
急速に広まりました。
新規開拓以外の収益源が必要になった
IT/SaaS業界は非常に競争が激しく、日々新しいプロダクトやサービスが市場に現れています。
競合との競争が激しくなるほど、ひとりの顧客を取り合うことになり、
当然顧客を獲得するためのコストは上がります。
しかし、新規開拓をしている間にも一定の割合で解約は発生します。
その解約で失った売上を補うためには、さらに新規開拓にリソースを割かねばならず、
解約率改善のアクションが遅れるといった負の連鎖に陥ってしまいます。
こういった状況を打破するために、カスタマーサクセスは有効に機能しました。
いままでの新規顧客獲得に加え、既存顧客にもアプローチし、
解約率の改善やアップセル・クロスセルによって、売上拡大の重要な役割を担うこととなりました。
情報を持つ顧客が増えた
インターネットやSNSの普及により、情報化が急速に進みました。
顧客も例外ではなく、いままでは営業パーソンから情報を仕入れていた企業がほとんどでしたが、
現在は顧客自身で調べて、気に入ったサービスを取り入れるといったことが増えてきました。
類似商材がいくつも存在するSaaS業界では、顧客に良いサービスだと思ってもらえなくては、
継続して選んでもらうことはできなくなってきているのです。
そこでカスタマーサクセスによって、戦略的に見込み顧客や既存顧客へアプローチを行い、
自社の商材を気に入ってもらうことで、継続率を高める動きが重要になっています。
適宜、顧客とコミュニケーションをとり、顧客に成功体験をしてもらうことで
自社商材の虜になってもらい、他社の商材になびかせる機会を無くすことができます。
カスタマーサクセス立ち上げのポイント
これからSaaS業界でカスタマーサクセスを立ち上げる場合は、
“リソースの確保”と“スキームの構築”が重要なカギとなります。
特に人材の確保がボトルネックになりやすく、
開発力はあっても営業力に課題のあるSaaS企業も多いため、頭の痛い問題と言えます。
場合によっては、営業活動のアウトソースも検討すると良いでしょう。
スキームの構築は、カスタマーサクセスの活動内容とそのKPIを定めることを指しています。
解約率の改善・アップセル率・クロスセル率など、企業によって重要項目が変わるため、
KPIを何に設定して、どういった活動をするかを関係者内ですり合わせる必要があります。
まとめ
SaaS企業がカスタマーサクセスに取り組む恩恵は大きく、
継続利用してもらうことでLTVが向上し、事業目標の達成に繋がります。
カスタマーサクセスを立ち上げる前に、リソースの確保とスキームの構築の2つのポイントに注意することで、
より円滑に取り組みをスタートさせることができます。
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